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本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
■ このページの内容

- うつの詳細
- うつ病の基礎
- うつ病に対する補完療法:概要
- うつ病に対する補完療法:科学的根拠
- ハーブと薬の相互作用
- うつ病治療に潜在的な効果がある植物由来の2つの物質が研究により特定
- セントジョーンズワートとうつ病
- メンタルヘルスの治療薬
- 季節性情動障害に対する補完療法:概要
- 季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder :SAD)
- 音楽と脳:米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)/ケネディセンター・ワークショップについてのレポート
- 瞑想実践者と非実践者では、統計学的要素、健康にかかわる行動、健康状態、ヘルスケアの利用に違いがあると最新の解析結果が示しています
- うつの詳細
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英語版改訂年月(翻訳時):2020年2月うつはアメリカでは成人の約10人に1人がかかる病気です。また、専門家は、アメリカの10代の若者の約5%が中等度から重度の大うつ病に罹患していると推定しています。気分、思考、身体の健康、行動のすべてに影響を及ぼすことがあります。その症状やうつ病の重症度は人によって異なります。症状には以下のようなものがあります:
- しばしばあるいはいつも悲しい気持ちになる、不安を感じる。
- 以前は楽しかった活動をしたいと思わない。
- イライラする、イライラしやすい、落ち着かない (思春期によく見られる症状です)
- 睡眠障害や疲労感がある。
- いつもよりよく食べる、またはあまり食べない、あるいはまったく食欲がない。
- 治療では改善しない痛みがある。
- 集中力、記憶力、決定力の低下を感じる。
- 罪悪感がある、自分には価値がないと思う、無力だ。
- 自殺を考える、あるいは自傷行為を行う。
うつ病は抗うつ薬やある種の心理療法などの通常医療で治療が可能です。
一部の人は、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)やS-アデノシル-L-メチオニン(S-Adenosyl-L-methionine、SAMe)のような、うつ病のための補完療法を検討するかもしれません。しかし、セントジョーンズワートは、うつ病に対して一貫した有効性を示しているわけではありません。また、セントジョーンズワートは、多くの処方薬の有効性を制限します。SAMeの場合、SAMeのサプリメントがうつ病に役立つかもしれないという科学的根拠(エビデンス)は決定的なものではなく、長期的な安全性に関する情報は限られています。うつ病に関しては、補完療法の利用を通常医療の代わりにしたり、医療機関の受診を後回しにしたりする理由として用いてはいけません。うつ病の詳細については、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health :NIMH)[英語サイト]のウェブサイトをご覧ください。
このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
医療者向け情報
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- うつ病の基礎
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英語版改訂年月(翻訳時):2016年はじめに
あなたは一日のほとんどあるいは毎日、悲しい気持ちやむなしい気持ちになったり、希望が感じられなくなったりしますか?趣味に対して関心がなくなったり、友人、家族といても楽しさが感じられなくなったりしていますか?睡眠、食事、活動に問題はありますか?このようなことが2週間以上続いている場合には、重篤なうつ病である可能性があります。しかし、うつ病は治療可能な気分障害です。
うつ病とは?
人は誰でも、時には悲しくなったり落ち込んだりするものですが、これらの感情は通常はすぐになくなります。うつ病は「臨床的うつ病」または「うつ病性障害」とも呼ばれる気分障害であり、あなたの感情や思考、睡眠や食事、仕事等の日常活動への対処に影響をあたえる疾患です。一日のほとんどで症状が見られ、それがほぼ毎日2週間以上続くとうつ病と診断されます。
どんな種類のうつ病がありますか?
以下は、最も一般的なうつ病の2つです。
- 大うつ病性障害:うつ症状が一日のほとんどで現れ、それがほぼ毎日2週間以上続き、仕事、睡眠、勉学、食事、そして人生を楽しむ等の能力を妨げます。一生に一度しか症状が現れないこともありますが、数回現れる人の方が多いです。
- 持続性抑うつ障害 (気分変調):2週間以上うつ症状が続いている状態です。このタイプのうつ病と診断された人は、さほど重度ではない症状が見られる期間とともに、大うつ病性障害の症状が起きる場合があります。
- うつ病の中にはややタイプが異なるものがあり、以下のような特定の状況で発症するものがあります。
- 周産期うつ病:周産期うつ病の女性は、妊娠中あるいは出産後に本格的な大うつ病(産後うつ病)を経験します。
- 季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder :SAD):SADとは、典型的には晩秋から初冬にかけて発症し、春および夏におさまる季節性のうつ病です。
- 精神病性うつ病:このタイプのうつ病は、重度のうつ病に加え、他の人には認識できない、動揺するようなものが聞こえたり見えたりする(幻覚)等の何らかの精神病がある人に発症します。
うつ病性障害の他の例として、重篤な気分調節症(小児や思春期の人々で診断される)や月経前不快気分障害があります。うつ病は、双極性障害(正式には躁うつ病と呼ばれる)の一つの相でもあります。しかし、双極性障害の人は、「躁病」または重症度がより低い「軽躁病」と呼ばれる極端に大きな多幸感や苛立ち感も経験します。
これらの障害については、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health :NIMH)のウェブサイト[英語サイト]でさらに学ぶことができます。
うつ病の原因は何ですか?
NIMHおよびアメリカ全土の科学者は、うつ病の原因を研究しています。遺伝的、生物学的、環境的、心理的要因は、うつ病に何らかの役割を果たすことが研究により示唆されています。
うつ病は、糖尿病、がん、心疾患、パーキンソン病等のその他の重篤な疾患と同時に生じることがあります。うつ病は、これらの病気を悪化させたり、あるいはこれらの病気がうつ病を悪化させたりすることもあります。これらの病気の治療で服用した医薬品が、うつ原因になる副作用を引き起こすこともあります。うつ病の進行中の研究に関するさらなる情報は、www.nimh.nih.gov[英語サイト]をご覧ください。
うつ病の兆候と症状はどのようなものですか?
悲しさがうつ病の唯一小さな兆候ですが、全く悲しさを感じない人もいます。症状は人によって異なります。以下は、うつ症状のいくつかの例です。
- 持続的に悲しい気分、不安、あるいは「虚しい」気持ちになる。
- 希望がもてないあるいは悲観的な気持ちになる。
- 罪悪感がある、自分は価値がない、あるいは役に立たないと感じる。
- 趣味や活動への関心がなくなった、楽しさが感じられない。
- 活力低下、疲労感または、「動きが遅く」なる。
- 集中したり、記憶あるいは決定をくだしたりすることが困難。
- 睡眠が困難である、早朝覚醒する、睡眠が意図する以上に長時間になる。
- 食欲および/または体重の変化
- 死あるいは自殺を考える、または自殺を試みる。
- 落ち着かないまたは苛立つ
- 明確な身体的原因がないのに、疼痛、頭痛、ひきつけ、あるいは消化器系の問題があり、および/または治療してもそれらが緩和されない。
うつ病は、みんな同じ症状ですか?
うつ病は人によってその影響が異なります。例えば、
女性は、男性よりうつ病になることが多いです。うつ病の発病率は、女性特有の生物学的要因や、ライフサイクル、ホルモン等の要因が女性においてより大きいことと関連しているかもしれません。うつ病の女性は、一般的に、悲しい、価値がないと感じる、罪の意識がある等の症状がみられます。
男性のうつ病では、とても疲れてしまったり、イライラしたり、時には怒ることが多くなるでしょう。また、かつては楽しんでいた仕事や活動に関心がなくなり、睡眠の問題や薬物、アルコールの誤用等、向こう見ずな行動をとることもあります。多くの男性はうつ病を認識しておらず、支援をもとめないでいます。
高齢者のうつ病では明確な症状があまりなかったり、深い悲しみを認めなかったりすることもあります。このような高齢者は、心疾患等の医学的症状がある場合も多く、それがうつ病の原因やきっかけになることがあります。
幼い小児うつ病では、病気のふりや登校拒否をしたり、親から離れようとしない、親が死んでしまうのではないかと心配したりする等の傾向があります。
もう少し年長の小児や10代のうつ病の小児になると、学校で問題を起こしたり、不機嫌になったり、イライラしたりすることがあります。10代のうつ病の小児は、不安症、摂食障害あるいは薬物乱用等、他の症状がある場合もあります。
うつ病に対してはどんな治療が行われるのですか?
適切な治療への第一歩は、医療機関や、精神科医、心理学者等の精神疾患専門家を受診することです。医療スタッフが、うつ病と同じ症状の他の疾患を除外するために診察、問診、臨床検査を行います。診断がなされると、医薬品の服用、心理療法、あるいは、それらの併用によりうつ病を治療します。これらの治療で症状が軽減されない場合は、脳刺激療法が選択肢として検討されることもあります。
- 薬物療法
抗うつ剤と呼ばれる医薬品は、うつ病治療に優れた効果があります。抗うつ剤は、効果が出るまでに2~4週間かかります。抗うつ剤には副作用がありますが、多くは時間の経過と共に軽減されます。副作用が生じたら、医療スタッフに相談しましょう。医療スタッフに相談なく抗うつ剤の服用をやめてはいけません。
以下に注意してください。抗うつ剤は多くの人に効果がありますが、特に小児や10代の人々、若年成人には重大なリスクがある場合があります。抗うつ剤は、特に、初めて医薬品を服用したときから効果が出始める前までに焦燥感が起こった人々において、自殺念慮や自殺企図が生じることがあります。抗うつ剤を服用している人に対しては、特に服用開始時は注意深く経過観察しなければなりません。しかし、ほとんどの人は、うつ病を治療しないリスクの方が医師の注意深い監督のもとで抗うつ剤を服用することよりもはるかに上回ります。
医薬品情報はしばしば変更されます。最新の警告、患者服用ガイド、または新たに承認された医薬品については、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration :FDA)[英語サイト]のウェブサイトをご覧ください。
心理療法
新たな考え方や行動方法を指導し、うつ病の要因となっているかもしれない習慣を変えてゆく心理療法もまた有用です。心理療法は、うつ病を引き起こしたり悪化させたりしている可能性のある困難な関係や状況をあなたが理解し、対処する手助けとなります。
脳刺激療法
電気痙攣療法(Electroconvulsive therapy :ECT)や他の脳刺激療法は、抗うつ剤で効果が得られない重度のうつ病を患う患者にとって一つの選択肢となるかもしれません。ECTは、最も研究されている脳刺激療法であり、最も使用歴の長い治療法です。ここで検討されている他の刺激療法は、より新しく、まだ実験段階のものもあります。これらの治療選択肢のさらなる情報については、www.nimh.nih.gov/health[英語サイト]をご覧ください。臨床試験情報はこちらをご覧ください。www.clinicaltrials.gov[英語サイト]
うつになったらどう対処すればいいですか?
