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「ナチュラル(天然)」は必ずしも「より安全」または「より良い」を意味するとは限りません
Natural Doesn't Necessarily Mean Safer, or Better
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版最終アクセス確認日:2022年12月1日
多くの人が、薬物治療に関しては、「ナチュラル(天然)」のものの方が「非天然」あるいは合成医薬品よりも、より良く、健康的で、安全なものだと信じています。
実際、研究者らは、なぜ人々がそのような信念を持つのか、そのいくつかの理由について検証しています。その結果、人がナチュラル(天然)のものを好むのは、自然が人間よりも純粋で本質的に優れているという信念など、さまざまな考え方が含まれていることがわかったのです。また、こうした思い込みや偏見が、人々の健康についての判断に影響を与えることもわかってきました。
しかし、自然界に存在するすべての製品が有効であるとされているわけではありません。
ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)[eJIMサイト内:一般向け・医療関係者向け]やハーブの中には、研究者らが研究しても有用性を示さなかったものもあります。例えば、ハーブのエキナセア(ムラサキバレンギク、echinacea)に関するいくつかの主要な研究では、一般的な風邪に有用であるというエビデンス(科学的根拠)は得られませんでした。3,000例以上の高齢者を登録した大規模な研究を含むイチョウ葉(ginkgo)の研究では、イチョウ葉のサプリメントは、認知症や認知機能の低下を予防したり遅らせたりするのに役立たないことがわかっています。
例えば、南太平洋の島々を原産とする植物で、不安感の解消のためにダイエタリーサプリメントとしてよく利用されるカバ(kava)は、重篤な肝障害を伴う可能性があります。エフェドラ(Ephedra)は、中央アジアやモンゴル原産の常緑低木のような植物で、何世紀にもわたって風邪や発熱などさまざまな症状・疾患に使用されてきましたが、心臓の問題や死亡のリスク(危険)と関連しています。2004年、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、安全性の観点から、エフェドリンアルカロイドを含むダイエタリーサプリメントの販売を禁止しました。
また、「ナチュラル(天然)」な製品は、ケミカル(化学物質)」が含まれていないため、安全だと考える人もいます。
ケミカル(化学物質)の中には、有害なものもあります。有害なケミカル(化学物質)とは、環境に有害な影響を与えたり、吸入、摂取、皮膚からの吸収により健康を害したりする可能性のある物質のことです。塩素やイソプロピルアルコールなどは、特定の産業でよく使われる有害なケミカル(化学物質)の一例です。しかし、自然界にも、水銀、蛇毒、ヒ素、ひまし油のリシンなど、有害なケミカル(化学物質)がたくさん存在しています。鉄や酸素のように、私たちが生きていくために必要なケミカル(化学物質)もありますが、大量に摂取すると毒性を発揮し、死に至ることもあります。ハーブやダイエタリーサプリメントなどの自然製品も、他のものと同じようにケミカル(化学物質)でできています。
しかし、多くのハーブやダイエタリーサプリメント(および一部の処方薬)は天然由来のものですが、「ナチュラル(天然)」という言葉が、必ずしもあなたの健康にとって安全で優れた選択肢であることを意味するわけではないことを理解することが重要です。ハーブ系サプリメントは何十種類ものケミカル(化学物質)が含まれている可能性があり、そのすべての成分が判明しているわけではありません。研究者らは、これらの製品の多くについて、どのような成分が有効であるかを特定し、体内での効果をよりよく理解するための研究を行っています。
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(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2023年3月7日
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