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海外の情報

科学を知ろう:薬とサプリメントの相互作用
Know the Science: How Medications and Supplements Can Interact

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2021年2月12日

アメリカ人の多くはサプリメントと同時に処方薬や市販薬を服用しています。
時にはこれらの薬とサプリメントが有害な相互作用をもたらす場合があります。
服用・摂取しているあらゆるサプリメントと薬について、すべてのかかりつけの医療スタッフに伝えることが重要です。そうすれば、有害な相互作用を避けるのに役立ちます。

あなたの知識をテストしてみましょう。

以下の事柄は正しいですか、それとも誤りですか?

  1. サプリメントには、薬の効果を下げるものもあります。

  2. サプリメントには、薬の効果(望ましくない副作用を含む)を上げるものもあります。

  3. サプリメントと薬の相互作用は、非常に危険な場合もあります。

  4. 研究者は薬とサプリメントの相互作用について多くのことを知っています。

解答:

  1. サプリメントには、薬の効果を下げるものもあります。

    正解は、正しいです。
    例えば、セイヨウオトギリソウは、経口避妊薬の有効性を低下させ、破綻出血を引き起こし、予定外妊娠のリスクを高めます。

  2. サプリメントには、薬の効果(望ましくない副作用を含む)を上げるものもあります。

    正解は、正しいです。
    例えば、血糖値を下げるハーブが抗糖尿病薬と相互作用すると、血糖値が下がりすぎることがあります。

  3. サプリメントと薬の相互作用は、非常に危険な場合もあります。

    正解は、正しいです。
    例えば、相互作用により、移植臓器の拒絶反応を防ぐ薬など、非常に重要な薬の有効性が低下する場合があります。

  4. 研究者は薬とサプリメントの相互作用について多くのことを知っています。

    正解は、誤りです。
    多くの薬やサプリメントについて、相互作用の可能性に関する情報はほとんどありません。

かかりつけの医療スタッフと話しましょう

服用・摂取しているすべての薬とサプリメントについて、かかりつけの医療スタッフに伝えることが重要です。

初診時に、服用・摂取しているすべての薬とサプリメントについて用紙に記入することが多いです。この情報に変更があれば、受診時に伝えましょう。

かかりつけの医療スタッフ以外に、あなたが・摂取しているすべての薬とサプリメントについて知る必要があるのは、次のうち誰でしょうか?

  • かかりつけの歯科医
  • あらゆる担当の専門医(心臓専門医や皮膚科医など)
  • かかりつけの目の専門家(眼科医や検眼士など)
  • 救急治療室や緊急治療施設であなたを治療する医療スタッフ
  • あらゆるかかりつけの補完療法の施術者(カイロプラクターや自然療法士など)
  • 上記のすべて

解答:

  • かかりつけの歯科医

    正解ですが、知る必要のある人物はこの人だけではありません。
  • あらゆる担当の専門医(心臓専門医や皮膚科医など)

    正解ですが、知る必要のある人物はこの人だけではありません。
  • かかりつけの目の専門家(眼科医や検眼士など)

    正解ですが、知る必要のある人物はこの人だけではありません。
  • 救急治療室や緊急治療施設であなたを治療する医療スタッフ

    正解ですが、知る必要のある人物はこの人だけではありません。
  • あらゆるかかりつけの補完療法の施術者(カイロプラクターや自然療法士など)

    正解ですが、知る必要のある人物はこの人だけではありません。
  • 上記のすべて

    正解です。これらすべての医療スタッフがこの情報を必要とするのは、あなたに有害な相互作用が起きるのを防ぐためです。

サプリメントには薬の効果や副作用を増加させるものがあります

薬とサプリメントを一緒に服用・摂取すると、薬の効果が高まる場合があります。薬の効果が強すぎることがあり、望ましくない副作用が増加する場合もあります。

サプリメントには薬の効果や副作用を増加させるものがあります

例えば、ハーブのチョウセンゴミシは、薬を不活性な物質に変える体内のプロセスを遅らせる可能性があります。そのため、薬の服用中にこのハーブを摂取すると、体内の薬剤量が増えることがあります。その結果、薬の効果が強すぎる場合があります。

他の例も知りたいですか?

