コミュニケーション
プロバイオティクスについて知っておくべき5つのこと
5 Things To Know About Probiotics
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2023年11月20日
プロバイオティクスとは、人体に自然に存在する微生物と同じ、あるいは類似している生きた微生物(例:細菌)であり、健康に有益であるかもしれないと考えられています。人体を細菌やその他の微生物の「宿主」として捉えるとプロバイオティクスへの理解がより深まるかもしれません。人体の中でも特に下部消化管(腸)は、複雑で多種多様な細菌群が存在しています。細菌は有害な「病原菌」と考えがちですが、実際には細菌の多くは体の機能を正常に保つのに役立っています。
プロバイオティクスは、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け・医療関係者向け)やヨーグルトのような経口(口から)摂取の製品として、また坐薬やクリームのような経口用以外の製品としても消費者に提供されています。ただ、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、プロバイオティクスに対して、いかなる健康強調表示も認めていないことを認識しておくことが重要です。2023年、FDAは、未熟児にプロバイオティクスを投与すると、製品に含まれる微生物によって引き起こされる重篤で致死的な感染症のリスク(危険)があると医療従事者に警告しました。ここでは、プロバイオティクスについて知っておくべきいくつかのことを紹介しています。
- プロバイオティクスは、急性下痢症、抗菌薬関連下痢症、アトピー性皮膚炎(乳幼児によく見られる皮膚疾患)の改善に有用であるかもしれないとするいくつかのエビデンス(科学的根拠)があります。
- プロバイオティクス製剤の中には、研究で有望な結果が示されたものもありますが、ほとんどの症状・疾患に対して、それ(※上記、下痢症、アトピー性皮膚炎)以外のプロバイオティクスの使用を支持する強固なエビデンスは不足しています。
- プロバイオティクスは、通常、副作用がほとんどないということが研究で示唆されています。しかしながら、安全性、特に長期摂取の安全性に関するデータは限られており、基礎疾患のある人では重篤な副作用のリスクが高くなるかもしれません。未熟児にプロバイオティクスを投与したことによる重篤な感染症や致死的な感染症が報告されています。
- プロバイオティクス製品には、さまざまな種類のプロバイオティクス細菌が含まれているため、製品ごとに人体への作用も異なってきます。また、プロバイオティクス製品の効果も、人により異なるかもしれません。
- プロバイオティクスのダイエタリーサプリメントの摂取を検討している場合には、まずは、今かかっている医療機関※に相談しましょう。科学的に立証された治療法を、立証されていない製品や療法に置き換えてはいけません。
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)
更新日:2023年12月26日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください