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海外の情報

クラトム(アヘンボク)
Kratom

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2022年12月1日
一般名(英名):
Kratom
学術名:
Mitragyna speciosa

クラトム (アヘンボク、Mitragyna speciosa )は、タイとその周辺国に分布するコーヒー科の樹木です。東南アジアでは伝統的に、その葉を噛んだり、お茶にして飲んだりすることにより、疲労回復や仕事の生産性向上に利用されてきました。また、クラトムは伝統的に宗教的儀式の際や、痛みや下痢などの症状を治療するために使用されており、時にはアヘンの代用品として使用されることもありました。

クラトム の2つの化合物、ミトラギニンと7-ヒドロキシミトラギニンは、脳内のオピオイド受容体と相互作用します。クラトムを使用した人は、覚醒剤に似た効果(過活動、過覚醒、動悸)とオピオイドや鎮静剤に似た効果(リラックス、痛みの緩和、混乱)の両方を報告しています。

欧米諸国では、痛みの治療やオピオイドの離脱症状の管理を試みるために、クラトムを使用する人がいます。

クラトムの研究は初期段階にあります。クラトムの体内における短期的および長期的な影響、安全性、そして治療的用途の可能性については、まだ多くのことが解明されていません。

要点は?

  • 人を対象とした研究で、クラトムの健康への影響を評価したものはほとんどなく、現在、さらなる研究が進められています。オピオイドの離脱症状や渇望を管理するためにクラトムを使用することを報告している人もおり、研究者らはクラトムがこの目的に有用であるかどうかを研究しています。しかし、このような医療用途やその他の用途において、クラトムが安全かつ有用であることは明らかにされていません。
  • クラトム は現在、米国の多くの地域で合法的に、オンラインや店舗で入手することができます。米国麻薬取締局(U.S. Drug Enforcement Administration)は、クラトムを「懸念薬物」に指定していますが、クラトムおよびクラトム化合物は米国の規制薬物リストに掲載されていません。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、クラトムをいかなる医療目的にも安全かつ有用であるとは承認していません。
  • 米国連邦食品 ・医薬品・化粧品法 (Food, Drug, and Cosmetic Act)では、1994年10月15日以前に米国で栄養成分として販売されていないため、クラトムは新しい栄養成分とみなされ、安全性のエビデンス(科学的根拠)が必要とされます。FDAは、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け医療関係者向け)と表示されたクラトム製品の一部の出荷を差し押さえました。

安全性

  • オピオイド中毒を克服しようとするためにクラトムを使用するかもしれませんが、クラトム自体に中毒性がある可能性があります。クラトムの常用者は、使用をやめると禁断症状が出る可能性があります。
  • クラトムのさまざまな副作用が報告されています。吐き気、便秘、めまい、眠気などの軽い作用から、まれに痙攣発作、血圧上昇、肝障害などの重篤な作用まで含まれます。
  • クラトム単独の過剰摂取だけで死亡することは極めてまれなようです。クラトムを他の薬物と併用した場合、死亡例や肝障害などの重篤な副作用との関連が報告されています。クラトムが関与する薬物相互作用については、さらなる研究が必要です。
  • クラトムの使用による長期的な影響については、よくわかっていません。大量のクラトムの長期使用は、人によっては深刻な肝障害を引き起こす可能性があるという報告があります。
  • 重金属や病気の原因となるバクテリアなどの有害な汚染物質が、一部のクラトム製品で確認されています。

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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2023年2月7日

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