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サプリメントについて知っておくべきこと
What You Need to Know: Dietary Supplements

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年9月3日

アメリカでは多くの成人および小児が、1つまたは複数のビタミンやその他のサプリメントを摂取しています。サプリメントには、ビタミンに加えてミネラル、ハーブやその他の植物、アミノ酸、酵素およびその他の多くの原料・成分が含まれている可能性があります。サプリメントには、錠剤、カプセル、グミ、粉末、飲料、エネルギーバーなど、さまざまな形状があります。人気のあるサプリメントには、ビタミンDおよびB12カルシウムのようなミネラル、エキナセアニンニクなどのハーブ、そしてグルコサミンプロバイオティクスおよび魚油のような製品があります。

サプリメントのラベル表示

サプリメントとして販売されている製品には、有効成分、1回分当たりの含有量(用量)、および賦形剤、結合剤、香味料などその他の成分が記載されたサプリメント成分が表示されています。製造業者が1回分の分量を示していますが、かかりつけの医療スタッフがより適した別の量を決める場合があります。

有用性

栄養価の高いさまざまな食物を摂っていない場合、一部のサプリメントは十分な量の必須栄養素を摂るのに役立ちます。しかし、サプリメントは健康的な食事となる重要なさまざまな食物の代わりにはなりません。健康的な食事をするための詳細については、Dietary Guidelines for Americans(アメリカ人のための食事ガイドライン)(英語サイト)およびChooseMyPlate(英語サイト)が良い情報源となります。

一部のサプリメントは、健康全般を改善し、一部の健康状態を管理するのに役立つ可能性があります。例えば、

  • カルシウムおよびビタミンDは、骨を強く保ち、骨量の減少を抑制するのに役立ちます。
  • 葉酸は特定の先天異常のリスクを減らします。
  • 魚油から得られるオメガ3脂肪酸は、一部の心疾患のある人に役立つ可能性があります。
  • ビタミンCとE、亜鉛、銅、ルテイン、ゼアキサンチン(AREDSとして知られている)の併用は、加齢黄斑変性(AMD)の人の視力がさらに低下するのを遅らせる可能性があります。

その他の多くのサプリメントは、価値があるかどうか評価するためさらに多くの研究が必要です。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、サプリメントが市販される前に、有効性があるかどうかについて評価・判断していません。

安全性とリスク

多くのサプリメントには、体に強い影響を与える可能性のある活性成分が含まれています。特に新たな製品を摂取する場合には、有害反応が起こる可能性に常に注意してください。

高用量または処方薬の代わりにサプリメントを摂取する場合、また、多くの異なるサプリメントを摂取する場合には、副作用が出る可能性が最も高くなります。サプリメントの中には、出血のリスクを高める可能性のあるものや、手術前に摂取すると麻酔に対する反応が変化する可能性があるものもあります。サプリメントは、問題を引き起こす可能性のある形で、一部の薬と相互作用する可能性もあります。次にいくつか例をあげます。

  • ビタミンKは、血液の凝固を妨げるための抗凝固剤ワルファリンの効果を低下させる可能性があります。
  • セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、多くの薬の分解を早める可能性があり、その効果を低下させる(抗うつ薬、経口避妊薬、心臓の薬、抗HIV薬、移植薬など)可能性があります。
  • ビタミンCおよびEのような抗酸化作用のあるサプリメントは、一部のがん化学療法の効果を低下させる可能性があります。

製造業者は、あなたが口にする食物、特に朝食のシリアルや飲料に、ビタミン、ミネラルなどのサプリメントの成分を加えている場合があります。その結果、このような成分を思ったよりも多く摂取してしまう可能性があり、また多ければ多いほど良いというわけではない場合もあります。必要以上に摂取すると費用がかかり、副作用のリスクを高める可能性もあります。例えば、ビタミンAが多すぎると、頭痛や肝損傷を引き起こし、骨の強度を低下させ、先天異常を引き起こす可能性があります。過剰な鉄は、吐き気や嘔吐を引き起こし、肝臓などの臓器を損傷する場合があります。

妊娠中または授乳中の場合は、サプリメントの摂取に注意が必要です。また、医療スタッフの推奨がない限り、小児にサプリメントを与える場合は気を付けなければなりません。多くのサプリメントは、妊婦、授乳中の母親、または小児を対象とした安全性に関する検証が十分に行われていません。

サプリメントに対する有害反応が起きたと考えられる場合は、かかりつけの医療スタッフに知らせてください。FDAにあなたの経験を報告することができます。また、800-FDA-1088に電話するかオンラインフォームに記入することで、直接FDAに報告を提出することもできます。また、製品ラベルに記載されている連絡先情報を使用して、製造業者に有害反応について報告する必要があります。

品質

FDAは、サプリメントの同一性、純度、濃度、組成を確保するために、企業が従わなければならないgood manufacturing practices(医薬品製造基準:GMP)を確立しました。GMPによって、間違った成分(または正しい成分の量が多すぎる、あるいは少なすぎる)を加えることを防ぎ、製品の汚染または不適切な梱包やラベル表示の可能性を減らすことができます。FDAは、サプリメントの製造設備を定期的に検査しています。

さまざまな独立機関が品質検査を実施しており、これらの検査に合格した製品には、製品が適切に製造され、ラベルに記載されている成分が含まれており、有害なレベルの汚染物質が含まれていないことを示す品質保証のシールを表示することができます。これらのシールは、製品の安全性や有効性を保証するものではありません。品質検査を実施している組織には次のようなものがあります。*

