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海外の情報

バターバー
Butterbur

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年7月
一般名(英名):
butterbur, petasites, purple butterbur.
学術名:
Petasites hybridus (別名:Petasites officinalis または Tussilago hybrida).

背景

  • バターバーは、ヨーロッパや、アジアおよび北アメリカの一部に自生する低木です。バターバーという名前は、温暖な気候の地域において、その大きな葉でバターを包むという伝統的な使用法に起因しています。
  • バターバーは、中世においては伝染病や発熱の場合に、17世紀には咳、喘息、皮膚創傷の治療に使用されていました。最近では、バターバーはサプリメントとして泌尿器症状、胃のむかつき、頭痛(片頭痛など)、アレルギー性鼻炎(花粉症)などの疾患に良いとされています。

これまでに解明されていること

  • 片頭痛やアレルギー性鼻炎(花粉症)に対するバターバーに関する少数の研究より、両症状に対する効果についていくつか知見が得られています。

研究で明らかになったこと

  • バターバーは成人および小児において片頭痛の頻度を減らす効果があると考えられます。2012年に、米国神経学会(American Academy of Neurology)は片頭痛の予防にバターバーを使用するよう推奨しました。しかし、当学会は2015年に、肝毒性に関する深刻な懸念があるとして、この推奨を取りやめました。
  • バターバーの根または葉の抽出物(エキス)に関する研究では、花粉症(アレルギー性鼻炎)の症状を改善する可能性が示唆されていますが、データの信頼性は高くありません。
  • 1件の研究では、バターバーを含む配合剤が身体表現性障害を有する患者の不安感うつ状態を改善する可能性が示唆されました(身体表現性障害は、生理学的には説明できない身体症状が特徴で、心理的要因が関与している可能性が高い)。
  • バターバーがアレルギー性皮膚反応、慢性閉塞性気管支炎、不眠症、胃のむかつき、泌尿器症状、喘息などの症状・疾患に有用であることは証明されていません。

安全性について

  • 一部のバターバー製品にはピロリジジンアルカロイド(pyrrolizidine alkaloids 、PA)、と呼ばれる化学物質が含まれています。PAは肝臓、肺、血液循環を障害する可能性があり、発がん性も疑われています。PAを除去する処理をおこない、PAが含まれていないことを示す認証ラベルが貼られたバターバー製品のみを使用すべきです。
  • 一部の国は肝毒性への懸念からバターバー製品の販売を中止しました。
  • 一部の専門家は、安全性に問題があるため、バターバーを片頭痛の治療に使用しないよう勧告しています。
  • バターバー製品を皮膚に塗布した場合の安全性は十分に解明されていません。
  • 小児や青年期の人々を対象とした少数の研究を含む一部の研究では、PAを含有していないバターバー製品を推奨用量で最長16週間経口摂取しても安全のようだと報告されています。しかし、PAを含有していないとされている製品に、実際はPAが含まれている可能性もあります。例えば、ペタドレックス(Petadolex) はPAを除去したバターバー製品として市販されていますが、一部の人で肝障害との関連性が認められており、PAが含まれていた可能性が示唆されます。また、バターバーを長期使用した場合の安全性も確立されていません。
  • 妊娠中および授乳中は、先天異常や肝障害を引き起こす可能性があるため、PAを含有するバターバー製品を使用すべきではありません。妊娠中、あるいは授乳中にPAを含まないバターバー摂取の安全性についてはほとんどわかっていません。
  • PAを含まないバターバーは、通常、忍容性は良好ですが、おくび(げっぷ)、頭痛、眼のかゆみ、下痢、呼吸困難、倦怠感、胃のむかつきおよび眠気を引き起こす可能性があります。
  • バターバーは、ブタクサ、キク、マリーゴールド、ヒナギクなどの植物に敏感な人にアレルギー反応を引き起こすことがあります。
  • バターバーを自分が使用、あるいは子供に与えることを考えている場合は、医療スタッフに相談しましょう。医療スタッフは、バターバーを使用している人々の肝機能モニタリングを検討する場合があります。

注意事項

  • 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

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関連トピック

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参考文献

詳細情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
tty (聴覚障害者や難聴者向け):
1-866-464-3615
Website:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed」(英語サイト)をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)

■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)

ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。

ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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