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インフォグラフィックでわかる統合医療

海外の情報

不安
Anxiety

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

不安
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2018年12月

不安とは、ある出来事や状況について心配、緊張感や恐怖を感じることです。ストレスに対して不安を感じることは、ふつうのことです。しかし、不安がコントロール困難で日常生活に支障をきたす深刻かつ継続的な問題になる場合があります。このような問題を抱えているならば、不安障害と言えるでしょう。アメリカでは毎年、成人の約19%が不安障害にかかっており、推定31%が生涯のいずれかの期間で不安障害にかかっているとされています。不安障害は、心理療法、薬物療法、または双方によって一般的に治療します。不安障害にかかっていると思う場合は、かかりつけの医療スタッフに相談しましょう。

研究者らは、補完療法・統合医療が不安を軽減し、不安に対処する上で役立つような方法を検証しています。日常生活やストレスのある状況で経験する不安に注目した研究や、不安障害に注目した研究があります。

科学的根拠

いくつかの補完療法には、医療行為などストレスのある状況での不安を軽減するのに有用である可能性があります。補完療法が不安障害に対応するのに有用であるかどうかは、あまり知られていません。

心身療法

  • リラクゼーション法によって、慢性疾患患者や医療行為を受ける患者で不安が軽減する可能性があります。しかし、認知行動療法(心理療法の一種)の方が、不安障害の少なくとも数種類を治療する上でリラクゼーション法よりも有用であると考えられています。
  • 鍼治療が不安を軽減することを示唆する研究もありますが、その研究は限定的なものであるため、確信的な結論には至っていません。
  • 催眠療法(英語サイト)は、医療行為や歯科行為に伴う不安について検証されてきました。期待できる結果が得られた研究もありますが、全般的なエビデンスは決定的なものではありません。[eJIMサイト内日本語訳]
  • がんやその他の疾患の患者を対象とした研究の中には、マッサージ療法が不安軽減に有用であるとするものもありますが、その他の研究では有益な効果は認められませんでした。不安障害に対するマッサージに関する研究はほとんどなく、実施済みの研究の結果は矛盾するものでした。
  • がん患者、その他の慢性疾患患者、患者家族、妊婦、医療従事者、雇用者、学生など、さまざまな集団を対象に、不安に対するマインドフルネス瞑想を用いた介入の効果が、研究で検証されました。これらの研究のすべてではありませんが多くで、マインドフルネスの不安に対する有用性が示されました。超越瞑想には不安に対する有益な効果があることを示すエビデンスがいくつかあります。研究が不十分であるため、マインドフルネスやその他の種類の瞑想が不安障害に有用であるかどうかは不明です。
  • 音楽を聴くことで罹患中や治療中の不安が軽減することを示すエビデンスがあります。
  • 瞑想運動療法(太極拳、気功ヨガ)によって不安が軽減することを示唆する研究もありますが、その研究は限定的なものであるため、決定的な結論に至っていません。
  • レイキや手当て療法については、不安に対する有用性は認められていません。

他の補完療法

天然物

  • 国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health :NCCIH(旧NCCAM))による支援で行われた2件の研究では、カモミール抽出物が全般性不安障害の管理に有用である可能性が示唆されていますが、この研究は暫定的なもので、所見は決定的なものではありません。
  • カバには不安に対する有益な効果があると考えられています。しかし、カバサプリメントの使用は、重度の肝障害のリスクを伴います。
  • メラトニン(英語サイト)は、手術予定の患者に対する従来の不安軽減薬の代替候補として検証されており、その結果は期待できるものです。
  • 不安に対するパッションフラワーバレリアンのエビデンスは不十分であるため、結論に至っていません。

副作用とリスク

  • 心身療法は、資格のある施術者が適切に実施したり、十分に訓練を積んだインストラクターが適切に教えたりすれば、健康な人にとっては全般的に安全です。身体活動を伴う場合、ヨガなど動きを伴う鍛錬には、怪我のリスクが伴います。疾患を伴う患者や妊婦は、検討中の心身療法について医療従事者に相談し、ものによっては変更または回避する必要があるかもしれません。
  • サプリメントには副作用や医薬品との相互作用を伴う可能性があります。
不安に対する補完療法
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2018年8月

研究者は、さまざまな補完療法を研究し、時々感じる不安や不安障害に役立つかどうか検討しています。マインドフルネスやその他の瞑想法、音楽、リラクゼーション法、メラトニンが不安、特に医療行為や慢性疾患に関連する不安に対して有効である可能性を示す科学的根拠(エビデンス)がいくつかあります。しかし、不安に対するその他の補完療法に関するエビデンスは十分ではないため、それらの有効性について決定的な結論を導き出すことはできません。

今回のダイジェスト版では、心身療法や天然物など、不安に対する一部の補完療法に関する最新研究の要約を提示します。

科学的根拠 : Anxiety and Complementary Health Approaches(不安に対する補完療法)(英語サイト)

最新研究のモダリティと要約

鍼治療

不安に対する鍼治療の研究の中には、良好なアウトカムが示されたものもありますが、全般的に、方法論的な質が低い研究や、統計学的有意性が認められない研究が多くありました。また、研究内容が非常に多様であったため(鍼治療を行う箇所の数や種類、セッションの頻度、治療期間など)、有益性の可能性について確信的な結論を導き出すことは困難です。

