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海外の情報

健康目的でのマッサージ療法:知っておくべきこと
Massage Therapy for Health Purposes: What You Need To Know

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終改訂年月(翻訳時):2014年2月

肝心なことは?

マッサージについてどのくらいわかっていますか?
マッサージ療法の効果については多くの研究が行われてきました。

マッサージの効果についてわかっていることは何でしょうか?
予備的であったりや相反する結果も多いものの、マッサージには腰痛を緩和し、うつ、がんやHIV/AIDS患者の生活の質を改善する可能性があるという科学的証拠があります。

マッサージの安全性についてわかっていることは何でしょうか?
マッサージ療法は、訓練を受けたマッサージの専門家によって適切に行われれば、リスクはほとんどないと考えらます。

マッサージ療法とは?

「マッサージ療法」という用語は、さまざまな技術を含んでおり、行われるマッサージの種類は、通常、あなたのニーズや身体状況に応じて異なります。

  • マッサージ療法の歴史は、何千年も前にさかのぼります。古代中国、日本、インド、エジプトにマッサージを記した文献が残されています。
  • 一般的に、マッサージ療法士は筋肉や軟組織に働きかけて気分を良くします。
  • スウェーデン式マッサージでは、マッサージ療法士は長いストローク、揉捏(じゅうねつ)、円を描くような強擦(きょうさつ)、振せんおよび叩打による施術を行います。
  • スポーツマッサージは、スウェーデン式マッサージと深部組織マッサージの技術を組み合わせて、慢性的な筋肉の緊張をほぐします。スポーツマッサージは選手固有のニーズに合わせて行われます。
  • 筋膜のツボ治療は、ツボ—押すと痛み、身体の遠隔部位の症状の原因となる場所—に焦点をあてています。
  • マッサージ療法は、アロマテラピーの一形態として、エッセンシャルオイルを用いて行われることもあります。

マッサージ療法の効果の科学的根拠

マッサージ療法に関する多くの科学研究には予備検討や互いに矛盾するものも多いのですが、科学的根拠(エビデンス)の多くは、痛みやさまざまな病気と関連する他の症状に対する効果を示しています。科学的根拠(エビデンス)の多くは、効果が短期的なもので、継続して効果を得るにはマッサージを受け続ける必要があることを示唆しています。

さまざまな病気に対するマッサージの効果が研究されてきました。広範囲に研究されてきたテーマには以下のものがあります。

痛み

  • 2008年に発表された系統的レビューと、 2011年にNCCIHから助成を受けた臨床試験により、マッサージは慢性腰痛に効果がある可能性があると結論されました。
  • 2009年にNCCIHが助成した臨床試験により、マッサージは慢性頸部痛に効果がある可能性があると報告されました。
  • 2012 年のNCCIHが助成した研究によると、マッサージは膝の変形性関節症の痛みに効果がある可能性があります。
  • 2012年に発表されたレビューでは、労務作業を行う女性にとってマッサージは痛みを徐々に緩和し満足感が増すことが研究により示唆されたが、証拠としてのレベルは低い、と結論されました。

がん

多数の系統的レビューと臨床試験により、がん患者に対するマッサージ療法は、少なくとも短期的には痛みを緩和し、リラクゼーションを促進し、気分を高める場合があることが示唆されました。しかし、国立がん研究所[科学的根拠(エビデンス)]は、がん患者は特に慎重にマッサージ療法を受け、以下のようなマッサージを避けるよう勧めています。

  • 開放創、打撲、皮膚の損傷部位への圧迫
  • 腫瘍部位への直接の圧迫
  • 血管内に血栓を生じている部位への圧迫
  • 放射線治療後の敏感な部位への圧迫

メンタルヘルス

  • 2010年に行われた臨床試験17試験のメタ分析では、マッサージ療法は抑うつを低減する可能性があると結論づけられました。
  • 2012年にNCCIHが助成したランダム化比較対照試験において、抑うつを発症した妊婦を対象に1週間に2回、短時間のヨガとマッサージを12週間にわたって行うことで、抑うつ、不安、背部と足の痛みの低減が示されました。また、この治療を受けなかった対照群と比較して、生まれた子供の体重増が認められました。
  • しかし、2013年に発表された研究レビューでは、マッサージ療法が妊娠女性の抑うつを緩和できるか判断するのに十分な証拠はないと結論されました。
  • 2010年に発表されたレビューでは、マッサージにより高齢者にリラックス効果があると結論されました。
  • 2010年にNCCIHが助成した小規模臨床試験によると、全般性不安障害に対して、リラックスした環境を与え深呼吸のレッスンを行うことと比較して、マッサージ療法には症状緩和効果は見られませんでした。

線維筋痛症

2010年に発表されたレビューでは、マッサージ療法は、一時的に痛み、倦怠感や線維筋痛症に伴うその他の症状の低減に役立つ場合があると結論されましたが、その科学的根拠(エビデンス)は決定的なものではありませんでした。このレビューの著者らは、マッサージ療法士が痛みを与えないことが重要であるとコメントしています。

