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海外の情報

経口プロバイオティクス
Oral Probiotics

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英語版最終改訂年月(翻訳時):2012年12月

プロバイオティクスは生きた微生物(細菌など)で、本来ヒトの体内に棲んでいる微生物と同じ、またはよく似た健康上有益と思われる微生物のことです。「善玉菌」や「有益菌」とも呼ばれ、プロバイオティクスはサプリメントやヨーグルトのように経口で摂るものや、坐剤やクリームなどの製品で摂るものもあります。米国食品医薬品局(The U.S. Food and Drug Administration :FDA)はプロバイオティクスに対するいかなる医療申請も承認していません。本ファクトシートでは、プロバイオティクスについて、経口製品を中心に一般概論を説明し、さらなる情報を紹介しています。

【補足】プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス
プロバイオティクスとプレバイオティクスは同じではありません。プレバイオティクスとは、ヒトに有益な可能性のある微生物の増殖や活性を刺激する人体では消化できない物質のことです。また、「シンバイオティクス」はプロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせた製品を表す用語です。

キーポイント

  • いくつかのプロバイオティクスの製剤は有望であるものの、多くの場合、プロバイオティクスの特定の使用を裏付ける科学的根拠は欠如しています。
  • 研究によるとプロバイオティクスは通常、副作用がほとんどないということが示唆されています。しかしながら安全性、特に長期安全性についてはデータが不足しており、基礎疾患を有する人では重篤な副作用のリスクが高まる可能性があります。
  • もしプロバイオティクスのサプリメントを摂ることを考えている場合には、まず医療スタッフに相談しましょう。科学的に立証された治療法を、未承認の製品や療法に置き換えないでください。
  • あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

プロバイオティクスについて

プロバイオティクスという概念は20世紀の初頭に、「プロバイオティクスの父」として知られるノーベル賞受賞者 Elie Metchnikoff氏により「The Prolongation of Life: Optimistic Studies (寿命の延長:楽観的研究)」の中で、微生物を食べることは、ヒトの健康に十分有益になりうると提唱されました。微生物は裸眼では見えませんが、実際にはどこにでも存在しています。その後、科学者らはその概念の研究を継続し「プロバイオティクス」というもともとは「for life(共に生きる)」という用語が定着するようになりました。

細菌やその他の微生物にとって、ヒトの体が「宿主」であると考えれば、プロバイオティクスが理解しやすいでしょう。ヒトの体、特に下部消化管(腸)は複雑で多様な細菌のすみかです。 (健康成人の体内には、ヒト細胞の推定10倍もの数の微生物細胞が存在しています)細菌といえば有害な「病原菌」だと考えがちですが、多くの細菌は実際には体の機能を適切に保つ働きをしています。プロバイオティクスのほとんどは、本来ヒトの腸に見られる有益な細菌とよく似た細菌です。

プロバイオティクスの健康に対する効果には様々なメカニズムが考えられます。たとえば、腸内の「微生物によるミクロ生態系」を変える(例:腸内の有害な有機物を減らす)、抗菌性物質(微生物を死滅または成長を抑制する物質)を産生する、体の本来の免疫反応を刺激する、などのメカニズムが考えられます。

米国で一般的に用いられているプロバイオティクスには乳酸桿菌属(Lactobacillus)とビフィドバクテリウム属 (Bifidobacterium)があります。この2つの大きなグループの中にもそれぞれ多くの特殊な種類の細菌があり、ある菌が健康に有益であったとしても他の菌ではそれが当てはまらないこともあります。

米国におけるプロバイオティクスの使用の現状

米国ではプロバイオティクスは、サプリメント(カプセル、錠剤、散剤など)や乳製品(生きた活性培養菌のはいったヨーグルトなど)として摂ることができます。2007年の国民健康調査(NHIS)でのアメリカ人の補完療法使用状況の包括的調査によれば、「プレバイオティクスまたはプロバイオティクス」は小児が使用する自然食品の第5位にランク付けされていました。一方、成人ではトップランキングの中に入っていませんでした。プロバイオティクス製品は、米国よりもヨーロッパや日本で人気がありますが、米国の消費者市場でも急速に成長しています。

