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軍人や退役軍人が直面する健康問題を対処する心身へのアプローチについて知っておくべき8つのこと
8 Things To Know About Mind and Body Approaches for Health Problems Facing Military Personnel and Veterans

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2021年2月12日

多くの軍人や退役軍人は、慢性疼痛を経験しますが、それは身体を衰弱させることもあり、治療が難しい場合も多くあります。任務中の軍人は、そのほかにも心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder :PTSD)、不安感、抑うつ、不眠症、および薬物使用障害などの治療が困難な症状を抱えている場合があります。多くの軍人、退役軍人、およびその家族は、痛みやそれに関連する症状に対処する選択肢を増やすために、マインドフルネス瞑想やその他の補完・統合医療に目を向けます。

軍関係者集団の慢性疼痛に対する補完療法についての研究は現在進行中ではあるものの、軍関係者集団の慢性疼痛に対するこれらの補完療法の有効性について公表されている情報はほとんどありません。しかし、軍人や退役軍人におけるPTSD、ストレス/不安、不眠症に対する補完療法に関する情報は、軍関係者ではない集団における慢性疼痛に関する情報と同様に公表されている情報があります。

軍人と退役軍人が直面する健康問題に対する心身療法について知っておくべき8つのこと

  1. 慢性腰痛に対する鍼治療マッサージ脊椎マニピュレーションヨガに関する研究レビューでは、非軍人の集団において、これらの治療が有益である可能性の科学的根拠(エビデンス)が示されました。マインドフルネスによるストレス低減法や認知行動法は、通常のケアと比較して、痛みや機能を改善するという、一部のエビデンスもあります。
    • 脊椎マニピュレーション。米国内科学会(American College of Physicians)の最新のガイドラインでは、脊椎マニピュレーションがわずかな機能改善に関連する可能性があるかもしれませんが、脊椎マニピュレーションと他の積極的治療との間に差はないというエビデンスがあると結論づけています。
    • 鍼治療。同ガイドラインでは、慢性腰痛の患者の疼痛管理において、最初に鍼治療のような非薬物療法を選択することを推奨しています。多くの研究で、鍼治療は従来の治療法と比較して、腰痛に対してある程度の効果を示していますが、疑似鍼(プラセボ)治療も同様の効果を示しており、鍼治療からの効果の一部は患者の期待、または施術者の思いやりによるものであることを示唆しています。
    • マッサージ。複数の研究では、通常のケアと比較して、マッサージが慢性腰痛の人の痛みを軽減し、機能を改善するという短期間の有益な効果に関連していることを示唆しています。
    • ヨガ。2017年の研究レビューでは、運動しない場合(例:無治療、ヨガ開始の遅れ、または患者教育など)と比較して、ヨガは3カ月と6カ月の時点で背部に関わる機能が軽度~中等度、改善するというエビデンスがあることがわかりました。また痛みに対しても効果的である可能性がありますが、効果の大きさは非常に小さいです。
    • マインドフルネスによるストレス解消法。慢性腰痛の成人を対象とした新しい研究では、マインドフルネスに基づくストレス解消法と認知行動法は、通常のケアと比較して、痛みと機能制限が大幅に改善されることがわかりました。
  2. 入手可能なエビデンスでは、首の痛みに対する鍼治療は、無治療と比較して、より痛みを軽減する可能性を示しています。脊椎マニピュレーションは、首の痛み緩和に有効である可能性を示す一部のエビデンスがありますが、研究の多くは質の低いものでした。
  3. 補完療法と線維筋痛症に関する研究を評価したレビューアらによると、研究の多くは未だ予備的なものであり、用いられたさまざまな療法における有効性のエビデンスは限定的とのことです。しかし、太極拳が線維筋痛症の患者に有益である可能性が、研究で示されています。
  4. プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)、催眠療法、イメージ療法、バイオフィードバック(行動療法)、鏡療法などの心身療法が、肢切断者の幻肢痛と感覚の軽減に有効である可能性があるという、一部の限定的なエビデンスがありますが、ほとんどの研究が小規模で質が低いものでした。
  5. 2010年に発行された退役軍人局(Department of Veterans Affairs)と国防総省(Department of Defense)によるPTSDの管理に関する診療ガイドラインは、リラクゼーション法が、生理的な過剰反応性に関連する諸症状を軽減する点から、急性ストレス障害またはPTSDの治療アプローチの構成要素として考慮されると示しています。
  6. ヨガ、瞑想、リラクゼーション法などの心身療法の中には、軍関係者のストレスと不安に対してわすかに有益な効果をもたらす可能性があるという限定的なエビデンスがあります。しかし、多くの研究は小規模のサンプルサイズでした。
  7. 行動療法に加えて、リラクゼーション法は、睡眠を改善する有効な治療法となり得ることを示唆する一部のエビデンスがありますが、軍関係者集団を対象にしたものは少数の小規模な研究しかありません。イメージ・リハーサル療法が、退役軍人以外の集団の不眠症を改善する可能性があるという限定的なエビデンスもありますが、戦闘を経験した退役軍人または現役軍人を対象に行われたイメージ・リハーサル療法の研究は、少数の小規模な研究でした。
  8. 自分の健康に責任を持ちましょう。あなたが行っている全ての補完療法についてかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。そうすることで、一緒に、十分な情報を得た上で、共有された意思決定を行なうことができます。
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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください

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