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腰痛
Low-Back Pain

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英語版改訂年月(翻訳時):2019年8月

要点は?

腰痛に対する補完療法の有効性についてわかっていることは?

  • 鍼治療、筋電図バイオフィードバック(行動療法)、低レベルレーザー治療、マインドフルネス・ストレス軽減法、プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)、脊椎マニピュレーション太極拳ヨガなどさまざまな心身療法が、慢性腰痛に有用である可能性が示されていますが、科学的根拠(エビデンス)の質は低い、もしくは中程度です。
  • 鍼治療、マッサージ療法、脊椎マニピュレーションが急性腰痛(ぎっくり腰)に対して有効な可能性が示されていますが、エビデンスの質は低いです。
  • 局所的に用いるトウガラシ製剤は、腰痛の緩和に有効な可能性があります。

腰痛に対する補完療法の安全性についてわかっていることは?

  • 上記の心身療法(鍼治療、筋電図バイオフィードバック、低レベルレーザー治療、マッサージ療法、マインドフルネス・ストレス軽減法、プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)、脊椎マニピュレーション、太極拳、ヨガ)は、適切に行えば安全性が高いとされています。しかし、どんな人にもリスクがないわけではありません。補完療法の安全性は、あなたの健康状態や特別な環境(妊娠など)に左右される場合があります。
  • 経口(口から)摂取や局所塗布するハーブ製品などの天然物を検討している場合は、天然物が必ずしも安全とは限らず、中には副作用があったり、医薬品と相互作用したりするものがあることを覚えておいてください。

腰痛に関する基礎知識

腰痛はアメリカをはじめ世界中で非常に多い症状です。約80%の成人が、生涯のある時点で腰痛を経験します。職務に関連する身体障害の一番の原因であり、欠勤や受診の主因となっています。

腰痛の症状出現(エピソード)は、短期間であることがほとんどです。医療従事者はこれを急性腰痛(ぎっくり腰)と呼んでいます。急性腰痛は、最長4週間にわたって続く痛みと定義されることが多いです。ほとんどの場合、急性腰痛は後遺症も残らず治ります。

4週間以上12週間未満にわたって続く腰痛は、亜急性腰痛と呼ばれます。

12週間以上続く腰痛は、慢性腰痛と呼ばれます。治療によって慢性腰痛がうまく緩和されることもありますが、治療しても痛みが残る場合もあります。

腰痛の治療に関する臨床診療ガイドライン

臨床診療ガイドラインでは、医療スタッフや患者がどのようなケアを行うべきかについて情報に基づいた決定ができるように支援するために、専門家グループが作成した勧告事項を提供しています。ガイドラインは、科学的根拠(エビデンス)のレビューと、さまざまな治療選択肢の潜在的な有益性と有害性に関する評価に基づいています。ガイドラインは、新しいエビデンスが出るたび頻繁に更新されます。

米国内科学会は、腰痛の治療に関する臨床診療ガイドラインを2017年に公表しました。このガイドラインでは、慢性腰痛の第一選択治療として、医療スタッフと患者が非薬物療法を用いることを勧告しています。また、急性腰痛に対しては、薬物療法の有無にかかわらず、非薬物療法の使用を勧告しています。複数の補完療法が、急性腰痛、慢性腰痛、もしくはその両方に対する治療選択肢として挙げられています。

腰痛に対する補完療法の科学的根拠

心身療法

鍼治療

  • 鍼治療とは多くの場合、施術者が身体の特定部位の皮膚に細い針を刺入することによりその部位を刺激するものです。
  • 腰痛に対する鍼治療について7,900例以上を対象とした49件の研究に関する2017年の評価では、鍼治療が急性腰痛に対してある程度の効果があり、慢性腰痛に対しては中等度の効果があることがわかりました。
  • 米国医療研究品質局(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)による2018年のレビューでは、慢性腰痛の治療終了から1カ月以上経過した後の影響について調べました。鍼治療は、偽(擬似的)鍼治療や通常治療などと比較した場合、1~6カ月時点での痛みや機能に対する効果がわずかに高いことがわかりました。また、1件の研究では、12カ月以上経過した後に痛みが大幅に軽減することがわかりました。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、慢性腰痛に対する初期治療の選択肢として鍼治療(中程度の質のエビデンスに基づく)が、急性・亜急性の腰痛に対する治療選択肢として鍼治療(質の低いエビデンスに基づく)が挙げられています。
  • 鍼治療による重篤な合併症はまれです。
  • もっと詳しくお知りになりたい方は、NCCIHの鍼治療のウェブサイト(英語サイト)をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]