治療を継続すれば、少しずつ気分がよくなるでしょう。抗うつ剤を服用している場合は、効果が出始めるのに2~4週間かかることがあります。以前に楽しんでいたことをしてみてください。あまり考え過ぎないようにしましょう。
以下は、その他の役立つことがらです。
- 活動的にし、運動をしましょう。
- 大きな仕事は小さく切り分け、優先順位をつけて、あなたができることをできるように行いましょう。
- 他の人たちと一緒に過ごし、信頼する友人や親戚と打ち明け話をしましょう。
- 気分がよくなるまで、人生の重要な決定は延期しましょう。あなたのことをよく知っている人と物事を話し合いましょう。
- アルコールや他の人に処方された医薬品を自分で勝手に併用しないようにしましょう。
うつ病を患っている大切な人に何をしてあげられるでしょうか?
うつ病の知り合いがいる場合は、医療スタッフまたは精神疾患の専門家を受診するよう勧めましょう。以下も重要です。
- 支援、理解、辛抱強い対処、励ましましょう。
- 自殺についての発言を決して無視せず、大切な人が通院している医療スタッフまたは施術者に報告しましょう。
- 散歩、外出、他の活動に誘いましょう。
- 処方されている医薬品のリマインダーを設定する等、治療順守の手助けをしましょう。
- 受診のための交通手段を確保し支援しましょう。
- 時間の経過と治療によりうつは軽減することを再度伝えましょう。
- うつ病に対する補完療法:概要
-
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英語版改訂年月(翻訳時):2021年12月うつ病患者は、従来の治療の補助として、あるいは治療の代わりに、補完療法を利用します。これらの療法は、一般的に使用されており、市場でも容易に入手できますが、その多くはうつ病の治療法として厳密な研究が行われていません。一部の療法については、その有効性に関して不確かである一方、他の療法については、うつ病の症状をわずかに軽減させることを示唆するエビデンス(科学的根拠)があります。この点で使用される一部の天然物(例えば、セントジョーンズワート[セイヨウオトギリソウ])には、ハーブと薬の相互作用に関する有意な懸念があります。医療従事者は、患者がどのような補完療法を単独で、あるいは従来の治療と併用しているかを把握しておく必要があります。このため、これらの補完療法のベネフィット(有益性)とリスク(危険)を理解し、患者にアドバイスすることが重要です。
この概要では、いくつかの補完療法について、科学の現状を紹介しています。
科学的観点:
うつ病に対する補完療法:科学的根拠各種補完療法と現時点でのエビデンスの要約
オメガ3脂肪酸(魚油)
現時点において、うつ病に対するオメガ3脂肪酸の補充が有用であるかどうかは明らかにされていません。一部の研究において、大うつ病性障害(major depressive disorder:MDD)と診断された患者およびMDDと診断されていないうつ病患者に対する補助療法でわずかな有効性を示しましたが、ほとんどの試験は補助的研究でした。オメガ3脂肪酸の単剤療法に関する対照試験は、標準的な抗うつ剤と比較して結論が出ておらず、薬理学的または生物学的な抗うつ効果の存在を示唆する機序が存在するかどうかは依然として明らかにされていません。
さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「オメガ3脂肪酸のサプリメントをご覧ください。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、St. John’s Wort)
一部の結果から、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)は、軽度から中等度の大うつ病性障害(MDD)の限られた患者に対して、標準的な抗うつ剤と同様に有用であるかもしれないことが示唆されていますが、決定的なエビデンスとは言えません。一部の研究では、プラセボに対して若干の有効性があることが示されていますが、これらの知見と矛盾する研究もあります。
セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)による重大なハーブと薬の相互作用は、安全性を考慮するうえで重要です。
さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「セントジョーンズワート」の研究をご覧ください。
S-アデノシル-L-メチオニン(S-Adenosyl-L-Methionine:SAMe)
現時点の科学研究では、S-アデノシルメチオニン(S‐adenosylmethionine、SAM-e)のうつ病治療への使用は支持されていません。
さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「SAMe」をご覧ください。
イノシトール
現時点の科学的研究のデータでは、イノシトールのうつ病治療への使用は支持されていません。
さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「イノシトール」の研究をご覧ください。
鍼治療
鍼治療は、特に無治療群またはコントロール群と比較した場合、うつ病の症状をわずかに軽減させるかもしれないことを示唆するいくつかのエビデンスがあります。
さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「鍼治療」をご覧ください。
音楽療法
音楽療法が、うつ病患者に短期的なベネフィット(有益性)があるかもしれないことを示すいくつかのエビデンスがあります。
さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「音楽療法」をご覧ください。
ヨガ
ヨガが抑うつ症状の軽減に役立つかもしれないというエビデンスがいくつかあります。
さらなる情報については、「うつ病に対する補完療法:科学的根拠」の「ヨガ」をご覧ください。
科学文献
患者のための情報
- うつ病に対する補完療法:科学的根拠
-
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英語版改訂年月(翻訳時):2021年12月診療ガイドライン、科学文献、患者のための情報
うつ病に対する補完療法:概要オメガ3脂肪酸の補充
現時点において、オメガ3脂肪酸の補充がうつ病に有用となりうるかは明らかにされていません。いくつかの研究において、大うつ病性障害(major depressive disorder:MDD)と診断された患者およびMDDと診断されていないうつ病患者に対する補助療法でわずかな有用性を示しましたが、ほとんどの試験は補助的研究でした。オメガ3脂肪酸の単剤療法に関する対照試験は、標準的な抗うつ剤と比較して結論は出ておらず、薬理学的または生物学的な抗うつ作用の存在を示唆する機序が存在するかどうかは依然として明らかにされていません。
研究でわかったことは?
- 2021年に報告された、35件のランダム化比較試験のコクランレビュー[英語サイト]では、MDDに対するオメガ3多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)の有用性を評価しました。(参加者総数1,924例を含む34件は、オメガ3 PUFAの補充の影響とプラセボを比較検証し、参加者40例を含む1件の研究は、オメガ3 PUFAの補充の影響と抗うつ剤治療を比較検証。)プラセボとの比較では、オメガ3 PUFAの補充は、プラセボと比較して、抑うつ症状に対して軽度から中等度のベネフィット(有益性)が得られました。レビューアらは、この有用性は臨床的に意味があるとは考えにくいと指摘しました。レビューアらは、現時点において、MDDの治療法としてのオメガ3 PUFAの有用性を判断するための確実性の高いエビデンス(科学的根拠)は十分ではないと結論づけました。
- 2021年に報告された、参加者41,470例を含む31件の試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシス[英語サイト]では、長鎖オメガ3の有用性が評価され、長鎖オメガ3の増加は、おそらく抑うつの症状(中央値0.95g/d、期間12カ月)または不安症状(中央値1.1g/d、期間6カ月)のリスク(危険)にはほとんど有用性がないことが明らかになりました。
- 2020年に報告された、3つの補助療法戦略(高用量オメガ3 PUFA、低用量オメガ3 PUFA、プラセボ)を用いた10件の試験におけるMDD患者910例を含むネットワークメタアナリシス[英語サイト]では、MDDの早期治療期には高用量オメガ3 PUFA補充が低用量より優れているかもしれないと結論付けました。しかし、レビューアらは、より直接的な比較を行い、この症状に対するオメガ3 PUFAの有用性のエビデンスを強化するために、より多くの直接比較臨床試験を実施する必要があると指摘しました。
- 2020年に報告された、妊娠中または産後女性総数4,052例を含む18件のランダム化比較試験のメタアナリシス[英語サイト]では、オメガ3 PUFAは周産期うつ病に対して全体的に有意だが有益な効果は小さいと結論づけました。レビューアらは、異質性が低く、有用性がないことから、妊娠中の抑うつ症状の治療または予防のためにオメガ3PUFAを処方することは控えるように助言しました。一方、レビューアらは、オメガ3PUFAの補充は産後うつ病の有望な補助治療法となるかもしれないと指摘しました。
安全性
- オメガ3脂肪酸のサプリメントは一般的に安全で忍容性が高いものです。副作用が生じた場合、一般的には軽度の消化器症状や魚臭い後味があります。
- オメガ3のサプリメントが出血時間を長引かせるかもしれないという一部の懸念があります。リスク(危険)はわずかであると考えられますが、血小板機能に影響を及ぼす医薬品を服用している患者には決して使用しないでください。オメガ3脂肪酸の使用を検討している場合は、ハーブと薬の相互作用の可能性について患者と話し合うことが重要です。
- 魚や甲殻類のアレルギーを持つ人が魚油のサプリメントを安全に使用できるかどうかは明らかにされていないため、そのような患者には使用しないでください。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)
いくつかの研究の結果から、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)は、限られた患者の軽度から中等度の大うつ病性障害(MDD)に対して、標準的な抗うつ剤と同様の有用性があるかもしれないと示唆されていますが、決定的なエビデンスとは言えません。プラセボよりもわずかに有用性が認められた研究もありますが、その他の研究では、これらの知見と矛盾する研究もあります。
セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)による重大なハーブと薬の相互作用は、安全性を考慮するうえで重要です。
研究でわかったことは?
- 2016年に報告された、参加者6,993例を含む35件のシステマティックレビュー[英語サイト]では、軽度および中等度のうつ病に対するセントジョーンズワートの単剤療法は、うつ症状の改善においてプラセボより優れており、抗うつ薬と有意差はないことが明らかにされました。しかし、異質性のエビデンスと重度うつ病に関する研究の欠如が、エビデンスの質を低くしています。
- 2015年に報告された、患者15,161例を含む66件の研究のシステマティックレビューおよびネットワークメメタアナリシス[英語サイト]では、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)を含む抗うつ剤およびその他の薬剤が、プライマリケア環境においてプラセボより有用となりえるかを検証しました。その結果、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)とその他の薬剤は、いくつかの肯定的な結果を示しましたが、現在のエビデンスは限定的であるため、臨床での位置づけに関する結論は出すことができません。
- 2010年のAmerican Psychiatric Association Task Force on Complementary and Alternative Medicine(補完代替医療に対する米国精神医学会タスクフォース)の報告[英語サイト]では、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)は、ゆくゆくは限られた個人にとって軽度から中等度のMDDに対する妥当な治療法となるかもしれないが、MDDの治療に関する最近の研究すべてがプラセボに対する有用性を実証したわけではないと述べています。また、潜在的な有用性があるとしても、軽度から中等度のMDDにおける研究からのコンセンサスとサポートが得られているに過ぎないことを指摘しています。
- 2011年に報告された、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)とシタロプラム(citalopram)による12週間の軽度うつ病の治療に関するランダム比較試験[英語サイト]では、セントジョーンズワートもシタロプラムもプラセボに対するベネフィット(有益性)は認められませんでした。
- 2012年に報告された研究[英語サイト]では、MDD患者を対象に、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)とサートラリン(sertraline )およびプラセボの長期的な有用性を検証、26週間にわたりセントジョーンズワート、サートラリン、プラセボが同様の治療効果を示すことが明らかにされています。
安全性
- セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)との薬の相互作用は、使用を制限し、安全性を考慮する上で重要です。
- セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)と特定の抗うつ剤を併用すると、危険な養生を伴うセロトニン症候群を引き起こす可能性があります。危険な症状としては、震えや下痢から非常に危険な混乱、筋肉の硬直、体温の低下、さらには死に至るまで、多岐にわたる可能性があります。
- セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、Hypericum perforatum)のその他の副作用は、通常軽微であまり見られませんが、胃のむかつきや日光過敏症などがあります。また、セントジョーンズワートは、人によっては不安感を悪化させるかもしれません。
- 稀ですが、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)の使用により起こり得る副作用はサイコーシス(psychosis)です。双極性障害などの特定の精神疾患を持つ人は、このまれな副作用を経験するリスク(危険)があります。したがって、セントジョーンズワートの使用を検討している患者には、この潜在的な副作用について説明し、症状の悪化が見られた場合にはハーブの使用を中止するように勧めることが重要です。
- セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)の使用は、チトクロームP450 3A4(CYP3A4)酵素の活性を高め、血漿中の濃度を下げ、次のような多くの処方薬を弱める可能性があります。
- 抗うつ剤
- 経口避妊薬
- シクロスポリン
- ジゴキシン
- インジナビルを含む一部のHIV感染症治療薬
- イリノテカンなどの一部の化学療法剤
- ワルファリンおよびその他の抗凝固剤
S-アデノシル-L-メチオニン(S-Adenosyl-L-Methionine:SAMe)
現時点の科学研究では、S-アデノシルメチオニン(S‐adenosylmethionine、SAM-e)のうつ病治療への使用は支持されていません。
研究でわかったことは?
