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海外の情報

健康のためのリラクゼーション法
Relaxation Techniquies for Health

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英語版改訂年月(翻訳時):2016年5月

要点は?

リラクゼーション法について解明されていることは?

リラクゼーション法については多数の研究がなされています。しかし多岐にわたる健康状態に対するリラクゼーション法の研究の数や規模は小さく、中には研究の質が低いものもあります。

リラクゼーション法の有効性についてわかっていることは?

リラクゼーション法は、病気や治療に対する不安、不眠症、陣痛、化学療法誘発性悪心、顎関節機能障害など、さまざまな症状の管理に有用の可能性があります。リラクゼーション法などの心理療法は、小児や青少年の慢性頭痛やその他の慢性疼痛の管理に有用の可能性があります。リラクゼーション法は、他の症状においても研究されていますが、有用であることが示されていないか、研究結果に一貫性がないか、科学的根拠(エビデンス)が限られています。

リラクゼーション法の安全性についてわかっていることは?

リラクゼーション法は、健常者にとって一般的に安全であると考えられていますが、不安の増悪など、数件の否定的な報告がされています。深刻な身体的、精神的疾患を抱える人は、リラクゼーション法についてかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。

リラクゼーション法とは?

リラクゼーション法には、プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)、誘導イメージ法、バイオフィードバック(行動療法)、自己催眠、深呼吸法などさまざまな方法があります。それぞれの目標は同じで、ゆっくりとした呼吸、血圧の低下、幸福感の増大を特徴とする身体の自然なリラクゼーション反応を引き起こすことです。

瞑想およびヨガ太極拳などを含む動きのある瞑想や運動もリラクゼーションを促進します。米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)のウェブサイト(英語サイト)でこれらの運動に関する情報を閲覧することができます。

ストレス管理プログラムには一般的にリラクゼーション法が含まれます。また、リラクゼーション法は、さまざまな健康障害の管理に有効であるのか研究されてきました。

訓練の重要性
リラクゼーション法は技能であり、他の技能と同じように訓練が必要です。よくリラクゼーション法を行う人は、その利益も得られやすいです。慢性的な健康問題をコントロールするためにリラクゼーション法を利用する場合は、定期的かつ頻繁に利用することが特に重要です。リラクゼーション法は、短期間利用するより継続することでより効果が出ます。

リラクゼーション法には以下のものがあります。

自己訓練法
身体のさまざまな部位の温かさ、重さ、リラックス感という、身体的な感覚に意識を向けることを学びます。
バイオフィードバック(行動療法)によるリラクゼーション法
身体機能を測定し、その情報を知ることでそれらをコントロールすることを学びます。バイオフィードバック(行動療法)によるリラクゼーション法では電子機器を使うことで、筋緊張の緩和などのリラクゼーション変化を身体に引き起こすことを学びます。
深呼吸法または呼吸法
ゆっくりとした深い落ち着いた呼吸をすることに集中します。
誘導イメージ法
ネガティブな気分やストレスのたまった気分の代わりに楽しいイメージを意識します。誘導イメージは自分自身によるもの、または施術者や記録されたものによるものです。
プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)
ジェイコブソンリラクゼーション法またはプログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)とも呼ばれますが、様々な筋肉群をそれぞれ引き締めたり弛緩させたりするものです。プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)はしばしば誘導イメージ法や呼吸法とともに用いられます。
自己催眠
特定のフレーズまたは言葉を使わない合図(「暗示」とも呼ばれます)を使ってリラクゼーション反応を引き起こします。

科学的観点から見たリラクゼーション法の有効性

リラクゼーション法の研究は以下のようなさまざまな健康問題に対して行われています。

不安
研究によりリラクゼーション法は、心疾患や腸疾患などに罹患している患者または乳房生検術や歯科治療などの医療処置を受けている患者の不安感を軽減する可能性があることがわかっています。またリラクゼーション法は、不安感のある高齢者に効果があることもわかっています。

一方リラクゼーション法は、全般性不安障害の患者にとっては最良の治療法とは言えないところがあります。全般性不安障害は数カ月以上継続する精神障害で、多くの物事に対して頻繁に心配や不安を生じ、その不安感をコントロールするのが困難になります。全般性不安障害の患者では、認知行動療法と呼ばれる心理療法を受けている患者のほうが、リラクゼーション法を受けている患者より長期結果が良好であることが研究により示唆されています。
喘息
リラクゼーション法により成人や小児の喘息患者の症状が緩和できるかどうかについては、十分な研究がありません。
出産
誘導イメージ法、プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)、呼吸法などのリラクゼーション法は、陣痛のコントロールに有効である場合があります。自己催眠を教わった女性は、陣痛を和らげる薬を必要とする傾向が低いことが研究によりわかっています。バイオフィードバック(行動療法)による陣痛緩和効果は示されていません。
うつ病
15件の研究の評価から、リラクゼーション法はうつ病の症状の軽減に関して無治療より良いが、認知行動療法などの心理療法ほどは有益でないことが結論付けられています。
てんかん
リラクゼーション法がてんかんのコントロールに有効であるという明確なエビデンスはありません。
線維筋痛症
線維筋痛症に対する誘導イメージ法の研究には一貫した結果がありません。