バイオフィードバック(行動療法)

  • バイオフィードバックは身体機能を測定する技術であり、身体機能のコントロールを学ぶのに役立つ可能性のある情報をもたらします。筋肉の緊張を測定する筋電図(electromyography:EMG)バイオフィードバックの一種が、腰痛に対して評価されています。
  • 64例を対象とした3件の研究に関する2010年のレビューでは、筋電図バイオフィードバックが慢性腰痛の短期的な緩和に役立つとする質の低いエビデンスがあります。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、慢性腰痛に対する初期治療の選択肢として筋電図バイオフィードバックが記載されています(質の低いエビデンスに基づく)。
  • 腰痛に対する筋電図バイオフィードバックの悪影響は報告されていません。

カッビング(吸角法)

  • カッピングは、ガラス製、セラミック製、竹製、プラスチック製のいずれかのカップを使用して、皮膚上に吸引力を生み出す施術です。
  • 腰痛に対するカッピングについて458例を対象とした6件の研究に関する2017年のレビューでは、通常治療や投薬よりもカッピングのほうが良い結果でしたが、それぞれの研究で使用されたカッピングの種類が異なったことから比較が難しく、質の低い研究もあったため、研究結果の差が事実かどうかは不明です。
  • カッピングは、持続的な皮膚の変色、傷跡、火傷、感染症などの副作用を生じる可能性があります。カッピング器具は血液で汚染される可能性があるため、滅菌や消毒を怠ると、血液による感染症が患者の間で蔓延するおそれがあります。
  • もっと詳しくお知りになりたい方は、NCCIHのカッビングのウェブサイト(英語サイト)をご覧ください。

ドライニードル

  • ドライニードルは、筋肉にある痛みを生じるしこり(筋膜トリガーポイント)に細い針を直接刺入する施術です。鍼治療で使用されるのと同じ種類の鍼を使用しますが、刺入する部位の選び方が異なります。
  • 腰痛に対するドライニードルについて1,233例を対象とした16件の研究に関する評価では、有効な可能性があることがわかりました。しかし、明確な結論に至るほどの質の高い研究ではありませんでした。
  • ドライニードルによる重篤な合併症はまれです。

低レベルレーザー治療

  • 低レベルレーザー治療は光線療法であり、レーザー鍼治療は低レベルレーザー治療の一種です。低レベルレーザー治療が痛みを緩和する作用機序は、よくわかっていません。
  • 腰痛に対する低レベルレーザー治療について1,039例を対象とした15件の研究に関するレビューでは、有益な可能性を示すエビデンスがありましたが、比較的短期間(30カ月未満)の痛みに対して高線量のレーザーを照射した場合のみ有益で、鍼治療を伴わない研究でのみ示されました。
  • 2018年のAHRQによるレビューでは、治療終了から1カ月以上経過した慢性腰痛に対する治療の影響を調べたところ、低レベルレーザー治療に関する研究は1件しかありませんでした。その研究では、1~6カ月後に偽(擬似的)レーザー治療と比較して、レーザー治療のほうが痛みに対する効果がある程度高く、機能に対する効果もわずかに高いことが示されました。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、慢性腰痛に対する初期治療の選択肢として低レベルレーザー治療が挙げられています(質の低いエビデンスに基づく)。
  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、低レベルレーザー治療器の販売を許可しています。腰痛に対する低レベルレーザー治療の研究では、悪影響を示すエビデンスはみられませんでした。

