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海外の情報

クランベリー
Cranberry

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年5月
一般名(英名):
cranberry, American cranberry, bearberry
学術名:
Vaccinium macrocarpon (別名:Oxycoccus macrocarpos), Vaccinium oxycoccos

背景

  • クランベリーは常緑の低木で、アメリカの北東部や北中部の湿原に自生します。
  • 歴史的に、クランベリーの果実と葉は、膀胱、胃、肝臓などの障害、その他糖尿病や創傷等のさまざまな症状・疾患に使われていました。
  • 現在では、クランベリーは主に尿路感染症(urinary tract infections:UTI)に良いとされています。

これまでに解明されていること

  • 人を対象としたUTIに対するクランベリーの効果を調べた研究は多数発表されていますが、そのほかの症状・疾患に対するクランベリーの効果を調べた研究はほとんどありません。

研究で明らかになったこと

  • 一般的に、UTIのリスクが高い人やUTIを再発した人を対象とした研究では、クランベリー製品によってUTIリスクが約1/3低下することが示されています。しかし、一部質の高くない研究もあるため、クランベリーの有効性については今も不明な点があります。また、長期ケアを受けている高齢者や妊婦などのUTIリスクが高い集団を対象とした研究では、一貫した結果が得られませんでした。婦人科疾患の手術を受ける女性や多発性硬化症患者などのハイリスク集団を対象とした研究でも、クランベリーの有効性はみとめられませんでした。
  • 2020年に、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、過去にUTIを経験した健康な女性が規定量のクランベリーサプリメントを摂取した場合に、UTI再発リスクが低下する可能性を示す「限定的な」科学的根拠(エビデンス)があるということを、製造者が製品ラベルに記載することを許可しました。クランベリー果汁飲料についても同様の記載が許可されますが、エビデンスについては「限定的であり、矛盾もみられる」ことを明記しなければいけません。
  • クランベリーが、既に発症しているUTIの治療に有効であることは証明されていません。
  • NCCIHが助成している研究では、クランベリーやさまざまな果実や野菜に由来するポリフェノールが腸内細菌叢に与える影響を調べており、これらの食物の摂取と慢性疾患リスク低下との間にみられる関連性に、ポリフェノールの作用が関与しているかどうかを検討しています。

安全性について

  • 一般的に、クランベリー製品は安全であると考えられます。しかし、非常に大量に摂取した場合、特に低年齢児では、胃のむかつきや下痢をひきおこす可能性があります。
  • 妊娠中あるいは授乳中にクランベリーを健康目的で摂取した場合の安全性についてはほとんどわかっていません。
  • クランベリーが抗凝固剤(血液希釈剤)のワルファリンと相互作用を有するかどうかについては、矛盾した結果が得られています。
  • UTIに罹患したと考えられる場合は、医療機関を受診して、診断や治療を受けてください。UTIに対する効果が証明されている治療法の代わりとして、クランベリー製品を使用しないでください。

注意事項

  • 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

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参考文献

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詳細情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
tty (聴覚障害者や難聴者向け):
1-866-464-3615
Website:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed」(英語サイト)をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)

■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)

ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。

ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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