教えて!

チョウセンゴミシと同様に、ヒドラスチスは、薬を不活性な物質に変える体内のプロセスを遅らせ、体内の薬剤量を増加させる可能性があります。

サプリメントには薬の効果を低下させるものがあります

薬とサプリメントを一緒に服用・摂取すると、薬の効果が下がる場合があります。これは、医療スタッフが想定する薬の効果を、あなたが十分に得ていないということです。

サプリメントには薬の効果を低下させるものがあります

ある有名なハーブのサプリメントは薬の効果を低下させることでもよく知られています。体内で薬を不活性物質に変えるプロセスを速めることによって、薬の効果を下げます。このハーブは、すべての薬のうち70%以上の薬で、有効性を低下させる可能性があります。

以下のハーブのうち、多くの薬の効果を低下させるものはどれですか?

解答

正解は、セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort)です。
セイヨウオトギリソウは多くの薬の効果を低下させる可能性があります。

セイヨウオトギリソウについてもっと詳しく

セイヨウオトギリソウは、多くの種類の薬と相互作用します。ほとんどの場合では、薬物を不活性な物質に変えるプロセスを速め、体内の薬剤量を減少させます。

一方、セイヨウオトギリソウが別の形で相互作用する薬もあります。例えば、セイヨウオトギリソウをある種類の抗うつ薬と一緒に服用・摂取すると、有害な副作用を引き起こすことがあります。

セイヨウオトギリソウと相互作用する薬

  • 麻酔薬
  • 不安
  • 抗凝固薬(血液希釈剤)
  • うつ薬
  • がん
  • コレステロール低下剤 (スタチン)
  • 糖尿病治療薬
  • ジゴキシン(別名ジギタリス、心臓病治療薬)
  • 免疫抑制剤(移植臓器の拒絶反応を防ぐ薬)
  • 発作抑制薬
  • HIV感染症の治療薬
  • フェキソフェナジン(抗ヒスタミン薬)
  • フィナステリド(前立腺治療薬)
  • イバブラジン(狭心症治療薬)
  • メサドン
  • ニフェジピンとベラパミル(高血圧や心臓病の治療薬)
  • オメプラゾール(消化管治療に用いる胃酸抑制剤)
  • 経口避妊薬(低用量ピル )
  • タリノロール(高血圧や心臓病に用いるβ遮断薬)
  • テオフィリン(喘息治療薬)
  • ボリコナゾール(真菌感染症の治療薬)

市販薬との相互作用

薬の相互作用というと、多くの人が処方薬のことだと考えます。

しかし、処方箋なしで市販されている薬にも、サプリメントと相互作用するものがあります。

市販薬とサプリメントの両方の服用・摂取を検討している場合、起こりうる相互作用について、かかりつけの医療スタッフや薬剤師に相談することをお勧めします。

以下の市販薬のうち、生薬系サプリメントと相互作用するものはどれですか?

  • アスピリン
  • プソイドエフェドリン(充血除去剤)
  • フェキソフェナジン(商品名アレグラ)
  • 上記のすべて

解答:

  • アスピリン

    正解ですが、これだけではありません。もう一度やってみましょう。
  • プソイドエフェドリン(充血除去剤)

    正解ですが、これだけではありません。もう一度やってみましょう。
  • フェキソフェナジン(商品名アレグラ)

    正解ですが、これだけではありません。もう一度やってみましょう。
  • 上記のすべて正解です。さまざまなハーブがアスピリンと相互作用し、出血のリスクを高めることがあります。濃縮された緑茶サプリメントは、プソイドエフェドリンと相互作用します。セイヨウオトギリソウはフェキソフェナジン(商品名アレグラ)と相互作用します。