*特定の企業、組織、またはサービスについて言及したものはどれも、ODSによる承認を意味するものではありません。

かかりつけの医療スタッフと話しましょう

摂取しているすべてのサプリメントについて、かかりつけの医療スタッフ(医師、歯科医師、薬剤師および栄養士など)に伝えてください。そうすることで、あなたにとって有益なサプリメントがあるかどうかについて判断することができます。

摂取・服用しているサプリメントや薬についての完全な記録を続けてください。ダイエタリーサプリメント室のウェブサイトには、家で印刷して記入できる「My Dietary Supplement and Medicine Record」という便利なフォームがあります。各製品について、製品名、摂取量、摂取頻度、使用理由を書いてください。この記録をかかりつけの医療スタッフと共有して、健康全般に対して最適なものについて話し合うことができます。

注意事項

  • 健康状態の改善のためにサプリメントを摂取する前に、かかりつけの医療スタッフに相談してください。
  • 処方薬の代わりに、または処方薬と併用してサプリメントを摂取する前に、かかりつけの医療スタッフの承認を得てください。
  • 「天然(ナチュラル)」という言葉が必ずしも「安全」を意味するとは限らないことを覚えておいてください。コンフリーやカバのようなオールナチュラル(すべて天然素材)の植物性製品の中には、肝臓に害を及ぼす可能性があるものもあります。サプリメントの安全性は、化学構造、体内での作用、調合方法、摂取量など、多くの事柄に左右されます。
  • サプリメントを摂取する前に、このパンフレットに記載されている情報源を使用して、次の質問に答えてもらうよう、かかりつけの医療スタッフに相談してください。
  • 私にとってどのような効果がありますか。
  • 安全上のリスクはありますか。
  • 適切な摂取量はどのくらいですか。
  • どのように、いつ、どのくらいの期間摂取すべきですか。

サプリメントに対する米国連邦政府の規制

サプリメントは、食事を補うことを目的とする製品です。これらは薬ではなく、疾患の治療、診断、改善、予防、治癒を目的としたものではありません。FDAは、サプリメントと医薬品の両方を監視する連邦政府機関ですが、サプリメントに対するFDAの規制は、処方薬や市販薬に対する規制とは異なっています。

医薬品は、販売する前にFDAの承認を得なければなりません。サプリメントはこの承認を必要としません。サプリメントの企業は、自社の製品が安全で、ラベルの表示は真実で誇大ではないということを証明する責任があります。ただし、製品に「新たな食物由来成分」(1994年10月15日以降に導入されたもの)が含まれていない限り、企業は製品の販売前に、FDAにこの安全性に関する科学的根拠(エビデンス)を提供する必要はありません。

サプリメントのラベルには、特定のヘルスクレーム(健康強調表示)が記載される場合があります。製造業者は、たとえば、サプリメントが健康を増進したり、身体機能(免疫や心臓の健康など)をサポートしたりすると記載することが許可されています。このようなヘルスクレームの後に続けて、「ここに表示された内容は、米国食品医薬品局(FDA)によって評価を受けたものではありません。本製品は、疾患の診断、治療、治癒、予防を目的としたものではありません」と記載しなければなりません。

製造業者は、製品の同一性、純度、濃度、組成を確保するため、good manufacturing practices(医薬品製造基準:GMP)に従わなければなりません。FDAは、サプリメントが安全でないと判断した場合、市場からその製品を排除したり、製造業者に対し製品を自発的に回収するよう求めたりする場合があります。

FDAは、安全ではない可能性、虚偽または誤解を招くような宣伝である可能性など違法な製品が市場に出回っていないかを監視しています。製品広告を監視する連邦取引委員会も、サプリメント製品に関する情報に対し、真実であり誤解を招くものではないことを求めています。

連邦政府は、サプリメントを販売する企業やウェブサイトに対し、企業が自社製品について虚偽または誇大な表示をしている場合、疾患を治療したり治癒したりすると宣伝している場合、またはその製品が安全ではない場合、法的措置を取ることができます。

サプリメントに関する連邦政府の情報源

米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)

NIHは、サプリメントに関する研究を支援し、教育素材を提供しています。

  • ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements(ODS))ODSは、サプリメントに関する正確で最新の科学的情報を提供しています。
  • 国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Medicine(NCCIH))NCCIHにも、サプリメントの成分に関する科学的情報があります。
  • 国立医学図書館(National Library of Medicine)Medline Plusは、信頼できる健康情報を提供しています。
    PubMedには、科学論文が3,000万件以上収録されています。
  • NIH 健康情報

NIH中の健康的な生活と福祉に関する情報です。

連邦取引委員会(Federal Trade Commision:FTC)

FTCは、サプリメントの広告に記載されている健康および安全性に関する宣伝を規制しています。

米国農務省(U.S. Department of Agriculture:USDA)

USDAは、さまざまな食物および栄養素の話題に関する情報を提供しています。

アメリカ合衆国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services:HHS)

HHSは、福祉情報、個人的な健康ツールおよび健康ニュースを提供しています。

免責事項

ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で特定の製品やサービス、または機関や専門家団体からの推奨について言及した場合でも、その製品、サービス、専門家のアドバイスに対しダイエタリーサプリメント室(ODS)が支持を表明するものではありません。

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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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