文字サイズ変更
  • 標準
  • 特大
インフォグラフィックでわかる統合医療
医療関係者の方へ ホーム  >  海外の情報  >  関節リウマチ

海外の情報

関節リウマチ
Rheumatoid Arthritis

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

関節リウマチの詳細
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2019年1月

要点は?

  • 関節リウマチの医学的治療は、関節の損傷を遅らせるか、または防ぐことができ、症状を治療するだけではありません。治療が始まるのが早ければ早いほど良いです。関節リウマチになってしまった場合は、かかりつけの医療スタッフの指示に従って治療を行いましょう。リウマチ性関節炎が原因かもしれない関節の症状があるなら、速やかにかかりつけの医療スタッフを受診しましょう。
  • 最良の結果を得るためには、かかりつけの医療スタッフが処方または推奨する治療を他の療法で代用しないでください。あなたの治療プログラムに補完療法や関連製品を追加する際には、かかりつけの医療スタッフに相談してください。

関節リウマチに対する補完療法の有効性についてわかっていることは?

  • 心身療法に関する研究量は少なすぎて、関節リウマチの症状を緩和するのに有用かどうか結論は得られていません。
  • オメガ3脂肪酸、γ-リノレン酸(gamma-linolenic acid:GLA)、またはハーブのライコウトウを含むサプリメントは、関節リウマチの症状を緩和するのに役立つ可能性があります。

関節リウマチに対する補完療法の安全性についてわかっていることは?

  • このファクトシートに記載されている心身療法は、一般的に安全性に優れています。しかし、関節リウマチの人にとって安全で快適なものにするためには、一部適応させる必要があるかもしれません。
  • ライコウトウは、男性不妊や骨密度の低下などの重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、関節炎の痛みに対して宣伝されている処方薬の混入した違法なサプリメントについて消費者に警告しています。

関節リウマチとは?

関節リウマチ(Rheumatoid arthritis:RA)とは、関節に痛みや腫れ、こわばりが生じる病気です。免疫系が関節を覆う膜を攻撃することで発症します。RAは男性よりも女性に多く、しばしば中年期から発症しますが、若年者でも発症することがあります

関節リウマチと治療方法についてのさらなる情報

  • RAは自己免疫疾患で、免疫系が原因不明の理由で関節を攻撃する病気です。RAは、変形性関節症のような他のタイプの関節炎とは異なり、年齢を重ねるにつれて最も一般的に起こる消耗性の疾患です。
  • 永久的な関節の損傷を避けるための早期治療は、RAの障害と進行を防ぐための鍵となります。RAの治療はさまざまな療法を組み合わせ、痛みを和らげ、炎症を抑え、関節の損傷を遅らせたり止めたりして、患者の健康感と機能能力を向上させることを目的としています。RAに使用される医薬品には、疾患の進行を遅らせるための疾患修飾性抗リウマチ薬(disease-modifying antirheumatic drugs:DMARDs)、炎症を抑えるための非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)やコルチコステロイドなどがあります。

RAについてのさらなる情報は、国立関節炎、骨格筋、皮膚疾患研究所(NIAMS; National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases)のウェブサイトを参照してください。

科学的観点からみた関節リウマチに対する補完療法

心身療法

鍼治療

  • RAに対する鍼治療の研究は少なくとも11件終了しており、総参加者は1,300例を超えています。これらの研究では、有益な効果を示す明確なエビデンスは示されていません。
  • 鍼治療は、経験豊富な施術者が滅菌した鍼を使用して行う場合は、一般的に安全と考えられています。鍼治療が不適切に行われると、潜在的に重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトの鍼治療に関するページを参照してください。

マッサージ療法

  • 2013年に実施された参加者42例を対象とした単一研究では、腕や肩に影響を及ぼすRAがある人には、適度な圧迫感のあるマッサージ療法が痛みを軽減し、握力を高める可能性があることが示されています。
  • マッサージ療法による有害な影響のリスクは低いようです。しかし、まれに重篤な健康被害を負ったという報告もあります。報告されている症例の中には、深部組織マッサージのような激しいタイプのマッサージや、高齢者のような外傷のリスクが高まる可能性のある患者が含まれています。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトのマッサージ療法に関するページを参照してください。

マインドフルネス瞑想

  • 4件の研究(総参加者401例)では、RA患者におけるマインドフルネスに基づく介入の効果が検討されており、いずれの研究でも痛みなどの自覚症状や病気に対処する能力に何らかの改善が見られたというエビデンスが得られています。
  • マインドフルネス瞑想では、長時間一つの姿勢のままでいることがあります。これは、関節炎のある人にとっては難しい、または痛みを伴う場合があります。マインドフルネス瞑想を試してみたいと思っている場合は、身体的な制限をインストラクターに伝え、インストラクターがあなたにとって快適になるように療法を変更できるようにましょう。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトの瞑想に関するページを参照してください。

リラクゼーション法

  • RA患者には、自律訓練法、バイオフィードバック(行動療法)、その他のリラクゼーション法が研究されていますが、それぞれの療法についての研究はごくわずかです。期待できる結果が出ているものもありますが、研究が非常にごくわずかなため明確な結論は得られていません。
  • リラクゼーション法は、一般的に副作用はありません。しかし、重篤な身体的または精神的症状・疾患がある人に、まれに有害な影響が報告されています。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトのリラクゼーション法に関するページをご覧ください。

太極拳

  • 複数の研究では、太極拳を行うことがRAの人に与える影響を調べています。参加者の身体機能の改善が認められた研究もあれば、そうでない研究もあります。これらの研究のほとんどは10年より前のものであり(さらに古いものもあります)、そのため研究参加者は現在RA治療に使用されている医薬品の種類を服用していなかったでしょう。一貫性のない知見と長年にわたるRA治療の変化のため、太極拳がRAに効果があるかどうかは明らかにされていません。
  • RAに対する太極拳の研究では、太極拳は症状を悪化させないことが示されています。しかし、伝統的な太極拳は、RAの人が安全で快適に参加できるように適応させる必要があるかもしれません。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトの太極拳に関するページをご覧ください。

