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海外の情報

アーユルヴェーダ療法
Ayurvedic Medicine

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終改訂年月(翻訳時):2015年1月

アーユルヴェーダ療法(アーユルヴェーダとも呼ばれる)は、世界的に最も歴史の古い医療体系の一つです。3千年以上前にインドで発祥し、現在も国の伝統的健康管理システムの一つとして受け継がれています。健康と病気についてのアーユルヴェーダ療法の考えでは、薬草療法、食事療法の他、独自の生活習慣が推奨されます。インド政府の他、世界中の機関が、東洋の信念体系におけるアーユルヴェーダ療法の臨床研究や基礎研究を支援しています。しかし、アーユルヴェーダ療法は、現代(西洋)療法の一環としてあまり研究が行われていません。このファクトシートは、アーユルヴェーダ療法の概要とさらなる情報源を紹介しています。

キーポイント

アーユルヴェーダ療法は安全ですか?

アーユルヴェーダ療法ではさまざまな薬や施術が使われます。これらの薬には薬草類、鉱物または金属類が含まれることがあり、特に、誤った使い方や、熟練したアーユルヴェーダ施術者の指導なく使用された場合、有害となる可能性があります。例えば、一部の薬草類では副作用が出ることや、現代西洋薬との間に相互作用が生じることがあります。また、一部の金属類(鉛など)の摂取は有毒となりえます。

アーユルヴェーダ療法は効果がありますか?

研究で、特定の疾患に対し、薬草類などのアーユルヴェーダ薬が検討されています。しかし、アーユルヴェーダ療法による治療が有益であることを証明する比較対照試験や系統的レビュー(西洋医学研究のゴルデンスタンダード)は、まだ十分ではありません。

留意点

あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

背景

「アーユルヴェーダ」という用語は、サンスクリット語のアーユル(生命)とヴェーダ(科学・真理)が組み合わされています。インドで行われているアーユルヴェーダ療法は、世界的に最も歴史の古い療法体系の一つです。数多くのアーユルヴェーダ施術が文書記録よりも前から存在し、口頭で伝承されてきました。「三大古典(Great Trilogy)」として知られるチャラカ・サンヒター、スシュルタ・サンヒター、アシュタンガ・フリダヤの3冊の医学書は2千年以上前にサンスクリット語で書かれ、アーユルヴェーダ療法の重要な教本とされています。
アーユルヴェーダ療法の重要な考え方には、人・健康・宇宙との間の万物相互関連性、体質(プラクリティ)、生命エネルギー(ドーシャ)などがあり、古代ギリシャ医学における体液説とよく比較されます。これらの考え方に基づき、アーユルヴェーダ医は薬草や独自の成分による薬、食事療法、運動、生活習慣の提案などにより、個人に応じた治療を行います インドに住む人の大部分は、アーユルヴェーダ療法のみを利用、または現代西洋療法と併用しており、また、東南アジアでもさまざまな形式利用されています。

アーユルヴェーダ療法の安全性

アーユルヴェーダ療法ではさまざまな薬や施術が使われます。アーユルヴェーダ薬は、薬草単体あるいはラサ・シャーストラ(rasa shastra)と呼ばれるアーユルヴェーダの技法では、薬草、金属類、鉱物類、もしくはその他の原料の併用から作られます。こういった薬の一部は、適正に使用されない、あるいは、熟練した医師の指導がない場合、有害となる可能性があります。

毒性
  • アーユルヴェーダ薬には毒性がある可能性があります。アーユルヴェーダ薬で使用される原料の多くは、比較対照臨床試験で安全性が検討されていません。米国では、アーユルヴェーダ薬はサプリメントとして規制されています。サプリメント自体は、通常医療と同様な安全性・有効性の基準を満たすことは求められていません。サプリメント規制の詳細は、国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)のファクトシートUsing Dietary Supplements Wisely.をご覧ください。
  • 2008年、NCCIHの助成による研究で、インターネットで購入された、あるいは、米国またはインドで製造された193品目のアーユルヴェーダ薬が調査されました。研究者らは、21%の製品に一日摂取許容量の基準を超える鉛、水銀およびヒ素、あるいはそのいずれかが含まれていることを明らかにしました。