薬との相互作用が特に重要な場合

次に、薬とサプリメントの相互作用が特に重要となる2つの状況について説明します。

  • 医療スタッフが「治療域が狭い」とみなす薬を服用するとき
  • 手術を受けるとき

これらの状況では、現在摂取しているサプリメントと今後摂取を検討しているサプリメントについて、すべての医療スタッフに伝えることが特に重要です。

治療域が狭い薬

あなたの体に適切な量の薬を使うことが大切です。薬の量が多すぎたり少なすぎたりすると、大きな問題を引き起こすことがあります。
このような薬は、「治療域が狭い」または「治療指数が低い」と言われています。
相互作用は、治療域が狭い薬で特に考慮する必要があります。

治療域が狭い薬の例

  • カルバマゼピン(発作抑制薬)
  • シクロスポリン(移植臓器の拒絶反応を防ぐ薬)
  • ジゴキシン(心臓病治療薬)
  • レボチロキシン(甲状腺治療薬)
  • フェニトイン(発作抑制薬)
  • ワルファリン(抗凝固薬、血液希釈剤とも呼ばれる)

サプリメントを摂取していて、かかりつけの医療スタッフが治療域の狭い薬を処方する場合、どうすればよいですか?

教えて!

サプリメントを摂取していることをかかりつけの医療スタッフに伝え、どうすべきか相談しましょう。

手術を受ける場合

手術を受ける際は、できるだけ早く医療スタッフに相談し、摂取しているすべてのサプリメントを伝えましょう。

一部のサプリメントは、以下の理由により手術中に問題を引き起こすことがあります。

  • 麻酔薬や術前・術中・術後に投与される薬への反応に影響を及ぼすことがあります。
  • 出血のリスクを高める可能性があります。
事前に手術予定日を決めることができる待機手術では、医療スタッフが手術の数週間前に、すべての生薬系サプリメントの中止を患者に求める場合があります。
緊急手術を受ける場合、サプリメントの摂取を事前に中止する機会はありません。しかし、起こりうる問題に備えて、摂取しているすべてのサプリメントについて、あなたや家族が外科医や麻酔医に伝えることは、やはり重要です。

サプリメントのラベルを読むためのヒント

サプリメントのラベルを読むためのヒント

サプリメントのボトルに何が入っているか明確ではない場合があります。

サプリメントの内容を確認するには、製品ラベルの「Supplement Facts(成分表示)」を見ましょう。製造業者は、サプリメントの成分表示か、その下にある他の成分のリストのいずれかで、の全成分を記載することが義務付けられています。

ここに示すラベルの付いたサプリメントを摂取しているとしましょう。このサプリメントにはビタミンEが入っていますか? ビタミンKは入っていますか?

  • 両方とも入っています。
  • ビタミンEは入っていますが、ビタミンKは入っていません。
  • ビタミンKは入っていますが、ビタミンEは入っていません。
  • どちらも入っていません。

解答:

  • 両方とも入っています。

    不正解です。もう一度やってみましょう。
  • ビタミンEは入っていますが、ビタミンKは入っていません。

    正解です。ビタミンEはサプリメントの成分表示に記載されていますが、ビタミンKは記載されていません。
  • ビタミンKは入っていますが、ビタミンEは入っていません。

    不正解です。もう一度やってみましょう。
  • どちらも入っていません。

    不正解です。もう一度やってみましょう。

次回来院のヒント

医療機関を受診する際は、以下についてのメモを持参しましょう。

  • 服用・摂取しているすべての薬とサプリメント
  • 服用・摂取頻度
  • 服用・摂取量

特に、複数の成分を含む製品を服用・摂取している場合は、他にもやってほしいことがあります。

教えて!

医療機関に製品のボトルを持参することです。
ラベルの付いたボトルを持参すれば、サプリメントの内容に関する質問にその場で回答が得られるでしょう。

詳しく調べるには

サプリメントと薬の相互作用や、サプリメントの安全性に関する詳細については、次の情報源をご利用ください。

より多くの情報を調べるには 「科学を知ろう」をご覧ください。

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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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