ヨガ

  • ヨガは関節炎に有益と思われるエクササイズのいくつかの要素を取り入れており、その中には筋力や柔軟性の向上に役立つ運動も含まれています。しかし、RAに対するヨガを調べた研究はごくわずかで、質の高いものではありませんでした。これらの研究では、ヨガが有用であるかどうか明確に示されていません。
  • ヨガのエクササイズは、運動性が制限されるRAの人や脊椎に問題のある人は注意して行うべきです。RAの人は、関節へのストレスを最小限に抑えるために、ヨガの一部のポーズを部分的に変更する際の補助や、バランスを整えるために支えが必要となる可能性があります。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトのヨガに関するページを参照してください。

サプリメント

オメガ3脂肪酸

  • オメガ3脂肪酸は、食物や人体に含まれる脂肪の一種です。サプリメントとしても販売されています。オメガ3系の種類は食物によって異なります。多くの研究では、海産食品(魚介類)に含まれる長鎖オメガ3系に注目しています。
  • 長鎖オメガ3系のサプリメントを検査した22件の研究(総参加者956例)を対象とした2017年のレビューでは、RA患者の痛みに対する良好な効果が認められました。
  • オメガ3サプリメントは、通常、副作用があるとしても軽度のものでしかありません。オメガ3サプリメントが前立腺がんのリスクに影響を与えるかどうかについては、相反するエビデンスがあります。血液凝固に影響を与える薬を服用している場合や、魚介類にアレルギーがある場合は、オメガ3サプリメントを摂取する前に、かかりつけ医療スタッフに相談してください。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトのオメガ3系に関するページをご覧ください。

ガンマリノレン酸(Gamma-Linolenic Acid:GLA)

  • GLAは、月見草(Oenothera biennis)、ボラージ(Borago officinalis)、クロフサスグリ(Ribes nigrum)など、いくつかの植物のオイルに含まれるオメガ6脂肪酸ですGLAを含むオイルはRAの症状を緩和する効果がある可能性がありますが、それぞれのオイルについての研究はごくわずかしか行われていません。
  • 短期的な研究では、GLAを含むオイルは胃の不調や頭痛などの軽度の副作用しか出ませんでした。GLAサプリメントの長期的な安全性は明らかにされていません。ボラージ製品の中には、肝臓に害を及ぼす可能性のあるピロリジジンアルカロイドと呼ばれる物質が含まれている場合があります。

プロバイオティクス

  • 少数の予備的研究では、RA患者を対象にさまざまなプロバイオティクスを検証していますが、使用するプロバイオティクスの種類は研究によって異なり、結果も異なっていました。プロバイオティクスの効果については、現時点でのエビデンスに基づく結論は得られていません。
  • 一般的に健康な人であれば、プロバイオティクスは安全性に優れています。副作用は、発生としても、通常はガスのような軽度の消化器症状だけです。しかし、プロバイオティクスの長期的な安全性に関する情報は限定的で、プロバイオティクスの種類によって安全性が異なる可能性があります。プロバイオティクスは、重篤な内科的基礎疾患がある人には、危険な感染症などの重度の副作用との関連性が指摘されています。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトのプロバイオティクスに関するページをご覧ください。

ライコウトウ

  • ライコウトウ(Tripterygium wilfordii)は、中国伝統医学で使用される薬草です。RAに対するライコウトウの経口摂取については、質の高い研究がわずかしかありません。これらの研究は、ライコウトウが一部のRA症状を改善する可能性があることを示しています。2件の研究では、ライコウトウは少なくとも通常の医薬品と同様に有用でした。また、中国での研究では、通常の医薬品と併用した場合にも有望な結果が得られています。
  • ライコウトウには、骨密度の低下や男性不妊などの重大な副作用があります。適切に調整されていないライコウトウの抽出物(エキス)は、猛毒になることがあります。この薬草を使用した場合のリスクは、その効果を上回る可能性があります。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトのライコウトウに関するページをご覧ください。

他のサプリメント

  • RAに対して研究されている他のサプリメントには、キャッツクロー、鹿茸、ナツシロギク、亜麻仁油、緑イ貝、ローズヒップ、ヤナギ樹皮抽出物(エキス)などがあります。これらのサプリメントはどれも、人を対象にごくわずかな研究しかが行われておらず、効果について結論は得られていません。

違法な関節炎のサプリメント

FDAは、関節炎や痛みに対し宣伝されている処方薬の混入したいくつかの違法なサプリメントについて、一般の人々に警告を発しています。これらの製品に含まれているラベル表示されていない成分が、副作用を引き起こしたり、薬物と有害な相互作用を起こしたりする可能性があります。

FDAのウェブサイトでは、違法な関節炎・疼痛の製品[英語サイト]の一覧や、不正なサプリメント[英語サイト]の一般的な情報が掲載されています。また、摂取しているサプリメントや検討しているサプリメントについて、かかりつけの医療スタッフに相談してみるのも良いでしょう。

補完療法について

アーユルヴェーダ療法

  • アーユルヴェーダ療法は、インドで発祥した医療体系の一つです。2件の予備的研究(参加者161例)では、アーユルヴェーダの薬用植物とRAの治療に用いられる通常の医薬品を比較しています。どちらも、アーユルヴェーダの薬用植物の中には、医薬品と同等の効果を持つものもあることを示しています。しかし、この2件の研究では、異なるアーユルヴェーダの薬用植物を使用し、異なる医薬品と比較しています。
  • アーユルヴェーダ療法では、さまざまな製品や療法を使用しています。中には、特に誤った使い方や、熟練した施術者の指導なく使用された場合、有害となるものもあります。
  • さらなる情報は、NCCIHのウェブサイトのアーユルヴェーダ療法に関するページを参照してください。

