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ビタミンB12
Vitamin B12

写真に掲載している食材の成分表一覧
位置 食品 100gあたりの
含有量(μg)
A 魚介類・かき・くん製油漬缶詰 32.2
B 藻類・あまのり・焼きのり 57.6
C 魚介類・かつお類・加工品・削り節 21.9
D 肉類・ぶた・肝臓・生 25.2
E 魚介類・いわし類・うるめいわし・丸干し 24.7
F 魚介類・しろさけ・イクラ 47.3
G 魚介類・あさり・缶詰・水煮 63.8
H 藻類・あまのり・味付けのり 58.1
I 肉類・豚・スモークレバー 24.4
J 魚介類・はまぐり・生 28.4

[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年3月30日

ビタミンB12とは?その働きは?

ビタミンB12は、神経および血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAの生成を助ける栄養素です。また、疲労や体力低下を引き起こす貧血の一種である巨赤芽球性貧血の予防にも役立ちます。

ビタミンB12は2つの段階を経て食品から体内に吸収されます。まず、胃酸が食品中のビタミンB12をタンパク質から切り離し、その後、胃の中で産生された内因子と呼ばれるタンパク質とビタミンB12が結合し、体内に吸収されます。すなわち、内因子を作れない疾患である悪性貧血の人は、全ての食品やサプリメントからビタミンB12を吸収することが困難になります。

ビタミンB12の必要摂取量は?

ビタミンB12の必要摂取量は、年齢によって異なります。下表に1日の平均摂取推奨量を、マイクログラム(mcg)で示します。

ビタミンB12の1日の平均摂取推奨量
ライフステージ 摂取推奨量
生後6カ月 0.4 mcg
幼児7-12カ月 0.5 mcg
小児1-3歳 0.9 mcg
小児4-8歳 1.2 mcg
小児9-13歳 1.8 mcg
10歳代14-18歳 2.4 mcg
成人 2.4 mcg
妊娠している女性(10歳代も含む) 2.6 mcg
授乳中の女性(10歳代も含む) 2.8 mcg

どのような食品からビタミンB12を摂取できますか?

ビタミンB12は、さまざま動物性食品中に天然に含まれ、また、栄養強化食品に添加されることもあります。植物性食品は、強化食品でない限りビタミンB12を含有しません。以下のようなさまざまな食品を摂取することによって、ビタミンB12の推奨量を摂取することができます。

  • 牛レバーおよび二枚貝 (共に最良のビタミンB12供給源)
  • 魚、肉、鳥肉、卵、牛乳およびその他の乳製品
  • 朝食用シリアルの一部、ニュートリショナルイースト(乾燥酵母)およびビタミンB12を強化したその他の食品。ビタミンB12が食品に添加されているか確認するには、その製品の表示を確認してください。

どんなビタミンB12サプリメントが市販されていますか?

ビタミンB12は、ほとんどすべてのマルチビタミン剤に含まれています。ビタミンB12だけを含むサプリメントや、ビタミンB12と併せて葉酸およびその他のビタミンB群などの栄養素と一緒に摂るサプリメントも市販されています。ビタミンB12の含有量を調べるためには製品ラベルを確認してください。

ビタミンB12は舌下剤(舌の下で溶ける)でも摂取することができます。水で飲むタイプの錠剤よりも舌下剤の方が良く吸収されるという科学的根拠はありません。

処方用ビタミンB12は、注射剤として投与される場合があります。通常、ビタミンB12欠乏症の治療には注射剤が使われます。また、処方薬として鼻用のゲル剤(鼻腔内に使用)も有用です。

充分にビタミンB12は摂取できていますか?

米国人の多くは、食品から十分なビタミンB12を摂っています。しかし、食品からビタミンB12を吸収するのが困難な人もいます。その結果、ビタミンB12の欠乏症の人は一般の1.5~15%に及びます。欠乏症かどうか確認するには、医師がビタミンB12値を検査します。

十分なビタミンB12を摂取していない、または、ビタミンB12の吸収に問題がある集団の可能性も考えられます:

