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季節性情動障害に対する補完療法について知っておくべき6つのこと
6 Things To Know About Complementary Health Approaches for Seasonal Affective Disorder

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2021年2月12日

季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder:SAD)は、季節とともに出たり消えたりするうつ病の一種で、通常は秋の終わりまたは冬の初めに発症し、春と夏の間に消失します。SADと診断されるのは、少なくとも2年間、特定の季節(冬か夏に発現)に大うつ病の基準を完全に満たされた場合に限ります。冬型SADの症状には、気力低下、過眠症、食べ過ぎ、体重増加、炭水化物への欲求、引きこもり(「冬眠」のような感じ)などがあります。SAD患者の中には、薬物療法(通常抗うつ剤)または心理療法、あるいは両方の治療が行われる場合があります。他のSAD患者の中には、光治療やサプリメントなどの補完療法を試みる人もいるかもしれません。ここでは、SADに対する補完療法について、知っておくべき6つのことを紹介しています。

  1. 一部のエビデンスによると、季節性情動障害の既往歴のある患者には、光治療が予防治療として有効であると考えられています。光治療の背景にある考えは、照明器具の光を毎日浴びることによって、秋冬の季節の減少した太陽の光の代わりにすることです。照明器具の、紫外線を除いた10,000 luxの白色蛍光を20~60分間浴びることが通常必要ですが、これは通常の室内照明よりも約20倍多い量です。
  2. 一部のエビデンスでは、SADのための認知行動療法(Cognitive behavior Therapy;CBT)はSADの再発減少と回復に効果的であり、少なくとも最初と2番目の冬季の間は効果が継続すると示しています。従来の認知行動療法は、SADの使用に適用されてきました(CBT-SAD)。CBT-SADは、行動活性化という方法に沿って、ネガティブな考えを認識し、それをポジティブな考えに置き換えるといった、CBT の基本的なテクニックに則っています。行動活性化法により、室内外に関わらず、魅力的で楽しい活動を見つけることができ、冬にうまく対応できることを目指します。
  3. ごく一部の研究は、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)がSADの症状を多少改善するかもしれないと示唆しています。しかし、セントジョーンズワートの摂取には関連リスクがあります。例えば、セントジョーンズワートは抗うつ剤、避妊薬、シクロスポリン、ジゴキシン、インジナビル、イリノテカン、抗凝固剤など、多くの薬剤の効果を弱める可能性があります。特定の抗うつ剤やその他の薬とセントジョーンズワートを一緒に摂取すると、セロトニンに影響してセロトニン関連の副作用の増加につながり、重篤化する恐れがあります。
  4. 一部の限られたエビデンス(参加者少数の小規模試験)は、メラトニンがSAD患者の睡眠をある程度改善すると示唆しています。メラトニンは短期で使用した場合は安全のようですが、長期的な研究がないため、長期間の使用が安全かどうかわかりません。
  5. ビタミンDサプリメントの摂取は、有効なSAD の治療方法とは考えられていません。血中ビタミンD低値はSAD 患者によく見られます。しかし、ビタミンD の使用に対するエビデンスは様々です。ビタミンD補充が光療法と同程度の効果があると示唆する研究もありますが、ビタミンDは全く効果がないとした研究もあります。
  6. 自分の健康に責任を持ちましょう。あなたが行っている補完療法についてかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください

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