温泉療法

  • 温泉療法とは、健康目的で水道水やミネラルウォーターを使って入浴する療法で、泥パックなどの関連する施術も含まれていますRAに対する温泉療法に関する8件の研究(総参加者496例)を対象とした2016年のレビューでは、研究によって使用された温泉療法の種類にばらつきがあり、また研究デザインにもばらつきがあったため、明確な結論は得られていません。
  • 温泉療法は安全性に優れています。

特別な食事療法

  • ベジタリアン、地中海式、除去食などの特別な食事療法がRAに及ぼす影響は、ほとんど研究が行われていないため明らかにされていません。
  • RAのために特別な食事療法を検査した研究では、意図していないにもかかわらず体重が減少した人がいましたが、これはすでに正常体重以下の人にとっては好ましくない効果です。特別な食事療法の中には、特に1つ以上の主要な食物群を排除しているものでは、あまりにも制限が多いため栄養不足に陥る危険性があります。

さらに考慮しなければならないこと

  • サプリメントの利用を検討している場合、使い方を誤ると健康に害を及ぼすこと、服用中の処方薬や市販薬あるいは摂取中の他のサプリメントと相互作用する可能性があることを忘れないでください。かかりつけの医療スタッフがあなたにアドバイスしてくれます。妊娠中、授乳中、あるいは子供にサプリメントを与えることを検討している人は、医療スタッフに相談しましょう。さらに詳しくお知りになりたい方は、NCCIHのウェブサイトのサプリメントのページをご覧ください。
  • 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

消費者向け情報

医療者向け情報

関連するファクトシート

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/[英語サイト]
Email:info@nccih.nih.gov

■ 国立関節炎、骨格筋、皮膚疾患研究所 (NIAMS; National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases)

NIAMSの使命は、関節炎、骨格筋、皮膚疾患の原因、治療、および予防に関する研究の支援、この研究を行うための基礎および臨床科学者の訓練、これらの疾患の研究の進捗に関する情報の普及です。

米国内の無料通話:1-877-22-NIAMS
ウェブサイト: https://www.niams.nih.gov[英語サイト]

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed(PubMedで補完療法の情報を探す)[英語サイト]をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/[英語サイト]

■ MedlinePlus

健康に関する質問に答えるのに役立つリソースを提供するために、MedlinePlus(米国国立医学図書館のサービス)では、国立衛生研究所をはじめ、他の政府機関や健康関連組織からの信頼できる情報をまとめています。

ウェブサイト:https://www.medlineplus.gov/[英語サイト]

参考文献

  • Agarwal SK. Core management principles in rheumatoid arthritis to help guide managed care professionals[英語サイト]. Journal of Managed Care Pharmacy. 2011;17(9 Suppl B):S03-S08.
  • Cameron M, Gagnier JJ, Chrubasik S. Herbal therapy for treating rheumatoid arthritis[英語サイト]. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2011;(2):CD002948. Accessed at https://www.cochranelibrary.com[英語サイト] on January 12, 2018.
  • Dissanayake RK, Bertouch JV. Psychosocial interventions as adjunct therapy for patients with rheumatoid arthritis: a systematic review[英語サイト]. International Journal of Rheumatic Diseases. 2010;13(4):324-334.
  • Field T, Diego M, Delgado J, et al. Rheumatoid arthritis in upper limbs benefits from moderate pressure massage therapy[英語サイト]. Complementary Therapies in Clinical Practice. 2013;19(2):101-103.
  • Hagen KB, Byfuglien MG, Falzon L, et al. Dietary interventions for rheumatoid arthritis[英語サイト]. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2009;(1):CD006400. Accessed at https://www.cochranelibrary.com[英語サイト] on January 12, 2018.
  • Han A, Judd M, Welch V, et al. Tai chi for rheumatoid arthritis[英語サイト]. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2004;(3):CD004849 [edited 2010]. Accessed at https://www.cochranelibrary.com[英語サイト] on January 12, 2018.
  • National Institute of Musculoskeletal and Skin Diseases. Rheumatoid arthritis. In-depth. Accessed at https://www.niams.nih.gov/health-topics/rheumatoid-arthritis/advanced[英語サイト] on December 22, 2017.
  • Senftleber NK, Nielsen SM, Andersen JR, et al. Marine oil supplements for arthritis pain: a systematic review and meta-analysis of randomized trials[英語サイト]. Nutrients. 2017;9(1):E42.
  • Uhlig T. Tai chi and yoga as complementary therapies in rheumatologic conditions[英語サイト]. Best Practice & Research. Clinical Rheumatology. 2012;26(3):387-398.
  • Anain JM Jr, Bojrab AR, Rhinehart FC. Conservative treatments for rheumatoid arthritis in the foot and ankle. Clinics in Podiatric Medicine and Surgery. 2010;27(2):193-207.
  • Badsha H, Chhabra V, Leibman C, et al. The benefits of yoga for rheumatoid arthritis: results of a preliminary, structured 8-week program. Rheumatology International. 2009;29(12):1417-1421.
  • Bamford JT, Ray S, Musekiwa A, et al. Oral evening primrose oil and borage oil for eczema. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2013;(4):CD004416. Accessed at http://www.cochranelibrary.com on January 16, 2018.
  • Bosch PR, Traustadóttir T, Howard P, et al. Functional and physiological effects of yoga in women with rheumatoid arthritis: a pilot study. Alternative Therapies in Health and Medicine. 2009;15(4):24-31.
  • Brasky TM, Darke AK, Song X, et al. Plasma phospholipid fatty acids and prostate cancer risk in the SELECT trial. Journal of the National Cancer Institute. 2013;105(15):1132-1141.
  • Bykerk VP, Akhavan P, Hazlewood GS, et al. Canadian Rheumatology Association recommendations for pharmacological management of rheumatoid arthritis with traditional and biologic disease-modifying antirheumatic drugs. Journal of Rheumatology. 2012;39(8):1559-1582.
  • Canter PH, Lee HS, Ernst E. A systematic review of randomised clinical trials of Trypterygium wilfordii for rheumatoid arthritis. Phytomedicine. 2006;13(5):371-377.
  • Chang CY, Wu YT, Chen LC, et al. Massage-induced brachial plexus injury. Physical Therapy. 2015;95(1):109-116.
  • Chopra A, Saluja M, Tillu G, et al. Comparable efficacy of standardized Ayurveda formulation and hydroxychloroquine sulfate (HCQS) in the treatment of rheumatoid arthritis (RA): a randomized investigator-blind controlled study. Clinical Rheumatology. 2012;31(2):259-269.
  • Christie A, Jamtvedt G, Dahm KT, et al. Effectiveness of nonpharmacological and nonsurgical interventions for patients with rheumatoid arthritis: an overview of systematic reviews. Physical Therapy. 2007;87(12):1697-1715.
  • Chua ME, Sio MCD, Sorongon MC, et al. Relationship of dietary intake of omega-3 and omega-6 fatty acids with risk of prostate cancer development: a meta-analysis of prospective studies and review of literature. Prostate Cancer. 2012;2012:826254.
  • Cramer H, Lauche R, Langhorst J, et al. Yoga for rheumatic diseases: a systematic review. Rheumatology. 2013;52(11):2025-2030.
  • Crump C, Paluska SA. Venous thromboembolism following vigorous deep tissue massage. The Physician and Sportsmedicine. 2010;38(4):136-139.
  • Davis MC, Zautra AJ, Wolf LD, et al. Mindfulness and cognitive-behavioral interventions for chronic pain: differential effects on daily pain reactivity and stress reactivity. Journal of Consulting and Clinical Psychology. 2015;83(1):24-35.
  • de los Angeles Pineda M, Thompson SF, Summers K, et al. A randomized, double-blinded, placebo-controlled pilot study of probiotics in active rheumatoid arthritis. Medical Science Monitor. 2011;17(6):CR347-CR354.
  • Duffy LC, Sporn S, Hibberd P, et al. Lactobacilli and bifidobacteria. In: Coates PM, Betz JM, Blackman MR, et al., eds. Encyclopedia of Dietary Supplements. 2nd ed. New York, NY: Informa Healthcare; 2010:469-478.
  • Fogarty FA, Booth RJ, Gamble GD, et al. The effect of mindfulness-based stress reduction on disease activity in people with rheumatoid arthritis: a randomised controlled trial. Annals of Rheumatic Diseases. 2015;74(2):472-474.
  • Furst DE, Venkatraman MM, McGann M, et al. Double-blind, randomized, controlled, pilot study comparing classic Ayurvedic medicine, methotrexate, and their combination in rheumatoid arthritis. Journal of Clinical Rheumatology. 2011;17(4):185-192.
  • Gilbey A, Perezgonzalez JD. Health benefits of deer and elk velvet antler supplements: a systematic review of randomised controlled studies. New Zealand Medical Journal. 2012;125(1367):80-86.
  • Gogtay NJ, Bhatt HA, Dalvi SS, et al. The use and safety of non-allopathic Indian medicines. Drug Safety. 2002;25(14):1005-1019.
  • Goldbach-Mansky R, Wilson M, Fleischmann R, et al. Comparison of Tripterygium wilfordii Hook F versus sulfasalazine in the treatment of rheumatoid arthritis: a randomized trial. Annals of Internal Medicine. 2009;151(4):229-240.
  • Guo Z, Chen W, Su Y, et al. Isolated unilateral vertebral pedicle fracture caused by a back massage in an elderly patient: a case report and literature review. European Journal of Orthopaedic Surgery and Traumatology. 2013;23 Suppl 2:S149-S153.
  • Haaz S, Bartlett SJ. Yoga for arthritis: a scoping review. Rheumatic Diseases Clinics of North America. 2011;37(1):33-46.
  • Hatakka K, Martio J, Korpela M, et al. Effects of probiotic therapy on the activity and activation of mild rheumatoid arthritis—a pilot study. Scandinavian Journal of Rheumatology. 2003;32(4):211-215.
  • Hempel S, Newberry S, Ruelaz A, et al. Safety of Probiotics to Reduce Risk and Prevent or Treat Disease. Evidence Report/Technology Assessment no. 200. Rockville, MD: Agency for Healthcare Research and Quality; 2011. AHRQ publication no. 11-E007.
  • Kligler B, Cohrssen A. Probiotics. American Family Physician. 2008;78(9):1073-1078.
  • Lao L. Safety issues in acupuncture. Journal of Alternative and Complementary Medicine. 1996;2(1):27-31.
  • Lee MS, Shin B-C, Ernst E. Acupuncture for rheumatoid arthritis: a systematic review. Rheumatology. 2008;47(12):1747-1753.
  • Lustyk MK, Chawla N, Nolan RS, et al. Mindfulness meditation research: issues of participant screening, safety procedures, and researcher training. Advances in Mind-Body Medicine. 2009;24(1):20-30.
  • Lv Q-W, Zhang W, Shi Q, et al. Comparison of Tripterygium wilfordii Hook F with methotrexate in the treatment of active rheumatoid arthritis (TRIFRA): a randomised, controlled clinical trial. Annals of the Rheumatic Diseases. 2015;74(6):1078-1086.
  • Macfarlane GJ, El-Metwally A, De Silva V, et al. Evidence for the efficacy of complementary and alternative medicines in the management of rheumatoid arthritis: a systematic review. Rheumatology. 2011;50(9):1672-1683.
  • Macfarlane GJ, Paudyal P, Doherty M, et al. A systematic review of evidence for the effectiveness of practitioner-based complementary and alternative therapies in the management of rheumatic diseases: rheumatoid arthritis. Rheumatology. 2012;51(9):1707-1713.
  • Mandel DR, Eichas K, Holmes J. Bacillus coagulans: a viable adjunct therapy for relieving symptoms of rheumatoid arthritis according to a randomized, controlled trial. BMC Complementary and Alternative Medicine. 2010;10:1.
  • Maste P, Paik SH, Oh JK, et al. Acute spinal subdural hematoma after vigorous back massage: a case report and review of literature. Spine. 2014;39(25):E1545-E1548.
  • Sanders ME, Akkermans LM, Haller D, et al. Safety assessment of probiotics for human use. Gut Microbes. 2010;1(3):164-185.
  • Santos I, Cantista P, Vasconcelos C. Balneotherapy in rheumatoid arthritis—a systematic review. International Journal of Biometeorology. 2016;60(8):1287-1301.
  • Saper RB, Phillips RS, Sehgal A, et al. Lead, mercury, and arsenic in U.S.- and Indian-manufactured Ayurvedic medicines sold via the Internet. JAMA. 2008;300(8):915-923.
  • Setty AR, Sigal LH. Herbal medications commonly used in the practice of rheumatology: mechanisms of action, efficacy, and side effects. Seminars in Arthritis and Rheumatism. 2005;34(6):773-784.
  • Shanahan F. A commentary on the safety of probiotics. Gastroenterology Clinics of North America. 2012;41(4):869-876.
  • Stack RJ, Shaw K, Mallen C, et al. Delays in help seeking at the onset of the symptoms of rheumatoid arthritis: a systematic synthesis of qualitative literature. Annals of the Rheumatic Diseases. 2012;71(4):493-497.
  • Sun F, Yuan QL, Zhang YG. Large buttocks hematoma caused by deep tissue massage therapy. Pain Medicine. 2015;16(7):1445-1447.
  • Szymanski KM, Wheeler DC, Mucci LA. Fish consumption and prostate cancer risk: a review and meta-analysis. American Journal of Clinical Nutrition. 2010;92(5):1223-1233.
  • Taibi DM, Bourguignon C. The role of complementary and alternative therapies in managing rheumatoid arthritis. Family & Community Health. 2003;26(1):41-52.
  • Verhagen AP, Bierma-Zeinstra SM, Boers M, et al. Balneotherapy (or spa therapy) for rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2015;(4):CD000518. Accessed at http://www.cochranelibrary.com on January 16, 2018.
  • Vickers A, Zollman C, Payne DK. Hypnosis and relaxation therapies. Western Journal of Medicine. 2001;175(4):269-272.
  • Wang C, de Pablo P, Chen X, et al. Acupuncture for pain relief in patients with rheumatoid arthritis: a systematic review. Arthritis and Rheumatism. 2008;59(9):1249-1256.
  • Wang X, Zu Y, Huang L, et al. Treatment of rheumatoid arthritis with combination of methotrexate and Tripterygium wilfordii: a meta-analysis. Life Sciences. 2017;171:45-50.
  • Ward L, Treharne GJ, Stebbings S. The suitability of yoga as a potential therapeutic intervention for rheumatoid arthritis: a focus group approach. Musculoskeletal Care. 2011;9(4):211-221.
  • Yin P, Gao N, Wu J, et al. Adverse events of massage therapy in pain-related conditions: a systematic review. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2014;2014:480956.
  • Xu S, Wang L, Cooper E, et al. Adverse events of acupuncture: a systematic review of case reports. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2013;2013:581203.
  • Zamani B, Golkar HR, Farshbaf S, et al. Clinical and metabolic response to probiotic supplementation in patients with rheumatoid arthritis: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. International Journal of Rheumatic Diseases. 2016;19(9):869-879.