マッサージ療法

一部の研究では、マッサージ療法ががんやその他の合併症を伴う患者の不安を軽減するのに役立つことが示されていますが、その他の研究では統計学的に有意な有益性は認められていません。不安障害に対するマッサージについての研究はほとんどなく、結果は相反するものです。

マインドフルネス瞑想

瞑想療法は、よく行われており、不安関連の症状を呈する患者で軽度から中等度の有益性が認められています。超越瞑想には不安に対する有益な効果があることを示すエビデンスがいくつかあります。しかし、臨床的に不安障害と診断された患者における、十分な統計学的検出力のある研究は欠如しているため、不安障害に対する超越瞑想の有効性について確信的な結論を導き出すことは困難です。

リラクゼーション法

リラクゼーション法は、慢性疾患のある患者や医療行為を受ける患者における不安を軽減させると考えられています。しかし、全般性不安障害患者においては、従来の心理療法の方がリラクゼーション法よりも効果的である可能性が、研究から明らかになっています。

カモミール

カモミールの抽出物(エキス)は、全般性不安障害に役立つ可能性があることを示唆する研究もありますが、予備的なものであり、研究結果は暫定的で結論に至っていません。

カバ

カバの抽出物(エキス)には、不安症状に対して中等度の有益性があると考えられていますが、カバのサプリメントは重度の肝障害のリスクと関連しています。

メラトニン(英語サイト)

一部の研究で、メラトニンが手術予定の患者の不安を軽減するのに役立つ可能性、またミダゾラムを使用する従来治療と同程度に有効である可能性が示唆されています。

ラベンダー

不安に対するラベンダー製剤の研究の中には、治療効果を示すものもありますが、全般的に、これらの研究の多くでは方法論的な質が低いものでした。

科学文献

患者のための情報

小児に対する補完療法の使用
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2017年3月

要点は?

小児に対する補完療法ついてどれくらい知っているのでしょうか?

私たちは、小児向けの補完療法の使用率については多くの情報を持っていますが、その効果と安全性についてはほとんど知りません。1

小児に対する補完療法の有効性についてわかっていることは?

研究では、さまざまな健康状態の小児に対して、多くの補完療法を検討していますが、強固なエビデンスはなく、何が有効で、何が有効でないかを示すには不十分です。

小児に対する補完療法の安全性についてわかっていることは?

多くの補完療法は小児に対して安全性が研究されていません。

1 これまで、小児は特別な保護により調査研究からしばしば除外され、成人を対象とした研究の知見が小児に適用されました。現在では、米国国立衛生研究所は、科学的および倫理的な理由が無い限り、小児を全ての研究対象に含めることを要請しています。

小児に対する補完療法の使用パターン

2012年の 米国国民健康調査(National Health Interview Survey:NHIS)において、4歳から17歳以下の10,000人を超える小児を含めたアメリカ人約45,000人の、補完療法の使用に関する包括的な調査を行いました。この調査から、過去1年間に、その小児のうちの11.6%がサプリメントヨガのような、補完療法および関連製品を与えられていました。2017年のNHISデータ(英語サイト)によると2012年から2017年までの期間のうち、過去12か月間でヨガや瞑想の利用がアメリカの小児(4歳から17歳)の間で著しく増加しています。ヨガを行っている小児の割合は2倍以上になり、瞑想を行っている小児の割合はほぼ10倍の増加を示しました。

小児に対して最も頻繁に用いられた補完療法または関連製品は、天然物2(魚脂、メラトニン、プロバイオティクス)、カイロプラクティックまたはオステオパシーマニピュレーションでした。

小児に対して補完療法が最も頻繁に用いられたのが、背部痛または頸部痛、他の筋骨格疾患、鼻風邪またはせき風邪、不安またはストレス、注意欠陥・多動性障害(attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)または注意欠陥障害(attention-deficit disorder:ADD)、不眠症または睡眠障害でした。

小児による天然物や心身療法を含む補完療法の使用に関するNHISの研究から得られた追加情報を知りたい方は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health’s:NCCIH(旧NCCAM)) のウェブのNHIS統計ページ(英語サイト)をご覧ください。

2 これには、ビタミンやミネラルは含まれません。

*ビタミンやミネラル以外のサプリメントをさす

引用:Black LI, Clarke TC, Barnes PM, Stussman BJ, Nahin RL.『米国内の4-17歳の子供の間での補完療法の使用 』 (国民健康聞き取り調査 2007-2012年)『米国国立保健医療統計報告書( no 78)』Hyattsville, MD:(米国国立保健医療統計センター. 2015年)

*ビタミンやミネラル以外のサプリメントをさす

引用:Black LI, Clarke TC, Barnes PM, Stussman BJ, Nahin RL.『米国内の4-17 歳の子供の間での補完療法の使用』(国民健康聞き取り調査 2007-2012年)『米国国立保健医療統計報告書( no 78)』Hyattsville, MD:(米国国立保健医療統計センター. 2015年)

その他の研究で、補完療法また関連製品を使用したり、施されたりしたアメリカの小児は、年齢や健康状態がさまざまであることが示されました。例えば、

  • お茶や植物性サプリメントを、幼児の約10%が与えられています。大抵はぐずり泣きやお腹が痛い場合です。
  • ビタミンやミネラルの入ったサプリメントを、2~ 8歳の小児の約40%が与えられています。しかし、その年齢群は概して食事で十分な栄養が摂れます。
  • 特に10代の若者は、スポーツ能力が向上したり、エネルギー水準が増進したり、減量を助長すると謳っている製品を使う傾向があります。
  • 不安、筋骨格疾患、再発性頭痛を含む慢性の病状のある小児は、そうでない小児よりも、補完療法を使う傾向があり、大抵は既存の治療と併用しています。

科学的観点から見た小児に対する補完療法の安全性および副作用

  • サプリメントが原因で、毎年、約23,000件の救急外来があります。その患者の多くは、減量またはエネルギー補充製品を使用したことから心臓の不調をきたした若者です。救急外来受診者の5分の1は小児で、その大半は、大人が見ていないときに、ビタミンまたはミネラルを摂取していました。(サプリメントは、小児用安全包装が義務付けられていません。)
  • サプリメントには、薬物、化学物質、鉱物などの混入物が含まれていることがあります。
  • 小児は、体が小さく、発達中の臓器、未熟な免疫システムのために、大人よりもサプリメントに対してアレルギーやその他の有害反応が起きやすいのです。
  • いくつかの製品の中には使用して健康状態が悪化するものもあります。例えば、エキナセアは、ブタクサの一種であるため、ブタクサに敏感な人は、エキナセアにも反応することがあります。
  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、市販薬のうち、ホメオパシーとして分類されている喘息医療品を、信頼しないようにと警告しています。ホメオパシー療法やサプリメントの安全性または有効性はFADによって評価されていません。さらに詳しく知りたい方は、NCCIH のウェブサイトの、ホメオパシーのページNCCIH’s Web page on homeopathy(英語サイト)をご覧ください。
  • 生体フィードバック(行動療法)、誘導イメージ法、催眠療法、マインドフルネス、ヨガなどの心身療法は、多様な健康状態(不安やストレスなど)にある小児に対して有効であるという最上のエビデンスがあり、低リスクでもあります。しかし、一般的な補完療法である脊椎マニピュレーションは、稀に深刻な合併症が起こります。

さらに考慮しなければならないこと

  • 子供が免許を持つ医療スタッフから的確な診断を受けたことを確認しましょう。
  • 補完療法の潜在的なリスク(危険)やベネフィット(利点)についての知識を養っておきましょう。
  • 子供のかかりつけの医療スタッフに、使用を検討している、またはすでに使用している補完療法のベネフィットや潜在的なリスクについて相談しましょう。
  • 10代のお子さんにも、かかりつけの医療スタッフに使用を検討している補完療法について相談するよう促しましょう。
  • 通常の医療や処方薬の使用を遅らせたり、安全で有効だと立証されていない補完療法や関連製品に置き換えたりしてはいけません。
  • 医療スタッフが、補完療法の使用を勧めるのであれば、その治療薬を奨励された用量や期間を超えて、増やしてはいけません(多いから効くというわけではありません)。
  • 補完療法の効果について、心配なことがある場合は、些細なことでも子供のかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。
  • すべての薬剤や危険と思われるその他の製品と同様に、サプリメントも子供の見えないところ、手の届かないところにしまっておきましょう。
  • NCCIH(旧NCCAM)のウェブサイトでは、小児や10代の若者向けのサプリメント心身療法においての安全情報を提供しています。
  • 子供のかかりつけの医療スタッフ全員に子供の使用している補完・統合療法について相談しましょう。自分の子供の健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

補完療法の施術者を選ぶ

子供のために補完療法の施術者を探している場合は、通常の治療を探すのと同じくらい注意深く、考えて探しましょう。施術者について以下のことを確認しましょう。

NCCIH(旧NCCAM)のウェブサイトでは、補完療法の施術者についての更なる情報(英語サイト)を掲載しています。[eJIMサイト内日本語訳]

消費者向け情報

  • 小児および10代の若者に向けた心身療法の安全性について知っておくべき7つのこと
  • 小児および10代の若者に向けたサプリメントの安全性について知っておくべき5つのこと

医療関係者向け情報

関連するファクトシート

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine: NLM)のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed(PubMedで探す補完療法の情報)(英語サイト)をご覧ください。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed(英語サイト)

■ Cochrane Database of Systematic Reviews(システマティックレビューのコクランデータベース)

システマティックレビューのコクランデータベースは、国際的非営利組織であるコクラン・ライブラリー により作成されたエビデンスに基づくレビューのコレクションです。これらのレビューは、医療介入に関する臨床試験の結果を要約しています。要約は無料です。レビュー全文は購読のみです。

ウェブサイト:https://www.cochranelibrary.com(英語サイト)

■ 米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements:ODS)

ODSは、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。情報源として、出版物(「サプリメント:知っておきたいこと」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、「PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)」(英語サイト)などを提供しています。

ウェブサイト:http://ods.od.nih.gov(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov

■ 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)

FDAは食品、医薬品、サプリメント、医療機器、および化粧品などの数多くの製品の安全性を監督します。サプリメントについてのウェブページはこちら

米国内の無料通話:1-888-463-6332
ウェブサイト:www.fda.gov(英語サイト)

■ 米国連邦公正取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)

FTCとは公正な取引を監督・監視する連邦政府の機関です。A key area of its work is the regulation of advertising (except for prescription drugs and medical devices).

米国内の無料通話:1-877-382-4357
ウェブサイト:www.ftc.gov(英語サイト)

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

国立衛生研究所(NIH)[米国]が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

ウェブサイト:www.nih.gov/health/clinicaltrials/(英語サイト)

参考文献

その他の参照文献
不安障害
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年1月

概要

時々感じる不安は日常生活でよくあることです。職場で問題に直面したとき、試験を受ける前、または重要な決心をする前、不安を感じることがあります。しかし、不安障害は一時的な心配や恐怖を超えています。不安障害をかかえる人は、不安が消えることはなく、時間がたつにつれて強くなります。この症状は、仕事の成果や学校の成績、人間関係など、日常の活動の障害になることもあります。

不安障害にはいくつかの種類があります。全般性不安障害、パニック障害、および各種の恐怖症関連障害などです。

兆候および症状

全般性不安障害

全般性不安障害(generalized anxiety disorder :GAD)の人は、個人的な健康、仕事、社会的交流、日常的な生活環境など数多くのことについて、過剰な不安や心配を、少なくとも6カ月間ほぼ毎日示します。恐怖や不安は社会的交流、学校、職場など、生活の場で重大な問題を生じることがあります。

全般性不安障害には、以下のような症状が認められます。

  • そわそわ感、緊張感、危機感
  • 疲れやすい
  • 集中できない、頭が真っ白になる
  • イライラ感
  • 筋肉の緊張
  • 不安感をコントロールできない
  • 寝つきが悪い、目が覚めやすい、安眠できない、熟睡できないなどの睡眠障害

パニック障害

パニック障害の人は、予期できないパニック発作を繰り返し起こします。パニック発作が生じると、強い恐怖が突然やってきて数分でピークに達します。発作は、不意に生じることもありますが、恐れている物や状況などがきっかけになって生じることもあります。

パニック発作の間、以下のような症状が現れます。

  • 動悸、激しい鼓動、または頻脈
  • 発汗
  • 振戦またはふるえ
  • 息切れ、息苦しさ、または息詰まり感
  • 差し迫った破滅感
  • 自制がきかない感覚

パニック障害の人は、次の発作がいつ来るのかを心配していることが多く、パニック発作に関連する場所、状況、行動を避けることで、発作を予防しようと積極的に努力しています。パニック発作の心配や、発作を避けようとするために行う努力が、広場恐怖症(後述)など、日常生活のさまざまな場面で重大な問題を生じます。

恐怖症関連障害

恐怖症は、特定の物や状況に対する強い恐怖または嫌悪です。不安に思うことが現実的な状況もありますが、恐怖症の人が感じる恐怖は、その状況や物によって生じる実際の危機以上のものです。

恐怖症の人は以下のような症状を呈することがあります。

  • 恐怖の対象である物や状況との遭遇に対して、不合理な、または過剰な不安を感じることがある。
  • 恐怖の対象である物や状況を避けるために積極的な手段を取る。
  • 恐怖の対象である物や状況と遭遇するとすぐに強い不安を感じる。
  • 避けられない物や状況に対して強い不安をかかえながら耐える。

恐怖症および恐怖症関連障害にはいくつかのタイプがあります。

特定恐怖症 (単一恐怖症ともいう)名称のとおり、特定恐怖症の人は特定の物や状況に対して強い恐怖を抱いていたり、強い不安を感じたりします。特定恐怖症の一部の例を以下にあげます。

  • 飛行恐怖症
  • 高所恐怖症
  • クモやイヌ、ヘビなど特定の動物に対する恐怖症
  • 注射恐怖症
  • 血液恐怖症

社交不安症(旧名称:社会恐怖症):社交不安症の人は、社交的または人前に出る状況に対する全般的な強い恐怖または不安をかかえています。自分の不安に関連した行動やふるまいが他者からマイナスに評価され、その結果、恥をかくと心配しています。この心配が、しばしば、社交不安をかかえる人が人付き合いを避ける原因になります。社交不安症は、職場や学校などさまざまな状況で現れる可能性があります。

広場恐怖症:広場恐怖症の人は、以下にあげる状況のうち2つ以上に対して強い恐怖を抱いています。

  • 公共交通機関を使う
  • 広い空間にいる
  • 閉鎖された空間にいる
  • 列に並ぶ、または大勢の人たちの中にいる
  • 家以外のところに一人でいる

広場恐怖症の人は、パニックのような反応やその他の恥をかく症状が生じるとその場を立ち去ることが難しくなる、または不可能になるかもしれないと考え、しばしば、こうした状況を避けようとします。広場恐怖症が最も重度になると、外出できなくなります。

分離不安障害:分離不安は小児のみの問題だと考えられがちですが、成人も分離不安障害と診断されることがあります。分離不安障害の人は、愛着のある人から引き離される恐怖をかかえています。愛着のある人が自分から離れている間に、その人に危害や厄介事が起きているのではないかとしばしば心配します。この恐怖のために、愛着のある人から離れたり一人きりになったりすることを避けようとします。分離不安をかかえる人は、愛着のある人から離れる悪夢を見たり、実際に離れたり離れることが予期されたりする場合に身体症状を経験することもあります。

場面緘黙症:不安に関連する障害の中でも比較的珍しいのが、場面緘黙症です。場面緘黙症は、言語技能が正常であるにもかかわらず、特定の社交的状況で話せなくなるときに生じます。場面緘黙症は通常、5歳になる前に発症し、しばしば、極端な内気、人前で恥をかくことに対する恐怖、強迫的な性格、引きこもり、依存的なふるまい、およびかんしゃくと関連します。場面緘黙症と診断された人は、他の不安障害とともに診断されることも多いです。