頭痛

頭痛に対するマッサージの効果に関する臨床試験は予備試験的なもので、多少有望という程度にとどまっています。

HIV/AIDS

2010年に発表された、小規模臨床試験4試験の系統的レビューでは、マッサージ療法はHIVまたはAIDSの患者の生活の質の改善に役立つ可能性があると結論されました。

乳児のケア

2010年に発表されたレビューにより、早産児に対して穏やかな圧でマッサージを行うことで体重増に効果がある可能性があることが示唆されました。2013年に行われた評価では、正常に発達している健康な乳児に対してマッサージの効果があるかどうかを調べるには証拠は十分でないと判断されました。

その他の状況

以下の病気についてマッサージの効果が研究されていますが、効果があるかはまだはっきりしていません。

  • 自閉症児または自閉症スペクトラム障害児の行動
  • 乳癌患者の免疫機能
  • 心臓手術後の患者の不安と痛み
  • 糖尿病患者の生活の質と血糖値
  • 小児喘息患者の肺機能

マッサージ療法の安全性と副作用の科学的根拠

マッサージ療法は、訓練を受けた施術者によって行われればリスクはほとんどないと考えられています。しかし、マッサージ療法士はある種の健康状態には注意を払わなければなりません。

  • 妊娠中の女性はマッサージ療法を避けなければならない例もあります。妊娠しているなら、マッサージを受ける前に医療スタッフに話しましょう。
  • 出血性疾患の患者や血小板数が低下している患者、あるいはワーファリンなどの抗凝血薬を服用している患者に対しては、力強い、深部組織へのマッサージは避けるべきです。傷など、皮膚が弱くなっている可能性のある部位にマッサージを行ってはいけません。
  • 腫瘍やがんの部位に対しては、その患者の医療スタッフが承認しない限り、深部への圧や強い圧を用いてはいけません。

NCCIHによる研究助成

NCCIHが助成する最新の研究では、さまざまな病気へのマッサージの効果が検討されています。

NCCIHが助成する研究では以下のことを検討しています。

  • 膝の変形性関節症を患う成人の痛みと機能に対する、通常ケアと比較したスウェーデン式マッサージの8週間コースの効果
  • 全般性不安障害にマッサージの効果があるか
  • がんに伴う倦怠感に対するマッサージ療法の効果
  • 初期治療からの患者の慢性腰痛の軽減にマッサージ療法と漸進的筋弛緩法を比べるとどちらがよいのか
  • 頸部痛への対処に必要なマッサージの頻度と期間

教育訓練、免許および資格

米国では、44州とコロンビア特別区でマッサージ療法士に対する規制があります。市、群、またはその他の地方行政によって規制されている場合もあります。州や地方によって、マッサージ療法士の教育訓練水準や要求されることは大きく異なります。

詳細情報

マッサージ療法士に対する規制がある州の多くでは、認可された訓練プログラムでの500時間以上の訓練を課しています。米国国立手技療法・ボディワーク資格認定機構では、国家試験に合格し、要件を満たした施術者の資格認定を行っています。

さらに考慮しなければならないこと

  • マッサージ療法は、現代医学の代わりとして、または医学的問題について医療機関受診を後回しにする理由として用いてはいけません。
  • あなたの病状に対して、マッサージ療法が適しているかどうかわからない場合は、その懸念について担当医療スタッフと話し合いましょう。医療スタッフにマッサージ療法士を選択してもらえるかもしれません。
  • 施術を受けようと考えている療法士に、訓練、経験および資格認定について聞きましょう。必要な治療の回数、費用、および保険適用についても確認しましょう。
  • マッサージ療法士などの補完療法の施術士を探すヒントは、他にも国立補完統合衛生センター(NCCIH)ウェブサイトの「How To Find a Complementary Health Practitioner(補完代替療法施術士の探し方)」に掲載されています。

【補足】

NCCIH’s Time to Talk campaignの翻訳サイトは以下を参照してください

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト: nccih.nih.gov
E-mail:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed

■ NIH National Library of Medicine's MedlinePlus

MedlinePlus(国立医学図書館[米国]が行っているサービス)は、健康に関する疑問を解決する資料提供のために、国立衛生研究所[米国]および他の政府機関、健康関連組織からの信頼できる情報をまとめています。

マッサージ療法に関する情報
ウェブサイト:www.medlineplus.gov

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

国立衛生研究所(NIH)[米国]が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

ウェブサイト:www.nih.gov/health/clinicaltrials/

■ The Cochrane Database of Systematic Reviews(コクラン・レビューのデータベース)

コクラン・レビューのデータベースは、国際的な非営利組織であるコクラン・ライブラリによって、科学的根拠に基づいたレビューが集積されています。レビューは、治療行為に関する臨床試験の結果がまとめられています。サマリーは無料で閲覧することができます。レビュー全文を閲覧したい場合は、契約が必要です。

ウェブサイト:www.thecochranelibrary.com

主な参考文献

国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:伊藤壽記(大阪大学)、大野智(帝京大学) 翻訳公開日:2014年3月28日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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