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海外の情報

ペパーミントオイル
Peppermint Oil

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年10月
一般名(英名):
peppermint, peppermint oil
学術名:
Mentha x piperita

背景

  • ペパーミントは、2種類のミント(ウォーターミントおよびスペアミント)の自然交配種で、ヨーロッパおよび北アメリカ全土で自生します。
  • ペパーミントの葉および精油(エッセンシャルオイル)は、ともに健康目的で使用されています。ペパーミントオイルは、ペパーミントの花や葉から留出される精油です。(精油は、ペパーミントに特徴的な香気や芳香をもたらす物質を含む非常に濃縮された油です)
  • ペパーミントは食品や飲料に含まれる一般的な香味料(あるいは香料添加剤)であり、ペパーミントオイルは石鹸や化粧品等に香りを添加するために香料として使用されます。
  • ペパーミントは数千年前より健康目的で使用されてきました。古代ギリシア、古代ローマおよび古代エジプトの記録には、ペパーミントを消化器系疾患などさまざまな症状・疾患に使用されたことが記されています。
  • 現在では、ペパーミントは過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)およびそのほかの消化器系の問題、風邪、副鼻腔感染症、頭痛およびさまざまな症状・疾患に対して良いとされています。ペパーミントオイルは頭痛、筋肉痛、関節痛、そう痒などの症状への局所使用(皮膚に塗布)が良いとされています。アロマセラピーでは、ペパーミントオイルは咳や風邪の治療、疼痛緩和、精神機能改善およびストレス軽減に良いとされています。

これまでに解明されていること

  • ペパーミントオイルについては、主にIBSに重点を置いて、わずかな研究が実施されています。
  • ペパーミントの葉の研究はほとんど行われていません。

研究で明らかになったこと

  • わずかな研究では、ペパーミントオイルの腸溶性カプセル剤が成人においてIBS症状を改善する可能性があると示唆されています。
  • 1件の小規模研究では、ペパーミントオイルの腸溶性カプセル剤が一部の小児において、腹痛を軽減する可能性があると示唆されています。
  • 少数の研究では、ペパーミントオイルとキャラウェイオイルを含む特定の製品とペパーミントの葉を含む特定の組み合わせた製品が消化不良を和らげるのに有用である可能性を示しています。しかし、ペパーミントオイルを単独で摂取した場合に有用であることを示す科学的証拠(エビデンス)はありません。実際のところ、一部の人ではペパーミントオイルを単独で摂取すると消化不良が悪化する場合があり、望ましくない副作用が出現する可能性があります。(補足:日本では、ペパーミントのエッセンシャルオイルの経口(口から)摂取は認められていません)
  • 限られたエビデンスでは、ペパーミントオイルの局所への塗布が緊張性頭痛に有益であることを示唆されています。
  • 授乳中の女性がペパーミントオイルを含有するゲル、水剤またはクリームを乳頭部に局所塗布した場合、乳頭部の痛みやひび割れ(乳頭亀裂)に対して有用である可能性があります。乳幼児では、ペパーミントオイルに含まれるメントールが呼吸に悪影響をおよぼす可能性があるため、吸入や顔への塗布をおこなうべきではありません。したがって、ペパーミントオイルは授乳後にのみ使用し、次の授乳の前に拭き取る必要があります。
  • わずかな研究では、ペパーミントオイルが内視鏡検査やバリウム注腸検査などの処置をおこなう際にみられる痙攣を軽減するのに有用である可能性が示唆されています。
  • ペパーミントオイルが、そのほかの症状・疾患に有用であるか否かを結論するに足る十分なエビデンスはありません。

安全性について

  • ペパーミントオイルは、一般的に使用される用量で、経口(口から)摂取あるいは局所的に塗布された場合に安全だと思われます。ペパーミントオイルは多くの臨床試験で安全に使用されています。
  • ペパーミントオイルを経口(口から)摂取した場合に考えられる副作用は、胸焼け、悪心、腹痛および口内乾燥です。(補足:日本では、ペパーミントのエッセンシャルオイルの経口摂取は認められていません)ペパーミントオイルはまれにアレルギー反応を起こすことがあります。
  • 一般的に、ペパーミントオイル含有カプセルは、摂取した際の胸やけを減らすために腸溶性カプセルになっています。ペパーミントオイルの腸溶性カプセルを制酸剤と同時摂取した場合、コーティングの分解が早すぎる可能性があります
  • ペパーミントオイルを皮膚に塗布する場合の副作用には、皮膚発疹および炎症が挙げられます。オイルに含まれるメントール成分を吸うと重篤な副作用が起こる可能性があるため、乳児または幼児の顔にペパーミントオイルを塗布しないでください。
  • 妊娠中、あるいは授乳中のペパーミントオイル摂取の安全性についてはほとんどわかっていません。
  • ペパーミントの葉で作られたペパーミント茶は安全であると思われます。しかしペパーミントの葉を大量に長期摂取した場合の安全性については不明です。

注意事項

  • 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

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参考文献

詳細情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
tty (聴覚障害者や難聴者向け):
1-866-464-3615
Website:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed」(英語サイト)をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)

■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)

ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。

ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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