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海外の情報

ゲンゲ属(オウギ類)
Astragalus

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年8月
一般名(英名):
astragale, astragale à feuilles de réglisse, beg kei, milk vetch
学術名:
Astragalus membranaceus

背景

  • ゲンゲ属は何世紀にもわたって、ほかのハーブと組み合わせて、中国伝統医学で使用されてきました。
  • ゲンゲ属の根は、健康目的で使用されています。
  • ゲンゲ属は通常、ほかの薬草と配合され、サプリメントとして、上気道感染症、アレルギー性鼻炎(花粉症)、喘息、慢性疲労症候群、慢性腎臓病などさまざまな症状・疾患に良いとされています。免疫系の強化や調節にも良いとされています。ゲンゲ属の皮膚への局所使用は、血行を改善し、傷の治癒を早める効果があるとされています。

これまでに解明されていること

  • どのような症状に関しても、人を対象とした質の高い研究は実施されていません。

研究で明らかになったこと

  • ネフローゼ症候群(腎臓の障害と関係がある疾患)の患者は感染症にかかりやすいです。2013年に発表されたレビューでは、ゲンゲ属を摂取した場合、プレドニゾンだけで治療するよりもネフローゼ症候群の小児における上気道感染症リスクが低下することが明らかになりました。しかし、このレビューでは、研究の質が低いと結論づけられています。
  • 2009年の小規模試験によると、ゲンゲ属を主成分とする薬草の処方は、進行肺がん患者の生存期間を延ばすことができませんでした。この研究(参加者24例)は、米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)から助成を受けました。

安全性について

  • ゲンゲ属は適量を経口(口から)摂取した場合、安全であると考えられます(1日最大60グラムを最長4カ月服用した結果、副作用は報告されませんでした)。経口摂取でおこり得る副作用には、発疹、そう痒、鼻の症状、胃部不快感などがありますが、これらの発生はまれです。
  • ゲンゲ属は免疫抑制剤との相互作用を有する可能性があります。
  • 一部のゲンゲ属は家畜に毒性がありますが、通常はサプリメントの原料には使用されていません。アメリカに自生するゲンゲ属の一部は神経毒であるスワインソニンを含有しており、動物に「ロコウィード(locoweed)」中毒を引き起こしました。そのほかのゲンゲ属には、潜在的に有毒な量のセレニウムを含有している場合があります。セレニウムの過剰摂取は下痢、易刺激性、悪心、皮疹、神経障害の原因となる場合があります。
  • 妊娠中、あるいは授乳中のゲンゲ属摂取の安全性についてはほとんどわかっていません。一部の動物実験において、ゲンゲ属が妊娠動物や胎子に毒性を有することが示唆されています。

注意事項

  • 自分の健康に責任を持ちましょう。利用している補完療法のすべてをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

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参考文献

詳細情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
tty (聴覚障害者や難聴者向け):
1-866-464-3615
Website:https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
Email:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「How To Find Information About Complementary Health Approaches on PubMed」(英語サイト)をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)

■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)、NIH(米国国立衛生研究所)

ダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements :ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓蒙活動を通して、国民のサプリメントに関する知識や理解が深まるよう努めています。この情報は(「知っておきたいこと:サプリメント」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルサプリメントなど)に関するファクトシート、PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedでダイエタリーサプリメントに関する論文を自動検索する機能)(英語サイト)などを提供しています。

PubMed Dietary Supplement Subset(パブメッド・ダイエタリーサプリメント・サブセット)(英語サイト)
ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
Email: ods@nih.gov

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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