リスク因子

遺伝因子と環境因子の両方が不安障害の発症リスクに寄与することが、研究から明らかになってきています。不安障害のリスク因子はタイプごとに異なりますが、すべてのタイプの不安障害に共通するリスク因子は以下のとおりです。

  • 幼少期に、内気な性格や行動抑制などの気質の特徴がみられる
  • 幼児期または成人になってから、ストレスが大きく悲観的な人生または環境イベントを経験
  • 血縁者に不安などの精神疾患の既往歴がある
  • 甲状腺疾患や不整脈などの健康状態やカフェインなどの薬物/医薬品は、不安症状を引き起こしたり悪化させたりします。不安障害かどうかを評価する場合、全身状態の検査が有用です。

治療および療法

不安障害は、心理療法、薬物療法、または双方によって一般的に治療します。不安を治療する方法は数多くあり、自分に最適な治療を選択するには医師と相談すべきです。

心理療法

心理療法、または「トークセラピー」は、不安障害をかかえる人を助けることができます。効果を得るために、心理療法は患者の個別の不安に対応し、患者のニーズに合わせて変えなければなりません。

認知行動療法

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy :CBT)は、不安障害をかかえる人を助けることができる心理療法の一つです。不安を生じさせる恐ろしい物や状況に対して異なる考え方や行動の仕方、反応の仕方を指導します。さらに、CBTは社会不安障害の治療に不可欠なソーシャルスキル(社会的技能)の学習、実践を支援します。

認知療法および曝露療法はよく用いられるCBTの中の2つの方法であり、併用または単独で社会不安障害を治療します。認知療法は、不安障害の根底にある、役に立たない、または歪んだ思考を発見し、疑い、無力化することに焦点を当てます。曝露療法は、患者が避けてきた行動に携わらせることによって、不安障害の根底にある恐怖と向き合うことに焦点を当てます。曝露療法は、リラクゼーション法やリラクゼーションイメージとともに行われることがあります。

CBTは、個別、または同じような障害をかかえる人たちのグループで行うことができます。しばしば、セッションとセッションの間に「宿題」が参加者に割り当てられます。

薬物療法

薬物療法は、不安障害を治癒することはできませんが、症状緩和に役立つことがあります。不安に対する薬物の処方は、精神科医やかかりつけ医など、医師によって行われます。一部の州では、特別な訓練を受けた心理学者に、向精神薬の処方を許可しています。不安障害の治療に用いられる最も一般的な医薬品は、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など)、抗うつ薬、およびベータ遮断薬です。

抗不安薬

抗不安薬は、不安、パニック発作、または極端な恐怖や心配といった症状の軽減に役立ちます。最も一般的な抗不安薬は、ベンゾジアゼペンと呼ばれる薬剤です。ベンゾジアゼピン系は、全般性不安障害の第一選択治療薬として用いられることがありますが、長所と短所があります。 ベンゾジアゼピン系の長所は、不安緩和効果が高く、不安に対して処方されることが多い抗うつ薬よりも短時間で効果が現れることです。ベンゾジアゼピン系の短所は、長期間服用を続けると耐性が生じるので、同じ効果を得るために用量を次第に増やさなければならない場合があることです。依存症になる人もいるでしょう。

こうした問題を回避するために、ベンゾジアゼピン系は通常、短期的に処方されます。特に高齢者、薬物乱用問題がある人、および医薬品に依存しやすい人に有効な方法です。

ベンゾジアゼペン系薬剤の服用を急にやめてしまうと、離脱症状が現れる、あるいは不安症状が再び起こってくることがあります。そのため、ベンゾジアゼペン系薬剤は、ゆっくりと用量を減らしていかなくてはなりません。あなたと医師が薬の服用をやめる時期だと判断したら、医師は服用量をゆっくり安全に減らせるように補助します。

長期間使用する場合、ベンゾジアゼピン系は不安に対する第二次選択(第一次選択である抗うつ薬と併用)、および症状の再発に対する「屯用」薬として、しばしば考慮されます。

別のタイプの抗不安薬がブスピロンです。ブスピロンは非ベンゾジアゼピン系薬で、特に慢性不安の治療が適応です。しかし、誰にでも効果があるというわけではありません。

うつ

抗うつ薬はうつの治療に用いられますが、不安障害にも効果があることがあります。抗うつ剤は、気分やストレスをコントロールするある種の化学物質を脳が利用する手助けをします。症状を改善し、副作用の管理が可能な薬剤を見つけるために、いくつかの抗うつ剤を試してみなくてはならないこともあります。過去に、あなた自身や家族に効果があった薬剤がしばしば検討されます。

抗うつ薬は効果が出るまでに時間がかかることがあるので、有効性の有無を判断するまで、しばらくその薬を継続することが重要です。抗うつ薬の服用を始める場合、医師に相談せずに服用をやめないでください。患者と医師が薬の服用をやめる時期だと判断したら、医師は服用量をゆっくり安全に減らせるように補助します。突然服用をやめると離脱症状が現れる可能性があります。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor: SSRI)およびセロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin-norepinephrine reuptake inhibitor: SNRI)とよばれる抗うつ薬が、不安に対する第一選択として一般に用いられます。三環系抗うつ薬およびモノアミン酸化酵素阻害薬(monoamine oxidase inhibitor:MAOI)などの古いタイプの抗うつ薬は、不安障害に対する治療薬として一般的ではないものの有効です。

