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多発性硬化症(Multiple Sclerosis:MS)に対する補完療法について知っておくべき8つのこと
8 Tips: What You Should Know About Complementary Health Approaches for Multiple Sclerosis
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2023年11月20日
多発性硬化症(Multiple sclerosis:MS)は、中枢神経系の疾患です。MSでは、自身の免疫系が神経細胞を覆うミエリンを攻撃します。MSの症状には、筋力の低下(手と足に多い)、うずく感覚(チクチク・ヒリヒリする痛み)や焼けつくような感覚(灼熱感)、しびれ、慢性疼痛、協調運動や平衡感覚の問題、倦怠感、視覚障害、膀胱のコントロール障害などが挙げられます。MSのさらなる情報ついては、米国国立神経疾患・脳卒中研究所 (National Institute of Neurological Disorders and Stroke:NINDS)のウェブサイト(英語サイト)をご覧ください。
MSを完治する方法はありませんが、従来の治療の中には、症状を改善し、再発の回数や重症度を減らし、疾患の進行を遅くすることが可能です。多くのMS患者は、なんらかの補完療法、多くの場合には特別な食事やダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け・医療関係者向け)を試しています。ここでは、MSに対する補完療法について、知っておくべき8つのことを紹介しています。
- ヨガを行うことで倦怠感と気分を改善する可能性がありますが、ヨガが運動能力や思考能力の改善に役立つというエビデンス(科学的根拠)はありません。
- リフレクソロジー(足の裏を指圧する)は、MSに伴うことのある灼熱感やうずく感覚を軽減する可能性がありますが、信頼できる結論を出すためには、より大規模な研究が必要です。
- 磁気療法(電流を用いて磁場を発生させる装置を用いた療法)は、MS患者の痙縮、倦怠感、疼痛の軽減に有用であるかもしれないことを示唆する限定的なエビデンスもありますが、研究の質が低く、規模も小さいです。
- 高気圧酸素療法は、しばしばMS患者を対象に盛んに行われていますが、MSの治療に高気圧酸素療法を用いることを支持する一貫したデータはありません。
- THC/カンナビノイドとして知られるマリファナに含まれる化学物質は、MS患者の痙縮および/または疼痛を緩和するかもしれません。米国では、MSの治療薬としてマリファナ由来の医薬品は米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)から承認されていませんが、他のいくつかの国では、MSに関連する筋肉のコントロールのために、THC/カンナビノイド配合のマウススプレーであるサティベックスが承認されています。
- 魚油およびイチョウ葉などのダイエタリーサプリメントが、MSに有用であることは示されていません。
- ビタミンD(eJIM内:一般向け・医療関係者向け)がMS患者の治療に有用であるかどうかについての研究結果は矛盾するものでした。決定的な結論を導き出すには、より多くの質の高い研究が必要です。
- 自分の健康を守るために、自分が行っている補完療法について今かかっている医療機関※に相談しましょう。
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)そうすることで、十分な情報を得た上で意思決定をすることができます。
更新日:2023年12月26日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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