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シナモン
Cinnamon
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版改訂年月(翻訳時):2020年5月
- 一般名(英名):
- cinnamon, cinnamon bark, Ceylon cinnamon, cassia cinnamon
- 学術名:
- Cinnamomum verum (別名:Cinnamomum zeylanicum), Cinnamomum aromaticum (別名:Cinnamomum cassia)
背景
- シナモンには多くの種類があります。セイロン・シナモン(Cinnamomum verum)はスリランカが発祥で、「真性シナモン(”true” cinnamon)」として知られています。カッシア・シナモン(Cinnamomum aromaticum)は東南アジアに自生しています。北アメリカで最も多く販売されているのはこの品種です。
- シナモンは何千年もの間、香辛料として利用されていますが、さまざまな品種のシナモンの樹皮から作られています。シナモンの葉、花、果実および根も、料理や薬に用いられてきました。シナモン製品の化学組成は、原材料の品種や使用部位によって異なります。
- シナモンは、中国、インド、ペルシャ(イラン)をはじめとする世界各地で伝統医学に利用されてきた長い歴史があります。
- 現在では、シナモンはサプリメントとして、糖尿病、過敏性腸症候群またはそのほかの胃腸障害など、さまざまな症状・疾患に良いとされています。カッシア・シナモンは、虫除けとして皮膚への局所使用が良いとされています。
これまでに解明されていること
- シナモンに関する研究は多く、特に糖尿病への効果について研究されています。しかし、使用したシナモンの品種や部位が不明な場合も多いため、研究結果の解釈は困難です。
研究で明らかになったこと
- 人を対象とした試験の結果からは、いかなる健康状態に対してもシナモンの使用を明確に支持するものはありません。
- 2019年に発表された、糖尿病患者にシナモンを補充した18件の試験を対象とするレビューでは、シナモンは血糖値を低下させるものの、長期間の血糖値を反映する指標であるヘモグロビンA1C値にはあまり影響しないことが示唆されました。しかし、10件の試験では使用したシナモンの種類が明記されておらず、8件の試験はほかの理由で研究の質が低いと判断されたため、このレビューの結果に意味があるかどうかは不明です。
- シナモンが減量および血中コレステロール値と関連脂質のコントロールに有用であるかは解明されていません。シナモンが過敏性腸症候群に有用であるかを示す科学的根拠(エビデンス)は十分ではありません。
- カッシア・シナモンに虫除け効果があるかどうかは不明です。
安全性について
- シナモンサプリメントは、香辛料または香味料として食物に使用される通常量であれば、摂取しても安全であると考えられます。大量かつ長期間の摂取は、副作用と関連してくる場合があります。最も多くみられる副作用は胃腸障害またはアレルギー反応です。
- カッシア・シナモンには、肝臓に有害なクマリンと呼ばれる化学物質が含まれています。一部のカッシア・シナモン製品は、クマリンの含有量が高いです。ほとんどの場合、カッシア・シナモンを摂取しても、深刻な問題を引き起こすほど大量のクマリンを摂取することはありません。しかし、カッシア・シナモンの長期摂取は、肝疾患を有するなど、感受性の高い人では問題となる可能性があります。
- 妊娠中または授乳中にカッシア・シナモンを使用しても安全かどうかは、ほとんどわかっていません。食物に使用される通常量よりも大量のセイロン・シナモンを妊娠中に摂取した場合、安全ではない可能性あります。食物に使用される通常量よりも大量のセイロン・シナモンを授乳中に摂取した場合の安全性については、ほとんどわかっていません。
- シナモンを通常医療の代用として用いるべきではありません。特に糖尿病にかかっている場合は、受診を遅らせるべきではありません。
注意事項
- 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
さらなる情報
関連トピック
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参考文献
- Bandara T, Uluwaduge I, Jansz ER.Bioactivity of cinnamon with special emphasis on diabetes mellitus: a review(英語サイト).International Journal of Food Sciences and Nutrition.2012;63(3):380-386.
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- Hajimonfarednejad M, Ostovar M, Raee MJ, et al.Cinnamon: a systematic review of adverse events(英語サイト).Clinical Nutrition.2019;38(2):594-602.
- Maierean SM, Serban M-C, Sahebkar A, et al.The effects of cinnamon supplementation on blood lipid concentrations: a systematic review and meta-analysis(英語サイト).Journal of Clinical Lipidology.2017;11(6):1393-1406.
- Mousavi SM, Rahmani J, Kord-Varkaneh H, et al.Cinnamon supplementation positively affects obesity: a systematic review and dose-reponse meta-analysis of randomized controlled trials(英語サイト).Clinical Nutrition.2020;39(1):123-133.
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- Oketch-Rabah HA, Marles RJ, Brinckmann JA.Cinnamon and cassia nomenclature confusion: a challenge to the applicability of clinical data(英語サイト).Clinical Pharmacology and Therapeutics.2018;104(3):435-445.
詳細情報
■ NCCIH 情報センター
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ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)
ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。
ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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