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だまされないための、6つの助言:健康詐欺にひっかからないために
6 Tip-offs to Rip-offs: Don’t Fall for Health Fraud Scams

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終アクセス確認日:2022年12月1日

健康製品は、疾患や症状の治療を目的としてプロモーション(宣伝・販売促進)されていますが、その目的に対する安全性と有用性が科学的に立証されていない場合、詐欺に該当します。
インチキ製品!危険!健康詐欺警告!

このような警告が健康製品に表示されることはありませんが、「奇跡の治療」、「保証された結果」、「ワクチンの代わり」といった謳い文句を目にしたときには、このような詐欺の警告を思い浮かべるべきでしょう。

健康詐欺は何百年も前から存在し、即効性や奇跡的な治療法への欲求を煽るものです。昔でいう怪しげな販売員(スネークオイルセールスマン)は、今の時代では、ハイテク販売業者に姿を変え、アルツハイマー病、関節炎、がん糖尿病、記憶障害(物忘れ)、性的能力、減量、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、インフルエンザ、その他の感染症など、困難な健康問題に対する容易な解決法を求める人々の欲求を食い物にしています。

米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)によれば、健康製品が、病気や健康の改善に効果があるかのようにプロモーションされていても、その目的に対して科学的に有用性や安全性が立証されていない場合、それは詐欺にあたるとしています。

危険をおかす価値はない

詐欺師は巧みなマーケティングで製品をプロモーションし、ウェブや電子メールだけでなく、口コミ、新聞、雑誌、テレビ、ダイレクトメールなど、特定の人々をターゲットにした手口をよく用います。健康詐欺は、ソーシャルメディアサイトや、Signal、Viber、WhatsApp、Facebook Messengerなどのクローズドメッセージングアプリで横行しています。

健康詐欺は、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、フリーマーケット、不定期販売店などの場所でみられ、英語能力が限られている人や医療サービスや情報へのアクセスが限られている人をターゲットにしています。その他のリスクとしては、通常の税関やFDAの検査やその他の安全対策を回避するために、海外から直接郵送で取り寄せた危険な製品や実証されていない製品などがあります。

消費者は、ヘルスケア製品を購入する際に、よく考え、注意深く観察することで、健康詐欺を特定し、回避する可能性を高めることができます。

助言

ここでは、詐欺製品を見分けるために知っておくべき6つのことを紹介しています。

  1. 一つの製品ですべてをまかなえる(”オールインワン製品”などの謳い文句 )幅広い病気を治すとうたっている製品には疑いの目を向けましょう。FDAは、偽の万能薬を販売する企業に対して、警告書を送付し、適切な執行措置を取り続けています。これらの奇跡的な治療法は存在しません 。偽物です。そして、これらの企業が売っているのは偽りの希望だけです。
  2. 個人の「成功」体験談。「これで糖尿病が治りました」、あるいは「私の腫瘍が消えました」といった成功話は簡単につくることができ、エビデンス(科学的根拠)の代わりにはなりません。人気のあるオンラインマーケットプレイスやソーシャルメディアに掲載されているレビューは、偽物の可能性があります。
  3. すぐに治る正規の医薬品・医療機器を使ったとしても、すぐに治せるような病気や症状はほとんどありません。「30日で30ポンド(約13.6㎏)減量」、「ウィルス感染から守る」、「数日で皮膚がんが消える」といった謳い文句には警戒しましょう。
  4. "オールナチュラル (すべて天然)"な治療薬や治療法"オールナチュラル・キュア"などの表現に惑わされないでください。このような謳い文句は、健康詐欺において、ある製品が従来の治療法よりも安全であることを示唆し、注目を集めるためによく使われます。これらの言葉は、必ずしも安全を意味するものではありません。自然界に存在する植物(毒キノコなど)の中には、食べると有害であったり、命を奪ったりするものがあります。さらにFDAは、「オールナチュラル」としてプロモーションされている製品の中で、危険なほど高用量の処方薬成分や薬剤活性成分が隠れて含まれている製品を多数発見しています。
  5. 「奇跡の治療薬」この謳い文句や、「新たな発見」、「保証された結果」、「秘密の成分」といった類似の謳い文句を目にした場合は、警戒すべきです。もし、深刻な病気に対する真の治療法がFDAによって承認された場合は、メディアを通じて広く報道され、ライセンスを持った医療専門家によって処方されるでしょう。ソーシャルメディアやメッセージアプリの広告に貼られたり、ウェブサイトや印刷広告、TVインフォマーシャル(通信販売)に埋もれたりすることはないでしょう。
  6. 陰謀論「これは政府や大手製薬会社があなたに知られたくない治療法です」といった主張は、いわゆる奇跡の治療法に関する明白で常識的な疑問から消費者の目をそらすために使われます。

まん延する問題

詐欺的な製品は、根拠のない約束を守れないだけでなく、重篤な健康被害を負わせたり、死に至らしめたりする可能性すらあります。詐欺的な製品は、お金を浪費し、命を救う可能性のある診断や科学的に立証された治療を遅らせるだけでなく、消費者が知らずに摂取すると有害な可能性のある薬剤成分が隠されていることがあります。

例えば、近年、FDAの研究所では、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)として違法に販売された何百もの減量製品から、スケジュールIV規制物質であり処方減量薬の有効成分であるシブトラミンが含まれていることを発見しました。この処方薬は、心臓発作や脳卒中のリスクを高めることが研究で明らかになったため、後に米国市場から回収されました。さらに、不正製品は、未登録の施設によって、未知の、不衛生な、危険な条件の下で製造されている可能性があります。

健康詐欺は、FDAが規制しているさまざまな製品が関与している可能性があります。例えば、がん、HIV/AIDS、糖尿病などの治療に効果があるという不正な謳い文句で販売されている高価なレーザー機器がFDAによって発見されました。1,660万ドルの不正な商標品販売詐欺計画に関与したとして、3人に実刑判決が下されました。[英語サイト]

こうしたヒントがあっても、簡単に健康詐欺商品を見分けられるとは限りません。もし、消費者が有用性や安全性が実証されていない製品や、信じがたい効果を宣伝している製品を買いたい衝動にかられたときは、まず医師や医療専門家に相談しましょう。

FDAへの有害事象報告の提出

製品の副作用を経験した消費者は、FDAに自発的に有害事象報告書を提出しましょう。

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米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのヘルスケア提供者(今かかっている医療機関等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ず今かかっている医療機関※に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
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更新日:2023年3月7日

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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