アーユルヴェーダ療法で使われるマッサージ、特殊な食事療法、浄化法といった治療法でも副作用が生じる可能性があります。連携のとれた安全な治療を受けるために、利用しているアーユルヴェーダ製品や療法、あるいはその他の補完療法について、すべてのかかりつけの医療スタッフに伝えることが重要です。

アーユルヴェーダ療法研究の状況

アーユルヴェーダ治療についての臨床試験の大多数は小規模で、試験デザインに問題があったり、適切な対照群が不足していたりしていて、試験結果に影響を及ぼす可能性がありました。

  • 研究者らは、統合失調症や糖尿病に対するアーユルヴェーダ治療を検討していますが、それらの疾患に対する有効性を示す科学的根拠はまだ結論が出ていません。
  • NCCIHにより一部助成を受け2011年に行われた予備的な臨床試験では、関節リウマチに対し、通常医療とアーユルヴェーダ療法とで同様な有効性があることが判明しました。検討された通常医療の治療はメソトレキサートで、アーユルヴェーダ薬は40種の薬草混合物でした。
  • アーユルヴェーダ施術者は、疾患の中でも、とりわけ炎症性疾患に対してはターメリックを使用します。臨床試験から得られたエビデンスにより、ターメリックは特定の消化器疾患や関節炎を治療する可能性があるということが示されていますが、その研究は限定的です。
  • ボスウェリア属(Boswellia serrata、Boswellia carterii、フランキンセンス(乳香)としても知られる)は、基礎研究により抗炎症作用と免疫系作用が示される樹脂を分泌します。2011年の予備的な臨床試験で、B. serrataガム樹脂由来の化合物を投与された変形性関節炎患者では、プラセボを投与された患者と比較して、痛みの減少がみられました。

資格・許可

米国では、アーユルヴェーダ施術者の免許を許可している州はありませんが、少数の州でアーユルヴェーダ・スクールを認可しています。多くのアーユルヴェーダ施術者は、助産術やマッサージといった別の医療分野の資格を持っています。補完療法従事者認定の詳細は、NCCIHのファクトシートCredentialing CAM Providers: Understanding CAM Education, Training, Regulation, and Licensingをご覧ください。

アーユルヴェーダ療法の利用をお考えの方に

  • 通常医療の治療の代わりに利用する、または、病的疾患について医療機関を受診することを先送りにするために、アーユルヴェーダ療法を利用しないでください。
  • 妊娠中あるいは授乳中の女性、または、小児へのアーユルヴェーダ治療の利用を考えている人は、あなたもしくはあなたの子供の医療スタッフに相談すべきです。
  • あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
    医療スタッフに補完療法について話す際のポイントについては、NCCIH’s Time to Talk campaignをご覧ください。

【補足】

NCCIH’s Time to Talk campaignの翻訳サイトは以下を参照してください

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。

Toll-free in the U.S.: 1-888-644-6226
TTY (for deaf and hard-of-hearing callers): 1-866-464-3615
Web site: nccih.nih.gov
E-mail: info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。

Web site: www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

国立衛生研究所(NIH)[米国]が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

Web site: www.nih.gov/health/clinicaltrials/

■ Research Portfolio Online Reporting Tools Expenditures & Results (RePORTER)

RePORTERは、研究機関において、政府が助成し現在実施されている科学・医学研究プロジェクトに関する情報のデータベースです。

Web site: projectreporter.nih.gov/reporter.cfm

主な参考文献

全ての参考文献

謝辞

NCCIHは、このファクトシート2013年版からの更新におけるレビューに対して次の人に感謝します。
Wendy Weber, N.D., Ph.D., M.P.H, NCCIH, and John (Jack) Killen, Jr., M.D.

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

NCCIHは、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智、安枝明日香(大阪大学) 翻訳公開日:2017年3月29日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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