海外の情報
ダイズ(大豆)
Soy
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2022年12月1日
- 一般名(英名):
- soy
- 学術名:
- Glycine max
背景
- このファクトシートでは、成人が健康目的でダイズ(大豆、Soy)を使用することに焦点を当てています。
- ダイズはアジアで古くから栽培されています。1950年代以降、アメリカ大陸をはじめとする世界各地でも生産されるようになりました。
- ダイズは食用だけでなく、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け・医療関係者向け)としても利用されています。ダイズサプリメントには、ダイズたんぱく質、イソフラボン(女性ホルモンのエストロゲンに似た構造を持つ化合物)などが含まれています。
- ダイズ製品は、更年期の症状、骨の健康、記憶力改善、高血圧、高コレステロール血症などにプロモーション(宣伝・販売促進)されています。
これまでに解明されていること
研究で明らかになったこと
- 他のタンパク質の代わりにダイズタンパク質を摂取することで、総コレステロール値およびLDL(悪玉)コレステロール値をわずかに低下させる可能性があります。
- ダイズイソフラボンのサプリメントやダイズタンパク質は、更年期のほてりの頻度や程度を軽減するのに役立つ可能性がありますが、その効果は小さいかもしれません。
- 観察研究によると、アジア人女性の場合、幼少期と青年期のダイズ摂取量が多いと、その後の乳がんのリスクが低いことが示されています。欧米の食事に含まれるダイズの量は、この関連性が観察されるには少なすぎる可能性があります。サプリメント形態のダイズ製品では、乳がんリスクの低減効果は示されていません。
- 現在のエビデンス(科学的根拠)では、ダイズイソフラボン混合物が閉経後の女性の骨の健康に有益な影響を与える可能性が示唆されていますが、エビデンスの結果が完全に一致しているわけではありません。
- ダイズタンパク質は、高血圧症(血圧高値)の人の血圧をわずかに下げる可能性があります。
安全性について
- ダイズアレルギーの人を除けば、ダイズは安全な食品と考えられています。調査研究では、ダイズプロテインのサプリメントやイソフラボンを豊富に含むダイズ抽出物(エキス)は、短期的には安全に使用されていますが、長期間の使用における安全性は明らかにされていません。
- ダイズの副作用で最も多いのは、便秘や下痢などの消化器系の不調です。
- ダイズは、ヨウ素が不足している人の甲状腺機能を変化させる可能性があります。
- 現時点でのエビデンスでは、乳がんの女性または乳がんのリスクがある女性がダイズ食品を摂取しても安全であることが示されています。しかし、これらの女性にとって、ダイズイソフラボンのサプリメントが安全かどうかは明らかにされていません。
- ダイズに含まれるエストロゲン様物質が胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、食事に一般的に含まれる量より多くのダイズを妊娠中に摂取することは安全ではない可能性があります。授乳中に食品に含まれる一般的な量以上のダイズを使用しても安全かどうかについては、ほとんどわかっていません。
注意事項
(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)
さらなる情報
関連トピック
医療関係者向け
関連するファクトシート
参考文献
- Abdi F, Alimoradi Z, Haqi P, et al. Effects of phytoestrogens on bone mineral density during the menopause transition: a systematic review of randomized, controlled trials(英語サイト). Climacteric. 2016;19(6):535-545.
- Blanco Mejia S, Messina M, Li SS, et al. A meta-analysis of 46 studies identified by the FDA demonstrates that soy protein decreases circulating LDL and total cholesterol concentrations in adults(英語サイト). Journal of Nutrition. 2019;149(6):968-981.
- Franco OH, Chowdhury R, Troup J, et al. Use of plant-based therapies and menopausal symptoms: a systematic review and meta-analysis. JAMA(英語サイト). 2016;315(23):2554-2563.
- Messina M. Impact of soy foods on the development of breast cancer and the prognosis of breast cancer patients(英語サイト). Forschende Komplementarmedizin. 2016;23(2):75-80.
- Rock CL, Doyle C, Demark-Wahnefried W, et al. Nutrition and physical activity guidelines for cancer survivors(英語サイト). CA: A Cancer Journal for Clinicians. 2012;62(4):243-274.
- Soy. Natural Medicines website. Accessed at naturalmedicines.therapeuticresearch.com on May 13, 2020. [Database subscription].
詳細情報
■ NCCIH 情報センター
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■ PubMed®
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■ 米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements:ODS)
ODSは、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のダイエタリーサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。情報源として、出版物(「ダイエタリーサプリメント:知っておきたいこと」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシートなどを提供しています。
ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov(メール送信用リンク)
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更新日:2023年3月7日
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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