FDAは、プロバイオティクス製品のいかなる健康強調表示も承認していませんが、様々な胃腸症状、たとえば感染性下痢症、抗菌薬関連下痢症、 過敏性腸症候群、 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎や クローン病など)に用いられています。また、プロバイオティクスは虫歯予防のほか、歯肉炎や歯周炎などの口腔内症状の予防や治療にも用いられます。全てではありませんが、プロバイオティクス製剤は広く研究され、かなり有望な結果を得ているものもあります。しかしながら、市場が急速に成長し、消費者の関心と使用が進んでおり、特定の健康状態への適応に対するプロバイオティクスの安全性と効果に関する科学的研究が追い付いていないのが現状です。

【補足】プロバイオティクスに対する政府の規制

プロバイオティクスに対する政府の規制は複雑です。プロバイオティクス製品の使用目的によって、FDAは、サプリメント、食品添加物、あるいは医薬品として規制します。サプリメントの場合は発売前にFDAの承認を必要とせず、非常にたくさんのプロバイオティクス製品が販売されています。事前のFDA承認がなくとも、サプリメントの表示には体の機能や構造に、この製品がどのように働くかということが書かれていますが、FDAの同意がなければ健康強調表示はできません(ある疾患のリスクを減らす製品ですという表示)。(さらなるサプリメントに関する情報はUsing Dietary Supplements Wisely(サプリメントを賢く使う)を参照して下さい)。製品を医薬品として販売するにはさらに厳しい条件に適合しなければなりません。ヒトに対する安全性と有効性を、その使用目的に合わせて臨床試験によって(ヒトでの投与試験)証明し、発売前にFDAに承認されなければなりません。

科学的根拠

プロバイオティクスの健康に与える有益性は多様性を秘めており、科学者の間でも強い関心と研究活動が高まっています。例えば国立補完統合衛生センター[米国]は、国立衛生研究所 (Institutes of Health NIH) [米国]のプロバイオティック・プレバイオティック・ワーキンググループの一部で(Probiotic and Prebiotic Working Group)、NIHを超えた共同研究として(trans-NIH)、プレバイオティクスとプロバイオティクス研究の隙間と課題を確認する努力を行っています。

プロバイオティクスの研究は基礎科学(実験室的研究)と臨床試験の双方向に進んでいます。臨床試験では、様々な疾患状態に対するプロバイオティクスの効果と安全性を評価します。初期の臨床試験の多くは、方法論的に限界があり、特定の目的に対する特定のプロバイオティクス株の使用を裏付ける確固たる臨床的根拠は、ほとんどの場合、不足しています。それでもやはり、いくつかのプロバイオティクスに関する予備的な根拠があり、さらに研究が進行中です。具体的には、最近行われた、急性感染性下痢症に対するプロバイオティクスの効果に関する科学的根拠のレビューでは、プロバイオティクスが下痢の持続時間を短縮し、排便回数を減少させるかもしれないという結果が得られました。しかし、どのような状態の人に対して、どのプロバイオティクスを使用するべきなのかということをはっきりと確立させるにはさらに研究が必要です。

プロバイオティクスを特集した,2008年発行の Clinical Infectious Diseases 誌には、臨床適応に関する概要が掲載されました。複数の研究を選択したレビューに基づいて、著者らは、プロバイオティクスの予防と治療に関する有効性を裏付ける根拠の強さに従って、いくつかの適用度に分類しました。たとえば、急性下痢症と抗菌剤関連下痢症に関しては強い根拠がある、アトピー性湿疹(幼児にもっともよく認められる皮膚疾患)には相当な根拠があるなどと結論づけています。有望な利用法には、小児呼吸感染症、虫歯、鼻腔病原菌(鼻に常在する細菌)、抗菌剤投与後のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)による偽膜性腸炎、炎症性腸疾患が含まれています。著者らはさらに今後有望な適用についても議論しています。

また研究では、プロバイオティクスが胃潰瘍の最も大きな原因であるヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染の治療に関連する副作用を減少させることが示唆されています。系統的レビューによると、プロバイオティクスが早産児における重大な腸疾患である壊死性腸炎のリスクを減少させる強い根拠があるということ示唆されました。その他にも今後有望な利用法として、コレステロール値の低下、肥満治療、過敏性腸症候群の管理があります。

