海外の情報
ブロメライン
Bromelain
本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。
英語版改訂年月(翻訳時):2020年5月
- 一般名(英名):
- bromelain, pineapple enzyme, pineapple extract
- 学術名:
- (Pineapple Plant) Ananas comosus
背景
- ブロメラインは、パイナップル植物の果実と茎に含まれる酵素のグループです。パイナップルはアメリカ原産ですが、現在では世界中の熱帯地方や亜熱帯地方で栽培されています。歴史的に、中央アメリカおよび南アメリカの先住民族はパイナップルを消化器系疾患などのさまざまな病気に用いていました。
- ブロメラインはサプリメントとして、特に鼻や副鼻腔、歯肉などの痛みや腫れ、また、他の体の部位における手術やケガをした後の痛みや腫れの軽減に良いとされています。また、変形性関節症、がん、消化器疾患、筋肉痛にも良いとされています。ブロメラインの局所塗布は熱傷に良いとされています。
これまでに解明されていること
- 副鼻腔炎(鼻が腫れるなどの症状がみられる)にブロメラインを使用した研究の数は少ないです。一部の研究では、熱傷で壊死した皮膚を除去するためや、親知らず抜歯後の痛みなどの症状に対してブロメラインを使用しています。ブロメラインの他の用途に関する研究はほとんど実施されていません。
研究で明らかになったこと
- ブロメラインを副鼻腔炎に推奨すべきかどうかについて意見を述べるには、質の高い研究が不足しています。
- 予備的試験では、小児および成人においてブロメラインが熱傷で壊死した皮膚や損傷した皮膚を除去するのに役立つことが示されました。傷の瘢痕化に対してブロメラインが標準治療よりも長期的に有効であるかどうかは、今後検証する必要があります。
- ブロメラインを単独または他の材料と組み合わせた場合に変形性関節症や運動後の筋肉痛および筋損傷に有用かどうかについては、一貫性のある研究結果が得られていません。
- ブロメラインが親知らず抜歯後の痛みや腫れ、顎関節の可動域を改善するかどうかについても、矛盾した研究結果が得られています。
- 消化器疾患など、これまでブロメラインが使用されてきた疾患に対して効果があるかどうかを判断するには、研究数が不足しています。
安全性について
- 研究では、ブロメラインの副作用はほとんど報告されていません。もっとも報告が多い副作用は胃のむかつきと下痢です。
- パイナップルに敏感な人やパイナップルアレルギーがある人、あるいは他のアレルギーがある人は、ブロメラインのアレルギー反応がおきる可能性があります。
- 妊娠中、あるいは授乳中のブロメライン摂取の安全性についてはほとんどわかっていません。
- ブロメラインは抗生物質のアモキシリンなど、一部の医薬品との相互作用を有する可能性があります。医薬品を服用している人は、ブロメラインを使用する前にかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。
注意事項
- 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
さらなる情報
関連トピック
消費者向け情報
関連するファクトシート
参考文献
- Bromelain Natural Medicines website.Accessed at naturalmedicines.therapeuticresearch.com on November 20, 2019.[Database subscription].
- de Souza GM, Fernandes IA, Dos Santos CRR, et al.Is bromelain effective in controlling the inflammatory parameters of pain, edema, and trismus after lower third molar surgery?A systematic review and meta-analyses(英語サイト).Phytotherapy Research.2019;33(3):473-481.
- Edmondson SJ, Ali Jumabhoy I, Murray A. Time to start putting down the knife: a systematic review of burns excision tools of randomised and non-randomised trials(英語サイト).Burns.2018;44(7):1721-1737.
- Griffin AS, Cabot P, Wallwork B, et al.Alternative therapies for chronic rhinosinusitis: a review(英語サイト).Ear, Nose & Throat Journal.2018;97(3):E25-E33.
- Heaton LE, Davis JK, Rawson ES, et al.Selected in-season nutritional strategies to enhance recovery for team sport athletes: a practical overview(英語サイト).Sports Medicine.2017;47(11):2201-2218.
- Orsini RA. Bromelain Plastic and Reconstructive Surgery.2006;118(7):1640-1644.
- Rosenberg L, Krieger Y, Bogdanov-Berezovski A, et al.A novel rapid and selective enzymatic debridement agent for burn wound management: a multi-center RCT(英語サイト).Burns.2014;40(3):466-474.
詳細情報
■ NCCIH 情報センター
NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。
米国内の無料通話:1-888-644-6226
tty (聴覚障害者や難聴者向け):
1-866-464-3615
Website:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov
■ PubMed®
国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed」(英語サイト)をご覧ください。
■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)
ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。
ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email:ods@nih.gov
監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。