- 2016年に報告されたコクランレビュー[英語サイト]では、成人934例を含む8件のランダム化比較試験を対象に、うつ病の治療に対するSAMeの有用性について、十分な質の高いエビデンスがなく、そのエビデンスに基づく確固たる結論を導き出すこともできないと結論付けています。
- 2020年に報告された、参加者90例のランダム化二重盲検プラセボ対照試験[英語サイト]では、6週間にわたり、軽度から中等度のうつ病の症状全般に対するSAMe 200mgとラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)HEAL9の組み合わせの有用性が評価されました。SAMeとラクトバチルス・プランタラムの組み合わせでは、プラセボと比較して、治療6週目でより大きな抑うつ症状の軽減が認められました。
- 2014年に報告された、大うつ病性障害(MDD)の参加者144例のサブサンプルに、SAMe、エスシタロプラム、またはプラセボを12週間投与したランダム化比較試験[英語サイト]の予備結果は、MDDの治療におけるSAMeの使用について一定のエビデンスを示しました。しかし、元となった研究[英語サイト]では、SAMeはプラセボに対してMDDに対する優位性を示すことができませんでした。
安全性
- 2009年に報告された、MDD治療のためのSAMeに関するエビデンスのレビュー[英語サイト]では、抗うつ剤に反応しないMDD患者の補助治療としてSAMeの経口製剤を使用した場合、安全性や有用性を検証するエビデンスは不十分であると結論付けています。
- SAMeの長期的な安全性に関する情報は限定的で、結論は出ていません。しかし、アルコール関連肝疾患に対する1件の研究では、参加者がSAMeを2年間摂取し、重篤な副作用は報告されませんでした。
- SAMeは、レボドパの効果を減少させるかもしれません。また、SAMeは、抗うつ剤、L-トリプトファン、セントジョーンズワートなど、セロトニンのレベルを上げる薬やダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)と相互作用するかもしれませんが、そのような相互作用に関するエビデンスは非常に限定的です。
- SAMeは、免疫機能が低下している人に肺炎を引き起こす可能性のある真菌、ニューモシスチスの増殖を促します。SAMeの摂取は、HIV陽性の人々のニューモシスチス感染や重症度を高めるかもしれず、これらの患者には決して使用すべきではありません。
- SAMeの副作用はまれなようで、起きたとしても通常は悪心や消化器系の不調といった問題です。
イノシトール
現時点の科学研究では、イノシトールのうつ病治療への使用は支持されていません。
研究でわかったことは?
- 2016年に報告された、うつ病に対するいくつかの補助的栄養補助食品に関するシステマティックレビューおよびメタアナリシス[英語サイト]では、イノシトールはプラセボに対する有意なベネフィット(有益性)がないことが明らかになりました。
- 2014年に報告された、参加者242例を含む7件のランダム化比較試験(双極性障害2件、双極性障害および大うつ病性障害(MDD)1件、MDD2件、月経前不快気分障害(PMDD)2件)のメタアナリシス[英語サイト]では、うつ病患者に対するイノシトールの有意な治療効果は認められませんでした。しかし、イノシトールはPMDDの患者において、プラセボと比較して抑うつ症状に対して有用な傾向を示しました。
安全性
- イノシトールの安全性と副作用に関するデータは不足しています。2014年に報告された、うつ病や不安障害に対するイノシトールのメタアナリシス[英語サイト]では、イノシトールはプラセボと比較して、わずかに胃腸の不調を引き起こすことがわかりました。2011年に報告された、ヨーロッパでのイノシトールの安全性に関するレビューでも、イノシトールは悪心、鼓腸、下痢などの胃腸の副作用を誘発するという同様の所見が得られています。
鍼治療
鍼治療は、特に無治療群またはコントロール群と比較した場合、うつ病の症状をわずかに軽減させるかもしれないことを示唆するいくつかのエビデンスがあります。
研究でわかったことは?
- 2018年に報告された、参加者総数7,104例を含む64件の研究のコクランレビュー[英語サイト]では、従来の治療/無治療と比較した場合、鍼治療の使用は、うつ病の重症度を中等度に低下させるかもしれず、コントロール群と比較した場合は、鍼治療は、うつ病の重症度をわずかに低下させるかもしれないと結論付けました。また、レビューアらは、薬物療法や心理療法と比較した鍼治療の有用性は、エビデンスの質が低いため明らかにできないと結論付けました。
- 2019年に報告された、7件の試験のメタアナリシス[英語サイト]では、脳卒中後のうつ病患者における鍼治療の有用性が比較され、この症状に対する鍼治療の使用を支持するエビデンスが得られました。また、サブグループ解析の結果、鍼治療単独では、薬物療法よりも抑うつ症状の改善に良いアウトカムが得られました。
- 2019年に報告された、参加者2,268例を含む29件の研究(22件は中国、7件は中国以外で実施)のシステマティックレビューおよびメタアナリシス[英語サイト]では、鍼治療は通常ケアや標準的な抗うつ剤の補助として適切であるかもしれないと結論づけられました。しかし、本レビューとメタアナリシスに含まれるほとんどの試験は、バイアスのリスクが高いものでした。
安全性
- 鍼治療による合併症の報告は比較的少ないです。しかし、滅菌されていない鍼の使用や不適切な治療の実施により、合併症が起こっています。
- 鍼治療が適切に行われないと、皮膚感染、臓器穿刺、気胸、中枢神経系への損傷など、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
音楽療法
音楽療法が、うつ病患者に短期的なベネフィット(有益性)があるかもしれないことを示すいくつかのエビデンスがあります。
研究でわかったことは?
- 2020年に報告された55件のランダム化比較試験のメタアナリシス[英語サイト]では、音楽療法は対照群と比較した場合、抑うつ症状の有意な軽減を示し、音楽処方(音楽療法士が管理せず、治療関係を伴わない療法としての音楽)は抑うつ症状の軽減により強い有用性が示されました。具体的な音楽療法の方法としては、再現的音楽療法、誘導イメージと音楽、音楽支援リラクゼーション、音楽とイメージ、即興音楽療法、治療的音楽聴取がそれぞれ異なる有用性を示しました。
- 2017年に報告された、参加者総数421例(うち411例はうつ病に対する音楽療法の短期効果を検証したメタアナリシスに含まれる)を含む9件の研究によるコクランレビュー[英語サイト]では、音楽療法はうつ病患者に短期的に有益な効果をもたらすと結論付けられました。また、レビューアらは、音楽療法がうつ病患者の不安レベルの低下と機能の改善に有用性を示すことを明らかにしました。
安全性
- 音楽療法に関連する有害作用はありません。
ヨガ
ヨガは、抑うつ症状を軽減させるのに役立つかもしれないとするいくつかのエビデンスがあります。
研究でわかったことは?