マッサージ療法

  • マッサージ療法は、健康状態の管理や健康増進を目的とした、体の軟部組織に働きかける手技です。
  • 腰痛に対するマッサージについて約3,000例を対象とした25件の研究に関する2015年のレビューでは、痛みを短期的に改善する可能性があることがわかりました。エビデンスの質は低い、もしくは極めて低いものでした。
  • 2018年のAHRQによるレビューでは、治療終了から1カ月以上経過した慢性腰痛に対する治療の影響を調べたところ、1~6カ月後に偽のマッサージや通常治療と比較して、マッサージ療法のほうが痛みと機能に対する効果がわずかに高いことが示されました。6~12カ月後の効果に関するエビデンスはありませんでした。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、急性・亜急性の腰痛に対する治療選択肢としてマッサージが記載されています(質の低いエビデンスに基づく)。慢性腰痛に対する選択肢としては、マッサージ療法を勧告していません。
  • マッサージ療法による有害な作用のリスク(危険)は低いと考えられます。
  • もっと詳しくお知りになりたい方は、NCCIHのマッサージ療法のウェブサイト(英語サイト)をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳

マインドフルネス・ストレス軽減法

  • 「マインドフルネス」という用語はさまざまな行為に使われますが、今この瞬間に集中して意識を向け、あるがまま広い心で受け入れること、と定義されていることが多いです。マインドフルネス・ストレス軽減法(Mindfulness-based stress reduction:MBSR)は、瞑想とマインドフルネスを教える構造化されたプログラムで、日常生活にマインドフルネスを取り入れるものです。
  • 腰痛に対するMBSRを評価した、864例を対象とした7件の研究に関する2017年のレビューでは、痛みの強さや身体機能に短期的な改善を示すエビデンスがありましたが、患者にとって意味のある改善かどうかは不明でした。
  • 2018年のAHRQによるレビューでは、治療終了後1カ月以上経過してから治療の影響を調べたところ、通常治療と比較して1~6カ月後と6~12カ月後で、MBSRのほうが痛みに対する効果がわずかに高いことが示されました。機能への影響に関するエビデンスはありませんでした。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、慢性腰痛の初期治療に対する選択肢としてMBSRが挙げられています(中程度の質のエビデンスに基づく)。
  • マインドフルネスによる介入は、通常、ほとんどの人にとって安全だと考えられています。しかし、悪影響について体系的かつ詳細に調べた研究が少ないため、安全性を明言することはできません。

プログレッシブリラクゼーション(漸進的弛緩法)

  • プログレッシブリラクゼーションとは、体のさまざまな部位の筋肉群を系統的に緊張させたり、弛緩させたりする方法です。肉体的にも精神的にも緊張感を取り除くことを目指しています。
  • 腰痛に対するプログレッシブリラクゼーションについて74例を対象とした3件の研究に関する2010年のレビューでは、この方法を実践した人の痛みの強さが低下することを示す、質の低いエビデンスがあります。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、慢性腰痛の初期治療に対する選択肢としてプログレッシブリラクゼーションが挙げられています(質の低いエビデンスに基づく)。
  • プログレッシブリラクゼーションなどのリラクゼーション法で、副作用が出ることはほとんどありません。心臓病の人はプログレッシブリラクゼーションを行う前に医療スタッフに相談してください。
  • もっと詳しくお知りになりたい方は、NCCIHのリラクゼーション法のウェブ(英語サイト)をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]

プロロセラピー

  • プロロセラピーとは、背中の靭帯に刺激性のある溶液を繰り返し注入して靭帯を強化し、腰痛を軽減させる手技です。
  • 腰痛に対するプロロセラピーについて366例を対象とした質の高い5件の研究に関する2010年のレビューでは、この手技が有用かどうかについて相反するエビデンスが出ています。
  • 腰痛に対するプロロセラピーの研究では、治療後に痛みやこわばりの増強がよくみられましたが、これらの影響は短期的なものでした。