留意点:小児、10代の子供、25歳以下の若年成人では、特に抗うつ剤の服用を開始して最初の数週間、あるいは、用量変更時に、希死念慮や自殺行動が増えることがあります。このため、抗うつ剤を服用する全ての年齢の患者に対して、特に治療開始から数週間は慎重な観察が必要となります。
ベータ遮断薬

ベータ遮断薬はふつう、高血圧の治療に使われるものですが、頻脈やふるえ、振戦、紅潮など、不安の身体症状を緩和するためにも用いることができます。このような薬剤は、服用が短期間であれば、身体症状をうまくコントロールすることができます。また、急性不安を緩和するために「屯用」として用い、予測可能行動に対する不安に対して予防的に介入することもできます。

適切な薬の選択

不安障害のタイプによって効果がより高いタイプの薬があるので、患者は自分に最適の薬を見つけるために医師によく相談すべきです。

カフェイン、市販の感冒薬、違法薬物、ハーブ系サプリメントなどの薬物は、不安障害の症状を悪化させたり、処方薬と相互作用したりすることがあります。患者は、どの薬物が安全でどれを避けるべきかを知るために、医師と相談すべきです。

適切な医薬品、服用量、および治療計画の選択は、専門家のケアのもとで、患者のニーズと医療環境に基づいて行われるべきです。あなたのかかりつけの医師は、数種類の薬を試して適切なものを見つけることもあります。

かかりつけの医師と以下について相談しましょう。

  • 薬の効き具合や症状の改善はどうか
  • 各薬剤のベネフィット(利益)と副作用
  • 患者の病歴に基づく重篤な副作用のリスク
  • 薬剤がライフスタイルを変化させる可能性
  • 各薬剤の費用
  • 患者が受けている他の代替的な治療、薬剤、ビタミンやサプリメント、およびそれらが治療に与える影響。薬物療法と心理療法の併用が、不安障害を抱える多くの患者に最適な方法であること。
  • 薬剤服用のやめ方(突然やめることができない薬や、医師の監督のもとゆっくりと徐々に減らさなければならない薬もあります)。

詳細は、Mental Health Medications Health Topicのウェブサイト(英語サイト)を参照してください。このウェブサイトに掲載されている医薬品に関する情報はすべて教育上の目的で提供されており、最新情報ではない可能性があります。診断および治療法の決定は、医師と相談の上、行ってください。薬剤に関する情報は頻繁に変更されます。警告、患者向け医薬品ガイド、または新規承認薬についての最新情報は米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)のウェブサイト(英語サイト)まで

支援グループ

不安障害の人は、自助グループまたは支援グループに参加して、問題や成果を他の人たちと共有することによってメリットが得られることがあります。インターネットのチャットルームも役に立つことがありますが、ネット上で受けるアドバイスには慎重になるべきです。ネット上の知り合いはふつう、お互いに会ったことがなく、ある人に役立ったアドバイスが他の人にもよいとは限らないからです。ネット上で見つけた治療のアドバイスに従う前に、必ずかかりつけ医に確認してください。信頼できる友人や聖職者との会話も役に立つことがありますが、医師や医療従事者によるケアの代わりになるとは限りません。

ストレスの管理方法

ストレスの管理方法や瞑想は、不安障害の人が自分を落ち着かせるのに役立ち、治療の効果を促進する可能性があります。有酸素運動が不安の管理に役立つ可能性を示唆する研究もありますが、運動は標準治療にとって代わるものではなく、さらに研究が必要です。

メンタルヘルス
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英語版改訂年月(翻訳時):2020年1月

メンタルヘルスの問題は一般的です。アメリカでは、毎年1年間に成人の約4分の1がメンタルヘルスに何かしらの影響を受け、成人の半数近くが生涯のある時点で影響を受けます。

世界保健機関(World Health Organization:WHO)によると、精神疾患は、先進国において、他のどの疾患群よりも多くの障害のとして占めています。うつ病や双極性障害などの不安および気分障害は、最も高頻度にみられるメンタルヘルスの問題です。

不安、うつ病、季節性情動障害(seasonal affective disorder:SAD)など、さまざまなメンタルヘルスの問題に対する補完・統合医療が研究されています。

  • リラクゼーション法や音楽のようないくつかの補完療法は、医療処置などのストレスの多い状況での不安を緩和するのに有用な可能性があります。補完療法が不安障害の管理に役立つかどうかは、ほとんどわかっていません。
  • 鍼治療、音楽療法、ヨガが、うつ病に有用な可能性があるというエビデンスがいくつか存在します。セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、限られた患者の軽度から中等度の大うつ病(major depressive disorder:MDD)に対して、標準的な抗うつ剤と同様の効果があるかもしれないというエビデンスがいくつか存在しますが、そのエビデンスはまだ決定的なものではありません。しかしながら、セントジョーンズワートは、多くの医薬品と危険な、ときに生命を脅かす形で相互作用する可能性があります。オメガ3脂肪酸の補充がうつ病に有用かどうかは不明です。現在の研究では、S-アデノシル-L-メチオニン(S-adenosyl-L-methionine:SAMe)もイノシトールも、うつ病の治療のために使用することは支持されていません。
  • 季節によって発症したり消失したりするうつ病の一種であるSADについては、光療法がSADの既往歴のある人々に対する予防治療として有用な可能性があるという一部のエビデンスが存在します。研究では、SAD患者が使用するのに適した認知行動療法の一種が症状を緩和するのに有用であり、その有効性は、治療者によるセッションをさらに受けることなく次の冬まで続く可能性があることが示されています。しかし、ビタミンDの補充がSADの症状を緩和するのに有用であるかどうかは不明です。SADに対するビタミンD以外のサプリメントに関する研究はほとんど行われていません。