- 2017年に報告された、うつ病の症状を持つ人(必ずしもうつ病と診断されているわけではない)を含む23件の研究(参加者1,272例)によるコクランレビュー[英語サイト]では、研究のうちの14件でヨガが症状の軽減に有用であることが明らかになりました。
- 2017年に報告された、7件の研究(参加者240例)のシステマティックレビュー[英語サイト]では、大うつ病性障害(MDD)に対するヨガの有益な効果に関するいくつかのエビデンスが得られましたが、レビューアらは、この疾患の人にヨガを推奨することを正当化するにはエビデンスが不十分であると判断しました。問題点は、研究対象者の数が少ないことと、安全性に関する情報が不十分なため、ベネフィット(有益性)とリスク(危険)を比較できないことです。
- 2020年に報告された、27件の研究を対象としたシステマティックレビュー[英語サイト]では、小児と青年における不安と抑うつを軽減するための介入として、ヨガが評価されました。レビューアらは、ヨガが一般的に青少年の不安と抑うつをある程度軽減することにつながるが、レビューに含まれるエビデンスの方法論的質は弱いか中等度であると結論づけました。
安全性
- ヨガは、資格のあるインストラクターの指導のもとで適切に行えば、健康な人にとって安全な身体活動の一形態であると一般に考えられています。しかし、他の運動と同様に、怪我をすることもあります。最も一般的な怪我は、捻挫と挫傷(肉離れ)です。重篤な健康被害はまれです。
- 健康上の問題がある人、高齢者、妊娠中の女性は、いくつかのヨガのポーズや実践を控えたり修正(変更)したりしなければならないかもしれません。
- ハーブと薬の相互作用
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最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2021年7月ハーブ系含むダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け・医療関係者向け)の安全性については、薬との相互作用、直接的な毒性、薬理活性物質の混入の可能性などが懸念されています。ダイエタリーサプリメントに含まれるハーブや植物性製品は安全であるという認識が一般に広まっていますが、これらの製品にも他の薬理活性化合物と同様の危険性があることが研究により明らかにされています。相互作用は、処方薬、市販薬、ダイエタリーサプリメント、さらには食品中の低分子化合物の間同士で起こるかもしれず、臨床的に問題となる相互作用をすべて特定するのは困難な課題となっています。
ハーブと薬の相互作用に関する懸念は、厳密な研究に基づいていないことが多いと考えられます。現時点での情報源で特定されているハーブと薬の相互作用のほとんどは、動物実験や細胞実験から推測された仮説的なものであり、その他の間接的な手段に基づいています。しかし、がん化学療法薬、ワルファリン、ジゴキシンなど、治療域の狭い医薬品については、この問題に注意を払う必要があります。
現在までのところ、ハーブ系サプリメントと薬との相互作用を評価する十分にデザインされた臨床研究は限定的であり、時には暫定的です。ここでは、いくつかのハーブと他の製剤との相互作用の可能性についての情報を提供します。
科学的観点:
ハーブと薬の相互作用[英語サイト]ハーブ系サプリメントと相互作用の可能性
ブラックコホシュ(Black Cohosh)
ブラックコホシュと薬剤の間の相互作用は少ないと考えられています。2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、ブラックコホシュは全体的に薬との相互作用のリスクが低いが、スタチン系薬剤の効果を低下させるかもしれないことが判明しました。
ブラックコホシュに対するエビデンス(科学的根拠)および安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。
ニンニク(Garlic)
ニンニクのサプリメントは、HIV感染症の治療に用いられるサキナビル(saquinavir)など、一部の薬の効果を阻害するかもしれないことが研究で示唆されています。また、ニンニクのサプリメントは、一部のハーブ系ダイエタリーサプリメントや他のサプリメントと相互作用するかもしれません。
ニンニクに対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。
イチョウ葉(Ginkgo Biloba)
2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、イチョウ葉と薬の相互作用のリスクは全体的に低いものの、ワルファリン(クマディン)との併用により出血リスクが高まるかもしれません。
イチョウ葉に対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。
朝鮮ニンジン(高麗人参、オタネニンジン、Ginseng(Asian)
2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、朝鮮ニンジンがCYP3A4(主要な代謝酵素のひとつ)を誘導することが(単独研究で)示されており、カルシウム拮抗薬、一部の化学療法薬およびHIV治療薬、特定の降圧剤およびスタチン系薬剤、一部の抗うつ薬などの医薬品の効果を減弱させる可能性があると指摘されています。
朝鮮ニンジンに対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。
ゴールデンシール(ヒドラスチス、Goldenseal)
2021年に報告された研究[英語サイト]では、健康な成人がゴールデンシール抽出物(エキス)とメトホルミンを併用したところ、メトホルミンの濃度が約25%低下したことが判明しました。この低下は、メトホルミンを服用している2型糖尿病患者の血糖値コントロールを潜在的に妨げるのに十分なものです。
2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、ゴールデンシールは、現在使用されている医薬品の半分以上の代謝を担う2つの主要代謝酵素、CYP2D6とCYP3A4を阻害することが示されているため、全体的に薬との相互作用のリスクが高いとされています。
ゴールデンシールに対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、St. John’s Wort)
2017年に報告されたレビュー[英語サイト]では、セントジョーンズワートはチトクロームP-450酵素と腸管P糖タンパク質の両方を強力に誘導するため、全体的に薬との相互作用のリスクが高いとされています。
2012年に報告されたレビュー[英語サイト]では、セントジョーンズワートと免疫抑制剤シクロスポリン、抗レトロウイルス剤インジナビル、経口避妊薬、クマディン、ジゴキシン、ベンゾジアゼピンなどとの臨床的に重要な相互作用が報告されています。
セントジョーンズワートに対するエビデンスおよび安全性についての詳細はこちら[英語サイト]。
科学文献
患者のための情報
- うつ病治療に潜在的な効果がある植物由来の2つの物質が研究により特定
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英語版改訂年月(翻訳時):2018年2月28日ニューヨークにあるマウント・サイナイ・アイカーン医科大学および協力機関が実施したある研究によると、植物由来の天然物は、新しい種類の抗うつ薬に不可欠な要素となる可能性があります。本研究は、Centers for Advancing Research on Botanical and Other Natural Products(CARBON)プログラムを通して米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health :NCCIH(旧NCCAM))が一部助成し、最近、Nature Communications誌で発表されました。
うつ病治療で現在使用されている医薬品は、セロトニン等の神経伝達物質が関与する脳内のシステムをターゲットとして設計されています。しかし、うつ病は、炎症や他の脳の異常にも関連しています。これらをターゲットとする新しい治療法は、特に既存の医薬品では効果が得られない、あるいは、副作用の問題を抱える多くの患者さんのうつ病治療を改善する可能性があります。
過去の研究では、コンコードグレープジュース、ブドウ種子抽出物(エキス)、トランス型リスベラトールを配合した生物活性を有する食用ポリフェノール製剤(bioactive dietary polyphenol preparation:BDPP)がさまざまな神経障害から保護する可能性があることが示されていました。本研究では、BDPPにより体内でジヒドロカフェ酸(dihydrocaffeic acid:DHCA)およびマルビジン-3-グルコシド(malvidin-3′-O-glucoside:Mal-gluc)という2つの物質が産生され、異なる機序でマウスのストレス抵抗力が増強されました。DHCAは、炎症を促進するインターロイキン6(IL-6)という物質の産生を抑制しました。Mal-glucはRac 1遺伝子の発現を調節しました。Rac 1遺伝子は、脳に構造的、機能的影響を及ぼし、精神疾患に関与している可能性があります。これら2つの物質の影響を受ける本プロセスが、うつ病に関与していると考えられています。DHCAとMal-glucを併用投与すると、マウスモデルのうつ病様行動が有意に軽減されました。
DHCAとMal-glucの安全性テストでは、肝臓や腎臓への標準的評価においてマイナスの影響は示されませんでした。両物質とも既存の抗うつ剤がターゲットとするシステムに影響を与えないことから、うつ病に関与する複数の要因を同時にターゲットとすべく既存の医薬品と安全に組み合わせ、治療成功の確率を高めることができる可能性があります。
研究者らは、天然物は医薬品の多くの有効成分の原材料となった歴史があると報告しています。植物由来の物質は潜在的に多くの有効な生物活性を有していることから、近年では治療薬としての関心を集めています。本研究の結果は、既存治療に抵抗性のうつ病患者に対する新規治療薬の候補として、DHCA/Mal-glucがさらなる研究の対象になることを支持しています。
- セントジョーンズワートとうつ病
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英語版改訂年月(翻訳時):2019年6月要点は?
うつ病に対するセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)について解明されていることは?
- うつ病に対するセントジョーンズワートの短期的な影響についてはかなりわかっていますが、長期的な影響はあまりわかっていません。
うつ病に対するセントジョーンズワートの有効性についてわかっていることは?
- セントジョーンズワートは、うつ病に対して一貫した有効性を示しているわけではありません。通常医療による治療に代えて、または、受診を先送りにするために利用しないでください。
うつ病に対するセントジョーンズワートの安全性に関してわかっていること
- セントジョーンズワートは、多くの処方薬の有効性を制限します。
- セントジョーンズワートとある種の抗うつ薬を併用した場合、神経細胞が産生する化学物質であるセロトニンの値が命を脅かすほど体内で上昇する可能性があると考えられています。
- うつ病を自分で治療しようとしてはいけません。うつ病は、専門家による有効的な支援がなければ重症化してしまう可能性があります。うつ病によって自殺のリスクが高くなる人もいます。あなた自身、あるいは知り合いにうつ症状の人がいる場合には、かかりつかの医療スタッフに相談しましょう。
セントジョーンズワートについて
うつ病に対するセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)について解明されていることは?
- セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、学名Hypericum perforatum)は野生で生育する植物で、何世紀にもわたってメンタルヘルスの問題に使用されてきました。ヨーロッパでは、うつ病に広く処方されています。
- セントジョーンズワートは、アメリカではサプリメントとして販売されていますが、アメリカでの販売基準は、処方薬あるいは市販薬(over-the-counter :OTC)の基準ほどは厳しくありません。
セントジョーンズワートについて詳しくお知りになりたい方は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH(旧NCCAM))のウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
うつ病について
うつ病(大うつ病障害または臨床的うつ病)は一般的ですが、重篤な感情障害です。うつ病は、感情や思考の他、睡眠、食事あるいは仕事などの日常活動に影響を及ぼす重度の症状を引き起こします。2015年には、アメリカにおける成人の7%が、過去1年の間に大うつ病を少なくとも1回は経験しています。うつ症状はさまざまですが、次のようなものがあります。
- しばしばあるいはいつも悲しい気持ちになる、不安を感じる。
- 以前は楽しかった活動をしたいと思わない。
- 腹が立つ、すぐにイラ立つ、あるいは落ち着かなくなる。
- 睡眠障害や疲労感がある。
- いつもよりよく食べる、またはあまり食べない、あるいはまったく食欲がない。
- 治療では改善しない痛みがある。
- 集中力、記憶力、決定力の低下を感じる。
- 罪悪感がある、自分には価値がないと思う、無力だ。
- 自殺を考える、あるいは自傷行為を行う。
うつ病の治療には、抗うつ薬やある種の心理療法が役立ちます。
さらなる詳細をお知りになりたい方は、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health :NIMH)の「Web page on depression(うつ病ウェブサイト)」[英語サイト]をご覧ください。
科学的観点から見たうつ病に対するセントジョーンズワートの有効性
うつ病に対するセントジョーンズワートの有効性を報告する研究は複数ありますが、逆に有効性を認めなかった研究もあります。