脊椎マニピュレーション

  • 脊椎マニピュレーションとは、施術者が手や用具を使って脊椎関節に一定の力を加える手技です。力の強さはさまざまですが、強さよりも関節を動かすように力を加えることが重要です。脊椎マニピュレーションは、力を加えない脊椎モビライゼーションとは異なるものです。
  • 急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションについて1,699例を対象とした15件の研究に関する2017年のレビューでは、この治療法が6週間の時点までにわずかに痛みを改善することを示す、中程度の質のエビデンスが示されています。このレビューでは、12件の研究(1,381例)で脊椎マニピュレーションが機能を改善することが示されました(エビデンスの質は中程度)。
  • 1,176例を対象とした9件の研究に関する2018年の統合解析では、マニピュレーションやモビライゼーションが慢性腰痛の痛みの軽減や機能改善に有効な可能性があることを示す、中程度の質のエビデンスが示されています。マニピュレーションは、モビライゼーションよりも大きな効果をもたらすと考えられています。
  • 2018年のAHRQによるレビューでは、治療終了から1カ月以上経過した慢性腰痛に対する治療の影響を調べたところ、偽(擬似的)マニピュレーションや他の治療法と比較して、脊椎マニピュレーションでは1~6カ月後と6~12カ月後の機能および6~12カ月後の痛みに対する効果がわずかに高いことが示されました。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、急性・亜急性の腰痛の治療選択肢として脊椎マニピュレーションが挙げられており(エビデンスの質は低い)、慢性腰痛の初期治療の選択肢としても挙げられています(エビデンスの質は低い)。
  • 脊椎マニピュレーションを受けた後は、施術部位の局所的な不快感や痛みの増強など、一時的に軽度な副作用がみられることが多いです。腰にマニピュレーションを受けた患者で重篤な副作用が発生した例がありますが、実際にその治療が原因であるかどうかは不明です。
  • もっと詳しくお知りになりたい方は、NCCIHの脊椎マニピュレーションのウェブサイト(英語サイト)をご覧ください。[eJIMサイト内日本語訳]

太極拳

  • 太極拳は何世紀も続く心身療法で、特定の姿勢や穏やかな動きを精神集中、呼吸、リラックスと組み合わせています。
  • 腰痛に対する太極拳について385例を対象とした3件の研究に関する2016年のレビューでは、いずれの研究でも太極拳を10週間以上継続すると有効であることがわかりました。レビューには含まれていない別の2件の研究では、太極拳は少なくとも腰痛に対する他の治療法と同程度の効果があり、無治療よりも優れていました。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、慢性腰痛の初期治療に対する選択肢として太極拳が挙げられています(質の低いエビデンスに基づく)。
  • 太極拳は一般的に安全とされています。軽い鈍痛や疼痛が生じることもありますが、深刻な怪我を引き起こすことはまずありません。
  • もっと詳しくお知りになりたい方は、太極拳(英語サイト)をご覧ください。

経皮的電気神経刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:TENS)

  • 経皮的電気神経刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation:TENS)では、電池式の装置を装着し、痛みのある部位の皮膚に電極を当てます。この装置は、痛みの知覚を修正する可能性のある電気的刺激を生じます。
  • 腰痛や首の痛みに対するTENSまたは干渉波電気刺激と呼ばれる関連技術について、404例を対象とした9件の研究に関する2018年のレビューでは、これらの施術が有用であるかどうかについて結論は得られませんでした。
  • TENSの副作用として、電極を貼る部位の皮膚に炎症や発疹を生じることがあります。TENSを行う前に、あなたにとって安全かどうか、かかりつけの医療スタッフに確認してください。妊娠中の女性、てんかんなど特定の健康上の問題がある人、ペースメーカーなど植え込み型医療機器を使用している人は、TENS装置を使用しないでください。