メンタルヘルスに問題があるかもしれないと感じたら、医療スタッフに相談しましょう。

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米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけの医療スタッフなど)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

消費者向け情報

医療関係者向け情報

関連するファクトシート

ストレス
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英語版改訂年月(翻訳時):2020年1月

ストレスとは、人生の変化に直面したときに経験する身体的、情緒的反応です。ストレスは正常な感情です。しかし、長期にわたるストレスは、消化器障害、頭痛、睡眠障害、その他の症状などのさまざまな健康問題を発症または悪化させる可能性があります。ストレスは喘息を悪化させる可能性があり、うつ病、不安,その他の精神的な病気に関連付けられています。

  • 緊張を解き、ストレスの悪影響を打ち消すために、リラクゼーション法(またはリラクゼーション反応法)を使う人もいます。リラクゼーション法では、呼吸と楽しい考えやイメージに焦点を合わせることを組み合わせ、精神や身体を穏やかにします。リラクゼーション反応法の例には、自律訓練、生体フィードバック(行動療法)、深呼吸、誘導イメージ療法、プログレッシブ・リラクゼーション(漸進的弛緩法)、自己催眠などがあります。
  • 科学的根拠(エビデンス)は、マインドフルネス瞑想(集中力および注意力を維持し、今現在において起こっていることに対する意識を養う療法)は、不安症やうつを含むストレスの症状を軽減する可能性があると示唆しています。
  • 一部の研究では、ストレス管理に対するヨガは、心身状態の改善がみられると示している。

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ストレスと健康
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英語版改訂年月(翻訳時):2018年5月5日

ストレスとは、感情的または肉体的な緊張感のことです。苛立ちや怒り、ひやひやさせる出来事や考えから起こります。

ストレスは、挑戦や要求に対する身体の反応です。短期間であればストレスは有益となる場合があり、危険を回避する、あるいは締め切りに間に合うように行動するのに役立ちます。しかし、ストレスが長期間続くと、健康にとって有害となるかもしれません。

考察

ストレスは正常な感情です。主に2種類のストレスがあります。

  • 急性ストレス。これは短期間のストレスで、すぐになくなります。ブレーキを思い切り踏んだり、パートナーと喧嘩をしたり、急斜面をスキーで降りたりする際などに急性ストレスを感じます。危険な状況を乗り切るのに役立ちます。また、ストレスは、新しいことや興奮することを行うときにも起きます。すべての人が1度や2度は急性ストレスを感じたことがあるはずです。
  • 慢性ストレス。これは長期間続くストレスです。金銭トラブル、不幸せな結婚、仕事上のトラブルなどを抱えていると、慢性ストレスを感じているかもしれません。数週間から数か月続くストレスは全て慢性ストレスです。慢性ストレスに慣れてしまい、それを問題として認識しなくなることもあります。ストレスを乗り切る手段を見出だせないと、健康問題につながる可能性があります。

ストレスと身体

ホルモンを放出することによって、身体はストレスに反応します。これらのホルモンは、脳を警戒させ、筋肉を緊張させ、心拍数を増加させます。短期間であれば、これらの反応は、ストレスの原因となる状況に対応する上で役立つため、有益となります。これは、身体が自分自身を保護しようとする手段です。

慢性ストレスの場合、危険がなくても、身体が緊張し続けます。時間とともに、このことが以下のような健康問題のリスクを引き起こします。

何らかの疾患がある場合、慢性ストレスによって悪化する可能性があります。

過剰ストレスの徴候

ストレスはさまざまな身体的および感情的な症状を引き起こします。これらの症状がストレスによって引き起こされるとは気がつかないかもしれません。ストレスが影響を与えているいくつかの徴候を以下に示します。

  • 下痢や便秘
  • 物忘れ
  • 頻繁な疼痛
  • 頭痛
  • 気力や集中力の欠如
  • 性機能障害
  • 顎や首のこわばり
  • 疲労感
  • 睡眠障害や過剰睡眠
  • 胃のむかつき
  • リラックスのための飲酒や薬物摂取
  • 体重減少または体重増加

原因

ストレスの原因は人それぞれです。ストレスは良い挑戦からも悪い挑戦からも受けることがあります。ストレスの一般的な原因には次のようなものがあります。

  • 結婚、離婚
  • 新しい仕事を始める
  • 配偶者、近親者の死
  • 解雇
  • 引退
  • 出産
  • お金の問題
  • 引越
  • 深刻な病気
  • 仕事での問題
  • 家庭での問題

医療専門家に連絡すべきとき

自殺について考えることがあれば、自殺ホットラインに電話しましょう。

ストレスに圧倒されている場合や健康に影響を与えている場合は、かかりつけの医療スタッフに相談しましょう。新しい症状やいつもと違う症状に気づいたときも、医療スタッフに相談しましょう。

次のような場合に助けを求めてください。

  • 浮動性めまい、速い呼吸、動悸など、パニック状態がある。
  • 自宅や職場で仕事や機能することができない。
  • 自分でコントロールできないのではないかという心配がある。
  • トラウマとなった出来事の記憶がある。