- 2011年に12週間で実施された臨床試験(参加者73例)では、セントジョーンズワートもシタロプラム(citalopram)と呼ばれる標準的な選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)の抗うつ薬も、プラセボ以上には軽度のうつ病の症状を軽減しませんでした。本試験はNCCIH(旧NCCAM)とNIMHから助成を受けました。
- 26週間実施された臨床試験(参加者124例)では、セントジョーンズワート、標準的な抗うつ薬(SSRIであるセルトラリン)、プラセボは、中等度の大うつ病治療に対する効果が同様でした。NCCIH(旧NCCAM)およびNIMHは、2002年に収集されたデータに関する2012年の解析に対し、助成金を提供しました。
- 2008年に実施された29件の国際研究のレビューでは、セントジョーンズワートは、軽度から中等度の大うつ病に対し、プラセボより効果がある可能性および、標準的な各抗うつ処方薬と同程度の効果がある可能性が示唆されました。セントジョーンズワートは、標準的な抗うつ薬よりも副作用が少ないと考えられています。歴史的に医療スタッフがセントジョーンズワートを長く使用してきたドイツ語圏での試験では、アメリカを含む他の国々で実施された研究よりも肯定的な結果が報告されていました。
- 2002年にNCCIH(旧NCCAM)とNIMHが助成した研究(参加者340例)では、セントジョーンズワートは、中等度の大うつ病の治療の効果についておいてはプラセボと同程度であった以上の効果は認められなかったことが報告されました。
プラセボ効果
プラセボ効果とは、錠剤、治療、注射などの介入に効き目があると患者自身が思うことで、患者の健康状態が改善することを意味します。大うつ病に対するセントジョーンズワートの臨床試験では、参加者が摂取していると推測したものが、実際に摂取したものよりもうつ病からの回復に影響した可能性があります。医療スタッフの患者との会話のスタイルも、治療とは別に患者の健康状態に良い影響を与える可能性があります。
科学的観点から見たうつ病に対するセントジョーンズワートの安全性および副作用
うつ病に対するセントジョーンズワートの有効性を報告する研究は複数ありますが、逆に有効性を認めなかった研究もあります。
- セントジョーンズワートとある種の抗うつ薬を併用すると、抗うつ薬が標的としている脳の化学物質であるセロトニンの値が生命を脅かすほど上昇してしまう可能性があります。数分から数時間で興奮、下痢、心拍数の上昇、高血圧、幻覚、体温上昇等の症状が現れます。
- セントジョーンズワートには、双極性障害や統合失調症の人々の精神症状を悪化させるなど、危険な副作用に関する症例報告があります。
- セントジョーンズワートは、多くの処方薬の効果を減弱させる可能性があります。
- 抗うつ剤
- 経口避妊薬
- シクロスポリン(移植臓器に対する身体の拒絶反応を防ぐ)
- ジゴキシン(心臓病薬)
- オキシコドン(鎮痛薬)
- インジナビルを含むいくつかのHIV感染症治療薬
- イリノテカンを含むいくつかの抗がん剤
- ワルファリンおよび類縁の抗凝固剤(血液希釈剤
- セントジョーンズワートの他の副作用は、通常、軽度であり一般的に多くありません。例えば、胃もたれ、口の渇き、頭痛、疲労、眩暈、混乱、性機能不全、日光過敏症などです。セントジョーンズワートは興奮作用があり、不安感が増大する人もいます。
NCCIHによる研究助成
NCCIH(旧NCCAM)は、セントジョーンズワートを含むさまざまな薬草の潜在的な薬物相互作用について研究を実施しています。
さらに考慮しなければならないこと
- うつ病は重篤な疾患になり、自殺リスクが増大することがあります。あなた自身やあなたの知り合いにうつ症状がみられる場合には、かかりつけの医療スタッフに相談しましょう。うつ病を自分で治療しようとしてはいけません。
- メンタルヘルスの問題に対して、通常医療による治療に代えて、または、受診を先送りにするためにセントジョーンズワートを利用しないでください。
- サプリメントは、誤った方法、大量摂取などした場合には、医学的問題を引き起こすことがあります。服用している医薬品との相互作用が生じるものもあります。かかりつけの医療スタッフがあなたにアドバイスしてくれます。
- 多くのサプリメントは、妊婦、授乳中の母親、あるいは小児での試験が行われていません。妊婦または小児へのセントジョーンズワートに関する安全性情報はほとんどありません。妊娠中、授乳中、あるいは子供にサプリメントを与えることを検討している人は、医療スタッフに相談しましょう。詳細については、NCCIH(旧NCCAM)ファクトシート「サプリメントを賢く使う」をご確認ください。
- 自分の健康に責任を持ちましょう。あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
- メンタルヘルスの治療薬
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英語版改訂年月(翻訳時):2016年10月概要
さまざまな精神疾患や症状の治療において、医薬品がその役割を果たすこともあります。また、その治療には、心理療法[英語サイト](「会話療法」とも呼ばれる)や脳刺激療法[英語サイト](一般的ではない)も含まれることもあります。心理療法のみでの治療が最善の方法として選択されることもあります。適切な治療計画は、メンタルヘルスの専門医のもと、個人のニーズや医療状況にもとづいて決定しなくてはなりません。
連邦政府の研究機関である国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health :NIMH)では、医学的な助言や照会は行っていません。お住まいの地域における治療サービスの情報は、私たちが提供している ウェブサイト、Help for Mental Illnesses(精神疾患に対する支援)[英語サイト]に掲載されています。
NIMHは、特定の医薬品、ハーブあるいはサプリメントの承認や推奨も行っていません。NIMHが助成する、医薬品を含めた治療効果検討のための臨床試験の結果「What are Clinical Research Trials?(臨床試験とは?)[英語サイト]」 は、医学文献で報告されます。この健康ウェブサイトは、メンタルヘルスの治療薬に関する基本情報を提供するものです。医薬品の全情報を掲載していないため、医学的な決定の指針として使用しないでください。
医薬品に関する情報は頻繁に変更されます。最新の警告、患者服薬ガイドあるいは新たに承認された医薬品については、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration :FDA)[英語サイト]のウェブサイトをご覧ください。本ページでは製品名は記載されていませんが、MedlinePlus Drugs, Herbs and Supplements Drugs[英語サイト]のウェブサイトで検索することができます。MedlinePlusでは、医薬品の副作用やFDAの警告を含む追加情報も提供されています。
服用する医薬品を理解しよう
医薬品を処方された場合、以下の点に気をつけてください:
- 既に服用している全ての医薬品およびビタミン、サプリメントを主治医に伝えてください。
- アレルギーや、過去の服薬で生じた問題についても主治医に伝えてください。
- 服薬を開始する前に服薬方法を理解し、指示された通りに服用しましょう。
- 他の人に処方された医薬品を服用したり、自分の医薬品を他の人に渡したりしてはいけません。
- 医薬品の服用で何か問題が生じる、効果よりも害の方が大きいのではないかといった心配がある場合などには、すぐに主治医に相談しましょう。主治医が用量調節をしてくれたり、より効果のある別の医薬品に変更してくれたりする場合があります。
- 重篤な副作用については、以下のFDA MedWatch有害事象報告プログラム[英語サイト]かまたは、電話[1-800-332-1088]で報告してください。報告は、あなた自身あるいは主治医が行うことができます。
抗うつ剤
抗うつ剤とは?
抗うつ剤は、一般的にうつ病の治療に使用されます。抗うつ剤は、不安、疼痛、不眠といった他の症状にも使用されます。抗うつ剤は、特に注意欠陥多動性障害(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder :ADHD)の治療に対してFDAが承認している医薬品というわけではありませんが、成人のADHDの治療に使用されることがあります。
抗うつ剤でもっとも使用されているのは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors :SSRI)と呼ばれる抗うつ剤です。SSRIの例として、以下があります。
他の種類の抗うつ剤としては、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(serotonin and norepinephrine reuptake inhibitor:SNRI)があります。SNRIはSSRIと類似する医薬品で、ベンラファキシン[英語サイト]やデュロキセチン[英語サイト]等があります。
他の一般的に使用されている抗うつ剤としては、ブプロピオンがあります。ブプロピオン[英語サイト]は、SSRIやSNRIとは違う作用機序をもつ第三世代の抗うつ剤です。ブプロピオンは、季節性情動障害の治療や禁煙補助にも使用されています。
SSRI、SNRI、ブプロピオンは、古い医薬品クラスの抗うつ剤よりも副作用が少なく、ボーダーラインのうつ病や不安障害にも有用であると考えられます。古い世代の抗うつ剤には、三環系、四環系の抗うつ薬や、モノアミン酸化酵素阻害剤(monoamine oxidase inhibitors :MAOI)等があります。人によっては、三環系、四環系の抗うつ薬や、MAOIが最も適した治療薬となる場合もあります。
抗うつ薬の効果は?
「Agency for Healthcare Research and Quality(米国医療研究・品質庁の研究レビュー)」[英語サイト]によると、全ての抗うつ剤はそれぞれほぼ同程度にうつ症状を改善し、症状がぶり返さないよう維持します。理由はまだ十分に解明されていませんが、他の抗うつ剤と比較して特定の抗うつ剤でより良い効果が得られる人もいます。
従って、最初に試した医薬品で症状が改善されないことがあるため、効果のある医薬品を見つけるまで何剤か試してみなくてはならない場合があります。また、しばらくは医薬品の効果があっても、症状がぶり返してくることがあります。抗うつ剤が作用するよう、主治医の指示に注意深く従い、十分な用量で長期間服用(しばしば4~6週間)することが重要です。
抗うつ剤の服用を開始したら、医師の助けなく服用をやめてしまわないことが重要です。抗うつ剤の服用で症状が改善し、あまりにも早い時期に服用をやめてしまうと、うつ症状が再発する場合があります。服用をやめる時期になれば、医師がゆっくりと安全に用量を減らすのを手伝ってくれます。 体が変化に慣れてゆくための時間をもつことが重要です。これらの抗うつ剤で中毒(やみつき)になることはありませんが、急にやめてしまうと離脱症状が起こる場合があります。
どのような副作用が考えられますか?
抗うつ剤によっては、他のものよりも副作用が多いものもあります。症状を改善し、副作用もコントロールできるような1剤を見つけるまでいくつかの抗うつ剤を試す必要がある場合もあります。
以下は、FDAが発表している最も一般的な副作用です。
- 吐き気、嘔吐
- 体重増加
- 下痢
- 眠気
- 性的な問題
特に、下記のような副作用が新たに生じたり悪化したりしている場合、あるいは以下の心配がある場合には、直ちに医師に相談しましょう。(米国食品医薬品局、2011)
- 自殺や死ぬことを考えている
- 自殺を試みようとする
- うつ症状の新たな発症や悪化
- 不安感の新たな発症や悪化
- 焦燥感あるいは落ち着かなさを感じる
- パニック発作
- 睡眠に問題がある(不眠)
- 怒りっぽくなった、それが悪化している
- 攻撃的な行動をとる、怒っている、暴力的になる
- 危険な衝動で行動する
- 活動や会話が極端に増える(躁症状)
- 行動や気分のその他の異常な変化
新世代のSSRIまたはSNRIといった抗うつ剤と、よく使用される医薬品の一つでかつては偏頭痛の治療に使用されていた「トリプタン」系医薬品の併用により、「セロトニン症候群」と呼ばれる命を脅かす疾患が起こることがあります。セロトニン症候群になると、焦燥感を感じたり、(実際にはないものが見えるあるいは聴こえる等の)幻覚が起こったり、体温の上昇、通常とは異なる血圧の変化が引き起こされることがあります。セロトニン症候群は、通常、MAOIと呼ばれる古い世代の抗うつ剤で発症しますが、間違った医薬品と混合して使用すると新たらしい世代の抗うつ剤でも発症することがあります。さらなる情報については、「FDA Medication Guide on Antidepressant Medicines(FDA抗うつ剤服薬ガイド)」[英語サイト]をご覧ください。
抗うつ剤は、本リストに掲載されていない副作用を引き起こす場合もあります。抗うつ剤の使用に関連する重篤な有害事象を報告する場合には、本ページの下に記載されている連絡先情報を使用し、FDA MedWatchプログラムに連絡してください。各剤のリスクと副作用についてのさらなる情報は、Drugs@FDA[英語サイト]をご覧ください。
抗不安薬
抗不安薬とは?
抗不安薬は、パニック発作、つまり極端な恐れや心配等の不安症状を軽減します。最も一般的な抗不安薬は、ベンゾジアゼペンと呼ばれる医薬品です。ベンゾジアゼペンは、全般性不安障害を治療します。パニック障害や社交恐怖(社交不安障害)の場合には、ベンゾジアゼペンは通常、SSRIまたは他の抗うつ剤の後に使用される第二選択治療です。
不安障害に使用されるベンゾジアゼペン系医薬品には以下を含む医薬品があります。
短期的な不安症状の治療には、半減期が短い(あるいは短時間作用型の)ベンゾジアゼペン系医薬品(ロラゼパム[英語サイト]等)やβ遮断薬が使用されます。β遮断薬は、(何らかの物や状況、例えば人前で話す等、に対して圧倒的かつ非合理的な恐怖を感じる)恐怖症の人々が困難な状況で経験することがある、震え、動悸、発汗といった身体的な不安症状をコントロールする働きがあります。これらの医薬品の短期的服用は、身体症状をコントロールする助けとなり、急性の不安感を軽減する「頓服薬」として使用できます。
ブスピロン[英語サイト](ベンゾジアゼペン系医薬品ではない)は、慢性不安症の長期治療に使用される事があります。ベンゾジアゼペンとは対照的に、ブスピロンは最大の効果が現れるまで数週間は毎日服用しなくてはなりません。「頓服薬」としては有用ではありません。
抗不安薬に効果はありますか?
