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前立腺肥大症(Benign Prostatic Hyperplasia:BPH)に対する補完療法について知っておくべき5つのこと
5 Tips:What You Should Know About Complementary Health Approaches for BPH
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
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英語版最終アクセス確認日:2021年2月12日
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前立腺肥大症はBPHとも呼ばれ、男性の前立腺が肥大しているが、がん化はしていない状態のことです。BPHは、50歳を越える男性に最も多い前立腺の問題です。前立腺が肥大すると、前立腺が尿道(膀胱から尿を排出する管)を圧迫して締め付けます。最終的に、膀胱が弱まり完全に空にする能力が失われ、膀胱内に尿が残ってしまうことがあります。尿道の狭窄と尿貯留(膀胱を完全に空にできないこと)により、BPHに伴う多くの問題が起こります。
BPHの治療選択肢には、一般的には、生活様式の変化、薬物治療、低侵襲処置または手術が挙げられます。BPHに伴う下部尿路症状の治療のために、植物療法(天然物)のようないくつかの補完療法を行うことがよくあります。一部の天然物は、BPHに伴う症状を短期的に改善するのに有用である可能性があるという限定的な科学的根拠(エビデンス)はありますが、実施された試験のほとんどは小規模で期間が短く、さまざまな用量や製剤が使用されていました。BPHの症状を治療するために補完療法を検討している場合に知っておくべき5つのことを紹介しています。
- 複数の小規模な研究では、ノコギリヤシ(Serenoa repens)がBPHに伴う尿路症状に対してわずかな効果を有することが示唆されていますが、より大規模な研究と科学文献のレビューでは、ノコギリヤシにはこれらの症状に対してプラセボを上回る効果はないことがわかりました。
- 一部の限定的なエビデンスでは、ピュゲウム・アフリカナム[Pygeum africanum](African plum tree:アフリカンプラム)、ウルティカ・ディオイカ[Urtica dioica](stinging nettle:セイヨウイラクサ)がBPHのいくつかの下部尿路の症状を短期的に改善する可能性があるというエビデンスがあります。セイヨウイラクサとノコギリヤシの併用治療がこれらの症状が改善する可能性があるという一部の限定的なエビデンスもあります。
- BPHの予防や治療のためにリコピンを使用することを支持する十分なエビデンスはありません。
- 鍼治療がBPHの症状に対して有益かどうかを判断するのに十分なエビデンスはありません。
- 自分の健康に責任を持ちましょう。あなたが行っている補完療法についてかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。一緒に、情報を共有し、十分な情報に基づいた意思決定を行うことができます。
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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください
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