文字サイズ変更
  • 標準
  • 特大
インフォグラフィックでわかる統合医療
医療関係者の方へ ホーム  >  コミュニケーション  >  小児と10代における注意欠如・多動症(ADHD)に対する補完療法について知っておくべき9つのこと

コミュニケーション

小児と10代における注意欠如・多動症(ADHD)に対する補完療法について知っておくべき9つのこと
9 Things To Know About Complementary Health Approaches for ADHD for Children and Teens

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2023年11月20日

注意欠如・多動症(Attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)は小児や10代の若者によく見られる疾患で、ほぼ10%(600万人)がこの疾患と診断されています。ADHDに対して多くの補完療法が研究されていますが、従来の治療法よりも効果的であると結論づけられたものはありません。

ここでは、ADHDに対して補完療法の使用を検討している場合に知っておくべき9つのことを紹介しています。

  1. オメガ3脂肪酸がADHDの症状に有用であるかどうかについては、現時点でのエビデンス(科学的根拠)は結論が出ていません。オメガ3サプリメントがADHDの症状に対して有用であったとする研究では、中枢神経刺激薬ほどの効果はありませんでした。
  2. メラトニンの補充は、ADHD児の睡眠障害に有用であるかもしれないと示唆するエビデンスがあるものの限定的です。メラトニンは、短期間の使用では比較的安全であると考えられますが、長期的な安全性は明らかにされていません。
  3. ピクノジェノール(Pycnogenol:フランス産海松樹皮)のADHDの症状に対する有用性や安全性について結論を出すには十分なエビデンスがありません。
  4. イチョウ葉(Ginkgo biloba)のADHDの症状に対する使用を支持する十分なエビデンスはありません。イチョウ葉と標準的な薬物治療を比較したある研究では、イチョウ葉の方が効果は低いという結果でした。
  5. セントジョーンズワート(St.John’s Wort、セイヨウオトギリソウ)は、ADHDの症状に対してプラセボ(不活性物質)よりも有用ではないことが現時点でのエビデンスで示唆されています。セントジョーンズワートは、多くの医薬品に有害な相互作用を起こすことが知られています。
  6. 鍼治療がADHDの症状に対して有用であるかどうかは、結論を導き出すには十分なエビデンスがありません。鍼治療は、正しく行えば一般的に安全であると考えられます。
  7. 瞑想がADHDの症状に対して有用であるかどうかは明らかにされていません。ヨガを含む有酸素運動は、ADHDの症状に対してわずかから中等度の有益な効果があります。
  8. ニューロフィードバック(脳波パターンを変化させる訓練を受ける技術)のADHDに対する有用性に関するエビデンスはまちまちです。
  9. ADHDのお子さんに対して、補完療法の使用を検討している場合は、そのお子さん今かかっている医療機関※に相談しましょう。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

このページの情報は役に立ちましたか?

更新日:2023年12月26日

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください

「統合医療」情報発信サイト
医療関係者の方へ 関連コンテンツ

統合医療とは?
情報の見極め方クイズ
eJIM利用マニュアル
ここくら【こころとくらし】
e-ヘルスネット
インフォグラフィックでわかる統合医療
ページトップ
ページトップ