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海外の情報

ブラックコホシュ
Black Cohosh

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年5月
一般名(英名):
black cohosh, black snakeroot, macrotys, bugbane, bugwort, rattleroot, rattleweed
学術名:
Actaea racemosa, Cimicifuga racemosa

背景

  • ブラックコホシュはキンポウゲ科の植物で、北アメリカに自生しています。アメリカ先住民は伝統的にブラックコホシュをさまざまな病気に使用しており、ヨーロッパ系移住者にもその用法が伝わりました。
  • 最近では、顔面紅潮(ホットフラッシュ)やさまざまな更年期障害の症状に対するサプリメントとして使われています。ほかにもブラックコホシュは、月経痛や月経前症候群などの症状や分娩誘発に対してもサプリメントとして市販されています。
  • 生薬を調合するときには、ブラックコホシュの根と根茎(土中にある茎)が使用されます。

これまでに解明されていること

  • ブラックコホシュは、更年期障害の症状がある人を対象に研究されてきました。古い研究のほとんどは質の高いものではありませんでした。最近の研究は質が向上していますが、使用している製剤の種類、品種、用量が異なっているため、ブラックコホシュの効果を正確に把握することは難しいです。ブラックコホシュは、更年期障害以外のさまざまな疾患・疾患に対してはそれほど研究されていません。

研究で明らかになったこと

  • 特定のブラックコホシュ抽出物(エキス)およびブラックコホシュとほかの成分の配合剤が、更年期障害の症状の一部を軽減する可能性があることが研究によって示唆されています。ほとんどの研究では、レミフェニンと呼ばれる抽出物(エキス)だけを対象としています。ほかのブラックコホシュ製品に関する研究では、一貫性のある結果が得られていません。2015年に発表されたガイドラインでは、更年期障害の症状に対するブラックコホシュの有益性は、どれも十分かつ確実なエビデンスが得られていないとされています。一方で、2017年に発表された最近の研究を対象とするレビューでは、ヨーロッパで治療薬として承認されたブラックコホシュ抽出物(エキス)が更年期障害の症状を軽減させる可能性が示唆されています。
  • この研究では、ブラックコホシュが乳がん治療に関連する顔面紅潮(ホットフラッシュ)を軽減するかどうかについては、明確な結論が出ていないとしています。乳がん患者は、かかりつけの医療スタッフに相談するまでブラックコホシュの使用を控えるべきです。
  • ブラックコホシュがほかの有用性を有することを示す、信頼できるデータは十分に得られていません。

安全性について

  • 臨床試験では、参加者が12カ月もの期間にわたってブラックコホシュを摂取しましたが、重篤な有害な作用は認められませんでした。
  • ブラックコホシュには、胃のむかつき、胃けいれん、頭痛、発疹、体が重い、膣からの出血、体重増加などの軽い副作用があります。
  • 一部のブラックコホシュ製品は、ブラックコホシュではない薬草を含有していたり、ブラックコホシュとほかの薬草が混ざっていたり、製品ラベルに記載されていない薬草が含まれていたりします。
  • 市販のブラックコホシュ製品を摂取した人において、肝障害が報告されており、きわめて重篤な例も報告されています。しかしながら、このような副作用はまれで、ブラックコホシュが原因であるかどうかは不明です。いずれにせよ、肝障害を有する人は、ブラックコホシュ製品を摂取する前に医療スタッフに相談してください。また、腹部膨満、暗色尿、黄疸など肝疾患の症状が認められた場合は、ブラックコホシュの使用を中止するとともに、医療スタッフに相談してください。
  • ブラックコホシュと薬剤の間の相互作用は少ないと考えられています。NCCIHの助成により実施された動物を用いた予備試験、およびそのほかの実験室実験では、ブラックコホシュが血中コレステロール値を下げる薬剤であるスタチンに影響を与える可能性が示唆されました。
  • 乳がんなどホルモン感受性が高い人にとって、ブラックコホシュが安全かどうかは不明です。
  • 妊娠中、あるいは授乳中のブラックコホシュ摂取の安全性についてはほとんどわかっていません。
  • ブラックコホシュをブルーコホシュ(Caulophyllum thalictroides)と混同してはいけません。ブルーコホシュは作用が異なり、安全ではない可能性があります。ブラックコホシュは分娩を誘発する目的でブルーコホシュと併用されることがありますが、この方法によって少なくとも1名の新生児で重篤な有害作用が生じたとされています。

注意事項

  • 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

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参考文献

詳細情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
tty (聴覚障害者や難聴者向け):
1-866-464-3615
Website:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed」(英語サイト)をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)

■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)

ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。

ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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