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インフォグラフィックでわかる統合医療

海外の情報

エフェドラ(マオウ)
Ephedra

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年7月
一般名(英名):
ephedra, Chinese ephedra, ma huang
学術名:
Ephedra sinica

背景

  • エフェドラ(マオウ)は常緑の低木で、小鱗片状の葉を有しています。エフェドラは中国やインドにおいて、風邪、発熱、頭痛、咳、喘鳴などの症状・疾患に対する治療に薬用として使用されてきた長い歴史があります。
  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、2004年にアルカロイドの一種であるエフェドリン(Ephedra sinicaやその他一部の植物に含まれる刺激物質)を含有するサプリメントをアメリカ国内で販売することを禁止しました。禁止される前は、エフェドラは減量、精力増強および運動能力向上のためのサプリメントの成分として使用されていました。

これまでに解明されていること

  • アメリカでサプリメントの使用が禁止されて以降のこの数年間はエフェドラに関する新しい研究はほとんど実施されていません。禁止される前は、減量に対するエフェドラの短期的効果や副作用に関する研究が多数実施されてきました。

研究で明らかになったこと

  • 禁止される前に実施された研究では、エフェドラ/エフェドリンを含有するサプリメント(通常はカフェインとの合剤)には、短期的な減量効果がわずかにみとめられました。しかし、これらのサプリメントが有する重大なリスク(危険)を考慮した場合、この減量効果は十分ではないと判断されました。減量に対する長期的な効果を評価した研究はありません。運動能力向上については、最終的な結論を導くことができる十分なエビデンスが得られませんでした。

安全性について

  • FDAは、重大な安全上のリスクを理由に、エフェドリンアルカロイドを含有するサプリメントの販売を禁止しました。エフェドラサプリメントは心臓発作、けいれん発作、脳卒中および突然死との関連性がみとめられました。過去に心血管疾患をわずらった人、高用量のエフェドラを摂取している人、カフェインなどほかの刺激物質と併用している人はこのようなリスクが高いと予測されます。しかし、重大な副作用は、医学的に問題(既往歴)がない人、エフェドラの摂取量が少ない人、エフェドラだけを単独で摂取している人でもみとめられています。
  • エフェドラを摂取すると、不安、めまい、口渇、頭痛、易刺激性(興奮しやすい)、悪心、人格変化、不眠症などの症状がみられる可能性もあります。
  • エフェドラには重大なリスクがあるため、妊娠中または授乳中の使用は安全ではないと考えられます。

注意事項

  • 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

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参考文献

詳細情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
tty (聴覚障害者や難聴者向け):
1-866-464-3615
Website:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed」(英語サイト)をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)

■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)

ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。

ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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