ベンゾジアゼペン系医薬品のような抗不安薬は、不安症の軽減に効果があり、しばしば不安症に対して処方される抗うつ剤(あるいはブスピロン)よりも効果の発現が迅速です。しかし、ベンゾジアゼペン系医薬品を長期間服用していると耐性が生じ、同程度の効果を得るのに必要な用量が増えていってしまうことがあります。依存症になる人もいるでしょう。これらの問題を回避するために、医師は、ベンゾジアゼペン系医薬品を通常は短期で処方します。これは、特に年齢が高い人(次のNIMHの記事をご覧ください:リスク(危険)とはうらはらに、ベンゾジアゼペン系医薬品は高齢者が最も多く使用[英語サイト])、薬物乱用の問題を抱えている人、医薬品依存症になりやすい人に特に有用な方法です。ベンゾジアゼペン系医薬品の服用を急にやめてしまうと、離脱症状が現れる、あるいは不安症状が再び起こってくることがあります。そのため、ベンゾジアゼペン系医薬品は、ゆっくりと用量を減らしていかなくてはなりません。
抗不安薬にはどんな副作用がありますか?
他の医薬品のように、抗不安薬にも副作用がある場合があります。これらの副作用やリスク(危険)の中には、重篤なものもあります。ベンゾジアゼペン系医薬品で最も多い副作用は、眠気とめまいです。以下は、起こり得るその他の副作用です。
- 吐き気
- 目のかすみ
- 頭痛
- 混乱
- 疲労感
- 悪夢
これらの症状がひどい、あるいは、おさまらない場合には、主治医に相談してください。
- 眠気
- めまい
- 身体の不安定感
- 協調運動の問題
- 思考や記憶の困難
- 唾液増加
- 筋肉あるいは関節の痛み
- 頻尿
- 目がぼやける
- 性的衝動や能力の変化(The American Society of Health-System Pharmacists社 2010)
もしも以下のような症状が現れたら、すぐに主治医に連絡してください。
- 発疹
- 蕁麻疹
- 目、顔、唇、舌あるいは喉の腫れ
- 呼吸困難あるいは、嚥下困難
- 嗄声(しわがれ声)
- けいれん
- 皮膚や目が黄色っぽくなる
- うつ病
- 話すのが困難になる
- 皮膚や目が黄色っぽくなる
- 自殺や、自傷行為を考える
- 呼吸困難 以下は、β遮断薬でよくみられる副作用です。
- 疲労感
- 手が冷たい
- めまいまたはふらつき
- 虚弱感
一般に、喘息または糖尿病の人には、症状が悪化する場合があるためβ遮断薬は奨められません。
以下は、ブスピロンで現れる可能性のある副作用です。
- めまい
- 頭痛
- 吐き気
- イライラ
- ふらつき
- 興奮
- 睡眠の問題
抗不安薬は、本リストに掲載されていない他の副作用が起こることもあります。これらの医薬品の使用に関する重篤な有害作用の報告は、本ページの最後に掲載されている連絡先情報からFDA MedWatchプログラムにご連絡ください。各医薬品のリスク(危険)と副作用のさらなる情報については、Drugs@FDA[英語サイト]をご覧ください。
中枢神経刺激薬
中枢神経刺激薬とは?
中枢神経刺激薬は、その名前からもわかるように、警戒性、注意力、活力を高めますが、同時に、血圧や心拍数の上昇、早い呼吸も引き起こします。(国立薬物乱用研究所、2014)中枢神経刺激薬は、しばしばADHDと診断された子供や思春期、高齢の人々に処方されます。
以下は、ADHDの治療に使用される中枢神経刺激です。
注意:FDAは2002年に、ADHDの治療薬として非中枢刺激薬であるアトモキセチンを承認しました。この他にもクロニジン[英語サイト]、グアンファシン[英語サイト]、といった非中枢神経刺激性の降圧剤が、子供および青少年のADHD治療に承認されています。これらの非中枢神経刺激薬の一つがADHDの若い人々の治療にまず試され、効果が十分でなければ刺激薬が処方されます。
中枢神経刺激薬は、ナルコレプシーや、場合によってはうつ病等の他の症状(特にその他の治療では効果が得られない高齢あるいは慢性疾患を患う人々)にも使用されます。
中枢神経刺激薬にはどんな効果があるのですか
処方薬としての中枢神経刺激薬は、ADHDの人に対し、鎮静効果や「集中力を高める」効果があります。中枢神経刺激薬は医師の管理のもとに処方されれば、安全に使用することができます。これらの医薬品を服用している子供は、いつもと違う感じがする、あるいは「気分が悪い」と感じる場合があります。
保護者の中には、中枢神経刺激薬は医薬品乱用や依存につながるのではないかと心配されるかたもいらっしゃいますが、処方された通りに適切に使用する限りはそのようなことが起こるというエビデンスはほとんどありません。さらに、中枢神経刺激薬を服用した10代のADHDの人々は、服用しなかった人々と比べ、薬物乱用につながる可能性が低いことが研究により示されています。
中枢神経刺激薬で起こり得る副作用にはどのようなものがありますか?
中枢神経刺激薬の服用により、副作用が生じることがあります。ほとんどの副作用は軽度で、服用量を減らせば消失します。以下は、最も多く見られる副作用です。
- 入眠または、睡眠の維持が困難
- 食欲不振
- 胃痛
- 頭痛
一般的でない副作用には以下のものがあります。
- 運動または音声チック症(突然の、反復的な運動または発声)
- 「感情表現がない」、あるいは無感情に見える等の人格の変化
このような症状が特に初めて現れた、悪化している、あるいは心配な場合には、すぐに主治医に連絡してください。
中枢神経刺激薬の使用により、本リストに掲載されていない他の副作用が生じることがあります。中枢神経刺激薬の使用に関連する重篤な有害作用の報告は、本ページの最後に掲載されている連絡先情報から、FDA MedWatchプログラムにご連絡ください。各医薬品のリスク(危険)と副作用のさらなる情報については、Drugs@FDA[英語サイト]をご覧ください。
抗精神病薬
抗精神病薬とは?
抗精神薬は、主にサイコーシスを管理するために使用されています。サイコーシス(psychosis)[英語サイト]という言葉は、心に影響をおよぼしている症状を説明する際に使用されます。精神病では、時に現実とそうでないことの区別が失われ、しばしば幻想(誤った、あるいは固定的な信念)や幻覚(現実には存在しないことが聞こえるあるいは見える)が起こります。サイコーシス(psychosis)とは、薬物乱用あるいは、統合失調症や双極性障害、あるいは(「精神病性うつ病」で知られる)非常に重篤なうつ病等の身体症状です。
抗精神薬は、精神錯乱、認知症、以下のものを含む精神疾患のための他の治療薬とともにしばしば使用されます。
抗精神病薬ではこれらの症状は改善できません。抗精神病薬は、症状の緩和やQOLの改善を助けるために使用されます。
古い世代あるいは第一世代の抗精神病薬は、従来型の「定型」抗精神病薬または「鎮静薬」とも呼ばれています。以下は、一般的な定型抗精神病薬のいくつかです。
新規あるいは、第二世代の医薬品は、「非定型」抗精神病薬とも呼ばれています。一般的な非定型抗精神病薬には以下の医薬品があります。米国医療研究・品質庁の研究レビュー2013[英語サイト]によると、定型および非定型抗精神病薬は、統合失調症と双極性障害における躁期のいずれの治療にも有効です。
いくつかの非定型抗精神病薬は、古い世代の医薬品と比較して「より幅広い作用スペクトラム」をもち、双極性障害または抗うつ剤1剤のみでは効果が得られないうつ病の治療にも使用されています。
精神病管理のためのさらなる抗精神病薬や他の医薬品、最新の警告、助言については、FDAのウェブサイト[英語サイト]をご覧ください。
抗精神病薬はどのような効果がありますか?
焦燥感や幻覚などの症状は、抗精神病薬の服用開始後、通常は数日以内に消失します。幻想のような症状は、通常は数週間で消失しますが、医薬品の効果が最も高くなるのは最大で6週間ほど経ってからでしょう。効果は患者さんによって異なりますので、最も効果のある1剤を見つけるために数種類の抗精神病薬を試すことになるかもしれません。
また、再発(症状が再び現れたり悪化すること)する人もいます。通常は、服薬をやめたり、時々しか服薬しない場合に再発します。気分が良くなった、あるいはもう服薬の必要はないと思って服薬をやめてしまう人がいますが、主治医に相談することなくやめてはいけません。主治医がやめてもよいといった場合にも、少しずつ用量を減らし、決して急にやめてはいけません。多くの場合、よい状態を維持できるように、抗精神病薬を何カ月あるいは何年も継続しなければなりません。各患者さんに合うよう、治療は個別化して行われます。
抗精神病薬の服用により、どんな副作用が起こることがありますか?
抗精神病薬の服用には、多くの副作用(あるいは有害事象)やリスクがあります。FDAは、抗精神病薬の副作用として、以下を挙げています。
- 眠気
- めまい
- 落ち着かなさ
- 体重増加(非定型抗精神病薬によってはよりリスクが高いものもあります)
- 口の渇き
- 便秘
- 吐き気
- 嘔吐
- 目のかすみ
- 低血圧
- チックや震戦(ふるえ)のような不随意運動(定型抗精神病薬ではよりリスクが高まります)
- 発作
- 感染症と戦う白血球の数の減少
抗精神病薬を服用している人は、医師が行う体重、血糖値、脂質値の検査を定期的に受けてください。
定型抗精神病薬では、身体運動に関連する以下のようなさらなる副作用が生じることがあります。
- 硬直
- 持続的な筋肉痙攣
- 振戦(ふるえ)
- 落ち着かなさ
定型抗精神病薬の長期服用により、遅発性ジスキネジア(tardive dyskinesia :TD)と呼ばれる症状が起こることがあります。TDにおいては、一般的に口の周囲の筋肉等、自分でコントロールできない筋肉の動きが生じます。TDの重症度は軽度から重度で、人によってはこのような問題が改善しないこともあります。また、TDの人の中には、定型抗精神病薬の服用をやめると、部分的あるいは完全に症状が回復する人もいます。自分はTDかもしれないと思う人は、服薬をやめるまえに主治医に相談してください。非定型抗精神病薬の服用中にTDが発症するのはまれです。
抗精神病薬は、本リストに記載されていない副作用が生じることがあります。これらの医薬品に関連する重篤な有害作用の報告は、FDA MedWatch program[英語サイト]にご連絡ください。抗精神病薬のリスクと副作用についてさらなる情報をお知りになりたい方は、Drugs@FDA[英語サイト]をご覧ください。
気分安定剤
気分安定剤とは?