謝辞

NCCIHは、この出版物の2013年の更新に貢献した以下の方に感謝しています:D. Craig Hopp, Ph.D., and David Shurtleff, Ph.D., NCCIH

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。
筋骨格系の炎症に対する天然物:概要
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2022年2月

ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)(eJIM内:一般向け医療関係者向け)などの栄養学的アプローチには、抗炎症作用があるとされるものが多く、変形性関節症、関節リウマチ、腱炎などの筋骨格系の炎症性疾患に伴う炎症や疼痛の治療に使用されてきた長い歴史を持つものがあります。いくつかの天然物がわずかに有用であるかもしれないという限られたエビデンス(科学的根拠)もありますが、一般的に、炎症性疾患に対するこれらのアプローチの多くについて使用することを支持するエビデンスは不十分です。ここでは、これらの症状・疾患を改善するなどとして販売されているいくつかの天然物に関するエビデンスの最新情報の概要を紹介します。

科学的観点:
骨格系の炎症に対する天然物:科学的根拠

各種補完療法と現時点での研究の要約

ヤナギの樹皮(Salix alba)

ヤナギの樹皮の抽出物(エキス)は、慢性腰痛や変形性関節症に対して長い間使用されてきたにもかかわらず、これを支持する臨床試験は小規模なものがいくつか行われただけです。

筋骨格系の炎症に対するヤナギの樹皮の研究についての詳細はこちら[英語サイト]

オメガ3脂肪酸(魚油)

オメガ3脂肪酸は、関節リウマチの症状に対してわずかな有用性を示すかもしれないというエビデンスがいくつかあります。

筋骨格系の炎症に対するオメガ3脂肪酸の研究についての詳細はこちら[英語サイト]

デビルズクロー(Harpagophytum)

デビルズクローは、腰痛に短期的にわずかに改善をもたらすかもしれないという限定的なエビデンスがあります。デビルズクローが脊椎、股関節、膝の変形性関節症に有用あるという中等度のエビデンスがあります。

筋骨格系の炎症に対するデビルズクローの研究についての詳細はこちら[英語サイト]

ショウガ(Zingiber officinale)

入手可能なエビデンスによると、ショウガの補給が関節リウマチ、変形性関節症、関節痛や筋肉痛の治療に有益であるかどうかは不明です。

筋骨格系の炎症に対するショウガの研究についての詳細はこちら[英語サイト]

ライコウトウ(サンダーゴッドバイン)

ライコウトウが関節リウマチの症状を軽減するかもしれないというエビデンスがいくつかあります。しかしながら、ライコウトウは重篤な副作用を伴うかもしれません。

筋骨格系の炎症に対するライコウトウの研究についての詳細はこちら[英語サイト]

