海外の情報
セージ
Sage
英語版最終改訂年月(翻訳時):2012年4月
- 一般名(英名):
- black sage, broad-leafed sage, common sage
- 学術名:
- Salvia officinalis, Salvia lavandulaefolia, Salvia lavandulifolia
はじめに
このファクトシートには、セージに関する基本的情報(一般名、科学的根拠、起こりうる副作用と注意事項、詳しい情報の入手先)が記載されています。
セージは何世紀もの間、香辛料や薬味として料理に、また民間療法または伝統療法では、嗄声、咳、口や喉の痛みに用いられてきました。古代には、寿命を伸ばす効果があるとさえ考えられていました。古代エジプトでは、セージは不妊治療薬として用いられていました。古代ギリシアの医師は、セージの溶液と水を用いて傷を止血し、痛みや潰瘍を治療していました。
今日では、セージは、民間療法または伝統療法として口や喉の炎症、消化不良、多汗症に対して、また、気分の向上、記憶力や精神能力の向上のために用いられています。
セージは、乾燥葉、流エキス剤、スプレーおよび精油として市販されています。
科学的根拠
- 喉の痛みに対するセージの効果は十分には研究されていないため、治療の有効性を支持する科学的根拠はほとんどありません。
- 2件の小規模試験では、セージが健康な若齢者において気分や精神能力を向上させ、高齢者において記憶力や注意力を向上させることが示唆されています。別の小規模臨床試験では、セージ抽出物は、思考力および学習力の向上において軽度から中等度のアルツハイマー病の高齢者に対し、プラセボよりも高い効果を示唆しました。
- セージ精油が、抗微生物作用を有することが、基礎研究により示唆されています。
副作用と注意事項
- セージは、食品医薬品局(FDA)[米国]によって、一般に安全であると考えられており、香辛料または薬味としての使用が承認されています。しかし、セージの種類によっては、ツジョンを含有するため、神経系に影響を与えるおそれがあります。セージの葉や精油の長期間使用や大量摂取は、情緒不安、嘔吐、めまい、頻脈、振戦、発作および腎障害をおこす可能性があります。このほか、喘鳴の原因にもなります。精油を12滴以上経口摂取すると、中毒量に達すると考えられます。
- セージの薬物相互作用については、十分に研究がおこなわれていません。
- セージはアレルギー反応や過敏性反応を引き起こす可能性があります。皮膚との接触により炎症がおきる場合があります。セージ粉末または細粉の経口摂取は呼吸困難をひきこす可能性があります。
- あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
医療スタッフに補完療法について話す際のポイントについては、NCCIH’s Time to Talk campaignをご覧ください。
【補足】
NCCIH’s Time to Talk campaignの翻訳サイトは以下を参照してください参考文献
- Bouaziz M, Yangui T, Sayadi S, et al. Disinfectant properties of essential oils from Salvia officinalis L. cultivated in Tunisia. Food and Chemical Toxicology. 2009;47(11):2755–2760.
- Kennedy DO, Pace S, Haskell C, et al. Effects of cholinesterase inhibiting sage (Salvia officinalis) on mood, anxiety and performance on a psychological stressor battery. Neuropsychopharmacology. 2006;31(4):845–852.
- Sage. Natural Medicines Comprehensive Database Web site. Accessed at www.naturaldatabase.com on May 24, 2010.
- Sage (Salvia officinalis, Salvia lavandulaefolia, Salvia lavandulifolia). Natural Standard Database Web Site. Accessed at www.naturalstandard.com on April 1, 2010.
- Sage Leaf. In: Blumenthal M, Goldberg A, Brinckman J, eds. Herbal Medicine: Expanded Commission E Monographs. Newton, MA: Lippincott Williams & Wilkins; 2000:330–334.
- Scholey AB, Tildesley NTJ, Ballard CG, et al. An extract of Salvia (sage) with anticholinesterase properties improves memory and attention in healthy older volunteers. Psychopharmacology. 2008;198(1):127–139.
詳細情報
■ Using Dietary Supplements Wisely
nccih.nih.gov/health/supplements/wiseuse.htm■ NCCIH 情報センター
国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。
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■ PubMed®
国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。
ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed
■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)
国立衛生研究所(NIH)[米国]内に設置されたダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements:ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、啓発活動を通して、国民のサプリメントの知識と理解が深まるよう努めています。出版物(例えば「サプリメント:知っておきたいこと」など)、さまざまなサプリメント成分や製品に関する個別のファクトシート(例えば「ビタミンD、マルチビタミン・ミネラルサプリメント」など)、および「PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedで検索する際、サプリメントに関する論文を自動的に限定検索可能)」等を提供しています。
PubMed Dietary Supplement Subset(パブメッド・ダイエタリーサプリメント・サブセット)
ウェブサイト: ods.od.nih.gov
E-mail: ods@nih.gov
監訳:伊藤壽記(大阪大学)、大野智(帝京大学) 翻訳公開日:2014年3月28日
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