気分安定剤は、主に双極性障害や他の精神疾患に関連する気分変動の治療に使用されますが、うつ病治療で使用される他の医薬品の作用を増大させるために使われることもあります。リチウム[英語サイト]は効果がある気分安定剤で、躁病治療および双極性障害の維持療法に対して承認されています。多くのコホート研究において、リチウムによる長期維持療法の自殺防止の利益が報告されています。気分安定剤は、脳内の異常な活動を抑えることで効果を発揮し、以下の治療にも使用される場合があります。
- うつ病(通常は、抗うつ剤を服用します。)
- 統合失調感情障害
- 衝動制御障害
- 子供の何らかの精神疾患
抗痙攣薬も、気分安定剤として使用されます。気分安定剤はもともとけいれん痙攣を治療するために開発されましたが、不安定な気分をコントロールするのにも役立つことが分かりました。気分安定剤として一般的に使用される抗痙攣薬として、バルプロ酸[英語サイト](ジバルプロエクスナトリウムとも呼ばれる)という医薬品があります。特に躁症状とうつ症状が混在する人やサイクルが早い双極性障害の人は、リチウムよりもバルプロ酸の方が効果がある場合があります。以下は、気分安定剤として使用される他の抗痙攣薬です。
気分安定剤で生じる可能性のある副作用はどのようなものですか?
気分安定剤には、いくつかの副作用があります。特に、医薬品の血中濃度が過度に高くなった場合には、それらの副作用は重篤なものになる可能性があります。副作用には以下のようなものがあります。
- 痒み、発疹
- 過度な喉の渇き
- 頻尿
- 手の振戦(ふるえ)
- 吐き気、嘔吐
- ろれつが回らない
- 脈が速い、遅い、不規則あるは心臓がドキドキする
- 意識を失う
- 視力の変化
- 発作
- 幻覚(実際には存在しない物や音が見えたり聞こえたりする)
- 運動失調
- 目、顔、唇、舌、喉、手、足、足首または下肢の腫れ
双極性障害の人がリチウムによる治療を受ける場合、主治医を受診し血中のリチウム値を定期的に確認し、また、腎臓と甲状腺の機能を正常な状態に維持しなくてはなりません。
リチウムは腎臓から体外へ排出されますので、腎機能が低下している高齢者においては服用量を減らす必要がある場合があります。また、汗をかいたり下痢等で体から水分が失われたりしてしまうとリチウム濃度が高くなり、一日の服薬量を一時的に減らすことが必要になります。リチウム治療中は腎機能を定期的にチェックしますが、血中のリチウム濃度が治療域内であれば、腎臓が実際に障害を受けることはあまりありません。
気分安定剤により、このリストにない他の副作用が起きる可能性もあります。これらの医薬品の使用に関連する重篤な有害事象の報告については、本ページの下にある連絡先情報にもとづきFDA MedWatchに連絡してください。各剤のリスクと副作用についてさらなる情報をお知りになりたい方は、Drugs@FDA[英語サイト]をご覧ください。
カルバマゼピン[英語サイト]、ラモトリジン[英語サイト]、オクスカルバゼピン[英語サイト]の副作用に関するさらなる情報については、MedlinePlus Drugs and Supplementsをご覧ください。
以下は、(バルプロ酸等の)抗痙攣薬に関連して発現しうるいくつかの副作用です。
- 眠気
- めまい
- 頭痛
- 下痢
- 便秘
- 食欲の変化
- 体重の変化
- 背部痛
- 焦燥感
- 気分変動
- 異常な思考
- 身体の一部の非自律性ふるえ
- 運動失調
- 目の非自律的な動き
- 目がかすむ、物が二重に見える
- 耳鳴りがする
- 髪の毛が抜ける
- 頭痛
これらの医薬品により以下が生じる場合もあります。
- 肝臓または膵臓に障害が起こりますので、服用中の人は定期的に主治医を受診してください。
- 10代の女性ではテストステロン(男性ホルモン)値が上昇し、多嚢胞卵巣症候群と呼ばれる症状が起こります(生殖能力に影響し、月経サイクルが不規則になります)。
糖尿病、高血圧、不安症、うつ病等の成人の一般的疾患の医薬品は、抗痙攣薬との相互作用が良くない場合があります。このような場合、医師からは他の医薬品の選択肢が出されます。
各剤のリスクと副作用のさらなる情報については、Drugs@FDA[英語サイト]をご覧ください
特殊な集団:小児、高齢者、妊婦
精神疾患の医薬品を服用するあらゆるタイプの人々はもちろんのこと、以下の集団では特別な必要性があります。
- 小児、青少年
- 高齢者
- 妊婦または妊娠の可能性のある女性
小児、青少年
精神疾患を患う小児および青少年の治療に使用される医薬品の多くは、安全で効果があります。しかし、子供や青少年への使用については、臨床研究が行われていないものや未承認の医薬品もあります。
ですが、若年層に対しては、医師はFDA承認薬の未承認使用を行うことがあります。これは、治療中の特定の精神疾患または一定の年齢未満の患者への使用が承認されていない医薬品であっても、医師は患者を助けるためにその医薬品を処方することを意味しています。
留意点:
- これらの医薬品を「未承認使用」として服用する小児や青少年を観察することは重要です。
- 小児では、成人と異なる反応や副作用が起こる場合があります。
- 若年者における危険な副作用の可能性に関して、FDAにより最新の警告が出されている医薬品もあります。
医薬品に加え、小児や青少年に対する他の治療についても、その治療をまず試したのちに必要であれば医薬品を追加する、あるいは医薬品と併用する等の考慮が必要です。心理療法、家族療法、教育講座、行動管理テクニック等も、子供の精神衛生に影響を与えるような疾患に対処する関係者の手助けとなります。小児および思春期の精神衛生研究については以下をご覧ください。[英語サイト]
高齢者
65歳以上の人々で特に多くの異なる医薬品を服用中の人々は、服薬に対して慎重になるべきです。高齢者の場合、薬物相互作用が強く出たり、薬の飲み忘れや過量服薬のリスクがより高くなります。
高齢者は、服薬に対してより神経質な傾向もあります。健康な高齢者であっても、高齢の方の場合は医薬品の処理や排泄が遅いため、薬への反応が若い人と異なります。従って、高齢者の場合は、低用量にするか服薬回数を減らすことが必要でしょう。服薬を開始する前に、高齢者やその家族は、服薬により注意力、記憶力、身体調整力に影響はあるのか、処方された医薬品が転倒リスクを高めないよう手助けする方法について、医師と注意深く話し合っておかなければなりません。
精神疾患で服薬中の高齢者の場合、記憶力に影響が出ることがあります。高齢者は、定期的に服薬するのを忘れてしまったり、過量あるいは過少服薬等が起こったりします。服薬を維持する良い方法として、薬局で購入できる7日間分の錠剤ケースの使用があります。週初めの日に、高齢者やその介護者がケースに医薬品を入れ、どの医薬品を服用するか思い出しやすいようにしておきます。一日一回以上の服薬が必要な場合もありますので、複数の仕切りがついた錠剤ケースも多くの薬局で取り扱われています。
高齢者が安全に服薬できるよう支援するためのさらなる情報と実践的なコツについては、National Institute on Aging’ sSafe Use of Medicines for Adults[英語サイト]の冊子をご覧ください。
妊婦または妊娠の可能性のある女性
妊娠中の精神疾患治療薬の使用に関する研究は限定的です。医薬品の種類や、妊娠の段階によってリスクは異なります。妊娠中に生じるあらゆる状態への治療は、それぞれの女性の必要性や状況に応じて、心理療法を行うのか(または妊娠中のある期間または全期間の「経過観察」)、または薬物療法を行うのか、あるいは両方組み合わせるのか、それぞれの選択肢におけるリスクと利益の可能性を慎重に検討して決定すべきです。あらゆる妊娠期の全女性に絶対に安全と考えられるような医薬品は存在しない一方、重篤な精神疾患を放置しておくことによる妊婦および発育中の胎児へのリスク(危険)という事実ともバランスを考慮すべきです。医薬品は、入手可能な科学研究の結果に基づき選択し、できるだけ低用量で服用しなくてはなりません。妊婦は、妊娠期間中および出産後も、注意深く見守ってくれる医療スタッフをもっておくことが必要です。
- ほとんどの女性は、妊娠中は特定の種類の医薬品を服用しないようにすべきです。例えば、
- 精神安定剤は、奇形児が生まれる原因となることが知られています。ベンゾジアゼペン系医薬品やリチウムは、乳児で活気がなく筋肉の緊張が低下して呼吸や授乳が上手く行えなくなる「筋緊張低下症」を引き起こすことが示されています。ベンゾジアゼペン系医薬品は、妊娠初期に服用すると、出生異常や乳幼児のその他の問題が起こる場合があります。
- 研究によると、妊娠中、特に妊娠初期に他の医薬品と併用して向精神薬を服用すると出生異常につながることがありますが、リスクはかなりさまざまであり、どの抗精神病薬を服用するかによっても異なります。従来の抗精神病薬であるハロペリドールは、他の医薬品よりも研究が行われてきており、出生異常は起こらないことが分かっています。より新しい非定型抗精神病薬の研究が進められています。
抗うつ剤、特にSSRIは妊娠中も安全であると考えられます。しかし、抗うつ剤は、胎盤を通過し胎児に到達する可能性があります。出生異常や他の問題が生じる可能性がありますが、非常にまれです。小児の発達に対する抗うつ剤の影響は、まだ研究中です。
妊娠後期にSSRIに暴露された胎児は、生まれつき呼吸に問題がある、手足のぴくぴく、カタカタとした震え、授乳困難、(血中の糖濃度が下がる)低血糖等の「離脱」症状がみられることがあることが研究により分かりました。新生児のこのような症状は、一般的に軽度で短期間に消失し、死亡も報告されていないことがほとんどの研究でわかっています。抗うつ剤の服用リスク(危険)は、服薬を中止することのリスクのバランスを考慮することが必要です。母親もうつ病がひどく、自分自身や子供の世話ができない場合には、親子とも問題が生じるリスクがあります。
FDAは2004年に、妊娠後期の終盤における特定の種類の抗うつ剤の使用について、警告を発しました。警告文には、胎児への影響が出ないよう、妊娠後期には医師が抗うつ剤を少しずつ減らす場合があります、と記載されています。出産後は、産後うつにもっとも罹りやすい時期に抗うつ剤を通常用量に戻すかどうか、主治医に相談してください。
出産後は、母親と主治医は産後うつ病に注意すべきです。特に、妊娠中に服薬をやめていた女性は気をつけましょう。さらに、精神病薬を服用中に授乳を行う女性は、少量の薬が母乳に含まれてしまうことを知っておく必要があります。一方で、医薬品の種類や服用のタイミングにより、影響がある場合とない場合があります。抗精神病薬を服用中でかつ母乳による育児を考えている女性は、潜在的なリスクとベネフィットについて主治医に相談しましょう。
- 季節性情動障害に対する補完療法:概要
-
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英語版改訂年月(翻訳時):2019年1月季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder:SAD)は、季節とともに出たり消えたりするうつ病の一種で、通常は秋の終わりまたは冬の初めに発症し、春と夏の間に消失します。夏に関連する抑うつ症状が起こる場合もありますが、SADの冬季発症型よりも非常に稀です。SADの冬季型の症状としては、気力低下、過食、炭水化物への欲求、引きこもりなどが挙げられます。光療法がSADの標準的治療となっており、抗うつ剤もSAD症状を改善すると示されています。
SADを予防するために、光療法、認知行動療法(SAD)、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)、メラトニンやビタミンDなどの補完療法に頼る人もいます。今回のダイジェスト版では、これらの治療法に関する最新研究の要約を提示します。
科学的根拠:
季節性情動障害に対する補完療法[英語サイト]最新研究の方法と要約
- 光療法
光療法が季節性情動障害の既往歴のある患者に対する予防的治療法として有用である可能性を示すエビデンスがいくつかあります。 - 認知行動療法(CBT-SAD)
認知行動療法(SAD)が、SADの再発減少や寛解に有効であり、少なくとも1回目と2回目の冬季の間維持されることを示すエビデンスがいくつかあります。いくつかのエビデンスは、SADのための認知行動療法(Cognitive behavior Therapy;CBT)はSADの再発減少と回復に効果的であり、少なくとも最初と2番目の冬季の間は効果が継続すると示しています。 - セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)
セントジョーンズワートがSADのいくつかの症状を改善することを示す限定的なエビデンスがありますが、研究は小規模なものです。 - メラトニン
メラトニンがSAD患者の睡眠を改善することを示す限定的なエビデンス(少数の患者を対象とした小規模試験)がありますが、その有効性について確信的な結論は導き出されていません。 - ビタミンD
現在、ビタミンD補充自体は、有効なSAD治療として考えられていません。
- 光療法
- 季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder :SAD)
-
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英語版改訂年月(翻訳時):2019年6月3日季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder:SAD)は、繰り返し季節とともに出たり消えたりするうつ病の一種で、通常は秋の終わりまたは冬の初めに発症し、春と夏の間に消失します。SADのリスクは、赤道から遠く離れた場所に住んでいる人や、うつ病の既往歴または家族歴がある人で高くなります。女性は男性よりもSADを発症する可能性が高く、若年者は高齢者よりもリスクが高くなります。
SADに対して研究されている治療の種類には、薬物療法(抗うつ薬)、心理療法(認知行動療法(cognitive behavioral therapy:CBT)など)、光治療、およびサプリメント(ビタミンDなど)があります。
要点は?