ウコン(Curcuma longa)

実験室での研究から、ウコンに含まれる化学物質であるクルクミンに抗炎症作用があることが予備的に示唆されていますが、炎症性疾患に使用されてきた長い歴史にもかかわらず、これらの疾患に対するウコンの使用を支持するエビデンスは不十分です。

筋骨格系の炎症に対するウコンの研究についての詳細はこちら[英語サイト]

ブロメライン(パイナップル植物)

ブロメラインは、急性鼻炎や副鼻腔炎を改善するための補助療法として有用であるかもしれないというエビデンスがいくつかありますが、ブロメラインがさまざまな炎症の症状・疾患に対して有益な効果をもたらすかどうかについては、十分なエビデンスが得られていません。

筋骨格系の炎症に対するブロメラインの研究についての詳細はこちら[英語サイト]

診療ガイドライン

科学文献

患者のための情報

筋骨格系の炎症に対する天然物:科学的根拠
最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2022年2月

診療ガイドライン、科学文献、患者のための情報:
筋骨格系の炎症に対する天然物

ヤナギの樹皮(Salix alba)

ヤナギの樹皮は、古くから何世紀にもわたって、疼痛、頭痛、滑液包炎や腱鞘炎などの炎症性の症状・疾患の治療に使用されてきました。セイヨウシロヤナギ(white willow)の樹皮には、アスピリンの開発に使用された化学物質であるサリシンが含まれています。ヤナギの樹皮の抽出物(エキス)は、慢性腰痛や変形性関節症に対して長い間使用されてきたにもかかわらず、これを支持する臨床試験はいくつか小規模なものが行われただけです。

研究でわかったことは?
  • 2019年に報告されたレビュー[英語サイト]では、特に米軍の特殊作戦部隊の隊員を対象に、実践とセルフケアのための判断材料とするため、慢性的な筋骨格系の疼痛に対する食事成分に関する現在の研究を評価しました。対象となる19種類の栄養成分について、品質、有効性、安全性を評価しました。慢性的な筋骨格系の疼痛を緩和するために、ヤナギの樹皮抽出物(エキス)や他のいくつかのサプリメント(eJIM内:一般向け医療関係者向け)を使用することは推奨されませんでした。
  • 2015年に報告されたレビューでは、ヤナギの樹皮抽出物(エキス)は、数百年にわたって使用されてきた逸話と、入手可能なエビデンス(科学的根拠)に基づき、鎮痛剤および抗炎症剤として有用であることを示唆していると結論付けています。
  • 261名の参加者を対象とした2件の臨床試験に関する2014年のコクランレビュー[英語サイト]では、腰痛症の短期的な改善にはプラセボよりもセイヨウシロヤナギの樹皮を毎日摂取する方が有効な可能性が高く、レスキュー薬(頓服薬)の使用を減らす可能性があるという中等度の質のエビデンスが認められました。
安全性
  • 2019年に報告された米国薬局方安全性のレビュー[英語サイト]では、ヤナギの樹皮から抽出したサリシン(有効成分)を1日120~240mg、8週間まで投与した試験で、重篤な有害事象は報告されなかったことがわかりました。なお、重要な点として、これらの試験は成人のみを対象としており、小児や妊娠・授乳中の女性を対象としたものはないことがあります。ヤナギの樹皮に関連する主な副作用は消化器系で、アレルギー反応もいくつか報告されています。また、レビューでは、影響を受けやすい集団において出血が増加するリスクがあること、サリチル酸塩は胎盤を通過し、新生児ではゆっくりと排出されること、アスピリンに敏感またはアレルギーがある人がいること、子どもはライ症候群のリスクがあることが結論付けられました。他のサリチル酸塩を含む医薬品との併用は、これらのリスク(危険)を高めます。
  • 小児、妊娠中または授乳中の女性、アスピリンに対する過敏症がある人は、ヤナギの樹皮の使用を控える必要があります。

オメガ3脂肪酸(魚油)

オメガ3脂肪酸は、関節リウマチの症状に対してわずかな有用性を示すかもしれないというエビデンスがいくつかあります。

研究でわかったことは?
  • 2018年に報告された、関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA)の参加者総数1,252例を対象とした20件のランダム化比較試験[英語サイト]によるシステマティックレビューおよびメタアナリシスの結果、解析に含まれる研究の質が全体的に低いというエビデンスにもかかわらず、オメガ3脂肪酸の摂取はRAの疾患活動関連マーカー8項目を有意に改善することが明らかになりました。しかし、評価された5つの炎症性マーカーのなかでは、ロイコトリエンB4だけが減少していることがわかりました。
  • 2021年に報告された、16カ国で実施された31件の研究によるシステマティックレビュー[英語サイト]では、エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid、EPA)とドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid 、DHA)の補充が、レプチンとアディポネクチンの循環レベルに対する影響が測定されました。その結果、18件の研究において、プラセボと比較してEPA+DHAの摂取によりレプチン値の低下やアディポネクチン値の上昇が報告されました(9件の研究では統計的に有意な差があると報告されています)。しかし、投与量、補充期間、集団の特徴は研究によって異なっていました。
  • 2015年に報告されたランダム化比較試験[英語サイト]では、過体重・肥満の妊娠中の女性を対象に、10~16週目から出産まで1日2回DHA+EPAまたはプラセボを摂取させたところ、25週間以上オメガ3脂肪酸を補充することにより、母体の脂肪組織と胎盤組織の炎症が抑制されたことを明らかにしました。
安全性
  • オメガ3脂肪酸のサプリメントは一般的に安全で忍容性が高いものです。副作用が生じた場合、一般的には軽度の消化器症状や魚臭い後味があります。
  • オメガ3系サプリメントが出血時間を長引かせる可能性があるという懸念があります。そのリスクはわずかであると考えられます。しかしながら、血小板機能に影響を及ぼす医薬品を服用している患者には、オメガ3系サプリメントを決して使用すべきではありません。オメガ3脂肪酸の使用を検討している場合は、ハーブと薬の相互作用の可能性について患者と話し合うことが重要です。
  • 魚や甲殻類のアレルギーを持つ人が魚油のサプリメントを安全に使用できるかどうかは明らかにされていないため、そのような患者には使用しないでください。

