文字サイズ変更
  • 標準
  • 特大
インフォグラフィックでわかる統合医療

海外の情報

ニンニク
Garlic

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2022年12月1日
一般名(英名):
garlic
学術名:
Allium sativum

背景

  • ニンニク(Garlic)は、ユリ科の植物で、球根を食用としています。エジプト人、ギリシャ人、ローマ人、中国人、日本人など、世界各地の人々が伝統的に健康のために使用してきました。
  • 現在、ニンニクは、高コレステロールや高血圧など、心臓や血管に関係する疾患のためのダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け医療関係者向け)として最もよく一般的にプロモーション(宣伝・販売促進)されています。
  • 生のニンニク、ニンニク粉末、ニンニク油は食品の風味付けに使用されます。ニンニクは局所的(皮膚に塗布)に使用することができます。

これまでに解明されていること

  • ニンニクについては、特に血中脂質高値(高脂血症)や血圧高値(高血圧症)に対する効果について、多くの研究が行われています。

研究で明らかになったこと

  • 相反するエビデンス(科学的根拠)がある一方で、最も信頼性の高い結果は、ニンニクのサプリメントを摂取することで、総コレステロールと低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein:LDL)コレステロール値が高い人において、これらの血中濃度を下げる可能性があることを示唆しています。ただ、効果があるとは言え、その効果の程度は小さく、また改善がみられるまでに8週間以上かかる可能性があります。ニンニクを摂取しても、高密度リポタンパク質(high-density lipoprotein:HDL)値やトリグリセリド(上記とは別の血中脂質)値を改善する効果はないようです。
  • ニンニクのサプリメントは高血圧に役立つ可能性はありますが、そのエビデンスは限られています。
  • 最も信頼性の高い研究では、食品やサプリメントとしてのニンニクの摂取は、胃がんの発症リスクの低減とは関連しないことが明らかになっています。しかし、疫学研究では、ニンニク科の野菜(ニンニクのほか、タマネギ、エシャロット、ニラ、ネギなど)の摂取量が多いほど、特定のがん、特に胃腸のがんのリスクが低くなることとの関連性が示唆されています。
  • ニンニクが風邪に効くかどうかを示す十分なエビデンスはありません。

安全性について

  • ニンニクは、通常の食品に含まれる量であれば、ほとんどの人にとって安全です。
  • 妊娠中や授乳中にニンニクのサプリメントを使用したり、ニンニクを肌に塗ったりすることが安全かどうかについては、ほとんど分かっていません。
  • 副作用としては、口臭や体臭、胸焼け、胃のむかつきなどがあります。これらの副作用は、生のニンニクでより顕著に現れることがあります。ニンニクにアレルギー反応を示す人もいます。
  • ニンニクのサプリメントを摂取すると、出血のリスクが高まる可能性があります。ワルファリン(クマディン)などの抗凝固薬(抗凝血剤)を服用している場合、または手術が必要な場合は、ニンニクのサプリメントを摂取している、または摂取を検討していることを今かかっている医療機関に伝えてください。
  • ニンニクサプリメントは、HIV感染症の治療に使用される薬であるサキナビルを含む、一部の薬の効果を阻害する可能性があります。また、ニンニクのサプリメントは、一部のダイエットハーブや他のサプリメントと相互作用する可能性があります。

注意事項

自分の健康を守るために、自分が行っている補完療法について今かかっている医療機関※に相談しましょう。そうすることで、十分な情報を得た上で意思決定をすることができます。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

さらなる情報

関連トピック

医療関係者向け

関連するファクトシート

このページの情報は役に立ちましたか?

参考文献

詳細情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
E-mail:info@nccih.nih.gov(クリックでメール送信)

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、補完・統合医療に関する情報をPubMedで検索する方法をご覧ください。

ウェブサイト: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)

■ 米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements:ODS)

ODSは、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のダイエタリーサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。情報源として、出版物(「ダイエタリーサプリメント:知っておきたいこと」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシートなどを提供しています。

ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
E-mail:ods@nih.gov(メール送信用リンク)

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのヘルスケア提供者(今かかっている医療機関等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

更新日:2023年3月7日

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

「統合医療」情報発信サイト
医療関係者の方へ 関連コンテンツ

ページトップ
ページトップ