安全性と副作用

ほとんどの人は、プロバイオティクスの使用により副作用を経験しないか、もしくは経験してもガスがたまるなど、軽微な副作用だけのようです。しかし、いくつかの重篤な有害事象の報告もあり安全性試験が継続されています。2008年のプロバイオティクスの安全性のレビューによると、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)GGは、広範囲に様々な疾患に対して臨床試験を行い概ね安全とのことでした。しかし一方で、乳酸桿菌属(Lactobacillus)とビフィドバクテリウム属 (Bifidobacterium)に関する最近のレビューでは、プロバイオティクスを使用することによる長期、蓄積効果は特に小児に対して不明であり、重篤疾患患者に対しては使用するべきではないとしています。同様に 2011年、医療研究品質庁(Agency for Healthcare Research and Quality)は、NCCIHより一部助成を受け、プロバイオティクスの安全性について評価しています。結論として、現段階ではプロバイオティクスに関連した有害な副作用が広く示唆されるエビデンスは存在しません。しかしながら、安全性、特に長期安全性についてはデータが不足しており、基礎疾患を有する人では重篤な副作用のリスクが高まる可能性があります。

プロバイオティクス製品はその品質についても懸念が指摘されています。いくつかの製品には予測よりも少ない生菌数しか含まれていませんでした。さらに別の製品では含有成分として表示されたもの以外の細菌株が含まれているものもありました。

プロバイオティクスをお考えの方に

  • プロバイオティクスを理解するため、私たちは研究を進めています。プロバイオティクス製品は多くの異なった使用目的で市販されていますが、特定の使用を支持する科学的エビデンスはまだ限られており、FDAはプロバイオティクスのいかなる健康強調表示も承認していません。プロバイオティクスを使用する場合には、信頼性の高い情報を集め、かかりつけの医療スタッフに相談して、できる限り熟知した上で使用して下さい。
  • プロバイオティクス製品は異なるタイプの細菌が含まれ、ヒトの体に様々な影響を与えます。また、この影響はヒトによって異なることがあります。
  • 科学的に立証された治療法を、未承認の製品や代替療法に置き換えないでください。プロバイオティックスのような補完療法は、通常医療の代わりとして、または医学的問題について医療機関への受診を後回しにする理由として用いてはいけません。
  • もし妊娠していたり、授乳期間中であったり、また子供にプロバイオティクスなどのサプリメントを与えることを考えているなら、あなた自身(あるいはあなたの子供の)かかりつけの医療スタッフに相談することは特に大事です。
  • 重篤な基礎疾患のある人は、プロバイオティクスを使用している間、潜在的な有害な副作用がないか、厳密に監視しなければなりません。
  • あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
    医療スタッフに補完療法について話す際のポイントについては、NCCIH’s Time to Talk campaignをご覧ください。

【補足】

NCCIH’s Time to Talk campaignの翻訳サイトは以下を参照してください

NCCIHによるプロバイオティクスの研究助成

最近NCCIHが援助している臨床試験*を含む注目のプロバイオティクス研究:

  • 小児の下痢症
  • 過敏性腸症候群と僅かな肝性脳症(肝疾患の合併症)
  • 抗生物質耐性型の細菌
  • ヨーグルト飲料による若年小児に対するプロバイオティクスの高用量投与

NCCIH はまた、臨床試験の基盤となる、プロバイオティクスの潜在的な作用機序を調査する基礎研究も援助しています。例えば最近の研究では、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)のある株が特定の腫瘍の成長を遅らせるかもしれない、あるいは好酸性乳酸桿菌ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)が、ロタウイルス感染(世界的に乳幼児、小児の感染性下痢症の最も一般的な原因)に対するワクチンの効果を高めるかもしれない、という研究があります。
NCCIHの臨床試験プログラムでは今後のプロジェクトとしてプロバイオティクスが最も優先順位の高い話題として取り上げられています。研究では、乳幼児、小児の壊死性腸炎、疝痛、過敏性腸症候群を含む消化管障害への対処や、抗生剤誘発性下痢症の治療と予防、インフルエンザワクチンの効果を高めるためのプロバイオティクスの利用が注目されています。

*NCCIH補助臨床試験にはFDA承認の新規臨床試験用医薬品に対し実施されているものも含まれます。これらが医学的に脆弱な患者集団を対象とする前に、健康成人か病状が軽度な人を対象として、厳格な安全性臨床試験が実施されます。

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト: nccih.nih.gov
E-mail:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed

主な参考文献

国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:伊藤壽記(大阪大学)、大野智(帝京大学) 翻訳公開日:2014年3月28日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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