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コレステロールの管理
Cholesterol Management

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

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英語版最終アクセス確認日:2022年11月21日

コレステロールは、全身の全ての細胞に存在するワックス状の脂肪のような物質です。コレステロールは、体内でホルモンなどを作るのに必要ですが、血液中に必要以上に多く含まれると、心疾患や脳卒中のリスク(危険)が高まります。高コレステロールは自覚症状がないため、血液検査を受けることでしか、高コレステロールかどうかを知ることはできません。米国の成人の6人に1人が高コレステロールと言われています。

科学的根拠

コレステロール値が高い場合の従来の治療法は、生活習慣の改善(健康的な食事、体重管理、運動)を行い、必要に応じてコレステロール低下薬を服用するものです。また、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け医療関係者向け)も、コレステロール値への影響の可能性について研究されています。

  • 植物性スタノールまたはステロールを添加した食品の使用は、高コレステロール値に対する従来の治療法の選択肢のひとつです。例えば、ステロールを添加したオレンジジュースや、バターの代わりに使用するスタノールを添加したスプレッド(パンなどに塗る”塗り物”)などの食品があります。スタノールやステロールは、ダイエタリーサプリメントしても販売されています。これらのサプリメントの有用性に関するエビデンス(科学的根拠)は、スタノールやステロールを含む食品に関するエビデンスより少ないですが、一般に、スタノールやステロールのサプリメントを食事と一緒に摂取することにより、コレステロール値を下げることができるという研究結果が示されています。スタノールやステロールを含む一部の食品やダイエタリーサプリメントは、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の認可を受け、「適量を摂取すると心疾患のリスク(危険)を低減するかもしれない」という健康強調表示を行うことが認められています。
  • 一部の大豆製品は、わずかながらコレステロールを下げるのに有用である可能性があります。35件の研究データを解析した結果、大豆食品は大豆タンパク質のサプリメントよりもコレステロールを下げる有用性が高く、イソフラボン(大豆に含まれる弱いエストロゲン作用を持つ物質)はコレステロールを下げないことが示されました。大豆の効果は、コレステロールを下げる医薬品よりはるかに小さいです。
  • コレステロール値を下げるための亜麻仁製剤の研究では、全亜麻仁や亜麻仁リグナンを含むいくつかの種類の亜麻仁のサプリメントに有益な効果がある可能性が示唆されていますが、亜麻仁油にその効果はありません。その有益性は、男性よりも女性(特に閉経後の女性)、そして初期のコレステロール値が高い人ほど強いという結果が得られました。
  • 最近報告されたニンニクのサプリメントに関する研究レビューでは、2カ月以上摂取するとコレステロールを下げるのに有用であるが、その有用性はコレステロール低下薬の効果に比べるとわずかであると結論づけています。
  • 緑茶にはコレステロールを下げるのに有用であるかもしれないことを示す限定的なエビデンスがあります。紅茶に関するエビデンスは、緑茶と比較して一貫していません。
  • FDAは、モナコリンKと呼ばれる物質を微量以上含む紅麹米(Red Yeast Rice)は未承認新薬であり、ダイエタリーサプリメントとして合法的に販売することはできないと判断しています。モナコリンKは、コレステロール低下薬であるロバスタチンと化学的に同一であり、一部の紅麹米(Red Yeast Rice)にはこの物質が相当量含まれています。モナコリンKを含む紅麹米(Red Yeast Rice)は、血中コレステロール値を下げるかもしれませんが、ロバスタチンと同様の副作用や薬物相互作用を引き起こす可能性もあります。
  • コレステロールに対して、クロミウム、ビタミンC(eJIM内:一般向け医療関係者向け)、アーティチョーク抽出物(エキス)、ハーブのハイビスカス、コエンザイムQ10、セレニウム(セレン)(eJIM内:一般向け医療関係者向け)が研究されていますが、有用性は確認されていません。ポリコサノール(policosanol、サトウキビ由来)およびググリピッド(guggulipid、インド西部のムクノキ由来)のコレステロール低下作用については、研究結果では明確なエビデンスは示されていません。

副作用とリスク(危険)

  • 高血中コレステロールの治療については、今かかっている医療機関※の指示に従うことが重要です。処方薬の代わりにダイエタリーサプリメントを使用しないでください。ニンニクや大豆などのサプリメントがコレステロールを下げる可能性があるというエビデンスはありますが、その有用性はコレステロール低下薬の効果に比べるとわずかです。
  • 紅麹米製品には、腎臓障害を引き起こしうるシトリニンが混入しているかもしれません。
  • ダイエタリーサプリメントを安全に使用するために、ラベルをよく読み、その指示に従って下さい。また、「ナチュラル(天然)」が必ずしも「安全」ではないことを認識しましょう。ダイエタリーサプリメントは、正しく使用しなかったり、大量に使用したりすると健康上の問題を引き起こす可能性があり、中には薬との相互作用するかもしれないことを留意してください。ほとんどのダイエタリーサプリメントは、妊娠中の女性、授乳中の母親、小児に対する検証が行われていません。

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2023年3月7日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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