デビルズクロー(Harpagophytum)

デビルズクローは、アフリカ原産のハーブです。デビルズクローは、関節炎、痛風、筋肉痛、腱鞘炎などに用いられることもあります。デビルズクローは、腰痛にわずかな短期的改善をもたらすかもしれないという限定的なエビデンスがあります。デビルズクローが脊椎、股関節、膝の変形性関節症に有用あるという中等度のエビデンスがあります。

研究でわかったことは?
  • 2019年に報告されたレビュー[英語サイト]では、特に米軍の特殊作戦部隊の隊員を対象に、実践とセルフケアのための判断材料とするため、慢性的な筋骨格系の疼痛に対する食事成分に関する現在の研究を評価しました。対象となる19種類の食事成分について、品質、有効性、安全性が評価されました。慢性的な筋骨格系の疼痛を緩和するために、デビルズクローや他のいくつかのサプリメント使用することは推奨されませんでした。
  • 2014年に報告された参加者315例を対象とした2件の臨床試験によるコクランレビュー[英語サイト]では、デビルズクローの1日投与は、腰痛の短期的な改善においてプラセボよりも優れている可能性があり、レスキュー薬の使用を減らすかもしれないという質の低いエビデンスが得られました。
  • 2008年に報告されたレビュー[英語サイト]では、変形性関節症に対するダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)について、この症状に対するデビルズクローの長期にわたる安全性や有効性に関する信頼できるエビデンスは不十分であると結論付けました。
安全性
  • 2008年に報告された変形性関節症および腰痛症に対するデビルズクローの安全性に関する28件の臨床試験によるシステマティックレビュー[英語サイト]は、デビルズクローによる治療中の有害事象の発生率は低いものの、より長期的な安全性データが必要であると結論付けています。
  • デビルズクローは心拍数や血圧に影響を与えるかもしれないので、心疾患や循環器系に障害のある人には有害であるかもしれません。
  • デビルズクローは血糖値を下げるかもしれないので、糖尿病の人は血中グルコース値をよく観察する必要があります。
  • 胆石や消化性潰瘍疾患のある人は、デビルズクローの使用を控える必要があります。

ショウガ(Zingiber officinale)

ショウガは古くからアジアの医学で胃痛、悪心、下痢などの治療に使われてきました。現在、ショウガは民間療法や伝統療法として、手術後の吐き気、動作誘発性の吐き気、化学療法、妊娠による吐き気、関節リウマチ、変形性関節症、関節や筋肉の痛みなどに使用されています。入手可能なエビデンスによると、ショウガが関節リウマチ、変形性関節症、または関節や筋肉の痛みの治療に有益であるかどうかは不明です。

研究でわかったことは?
  • 2020年に報告された7件の試験によるシステマティックレビューおよびメタアナリシス[英語サイト]では、変形性膝関節症患者の疼痛緩和と機能改善において、プラセボと比較したショウガの経口使用を支持するエビデンスは不十分であることが明らかになりました。
  • 2019年に報告されたレビュー[英語サイト]では、特に米軍の特殊作戦部隊の隊員を対象に、実践とセルフケアのための判断材料とするため、慢性的な筋骨格系の疼痛に対する食事成分に関する現在の研究を評価しました。対象となる19種類の食事成分について、品質、有効性、安全性を評価しました。ショウガの使用については、他のいくつかのダイエタリーサプリメントと同様に、条件付きでエビデンスに基づく推奨がなされました。これらのケースでは、望ましい効果が望ましくない効果を上回ったものの、エビデンスの質が低いか、ベネフィット(有効性)とデメリットのバランスが密接に釣り合っていたため、トレードオフについては不確実でした。
  • 2010年に報告された研究[英語サイト]では、参加者74例を対象に、エキセントリック運動(収縮している筋肉が伸ばされる筋活動が主となる運動)による筋肉痛や炎症に対するショウガの有用性を検証しました。この研究では、生のショウガと加熱処理したショウガを毎日摂取することで、運動による筋肉損傷後の筋肉痛が中程度から大きく軽減されることがわかりました。
安全性
  • 少量の摂取であれば、ショウガによる副作用はほとんどありません。軽度の副作用として、ガス、膨満感、胸やけ、悪心などが報告されていますが、これらの副作用は粉末のショウガに多く見られます。

ライコウトウ(サンダーゴッドバイン)

ライコウトウは、中国、日本、韓国原産の多年草のつる植物です。中国では400年以上前から健康目的で使用されてきました。中国の伝統医学では、炎症や免疫系の過剰な活動を伴う症状に用いられてきました。ライコウトウが関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)の症状を軽減するかもしれないというエビデンスがいくつかあります。しかしながら、重篤な副作用を伴うかもしれません。

研究でわかったことは?
  • 2011年に報告された関節リウマチの治療薬としてライコウトウとスルファサラジンを比較した3件の研究によるコクランレビュー[英語サイト]では、ライコウトウは関節リウマチの症状を軽減するかもしれないが、いくつかの重篤な副作用を伴うかもしれないと結論付けました。
  • また、2011年に報告されたシステマティックレビュー[英語サイト]では、関節リウマチの管理に対する補完療法のうち、ライコウトウに関する3件の研究を検討し、肯定的な有用性があることを確認しました。しかし、検討されたどの物質についても、その有用性を示唆する一貫したエビデンスはありませんでした。
安全性
  • ライコウトウは重篤な副作用を引き起こす可能性があり、皮をむいた根から慎重に抽出しないと毒になる可能性があります。葉、花、根の皮などを含むライコウトウの他の部位には、強い毒があり、死に至る可能性もあります。
  • ある研究では、多くの参加者が胃腸障害の副作用を経験し、また、上気道感染症も経験しました。(副作用の発現率はライコウトウ群とスルファサラジン群で同様)ライコウトウは、脱毛、頭痛、月経の変化、粘膜・皮膚トラブルなども引き起こす可能性があります。
  • 米国では一貫した高品質のライコウトウ製品は製造されていません。米国外で製造されたライコウトウの製剤が入手できる場合がありますが、安全性や有効性を確認することはできません。
  • ライコウトウは、5年以上摂取した女性で骨密度を低下させることが判明しています。
  • ライコウトウには、精子を変化させることで男性の生殖能力を低下させるかもしれない化学物質が含まれています。