2013年の筋電図 (electromyographic:EMG)を用いたバイオフィードバック(行動療法)の研究では、患者が筋緊張をコントロールして和らげることを教わることで線維筋痛症の痛みを短時間和らげるのに効果があると報告されています。しかし筋電図バイオフィードバックは線維筋痛症の患者の睡眠障害、抑うつ感、倦怠感、健康に関連する生活の質(quality of life:QOL)には改善が認められず、その長期的効果は今のところ証明されていません。
頭痛
  • バイオフィードバック(行動療法)バイオフィードバック(行動療法)は緊張性頭痛や片頭痛に対して研究されてきました。
    • 質の高い研究を集めた評価では、バイオフィードバック(行動療法)が緊張性頭痛を緩和できるかどうかについては矛盾する科学的根拠(エビデンス)がある、と結論付けています。
    • バイオフィードバック(行動療法)により片頭痛の頻度が減少することを示す研究もあります。しかしバイオフィードバックがプラセボより効果があるかは不明です。
  • その他のリラクゼーション法緊張性頭痛に対する、バイオフィードバック(行動療法)以外のリラクゼーション法を検討した研究もあります。質の高い研究を集めた評価では、リラクゼーション法が無治療やプラセボより有効かどうかのエビデンスには矛盾したものがあると報告されています。その他のリラクゼーション法は、バイオフィードバック(行動療法)ほど効果がないとする研究もあります。
心臓病
心臓病患者において、リラクゼーション法はストレスや不安感を緩和し、心拍数などの身体計測結果に有益な影響を与える可能性があることが研究によりわかっています。
高血圧
ストレスにより血圧が短期間上昇する場合がありますが、リラクゼーション反応により短期間血圧が降下し降圧薬の必要性を低下させることがわかっています。しかしリラクゼーション法が高血圧に長期的に効果があるかは明確ではありません。
不眠症
リラクゼーション法が慢性的な不眠に有効であるというエビデンスがあります。良質な睡眠を得るために、リラクゼーション法は他の方法、すなわち、一貫した睡眠スケジュールの維持;カフェイン、アルコール、胃もたれする食事、就寝直前の激しい運動の回避(静かで涼しく暗い部屋での睡眠など)と併用することが可能です。
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome :IBS)
米国消化器病学会(American College of Gastroenterology)による研究結果の評価ではリラクゼーション法は過敏性腸症候群の症状緩和に有用ではないと、結論付けています。しかし認知行動療法や催眠療法などのその他の心理療法は、過敏性腸症候群患者の総体的症状の改善に関係があります。
更年期障害の症状
閉経に関連するほてりやその他の症状に対するリラクゼーション法の研究がされていますが、研究の質が高くないので明確な結論に達するまでには至っていません。
月経痛
リラクゼーション法が月経痛に有益である可能性があると示唆する研究もありますが、少数例での研究や質の低い研究が含まれるため、明確な結論には達していません。
吐き気
誘導イメージ療法やプログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)などのある種のリラクゼーション法は、吐き気止めと併用すると、がん化学療法による吐き気を緩和するのに有効であるようだと研究エビデンスの評価で結論付けています。
悪夢
原因不明の悪夢や心的外傷後ストレス障害に関連する悪夢に対してリラクゼーション運動は有効な療法である場合があると、示唆する研究もあります。しかしリラクゼーション法は、より広範な治療法(心理療法や薬物療法)ほど有効ではないと多くの研究の評価では結論付けています。
疼痛
誘導イメージ療法は筋骨格系疼痛(骨格や筋肉などの痛み)やその他の痛みを緩和する可能性があるという有望であるが確証のないエビデンスが認められています。

入院中のがん患者を対象とした解析では、入院中に誘導イメージ療法やリラクゼーション反応訓練などの統合治療を受けた患者において、疼痛と不安の両方が軽減されていました。
小児や青少年の疼痛
2014年の評価では、リラクゼーション法、ならびに認知行動療法などの他の療法を含む心理療法が、小児や青少年の慢性頭痛または他の慢性疼痛を軽減しうるという科学的根拠(エビデンス)が認められています。このエビデンスは特に頭痛に有効です。頭痛への作用は治療から数カ月間持続する可能性があり、同療法は不安を軽減するのにも役立ちます。
心的外傷後ストレス障害
心的外傷後ストレスのバイオフィードバック(行動療法)および他のリラクゼーション法の研究は、矛盾する結果となりました。
関節リウマチ
バイオフィードバック(行動療法)やその他のリラクゼーション法が関節リウマチの追加治療の選択肢になりうるとする限られたエビデンスがあります。
耳鳴り
耳鳴りに対し、リラクゼーション法が有効であるとする研究もわずかながらあります。これらの研究で得られたエビデンスは限られたものですが、リラクゼーション法が有効であり、特に症状の煩わしさの軽減に役立つ可能性を示唆しています。
禁煙
限られたエビデンスから、誘導イメージ法は禁煙に有効である可能性があるとされています。

自発訓練法と認知行動療法の比較研究において、前者は後者よりも禁煙補助としての効果が低いことが判明しました。しかしながら、本研究ではアルコールデトックスプログラム患者が含まれているため、同結果は他の人々には適用されない可能性があります。

予備調査では、誘導リラクゼーションの習慣がタバコへの渇望軽減になる可能性が示唆されています。
顎関節症
顎関節(顎を側頭部に接続する関節)の問題により、痛みが引き起こされ、顎の動作が困難になる可能性があります。リラクゼーション法を含むプログラムが顎関節症の症状を緩和するのに役立つ可能性を示す研究もあります。

科学的観点から見たリラクゼーション法の安全性および副作用

  • リラクゼーション法は一般的に健康な人が行う場合には安全と考えられています。しかしながら、時には、不安増大、侵入的思考、自制心を失う恐れなどネガティブな経験が報告される場合もあります。
  • 特定のリラクゼーション法によって、てんかんまたは特定の精神疾患をもつ患者や乱用または心的外傷の既往歴がある人々に症状が現れたり、症状が悪化したりする可能性があるとする報告がまれにあります。心疾患のある方は、漸進的筋弛緩法を行う前にかかりつけ医療スタッフに相談しましょう。

NCCIHによる研究助成

NCCIHは、リラクゼーション法に関するさまざまな研究を助成しています。現在研究中のトピックには以下の例が含まれています。

  • 実際の医療現場における、リラクゼーション法およびその他の補完療法の腰痛への活用
  • 入院患者の疼痛管理のための誘導イメージ療法およびリラクゼーション反応トレーニング

リラクゼーション法の指導者とは?

リラクゼーション法の指導者となりうるのは、医師、心理学者、ソーシャルワーカー(社会福祉指導員)、看護師、補完療法の施術者などさまざまな専門家です。また、簡単なリラクゼーション法を独学で学ぶ人もいます。

さらに考慮しなければならないこと

  • 重度または長期に渡る何かしらの症状がある場合は、医療スタッフに相談しましょう。早急に治療する必要がある症状があるかもしれません。例えば、うつや不安が続く場合は、資格を持った医療スタッフに助けを求めることが重要です。
  • あなたが行っている補完・統合医療についてかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

消費者向け情報

関連するファクトシート

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト: nccih.nih.gov(英語サイト)
E-mail:info@nccih.nih.gov(メール送信用リンク)

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed(PubMedで補完療法情報を探す)(英語サイト)をご覧ください。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed(英語サイト)

■ Research Portfolio Online Reporting Tools Expenditures & Results (RePORTER)

RePORTERは、研究機関において、政府が助成し現在実施されている科学・医学研究プロジェクトに関する情報のデータベースです。

ウェブサイト: projectreporter.nih.gov/reporter.cfm(英語サイト)

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

国立衛生研究所(NIH)[米国]が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

ウェブサイト:www.nih.gov/health/clinicaltrials/(英語サイト)

■ Cochrane Database of Systematic Reviews(システマティックレビューのコクランデータベース)

システマティックレビューのコクランデータベースは、国際的非営利組織であるコクランライブラリー により作成された科学的根拠(エビデンス)に基づくレビューのコレクションです。これらのレビューは、医療介入に関する臨床試験の結果を要約しています。要約は無料です。レビュー全文は購読のみです。

ウェブサイト: www.cochranelibrary.com(link is external)(英語サイト)

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参考文献

その他の参考文献

謝辞

NCCIHは、この出版物の2014年版からの更新における貢献に対して次の人に感謝します。
Herbert Benson, M.D., the Benson-Henry Institute, and Mind/Body Medical Institute, Harvard Medical School; Jeffery Dusek, Ph.D., Penny George Institute for Health and Healing, Abbott Northwestern Hospital; Janice Kiecolt-Glaser, Ph.D., The Ohio State University College of Medicine; and Kristen Huntley, Ph.D., and David Shurtleff, Ph.D., NCCIH.

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

大野智、富塚啓貴(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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