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors:SSRI)またはブプロピオンなどの抗うつ薬は、SADに使用する場合があります。
- SAD患者での使用に適したCBTの一種は症状を緩和するのに役立ち、その効果は施術者との追加セッションなしでも、次の冬まで継続する可能性があります。
- 光線療法では、通常初秋から春まで明るい人工光に日常的に当たります。通常、一般的な室内照明よりもはるかに多くの光を発するライトボックスの前に、毎朝20〜60分間座っている必要があります。光線療法の背景にある考えは、秋冬の季節の減少した太陽の光の代わりをすることです。いくつかの研究において、光線療法はSAD症状に対し薬物療法またはCBTと同等の有益な効果がありました。
- SAD患者において、食事によるビタミンの摂取量が少ないまたは日光に十分当たっていないことが原因で起こるビタミンD濃度の低値が認められています。しかし、ビタミンDの補充がSADの症状を緩和するのに役立つかどうかは不明です。
- SADに対するビタミンD以外のサプリメントに関する研究はほとんど行われていません。ごく少数の患者を対象としたSAD治療に対するメラトニンおよびセントジョーンズワートについて検討した試験があるものの報告数はごくわずかで、結果は不明または一貫性がありません。SADの治療に対するビタミンB12およびSADの予防に対するイチョウに関する単一の小規模試験では、それらのサプリメントが有益かどうか明らかになりませんでした。
安全性
- 他の医薬品と同様に、SADに使用される医薬品には副作用がある可能性があります。望ましくない効果が多く出現することなくうまく効果を発揮する医薬品を特定するために、さまざまな薬物を試験する必要があります。
- CBTは、一般的に安全だと考えられます。
- 光線療法には、めまい、吐き気、頭痛、または目の疲れなどの副作用がある場合があります。この療法は、網膜の病気がある、最近眼科手術を受けた、または双極性障害がある患者、または光に対する感受性を高める医薬品を服用している患者には適していない場合があります。
- サプリメントには副作用や薬品との相互作用を伴う可能性があります。セントジョーンズワートは、多くの医薬品に有害な相互作用を起こすことが知られています。ビタミンDなどの一部のビタミンは、過剰に摂取すると毒性がある可能性があります。特に医薬品を服用している場合は、サプリメントの摂取を検討しているまたはすでに摂取していることをかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。
- 音楽と脳:米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)/ケネディセンター・ワークショップについてのレポート
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英語版改訂年月(翻訳時):2018年3月「音楽と脳:一生を通じた研究」は、米国国立衛生研究所 (National Institutes of Health:NIH)と舞台芸術のためのジョン・F・ケネディ・センターが連携して開催したワークショップのトピックです。ワークショップの要約は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health :NCCIH(旧NCCAM))の外部研究部門長Dr. Emmeline Edwards、 米国国立衛生研究所長Dr. Francis Collinsを含む15 名の専門家により共同で執筆され、最近雑誌「ニューロン」に出版されました。
連携ワークショップは、「Sound Health」という新たな取り組みの初期段階であり、3つのライフステージ(小児期、成人期、高齢期)にわたる音楽の効果の研究結果に焦点をあてています。例えば:
- 音楽のトレーニングにより、小児において音楽以外のさまざまなスキルの発達を促すことができるというエビデンス
- 音楽療法が小児がん患者の治療のストレス対処に役立つという潜在的有効性
- 感情を伝える脳のネットワークやストレス軽減、うつ病治療に対する音楽活動の効果
- 脳内回路への影響など、音楽が疼痛を軽減するメカニズム
- 加齢性脳に対する音楽活動の潜在的有効性(パーキンソン病、脳卒中、認知症患者での潜在的適用を含む)
ワークショップパネルの専門家25名は、4領域、すなわち基礎研究、橋渡し臨床研究、手法や転帰、能力開発とインフラにおける提案を行いました。
提案には以下が含まれます:- 音楽のトレーニングにより、どの神経経路が活性化されるのか調査する
- 音楽と言語処理がどの程度重なるのか調査する
- メカニズムの理解と音楽療法を融合する
- 音楽活動と脳測定項目を融合させる方法を発展させる
- 音楽と脳に関した基礎的、臨床研究に興味を持つ神経科学者や音楽療法士のトレーニングを支援する
- 健康促進、または特定の健康状態の治療・軽減を目的とした、音楽の治療方法のためのエビデンスに基づく最善の方法を確立する。
このワークショップからの提案と他の意見に基づき、NIHは治療現場での音楽の使用について、総合的な研究課題を策定中です。NIHはまた、アメリカ合衆国退役軍人省(U.S. Departments of Defense and Veterans Affairs)、国立芸術基金(the National Endowment for the Arts)、全米科学財団(the National Science Foundation)等、他機関との連携を促進しています。
- 瞑想実践者と非実践者では、統計学的要素、健康にかかわる行動、健康状態、ヘルスケアの利用に違いがあると最新の解析結果が示しています
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英語版改訂年月(翻訳時):2017年6月15日最新の解析によると、瞑想実践者と瞑想非実践者では統計学的要素、健康に関わる行動、健康状態、ヘルスケアの利用などにおいて違いがあります。これらの結果は、瞑想実践者の特徴として知られている比較的限られた情報について詳しく説明しています。雑誌「BMC補完代替医療」に発表されたこの発見は、2012年の米国国民健康調査(National Health Interview Survey:NHIS)からのデータに基づいており、これは疾病対策予防管理センター内の国立衛生統計センターが毎年実施する大規模な調査です。
伝統と実践の多様性がますます認知される中、2012年のNHISは、3つの一般的な瞑想スタイル(マントラ瞑想、マインドフルネス瞑想、精神的瞑想)について情報を収集し、これらの実践についてより深い知見を提供することを目的としています。この解析では、12か月にわたって成人34,525例での瞑想の普及と実践パターンを調査しました。*
瞑想実践者と非実践者を比較した場合、次のような結果が得られました。
- 瞑想実践者の方が中年層、白人、女性、大学卒業者が多く、アメリカ西部に住んでいる傾向にあります。
- 瞑想実践者の方が運動や禁煙、コレステロールのチェックなど予防医学的な健康習慣により取り組む傾向があります。
- 瞑想実践者の方がより低体重/健康的体重(瞑想実践者41% 、非実践者31%)である傾向があります。
- 瞑想実践者の方が何かしらの身体機能制約(瞑想実践者45% 、非実践者34%)、慢性背部痛(瞑想実践者39% 、非実践者27%)、うつ病(瞑想実践者22% 、非実践者9%)など、より多くの健康に関する懸念を抱えています。
- 瞑想実践者の方が過去12カ月において、通常医療への受診が10倍以上高い傾向にあります(瞑想実践者26% 、非実践者13%)。
- 3種類の瞑想のうちいずれかを実践している場合を調査すると、以下の事が判明しました。
- 3種類のすべての瞑想グループにおいて、ヨガのようなセルフケア療法や健康志向活動である他の補完的療法使用者と共通する特徴がありました。
- 調査回答者において、瞑想が特に高い率で普及していたのは、女性で非ヒスパニック系白人、かつ大学教育を受け、よく運動する人であったり、鍼治療、ヨガ、ベジタリアンダイエットを利用する人であったり、うつ病を持ち、通常医療をよく利用する人でした。
- 健康問題を抱え、通常医療をより利用しており、また過去飲酒歴や喫煙歴のある人々は、より精神的瞑想を実践していました。精神的瞑想を実践している人はまた、瞑想実践者のうち最も多くを占めていました。
- マインドフルネス瞑想に注目した結果は次の通りです。
- 特定の健康状態を治療するというよりむしろ健康のためにマインドフルネス瞑想を実践する人が多くいました。(瞑想実践者73% 、非実践者30%)。
- 健康のためにマインドフルネス瞑想を実践する最大の理由は、ストレス管理、精神的安らぎ、健康問題をコントロールしているという感覚の増強、および睡眠の改善であるということです。
- 瞑想実践者は、非実践者よりも、カイロプラクティクなどの施術者による治療やヨガなどのセルフケア療法を含む、他の補完療法を使用する傾向にあります。
- 研究者らは、瞑想の実践で重要なのは、瞑想の種類ではなく、瞑想を実践する人々の特徴(健康とウェルビーイング(well-being)を維持しようとさまざまな療法を使用する人々)であると結論づけました。一見全く異なるようにみえる瞑想の種類において、実践者の好みの性質を考慮しつつすることで、根底にある心理過程、有益性(ベネフィット)、そしてどの療法を選択するかを理解することが大切なのです。
*A previous analysis これまでの解析によると、マントラ瞑想、マインドフルネス瞑想、精神的瞑想を実践する、あるいは(ヨガ、太極拳、気功といった)ほかの行為における一部として瞑想を実践しているアメリカの成人は約1800万人にものぼる。
参考文献
- Burke A, Lam CN, Stussman B, et al.Prevalence and patterns of use of mantra, mindfulness and spiritual meditation among adults in the United States.[英語サイト] BMC Complementary and Alternative Medicine.2017;17(1):316.
更新日:2024年8月9日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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