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海外の情報

ヨウ素
Iodine

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英語版最終改訂年月(翻訳時):2011年6月24日

ヨウ素とは?その働きは?

ヨウ素は、食品中に存在するミネラルです。体内で甲状腺ホルモンを合成するためにはヨウ素が必要です。このホルモンは身体の代謝をはじめとするさまざまな重要な機能を調節しています。また、甲状腺ホルモンは、妊娠・授乳期に胎児や乳児の骨や脳が正常に発育するためにも必要です。十分な量のヨウ素を摂取することは誰にとっても大切ですが、乳児や妊娠中の女性では特に重要です。

ヨウ素の必要摂取量は?

ヨウ素の必要摂取量は、年齢によって異なります。下表に1日の平均摂取推奨量を、マイクログラム(mcg)で示します。

ライフステージ 摂取推奨量
生後6カ月 110 mcg
幼児7-12カ月 130 mcg
小児1-8歳 90 mcg
小児9-13歳 120 mcg
10歳代14-18歳 150 mcg
成人 150 mcg
妊娠している女性(10歳代も含む) 220 mcg
授乳中の女性(10歳代も含む) 290 mcg

どのような食品からヨウ素を摂取できますか?

ヨウ素は一部の食品中に天然に含まれているほか、食塩に添加されて「ヨウ素添加」とラベル表示されている場合もあります。以下のような様々な種類の食品を食べることで、推奨量のヨウ素を摂取することができます。

  • 多くの場合、魚(タラやマグロなど)や海藻、エビなどの海産物にはヨウ素が豊富に含まれています。
  • 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)および穀物製品(パンやシリアルなど)。これらは米国人の食事における主要なヨウ素源です。
  • ヨウ素を含有する果物や野菜。ただし、ヨウ素含有量は生育された土壌や使用された肥料によって異なります。
  • ヨウ素添加塩は、米国をはじめ多数の国々で容易に入手することができます。しかし、缶詰スープなどの加工食品にヨウ素添加塩が含有されていることはまずありません。

どんなヨウ素サプリメントが市販されていますか?

市販されているサプリメントには、通常ヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウムの形でヨウ素が含有されています。マルチビタミン・ミネラルサプリメントの多くはヨウ素を含有しています。ヨウ素が含有されている昆布(海藻)のサプリメントも市販されています。

充分にヨウ素は摂取できていますか?

米国人の多くは充分にヨウ素を摂取しています。しかし、特定の集団では他と比べて充分にヨウ素を摂取できていない可能性があります:

  • ヨウ素添加塩を使用していない人口集団。食塩へのヨウ素添加は、ヨウ素欠乏症を予防するために最も広く用いられている方法です。現在では、世界中の家庭の約70%がヨウ素添加塩を使用しています。
  • 妊娠中の女性。妊娠中の女性は、十分な量のヨウ素を胎児に供給するために、妊娠していない女性よりもヨウ素を約50%多く必要とします。調査結果によると、米国では多数の妊娠女性でヨウ素摂取量が若干少ない可能性がありますが、この事実が胎児に与える影響は明らかになっていません。
  • 土壌中のヨウ素含有量が少ない地域に居住しており、主に地元で生産された食品を摂取している人口集団。このような土壌ではヨウ素含有量の低い農作物が生産されます。土壌中のヨウ素含有量が最も少ない地域はヒマラヤ、アルプス、アンデスなどの山岳地域ならびに南アジアおよび東南アジアの河川流域です。
  • ヨウ素摂取量が低く、甲状腺腫誘発物質を含む食品を摂取している人口集団。 甲状腺腫誘発物質は、体内でヨウ素の利用を阻害する物質です。大豆やアブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツなど)などの植物性食品中に存在します。米国人の多くは十分量のヨウ素を摂取しており、甲状腺腫誘発物質を含有する食品を適量摂取しても問題はありません。

充分にヨウ素を摂らなかったらどうなりますか?

米国やカナダでは、ヨウ素欠乏症は稀な疾患です。ヨウ素摂取量が不足すると、十分な量の甲状腺ホルモンが合成できません。このような場合には多くの問題が発生します。妊娠中の女性における重度のヨウ素欠乏症は、胎児の発育不全や精神遅滞、性分化遅延の原因となり、回復不能な有害作用を及ぼします。ヨウ素欠乏症が軽度の場合は、幼児や小児のIQが平均値より低下したり、成人の作業能力や理路整然とした思考力の低下を引き起こしたりする可能性があります。多くの場合、最初に肉眼的に確認できるヨウ素欠乏症の徴候は、甲状腺腫(甲状腺肥大)です。

ヨウ素が健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?

ヨウ素が健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。以下は、研究成果の例です。

胎児および乳児の発育
妊娠中または授乳中の女性は、胎児および乳児の適正な発達・発育のために、十分な量のヨウ素を摂取する必要があります。母乳栄養児は母乳からヨウ素を摂取します。しかし、母乳中のヨウ素含有量は、母親のヨウ素摂取量によって変動します。
いくつかの米国内の組織や国際組織では、胎児および乳児の正常な発育に必要な量のヨウ素を確実に供給するため、妊娠中または授乳中の女性や乳児に対し、ヨウ素サプリメントを摂取するよう推奨しています。米国およびカナダでは、American Thyroid Association(米国甲状腺学会)が妊娠中または授乳中の女性に対し、ヨウ素(150 mcg/日)を含有する妊婦用ビタミン・ミネラルサプリメントを摂取することを推奨しています。しかし、米国で販売されている妊婦用マルチビタミンサプリメントのうち、ヨウ素を含有しているのは約半数のみです。
小児期の認知機能
小児期に重度のヨウ素欠乏症を発症した場合、脳や神経系の発達に有害な影響を及ぼします。小児期に軽度のヨウ素欠乏症を発症した場合の影響を評価することは難しいのですが、軽度のヨウ素欠乏症は神経学的発達に軽微な問題を生じる可能性があります。
軽度のヨウ素欠乏症を発症した小児にヨウ素サプリメントを摂取させると、推論能力や全般的な認知機能が向上します。ヨウ素欠乏地域に居住している小児にヨウ素を補充すると、身体的および精神的発達が向上するかもしれません。軽度のヨウ素欠乏症の影響や、認知機能に対するヨウ素補充の影響を完全に理解するためには、今後も研究が必要です。
乳腺線維嚢胞症
有害ではありませんが、乳腺線維嚢胞症では乳房に痛みを伴う凹凸ができます。主に妊娠可能な年齢の女性に発生しますが、閉経後にも発生する場合があります。非常に高用量のヨウ素を補充することで、乳腺線維嚢胞症の痛みやその他の症状を軽減できるかもしれませんが、確証を得るにはさらに研究が必要です。高用量のヨウ素は有害な場合があるので、乳腺線維嚢胞症のためにヨウ素剤を服用する場合は、事前に医療スタッフに確認してください。
放射線誘発性甲状腺がん
原子力事故は放射性ヨウ素を環境中に拡散する可能性があるため、放射性ヨウ素に暴露された人、特に小児では甲状腺がんのリスクが増大します。放射性ヨウ素に暴露されたヨウ素欠乏症患者では、甲状腺がんの危険性が非常に高くなります。米国食品医薬品局は、放射線緊急事態における甲状腺がんのリスクを軽減するための甲状腺遮断剤として、ヨウ化カリウムを承認しています。

ヨウ素が害を及ぼす可能性はないのですか?

あります。過剰に摂取した場合は有害な場合があります。高用量のヨウ素を摂取した場合、甲状腺腫(甲状腺肥大)などのヨウ素欠乏症と同様の症状が認められます。ヨウ素の過剰摂取は甲状腺炎や甲状腺がんを引き起こす可能性もあります。非常に高用量(例:数グラム単位)のヨウ素を摂取すると、口や喉、胃の灼熱感、発熱、胃痛、悪心、嘔吐、下痢、脈拍微弱ならびに昏睡が認められる場合があります。

ヨウ素の安全な上限値は下表の通りです。この値は、医療上の理由で医師の指導下でヨウ素を服用している人には該当しません。

年齢 安全な上限値
生後12カ月 設定数値なし
小児1-3歳 200 mcg
小児4-8歳 300 mcg
小児9-13歳 600 mcg
10歳代14-18 900 mcg
成人 1,100 mcg

知っておくべきヨウ素の相互作用はありますか?

あります。ヨウ素サプリメントは服用中の薬剤と相互作用を起こす可能性があります。その例は以下の通りです:

  • ヨウ素サプリメントは、甲状腺機能亢進症の治療薬であるメチマゾール(Tapazole®)などの抗甲状腺薬と相互作用を有する可能性があります。抗甲状腺薬と高用量のヨウ素を併用すると、体内で甲状腺ホルモンがほとんど産生されなくなります。
  • ヨウ化カリウムを高血圧治療薬(ACE阻害薬)と併用すると、血中カリウム濃度が危険なレベルまで上昇する可能性があります。CE阻害薬には、ベナゼプリル(Lotensin®)、リシノプリル(Prinivil®およびZestril®)、フォシノプリル(Monopril®)などがあります。
  • ヨウ化カリウムをスピロノラクトン(Aldactone®)やアミロライド(Midamor ®)などのカリウム保持性利尿薬と併用した場合にも、血中カリウム濃度が非常に高値を示す可能性があります。

あなたが服用しているすべてのサプリメントおよび医薬品について、担当の医師、薬剤師、その他の医療スタッフに話してください。利用しているサプリメントが、処方薬または市販薬と相互作用あるいは阻害を起こす可能性はないのか、あるいはそれらの医薬品が、体内での栄養素の吸収、利用、分解の過程において阻害する可能性がないのかについて教えてくれるでしょう。

ヨウ素に関する詳しい情報を得たい時は?

【免責事項】

ダイエタリーサプリメント室が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で言及している個別の商品名は、その製品を推奨しているものではありません。

監訳:伊藤壽記(大阪大学)、大野智(帝京大学) 翻訳公開日:2014年3月28日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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