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アロエベラ
Aloe Vera
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版改訂年月(翻訳時):2020年8月
- 一般名(英名):
- aloe
- 学術名:
- Aloe vera, Aloe africana, Aloe arborescens, Aloe barbadensis
背景
- アロエベラはサボテンに似た植物で、気温が高く乾燥した気候で自生します。テキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州の南部国境地域をはじめ、世界中の亜熱帯地域で栽培されています。
- これまで、アロエベラは皮膚疾患に用いられてきました。脱毛の改善や創傷治癒の促進に効果があると考えられていました。
- アロエベラは局所的に(皮膚に塗布)、または経口で使用します。アロエベラの局所使用は、にきび(ざ瘡)、扁平苔癬(皮膚または口腔内に生じる、強い痒みを伴う発疹)、口腔粘膜下線維症、口腔内灼熱症候群、熱傷および放射線による皮膚毒性に良いとされています。アロエベラの経口(口から)摂取は、減量、糖尿病、肝炎及び炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など、腸の炎症によって引き起こされる一群の疾患)に良いとされています。
- 2002年に米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、安全性データが不足しているという理由で、一般薬として販売されている便秘薬にアロエベラを配合しないよう、製造者に命じました。
これまでに解明されていること
- 多くの研究で、人の健康に対するアロエベラのサプリメントや局所剤の有用性が検討されてきました。
研究で明らかになったこと
- 臨床研究では、アロエベラが主成分のゲルを1日2回局所使用(薬用石けんとトレチノインゲルを併用)すると、にきびが改善する可能性が示唆されています。
- 臨床研究では、アロエゲルの局所使用で熱傷の回復が早まる可能性が示唆されています。また、アロエベラが熱傷の痛みを軽減する可能性があるというエビデンスも得られています。
- アロエベラの局所使用が単純ヘルペス、扁平苔癬および乾癬にも有用である可能性が研究によって示唆されています。
- 3件の試験(成人参加者計236例)では、過敏性腸症候群に対するアロエベラ経口剤の使用を評価しました。1件の試験ではプラセボとの比較でアロエベラの有益性が示されましたが、他の2件の試験では有益性は示されませんでした。
- ヨーロッパで実施された小規模試験では、潰瘍性大腸炎の成人患者44例を、アロエベラまたはプラセボを1日2回、1カ月間摂取する群にランダムに割り付けました。アロエベラを摂取した患者の約半数が治療に反応したのに対し、プラセボを摂取した患者では14%が治療に反応しました。
- 糖尿病性足潰瘍および歯垢に対するアロエベラの臨床(人)試験がおこなわれましたが、アロエベラがこれらの疾患に有用であることを示す十分な科学的証拠(エビデンス)は得られませんでした。2009年に実施されたレビューでは、実験室実験、動物実験および臨床試験のデータを総合的に検証した結果、さまざまな皮膚疾患に対するアロエベラの臨床効果を調べるためには、さらに多くの研究が必要であると結論づけました。
安全性について
- 通常、アロエベラを局所使用した場合の忍容性は良好です。しかし、アロエゲルの局所使用で、まれに灼熱感、そう痒感および湿疹が報告されています。アロエラテックス(液汁)の経口摂取で腹痛および胃けいれんがみとめられる場合があります。アロエ葉抽出物(エキス)の経口摂取(最短3週間、最長5年間)は、急性肝炎と関連づけられています。
- ラットやマウスを用いた動物実験では、アロエ葉抽出物(エキス)の経口摂取と消化器がんの関連性がみとめられました。しかし、この実験では一般的に流通しているものとは異なる製品が使用されていたため、結果が疑問視されています。したがって、人の健康との関連性を評価するには、さらに研究を重ねる必要があります。
- アロエラテックスの過剰な使用は、心疾患の治療に用いられるジゴキシンという薬剤の副作用を強める可能性があります。
- 妊娠中および授乳中のアロエベラ(ゲルおよびラテックス)の経口摂取は、安全ではない可能性があります。
注意事項
- 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
さらなる情報
関連トピック
医療関係者向け情報
参考文献
- Aloe. Natural Medicines website. Accessed at naturalmedicines.therapeuticresearch.com on October 14, 2019. [Database subscription].
- Fifi AC, Axelrod CH, Chakraborty P, et al. Herbs and spices in the treatment of functional gastrointestinal disorders: a review of clinical trials.(英語サイト) Nutrients. 2018;10(11):E1715.
- Long V. Aloe vera in dermatology—the plant of immortality.(英語サイト) JAMA Dermatology. 2016;152(12):1364.
- National Institute of Environmental Health Sciences. NTP Speaks About Aloe Vera. https://www.niehs.nih.gov/news/newsroom/interviews/aloevera/index.cfm.(英語サイト) Accessed on June 24, 2020.
- National Toxicology Program. Toxicology and carcinogenesis studies of a nondecolorized whole leaf extract of Aloe barbadensis Miller in F344/N rats and B6C3F1 mice (drinking water study).(英語サイト) August 2013.
- Norman G, Christie J, Liu Z, et al. Antiseptics for burns.(英語サイト) Cochrane Database of Systematic Reviews. 2017(7):CD011821. Accessed at www.cochranelibrary.com(英語サイト) on October 31, 2019.
- Quezeda SM, Briscoe J, Cross RK. Complementary and alternative medicine.(英語サイト) Inflammatory Bowel Diseases. 2016;22(6):1523-1530.
- Rodriguez S, Dentali S, Powell D. Aloe vera. In: Coates PM, Betz JM, Blackman MR, et al., eds. Encyclopedia of Dietary Supplements. 2nd ed. New York, NY: Informa Healthcare; 2010:7-14.
詳細情報
■ NCCIH 情報センター
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ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)■ NIEHS(国立環境衛生科学研究所)
国立環境衛生科学研究所(National Institute of Environmental Health Sciences:NIEHS)[米国]が取り組んでいる国家毒性プログラムが提供する(アロエベラの非脱色全葉抽出物)に関する技術レポートの詳細について知りたい方はこちら:
www.niehs.nih.gov/news/interviews/aloevera/(英語サイト)■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)
ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。
ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
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