ウコン(Curcuma longa)

ウコンは、アーユルヴェーダ医学において、炎症性疾患の治療に用いられてきた長い歴史があります。クルクミンはウコンから抽出される化学物質で、炎症性疾患の治療薬や予防薬としてよく使用されています。実験室での研究から、ウコンに含まれる化学物質であるクルクミンに抗炎症作用があることが予備的に示唆されていますが、炎症性疾患に使用されてきた長い歴史にもかかわらず、これらの疾患に対するウコンの使用を支持するエビデンスは不十分です。

研究でわかったことは?
  • 2021年に報告された参加者総数1,287例を対象とした10件の研究によるシステマティックレビュー[英語サイト]では、ウコンはプラセボと比較して、変形性膝関節症の疼痛や機能に対して、非ステロイド性抗炎症薬と同様の有益な効果をもたらすかもしれないことがわかりました。しかし、レビューアらは、最適な投与量、投与頻度、製剤などの変数については、現時点では不明であることを指摘しました。
  • 2021年に報告されたレビュー[英語サイト]では、炎症性腸疾患、変形性関節症、皮膚、口腔内の炎症、神経障害性疼痛など、炎症性疾患や疼痛性疾患の治療および予防に対する、ウコンとクルクミンの有益な効果を強調するいくつかの研究が見つかりました。しかし、レビューアらは、臨床試験が不十分であるため、この植物の臨床的有効性をしっかりと確立するためには、さらに質の高い研究が必要であると指摘しています。
  • 2019年に報告されたレビュー[英語サイト]では、特に米軍の特殊作戦部隊の隊員を対象に、実践とセルフケアのための判断材料とするため、慢性的な筋骨格系の疼痛に対する食事成分に関する現在の研究を評価しました。対象となる19種類の食事成分について、品質、有効性、安全性を評価しました。ウコンの使用については、他のいくつかのダイエタリーサプリメントと同様に、条件付きでエビデンスに基づく推奨がなされました。これらのケースでは、望ましい効果が望ましくない効果を上回ったものの、エビデンスの質が低いか、ベネフィット(有効性)とデメリットのバランスが密接に釣り合っていたため、トレードオフについては不確実でした。
  • 2020年に報告された11件の研究によるシステマティックレビュー[英語サイト]では、クルクミンの使用は筋肉痛の強さの主観的知覚を減少させること、クレアチンキナーゼの減少を通じて運動誘発性筋肉損傷を減少させること、筋肉パフォーマンスを増加させること、TNF-α、IL-6、IL-8などの炎症性サイトカインを調節することによって抗炎症効果を有すること、そしてわずかながら抗酸化作用を有するかもしれないことが明らかになりました。
安全性
  • クルクミンは、ほとんどの成人にとって安全であると考えられていますが、高用量または長期にわたる使用により、消化不良、悪心、または下痢を引き起こすかもしれません。

ブロメライン(パイナップル植物)

ブロメラインは、パイナップルに含まれる酵素の混合物です。ブロメラインは、鼻の腫れや炎症、変形性関節症、がん、消化不良、筋肉痛などに対する、ダイエタリーサプリメントとしてよく利用されています。それにもかかわらず、正確な作用機序はまだよくわかっていません。ブロメラインは、急性鼻炎や副鼻腔炎を改善するための補助療法として有用であるかもしれないというエビデンスがいくつかありますが、ブロメラインがさまざまな炎症の症状・疾患に対して有益な効果をもたらすかどうかについては、十分なエビデンスが得られていません。

研究でわかったことは?
  • 2019年に報告された6件のランダム化比較試験によるシステマティックレビューおよびメタアナリシス[英語サイト]では、ブロメラインが第三大臼歯の埋伏歯手術を受けている患者の開口障害、疼痛、顔の腫れを減少させるかどうかを評価しました。その結果、ブロメラインは手術後の初期と後期における顔の腫れの減少に有用であると思われることが示唆されました。ブロメラインは術後7日目の術後疼痛を緩和しましたが、初期段階での疼痛レベルには有意差はありませんでした。開口障害については、ブロメラインは初期・後期の開口障害にも明らかな影響を及ぼさないという解析結果が得られました。
  • 2014年に報告された前向きプラセボ対照比較試験[英語サイト]では、患者34例を対象に、埋没下顎臼歯の歯抜後の術後におけるブロメラインの抗炎症作用と鎮痛作用を評価されました。本試験では、ブロメライン群とプラセボ群の間に統計学的な有意差は認められず、ブロメライン群ではプラセボ群と比較して、炎症が少ない傾向、口腔開口部の改善が観察されました。
  • 2006年に報告された3件のランダム化比較試験によるシステマティックレビュー[英語サイト]では、ブロメラインは、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、抗菌薬などの標準的な薬剤と併用することで、急性鼻腔・副鼻腔炎の症状の緩和に役立つことが示唆されています。
安全性
  • ブロメラインを経口摂取した人に、胃腸障害、心拍数の増加、月経障害などの報告があります。
  • パイナップルに敏感な人、アレルギーがある人、または他のアレルギーがある人は、アレルギー反応が出るかもしれません。

更新日:2024年8月9日

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

「統合医療」情報発信サイト
医療関係者の方へ 関連コンテンツ

ページトップ
ページトップ