かかりつけの医療スタッフが心のケアを専門とする医療スタッフを紹介してくれる場合もあります。あなたの気持ち、ストレスを感じたり、感じなくなったりする出来事、そしてあなたがその問題を抱えていると思う理由について、その医療スタッフに相談しましょう。人生のストレスを減らす新しい方法に取り組むことも大切です。

参考文献

  • Ahmed SM, Hershberger PJ, Lemkau JP.Psychosocial influences on health.In:Rakel RE, Rakel DP, eds.Textbook of Family Medicine.9th ed. Philadelphia, PA:Elsevier; 2016:chap 3.
  • National Institute of Mental Health website.5 things you should know about stress.www.nimh.nih.gov/health/publications/stress/index.shtml(英語サイト).Accessed June 25, 2020.
  • Vaccarino V, Bremner JD.Psychiatric and behavioral aspects of cardiovascular disease.In:Zipes DP, Libby P, Bonow RO, Mann DL, Tomaselli GF, Braunwald E, eds.Braunwald's Heart Disease:A Textbook of Cardiovascular Medicine.11th ed. Philadelphia, PA:Elsevier; 2019:chap 96.
エナジードリンク
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英語版改訂年月(翻訳時):2018年7月

エナジードリンクは活力を増進し、脳の覚醒状態および身体能力を高める商品として広く宣伝されています。エナジードリンクはマルチビタミンの次にアメリカの十代や青年が利用する最も人気がある栄養補助食品です。最もエナジードリンクを利用するのは、18歳~34歳の男性であり、 12歳~17歳の十代の若者のほぼ3分の1がエナジードリンクを定期的に飲用しています。

エナジードリンクの商品には2種類あります。1つは16 オンス(1オンス=28.35g).ボトルなど通常のソフトドリンクに似たサイズで販売されています。もう1つはいわゆる「エナジーショット」と呼ばれる種類で、2~2½ オンスの濃縮液を入れた小さい容器で販売されています。いずれのエナジードリンク商品でも主な成分は、カフェインで、16 オンス ボトルに70~240 mg、エナジーショットに113~200 mg程度含まれています。(比較として、コーラの12 オンス缶には約35 mgのカフェイン、コーヒーの8 オンスカップには約100 mg。)エナジードリンクはカフェイン以外に、ガラナ(ブラジルのココアと呼ばれる別のカフェインのもと)、砂糖、タウリン、朝鮮人参ビタミンB群、グルクロノラクトン 、ヨヒンベカルニチン 、そしてダイダイなどの他の成分を含む場合があります。

エナジードリンクの利用は、重要な安全上の懸念があります。

  • 2007~2011年の間、エナジードリンクに関連した救急外来受診数は倍増しました。2011年では、このような受診の10件中1件は入院となりました。
  • 約25%の大学生がアルコールをエナジードリンクと一緒に消費しており、混ぜていない学生と比べ、かなり多くの頻度で一気飲みをしています。
  • 米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)(英語サイト)は、アルコールをエナジードリンクと混ぜた15~23歳の飲用者は、混ぜてない飲用者と比べ、かなり激しい一気飲み(一回の一気飲みにつき6杯以上飲むなど)をする可能性が4倍多いと報告しています。
  • アルコールをエナジードリンクと混ぜた飲用者は、混ぜていない飲用者よりも、意図しないまたは無防備なセックス、飲酒運転、酔った運転手とのドライブ、もしくはアルコール関連の怪我をより多く報告する傾向にあります。
  • 2011年、エナジードリンクに関連した救急外来全受診の内、42%はアルコールか薬物(マリファナ、市販薬、処方薬など)を飲み物に混ぜたことに関係した受診でした。

要点は?

  • 増えつつある一連のエビデンスが示すように、エナジードリンクは重大な健康への影響があり、特に子供、10代、青年で深刻です。
  • 一部の研究では、エナジードリンクが身体持久力を向上させることが判明していますが、筋肉の強度、筋力における影響についてはそれほどエビデンスがありません。エナジードリンクは注意力を高め、反応時間を改善しますが、手の動作の安定性を低下させる可能性があります。
  • エナジードリンクのカフェイン含有量はかなりばらつきがあり、実際のカフェインの成分はわかりにくいことがあります。飲料として販売されているエナジードリンクもあれば、サプリメントとして販売されているものもあります。いずれの商品のタイプにも、ラベルにカフェイン含有量を表示する義務はありません。

安全性

  • 多量のカフェインは、心拍の乱れ、脈拍や血圧の上昇などの重度の心臓・血管障害を引き起こす場合があります。また、カフェインは子供の発達中の心血管系および神経系に有害な場合があります。
  • カフェインの使用はまた、不安、睡眠障害、消化不良、脱水などと関連している場合もあります。
  • エナジードリンクによく含まれているガラナは、カフェインを含んでいます。そのため、ガラナの追加によりそのドリンクの総カフェイン含有量が増加します。カフェイン入りの飲料をアルコールと一緒に混ぜ飲んだ場合は、どの程度自分が酔っているのかわからないかもしれません。
  • カフェインを一緒に摂取していない場合よりも酔っぱらっていないと感じると同時に、運動神経や反応時間が低下している可能性があります。
  • 多量にエナジードリンクを飲用することは、10代の睡眠パターンを乱し、リスク(危険)な行為に繋がる可能性があります。
  • 容量16オンスのエナジードリンク1本には、54~62 gの砂糖が加えられている場合がありますが、これは1日分に推奨される添加砂糖の最大摂取量を上回ります。
米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
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監訳:大野智(島根大学)、富塚啓貴 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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