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海外の情報

亜鉛
Zinc

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英語版最終改訂年月(翻訳時):2011年9月20日

亜鉛とは?その働きは?

亜鉛とは、人が健康を維持するために必要な栄養素です。亜鉛は全身の細胞内に存在しています。亜鉛は全身の細胞に存在し、免疫システムが侵入してきた細菌やウイルスを防御するのに役立ちます。タンパク質およびDNA、つまりすべての細胞の中にある遺伝物質を合成するためにも、亜鉛は体に必要です。妊娠中、乳児期および小児期の体は、十分に成長・発達するために亜鉛を必要とします。亜鉛は創傷治癒にも有用で、適正な味覚や臭覚にも重要です。

亜鉛の必要摂取量は?

亜鉛の必要摂取量は、年齢によって異なります。下表に1日の平均摂取推奨量を、ミリグラム(mg)で示します。

ライフステージ 摂取推奨量
生後6カ月 2 mg
幼児7-12カ月 3 mg
小児1-3歳 3 mg
小児4-8歳 5 mg
小児9-13歳 8 mg
10歳代14-18歳:(男子) 11 mg
10歳代14-18歳:(女子) 9 mg
成人(男性) 11 mg
成人(女性) 8 mg
10代の妊婦 12 mg
妊婦 11 mg
10代の授乳婦 13 mg
授乳婦 12 mg

どのような食品から亜鉛を摂取できますか?

亜鉛は、さまざまな食品中に存在します。以下のような様々な種類の食品を食べることで、推奨量の亜鉛を摂取することができます:

  • 牡蠣。最良の亜鉛摂取源です。
  • 赤身の肉、鶏肉、カニやロブスターなどの魚介類および朝食用栄養強化シリアル類。これらにも亜鉛が豊富に含まれています。
  • 豆類、ナッツ類、全粒穀類および乳製品からもある程度の亜鉛が摂取できます。

どんな亜鉛サプリメントが市販されていますか?

亜鉛は、ほとんどすべてのマルチビタミンやミネラルのサプリメントに含まれています。亜鉛は、サプリメント単独で、またはカルシウム、マグネシウム、またはその他の成分との組み合わせで市販されています。サプリメントには、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛など、さまざまな形で亜鉛が含まれています。どの形が良いかは明らかではありません。

亜鉛は、ホメオパシー風邪薬とラベル表示された製品を含む、一部の市販薬にも配合されています。亜鉛を含むスプレー式点鼻薬や鼻腔用ジェルを使用することにより嗅覚が消失し、時に、長期にわたる場合や永久的な場合もあります。現在のところ、これら安全性に関する問題が、風邪用トローチなどの亜鉛を含む経口薬剤と関連するかどうかは判明していません。

亜鉛は、義歯粘着クリームにも含まれています。推奨量をはるかに超えてこれらの製品を大量に使用すると、亜鉛の過剰摂取や銅欠乏症を引き起こす可能性があります。このことが、腕や脚にしびれや脱力感を含む神経学的異常の原因となります。

充分に亜鉛は摂取できていますか?

米国人の多くは、食品から十分な亜鉛を摂っています。

しかし、特定の集団では他と比べて充分に亜鉛を摂取できていない可能性があります:

  • 減量手術などの消化管手術を受けた人、または潰瘍性大腸炎、クローン病などの消化器疾患を有する人。これらの状態にある場合、体が吸収する亜鉛の量が減少し、尿中に失われる量が増加します。
  • 菜食主義者。菜食主義者は、亜鉛を豊富に含む肉を食べません。また、菜食主義者が一般に食べる豆類や穀類には、亜鉛が十分に吸収されるのを妨げる化合物が含まれていますこのため、菜食主義者は推奨量より50%ほど多くの亜鉛を摂取する必要があるかもしれません。
  • 授乳を受けている、月齢の高い乳児。母乳には、生後6カ月以降の乳児に必要な十分量の亜鉛が含まれていません。調製乳を摂取していない月齢の髙い乳児には、ピューレにした肉など亜鉛を含む食品を摂取させるべきです。人工栄養児は、乳児用調製乳から十分な亜鉛を摂取します。
  • アルコール依存者。アルコール飲料は、体が吸収する亜鉛の量を減少し、尿中に排泄される量を増加します。また、アルコール依存者が食べる食品の量や種類は、多くの場合限られているので、十分な量の亜鉛を摂取していない可能性があります。
  • 鎌状赤血球症。これらの人には、より多くの亜鉛が必要だと考えられます。

充分に亜鉛を摂らなかったらどうなりますか?

北米で、亜鉛欠乏症はまれです。亜鉛欠乏症は、乳児および小児の成長の遅れ、思春期における性的発達の遅延、および男性のインポテンスの原因となります。亜鉛欠乏症は、脱毛、下痢、目や皮膚のただれ、食欲不振の原因にもなります。また、体重減少、創傷治癒の問題、味覚の消失や覚醒状態の低下も起こりえます。

これらの症状の多くは、亜鉛欠乏症以外の問題の徴候でもありえます。これらの徴候がある場合、亜鉛欠乏症かどうかは、かかりつけ医師による診断が役立ちます。

亜鉛が健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?

研究者は、免疫システム(細菌、ウイルスおよびその他の異物の侵入から体を防御するシステム)への亜鉛の影響を調べる研究をしています。研究者は、亜鉛と以下の健康上の問題との関連性についても研究しています。

免疫システムと創傷治癒
体の免疫システムは、その働きをするために亜鉛が必要です。鉛の摂取量が少ない発展途上国の高齢者や小児は、肺炎やその他の感染症にかかるリスクが高くなります。亜鉛は、皮膚の健康維持にも役立ちます。皮膚潰瘍患者には、亜鉛のサプリメントが有益な場合があります。ただし、亜鉛の摂取量が少ない場合に限られます。
下痢
発展途上国の小児は、しばしば下痢で死亡します。研究から、亜鉛のサプリメントがこれらの小児(多くは亜鉛が欠乏しているか、栄養不良である)の下痢症状を緩和し、期間を短縮するうえで有効であることが示されています。世界保健機構やユニセフでは、下痢の小児に10~14日間亜鉛を摂取することを勧めています(20 mg/日を摂取。生後6カ月未満の乳児には、10mg/日)。米国のほとんどの小児のように、十分亜鉛を摂取している小児が下痢になった場合、亜鉛のサプリメントが治療に役立つかどうかは不明です。
感冒
風邪に罹ってから24時間以内に亜鉛トローチやシロップ(ただし、錠剤の亜鉛サプリメントは除く)を服用すると、回復が早くなり、症状軽減に役立つことが、一部の研究から示唆されています。しかし、亜鉛摂取を感冒の治療法として推奨するには、亜鉛の最適な用量と剤形、およびその服用期間を決定するための研究を続けることが必要です。
加齢黄斑変性 (AMD)
AMDは、徐々に視力障害を引き起こす眼疾患です。研究によると、初期のAMDが悪化して進行性AMDにならないようにするため、亜鉛が役立つことが示唆されています。大規模研究において、80mgの亜鉛、500mgのビタミンC、400 IUのビタミンE、15mgのベータカロチンおよび2mgの銅を含むサプリメントを毎日6年間摂取した高齢者は、当該サプリメントを摂取しなかった高齢者と比較して進行性AMDを発症する可能性は低く、視力障害も少なかったことが示唆されています。同じ研究において、AMDリスクの高い人が亜鉛だけを含むサプリメントを摂取した場合も、亜鉛サプリメントを摂取しなかった人と比べて、進行AMDを発症するリスクが低かった。医師がAMD患者群に亜鉛のサプリメントを推奨できるようになるまで、引き続き研究が必要です。ただし、現在本疾患を発症している患者、または発症しつつある患者は、サプリメントの摂取についてかかりつけ医に相談してもよいでしょう。

亜鉛が害を及ぼす可能性はないのですか?

あります。過剰に摂取した場合は有害な場合があります。過剰摂取した場合、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃痙攣、下痢および頭痛などの徴候がみられます。長期にわたり亜鉛を過剰摂取すると、銅の減少、免疫の低下、およびHDLコレステロール(「善玉」コレステロール)の減少などの問題が生じる場合があります。

亜鉛の安全な上限値は下表の通りです。この値は、医療上の理由で医師の指導下で亜鉛を服用している人には該当しません。

ライフステージ 安全な上限値
生後6カ月 4 mg
幼児7-12カ月 5 mg
小児1-3歳 7 mg
小児4-8歳 12 mg
小児9-13歳 23 mg
10歳代14-18歳 34 mg
成人 40 mg

知っておくべき亜鉛の相互作用はありますか?

あります。亜鉛のサプリメントは服用する医薬品と相互作用したり、その医薬品を阻害したりする可能性があります。その例は以下の通りです:

  • キノロン系またはテトラサイクリン系抗菌薬「Cipro®」、「Achromycin®」および「Sumycin®」とともに亜鉛のサプリメントを摂取すると、体内に吸収される亜鉛と抗菌薬の量が減少します。抗菌薬は、亜鉛のサプリメントを摂取する2時間前まで、または摂取の4~6時間後に服用すると、この影響を最小限にすることができます。
  • 亜鉛のサプリメントによって、「ペニシラミン(関節リウマチの治療薬)」の体内吸収量が減少する可能性があります。亜鉛のサプリメントによって、この治療薬の効果が弱まります。「ペニシラミン」を服用する2時間前まで、または服用後に亜鉛のサプリメントを摂取すると、この影響を最小限にできます。
  • 「クロルタリドン」(商品名Hygroton®)などのサイアザイド系利尿薬およびヒドロクロロチアジド(商品名Esidrix®とHydroDIURIL®)は、亜鉛の尿中排出量を増加します。サイアザイド系利尿薬を長期に服用すると、体内の亜鉛量が減少する可能性があります。

あなたが服用しているすべてのサプリメントおよび医薬品について、担当の医師、薬剤師、その他の医療スタッフに話してください。利用しているサプリメントが、処方薬または市販薬と相互作用あるいは阻害を起こす可能性はないのか、あるいはそれらの医薬品が、体内での栄養素の吸収、利用、分解の過程において阻害する可能性がないのかについて教えてくれるでしょう。

亜鉛に関する詳しい情報を得たい時は?

【免責事項】

ダイエタリーサプリメント室が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で言及している個別の商品名は、その製品を推奨しているものではありません。

監訳:伊藤壽記(大阪大学)、大野智(帝京大学) 翻訳公開日:2014年3月28日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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