ヨガ

  • アメリカで行われているヨガでは、一般的に身体の姿勢、呼吸法、瞑想を重視しています。
  • 腰痛に対するヨガについて1,080例を対象とした12件の研究に関する2017年のレビューでは、運動を伴わない介入と比較した場合、ヨガは3ヶ月後と6カ月後の腰に関連する機能に小から中程度の改善をもたらし、痛みに対する効果もわずかに高い可能性があると結論付けました。腰痛や機能に対する効果について、ヨガと運動に違いがあるかどうかは不明でした。
  • 2018年のAHRQによるレビューでは、治療終了から1カ月以上経過した慢性腰痛に対する治療の影響を調べたところ、対照群(ヨガプログラムの待機リストに載っている人など)と比較して、ヨガ群では1~6カ月と6~12カ月の時点で、痛みに対する効果が中程度大きく、機能に対する効果もがわずかに高いことがわかりました。
  • 腰痛治療に関する米国内科学会の臨床診療ガイドラインには、慢性腰痛の初期治療に対する選択肢としてヨガが挙げられています(質の低いエビデンスに基づく)。
  • ヨガは、資格を持ったインストラクターの指導のもとで適切に行えば、健康な人には一般的に安全とされています。しかし、他の運動と同様に、怪我をすることもあります。健康上のある人、高齢者、妊娠中の女性は、いくつかのヨガのポーズや実践を控えたり修正したりする必要があるかもしれません。
  • もっと詳しくお知りになりたい方は、NCCIHのヨガのウェブサイト(英語サイト)をご覧ください。

天然物

ハーブ製品

  • 経口(口から)摂取または局所使用(皮膚に塗布)するさまざまなハーブ製品が、腰痛に対して研究されています。局所使用するトウガラシ製剤が、痛みを軽減するというエビデンスがあります。有益とみられる他のハーブ製品には、経口摂取するデビルズクローやヤナギの樹皮、局所使用されるコンフリー、ブラジル産アルニカ、ラベンダーオイルなどがあります。
  • ハーブ製品には、副作用があったり医薬品と相互作用したりするものもあり、注意が必要です。腰痛を緩和する目的でハーブ製品を検討中、もしくは使用中の人は、安全性についてかかりつけの医療スタッフに相談しましょう。

ビタミンD

  • 腰痛のある人とない人の血中ビタミンD濃度を比較した研究では、概して腰痛のある人はビタミンが不足しがちであることがわかっています。この傾向は60歳未満の人や、女性で顕著にみられました。しかし、ビタミンDの補充について747例を対象とした8件の研究に関する2018年のレビューでは、腰痛の改善に対するビタミンDが有用であるかについては示されませんでした。
  • ビタミンDの過剰摂取は有害となるおそれがあります。成人のビタミンD摂取量の推奨上限は4,000IU/日です。

NCCIHによる研究助成

国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)では他の機関と協同で、軍人や退役軍人の医療制度における痛みの管理を目的とした、非薬物療法の実施に関する11件の大規模研究に出資しています。これらの研究の一部では、特に腰痛に重点をおいています。

NCCIHは、米国立衛生研究所(NIH)によるHEAL(Helping to End Addiction Long-term SM)イニシアティブに参加しています。HEALは、オピオイド依存症を断ち切ることを支援する長期的な取り組みで、オピオイドに関連した公衆衛生の危機に対処するための新しい方法を見出すことを目指しています。HEALには、腰痛に対するより良い治療法の必要性に取り組むNIHの腰痛研究コンソーシアム(NIH BACPAC)や、高齢者の慢性腰痛に対する鍼治療の研究など複数の研究に出資する、オピオイド処方を減らすための痛みの管理に関する実践的・実装研究(Pragmatic and Implementation Studies for the Management of Pain to Reduce Opioid Prescribing:PRISM)プログラムがあります。

他にもNCCIHが出資する研究では、次のような腰痛に対するさまざまな補完療法を扱っています。

  • 腰痛に対するマインドフルネスによるダンス/運動療法
  • 高齢者の慢性腰痛に対する太極拳
  • 慢性腰痛に対する心理社会的治療の機序

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースの文献や調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
E-mail:info@nccih.nih.gov

■ MedlinePlus(ウェブサイト)

健康に関する質問に答えるリソースを提供するため、MedlinePlus(米国国立医学図書館のサービス)が国立衛生研究所および他の政府機関と健康関連団体からの信頼できる情報をまとめています。

腰痛に関する情報
ウェブサイト: https://www.medlineplus.gov/(英語サイト)

謝辞

NCCIHは、本稿の執筆や見直しに貢献したNCCIHのDavid Shurtleff博士に謝意を表します。

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

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参考文献

その他の参考文献

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謝辞

  • NCCIHは、このサイトの情報における技術的な専門知識とレビューに対してDavid Shurtleff, Ph.D., NCCIHに感謝します。
国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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