  • 高齢者の大半は、食品中に天然に含まれるビタミンB12を吸収するための胃酸が十分に分泌されません。50歳以上の人は、大半のビタミンB12を栄養強化食品やサプリメントから摂取すべきです。そうすることで、多くの場合、高齢者もビタミンB12を吸収できるからです。
  • 悪性貧血の人は、体内でビタミンB12を吸収するために必要な内因子を産生できません。通常、医師はビタミンB12の注射剤による悪性貧血の治療を行いますが、非常に高用量のビタミンB12を内服するのも有効です。
  • 減量手術や、セリアック病やクローン病などの消化器疾患などにより消化管手術をした人。消化管の切除により、体が吸収できるビタミンB12の量が減ります。
  • 菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)など、動物性食品をほとんど取らない、または全く取らない人。ビタミンB12は元々動物性食品にしか含まれていません。妊婦や授乳中の女性が厳格な菜食主義者や完全菜食主義者である場合、赤ちゃんもビタミンB12が不足する可能性があります。

充分にビタミンB12を摂らなかったらどうなりますか?

ビタミンB12欠乏症は、疲労、体力低下、便秘、食欲不振、体重減少、巨赤芽球性貧血などを引き起こします。しびれや、手足のチクチクする痛みなどの神経症状が起こることもあります。ビタミンB12欠乏症によるその他の症状には、平衡感覚障害、うつ病、精神錯乱、認知症、記憶力の低下、口および舌の痛みなどがあります。ビタミンB12欠乏症は貧血のない人でも神経系を損傷することがあるため、できる限り早く欠乏症を治療することが重要です。

乳幼児のビタミンB12欠乏症の症状には、発育障害、運動障害、特有の成長遅延、巨赤芽球性貧血などがあります。

葉酸を多量に取ると、ビタミンB12欠乏症の大きな特徴である巨赤芽球性貧血が改善されるため、ビタミンB12欠乏症であることがわかりづらくなります。しかし、葉酸はビタミンB12欠乏症による神経系への損傷の進行を治すことはありません。したがって、健康な成人は1日に1,000 mcg以上の葉酸を取るべきではありません。

ビタミンB12が健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?

ビタミンB12が健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。以下は、研究成果の数例です。

心臓病
ビタミンB12サプリメント(葉酸およびビタミンB6含有)は、心臓病にかかるリスクを軽減しません。これらのビタミンは、心臓発作や脳卒中を起こすリスクを増大させる化合物であるホモシステインの血中濃度を減少させるため、有用であると考えられてきました。
認知症
高齢になるにつれ認知症が現れる人がいます。高齢に伴う認知症の人では、血中のホモシステイン濃度が高いことがよく見られます。ビタミンB12(葉酸およびビタミンB6との併用)は、ホモシステイン値を低下させますが、これらのビタミンが実際に認知症の予防や治療に役立つかは現在のところまだわかっていません。
エネルギー代謝および運動能力
しばしば、ビタミンB12サプリメントは、広告でエネルギーや持久力を増大させると宣伝されています。しかし、ビタミンB12欠乏症以外の人で、ビタミンB12サプリメントがエネルギーや運動能力を増大させるということ根拠はありません。

ビタミンB12が害を及ぼす可能性はないのですか?

ビタミンB12は何の害も及ぼさないことが証明されています。

知っておくべきビタミンB12の相互作用はありますか?

あります。ビタミンB12は、服用している薬と相互作用を起こす、またはその働きを阻害する可能性がありますが、場合により服用している薬が体内のビタミンB12値を下げることがあります。以下は、ビタミンB12の体内吸収や体内での使用を妨げる可能性のある薬の例です:

  • ある種の感染症治療に使われる抗生物質である、クロラムフェニコール(Chloromycetin®)
  • 胃酸の逆流および消化性潰瘍疾患を治療に使用される、オメプラゾール(Prilosec®)やランソプラゾール(Prevacid®)などのプロトンポンプ阻害薬
  • 消化性潰瘍疾患の治療に使用される、シメチジン(Tagamet®)、ファモチジン(Pepcid®)、およびラニチジン(Zantac®)などのヒスタミンH2受容体拮抗剤
  • 糖尿病治療薬のメトホルミン

あなたが服用しているすべてのサプリメントおよび医薬品について、担当の医師、薬剤師、その他の医療スタッフに話してください。利用しているサプリメントが、処方薬または市販薬と相互作用あるいは阻害を起こす可能性はないのか、あるいはそれらの医薬品が、体内での栄養素の吸収、利用、分解の過程において阻害する可能性がないのかについて教えてくれるでしょう。

ビタミンB12に関する詳しい情報を得たい時は?

【免責事項】

ダイエタリーサプリメント室が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で言及している個別の商品名は、その製品を推奨しているものではありません。

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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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