コミュニケーション
うつ病と補完療法の背後にある科学について知っておくべき5つのこと
5 Tips: What You Should Know About the Science Behind Depression and Complementary Health Approaches
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2021年2月12日
英語版最終アクセス確認日:2021年2月12日
うつ病はアメリカでは成人の約10人に1人がかかる病気です。うつ病は抗うつ薬やある種の心理療法などの通常医療で治療が可能です。うつ病の詳細については、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health :NIMH)(英語サイト)のウェブサイトをご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]
それでも、多くの人が従来の治療に加えて補完療法に目を向けています。補完療法は一般的に利用され、市場で簡単に入手できますが、これらの治療法の多くはうつ病では厳密に研究されていません。このため、これらの補完療法の有益性(ベネフィット)とリスク(危険)を理解し、十分な情報に基づいて健康に関する意思決定を行うことが重要です。
ここでは、うつ病に対するサプリメントについて知っておくべき5つのことを紹介しています。
- 一部の研究では、大うつ病性障害患者(major depressive disorder:MDD)およびMDDと診断されていないうつ病患者において、抗うつ薬などの従来の治療に加えオメガ3脂肪酸サプリメントが若干の改善をもたらす可能性があることが示唆されています。しかし、オメガ3サプリメントが体内でどのように作用し、そのような効果をもたらすかどうかについては、まだ多くの疑問が残っています。
- セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ、学名Hypericum perforatum)に関する研究では、限られた数の患者においてうつ病に対する標準的な抗うつ薬と同様の有益性(ベネフィット)が明らかになった場合もありますが、そうでない研究もあります。研究によると、セントジョーンズワートは多くの薬剤と相互作用し、意図した効果を阻害する可能性があり、セントジョーンズワートの安全性に関するリスクは、セントジョーンズワートを使用した場合の有益性(ベネフィット)を上回ることが示されています。
- 現在の科学的根拠(エビデンス)では、うつ病に対してSAMe(S-アデノシル-L-メチオニン)またはイノシトールを含む他のサプリメントの使用を支持していません。
- 心身療法の研究では、成人のうつ病に対する標準治療と併用した場合、一部でやや有望な結果が得られています。例えば、音楽療法によって気分が改善するというエビデンスがわずかにあります。さらに、これらの研究は、うつ病の症状を軽減するにはリラクゼーショントレーニングが無治療より優れているが、認知行動療法などの心理療法ほど有益ではないことを示しています。
- 自分の健康に責任を持ちましょう。あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
このページの情報は役に立ちましたか?
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください