文字サイズ変更
  • 標準
  • 特大
インフォグラフィックでわかる統合医療
一般の方へ ホーム  >  海外の情報  >  ビタミンE

海外の情報

ビタミンE
Vitamin E

写真に掲載している食材の成分表一覧
位置 食品 100gあたりの
含有量(mg)
A 調味料及び香辛料類・ドレッシング類・マヨネーズ・全卵型 13.1
B 種実類・アーモンド・いり・無塩 28.8
C 油脂類・食物油脂類・ひまわり油・ハイオレイック 38.7
D 嗜好飲料類・緑茶類・抹茶 28.1
E 菓子類・アーモンドチョコレート 11.3
F 魚介類・かき・くん製油漬缶詰 9.5
G 魚介類・しろさけ・すじこ 10.6
H 油脂類・植物油脂類・大豆油 10.4
I 油脂類・マーガリン類・ソフトタイプマーガリン・家庭用 15.3
J 嗜好飲料類・緑茶類・煎茶 64.9

[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年11月20日

ビタミンEとは?その働きは?

ビタミンEは多くの食品に含まれる脂溶性の栄養素です。ビタミンEには酸化防止作用があり、体内でフリーラジカルによるダメージから細胞を守るのを助けます。フリーラジカルとは、、摂取した食物が体内でエネルギーに変わる時に形成される化合物です。大気中にもタバコの煙や大気汚染、太陽からの紫外線によって発生したフリーラジカルが存在し、人々は曝露を受けています。

免疫機能を高め、体内に侵入してくる細菌やウイルスを撃退するためにも、ビタミンEは必要です。また、血管拡張を促し、血管内で血液が凝固するのを防ぎます。身体の細胞が互いに連携し、多くの重要な機能を果たす際にもビタミンEは使われます。

ビタミンEの必要摂取量は?

ビタミンEの必要摂取量は、年齢によって異なります。下表に1日の平均摂取推奨量を、ミリグラム(mg)と国際単位(IU)で示します。食品やサプリメントのビタミンE含有量は包装ラベルにIU単位で表示されています。

ビタミンEの1日の平均摂取推奨量
ライフステージ 摂取推奨量
生後6カ月 4 mg (6 IU)
幼児7-12カ月 5 mg (7.5 IU)
小児1-3歳 6 mg (9 IU)
小児4-8歳 7 mg (10.4 IU)
小児9-13歳 11 mg (16.4 IU)
10歳代14-18歳 15 mg (22.4 IU)
成人 15 mg (22.4 IU)
妊娠している女性(10歳代も含む) 15 mg (22.4 IU)
授乳中の女性(10歳代も含む) 19 mg (28.4 IU)

どのような食品からビタミンEを摂取できますか?

ビタミンEは、多くの食品に自然に含まれ、また、食品に添加されることもあります。以下のようなさまざまな食品を摂取することによって、ビタミンEの推奨量を摂取することができます:

  • 小麦胚芽油、ひまわり油、ベニバナ油などの植物油は最良のビタミンE供給源です。トウモロコシ油や大豆油にもビタミンEが含まれています。
  • ナッツ類(ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、そして特にアーモンド)や種子類(ひまわりの種など)も最良のビタミンE供給源です。
  • ほうれん草やブロッコリといった緑色野菜にはビタミンEが含まれています。
  • 朝食用シリアル、果物ジュース、マーガリンその他スプレッド類などの食品にはビタミンEが添加されているものがあります。ビタミンEが食品に添加されているか確認するには、その製品の表示を確認してください。

どんなビタミンEサプリメントが市販されていますか?

ビタミンEの含有量や型は、サプリメントによって異なります。ビタミンEのサプリメントを選ぶ際には主に次の2点を考慮しましょう:

  1. ビタミンEの含有量:1日1回摂取用マルチビタミン・ミネラルサプリメントに含まれるビタミンE量は一般に30 IU程度ですが、ビタミンEのみのサプリメントには通常、錠剤一個につき100~1,000 IUのビタミンEが含まれています。多く摂るほど健康維持や病気予防に効果的と信じたり期待したりして大量摂取をする人がいますが、ビタミンEのみのサプリメントには推奨量よりもはるかに高い量のビタミンEが含まれています。
  2. ビタミンEの型:ビタミンEという名称は、単一物質のように聞こえますが、実は、α‐トコフェロールなど、食物中の8種類の同族体の総称です。同族体ごとに身体内における効力や活性度が異なります

天然(食物由来)のビタミンEは「d-α-トコフェロール」と食品やサプリメントの製品ラベルに記載されます。合成の(人工の)ビタミンEは「dl-α-トコフェロール」と記載されます。天然のビタミンEのほうが合成のそれに比べて効力が高く、天然型ビタミンEの100 IUは、合成型ビタミンEの150 IUに相当します。

γ‐トコフェロール、トコトリエノール、混合トコフェロールなど、α‐トコフェロール以外の型のビタミンEを供給するサプリメントもあります。ビタミンEをサプリメントとして供給する場合に、これらの型のほうがα‐トコフェロールよりも優れているかどうかについては科学的にわかっていません。

充分にビタミンEは摂取できていますか?

ほとんどのアメリカ人の食生活で摂取されるビタミンE量は推奨量を下回っています。しかし、健康体の場合、ビタミンEを十分に摂取していなくても、それをはっきりと示す徴候が現れることは稀です(ビタミンE欠乏症の徴候については次項を参照ください)。

充分にビタミンEを摂らなかったらどうなりますか?

健常者にビタミンE欠乏症が発生することは非常に稀です。ビタミンE欠乏症の発生は、ほぼ例外なく、脂肪が適切に消化もしくは吸収されない疾患に関連しています。こうした疾患には、クローン病や嚢胞性線維症、あるいは無βリポタンパク血症やビタミンE欠損を伴う失調症(AVED)といった稀な遺伝的疾患が挙げられます。消化器官によるビタミンE吸収には脂肪が不可欠です。

ビタミンE欠乏症は神経や筋肉に損傷を与える可能性があります。そうした損傷は、腕や脚の感覚喪失、身体運動制御の喪失、筋力低下、視覚障害を引き起こします。免疫機能の低下もビタミンE欠乏症の徴候のひとつです。

ビタミンEが健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?

ビタミンEが健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。以下は、研究成果の例です。

心臓病
いくつかの研究で、ビタミンEのサプリメント摂取量が高くなるにつれ心臓疾患の発生率が低くなる、という結果が得られています。しかし、信頼性の高い研究では、そうした関連性は観察されていません。これら研究では、被験者はビタミンE群もしくはプラセボ(ビタミンEやその他いかなる活性成分を含まない偽薬)群に無作為に割付けられ、どちらの投与を受けているのか知らされません。ビタミンEのサプリメントが、心臓疾患を予防したり、その重症度を軽減させたり、あるいは心臓疾患による死亡リスクを低下させることはないようです。まだ若く、より健康で、心臓疾患のリスクが高くない人がビタミンEを高用量で摂取した場合の心臓への保護効果については明らかになっていません。
がん
研究のほとんどで、ビタミンEががんの予防に関与せず、場合によっては有害になる可能性を示唆する結果が出ています。たとえば、ビタミンEの大量投与が大腸癌や乳癌リスクを低下させることは一貫してありませんでした。また、ある大規模研究では、ビタミンEのサプリメント(400 IU/日)を数年にわたり摂取した場合、前立腺癌の発症リスクが上昇する、という結果が出ました。中年男性と中年女性を7年以上にわたり追跡調査した2件の研究では、ビタミンE(平均300~400 IU/日)の補給により予防されたがんは、種類を問わずありませんでした。しかし、1件の研究で、10年以上にわたるビタミンEのサプリメント摂取と膀胱癌による死亡リスクの低下に関連性があるという結果が出ています。
ビタミンEのサプリメントおよびその他の抗酸化剤は、化学療法や放射線療法と相互作用する可能性があります。こうした療法を受けている人は、ビタミンEやその他の抗酸化剤サプリメントを摂取する前に(特に高用量で摂取する場合は)医師に相談しましょう。
眼障害
中心視力を低下させる加齢黄斑変性(AMD)と白内障は高齢者の視力を低下させる2大要因です。ビタミンEがこの2つの疾患予防に貢献できるかについての研究で一貫した結果は得られていません。初期のAMD患者において、高用量のビタミンEに他の抗酸化剤と亜鉛および銅を混合したサプリメントが、視力低下速度の鈍化に有望であることが示されました。
精神機能
ビタミンEのサプリメントは、高齢者の精神的敏捷性と活動性の維持に役立つのか、また、精神機能の衰えやアルツハイマー病の予防または遅延に役立つかどうかを調べるための研究が数件実施されました。これまでの研究では、ビタミンEサプリメントの摂取が、健常者や軽度精神機能障害者の脳の健康維持に役立つ可能性があることを示す根拠はほとんど得られていません。

ビタミンEが害を及ぼす可能性はないのですか?

食物としてビタミンEを摂取することによる危険や害はありません。サプリメントの形でビタミンEを高用量摂取することは、出血リスク(切り傷や怪我を負った際、血液凝固能が低下するため)や、脳内の重篤な出血リスク(出血性脳卒中と呼ばれる)を増大させる可能性があります。成人がビタミンEをサプリメントで摂取する場合の最大安全量は、天然型のビタミンEであれば1日当たり1,500 IU、合成型であれば1日当たり1,100 IUです。小児の最大安全量は、いずれの型も成人のそれより低くなります。最近の研究では、これらの安全上限量を下回る量のビタミンE摂取でも前立腺がんリスクを増大させる可能性が示唆されています。また、ビタミンEは、慢性的な健康障害を持つ特定の成人の死亡リスクを上昇させる可能性もあります。ただし、健康体の場合にはそうした問題はないようです。

知っておくべきビタミンEの相互作用はありますか?

ビタミンEサプリメントは、服用している薬と相互作用が認められたり、またはその働きを阻害したりする可能性があります。その例は以下の通りです:

  • ビタミンEは、ワルファリン(Coumadin®)など、抗凝血剤や抗血小板剤を服用している人の出血リスクを高めることがあります。
  • ある研究では、ビタミンEとその他の抗酸化剤(ビタミンC、セレニウム、ベータカロチンなど)を併用摂取したところ、血中コレステロール値管理のために服用していた2種類の薬剤(スタチンとナイアシン)の心臓保護効果が低下しました。
  • がんの化学療法や放射線療法を受けながら抗酸化サプリメントを摂取することにより、これら治療法の有効性に変化をもたらしてしまう可能性があります。

あなたが服用しているすべてのサプリメントおよび医薬品について、担当の医師、薬剤師、その他の医療スタッフに話してください。利用しているサプリメントが、処方薬または市販薬と相互作用あるいは阻害を起こす可能性はないのか、あるいはそれらの医薬品が、体内での栄養素の吸収、利用、分解の過程において阻害する可能性がないのかについて教えてくれるでしょう。

ビタミンEに関する詳しい情報を得たい時は?

【免責事項】

ダイエタリーサプリメント室が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で言及している個別の商品名は、その製品を推奨しているものではありません。

このページの情報は役に立ちましたか?

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

「統合医療」情報発信サイト
一般の方へ 関連コンテンツ

ページトップ
ページトップ