文字サイズ変更
  • 標準
  • 特大
インフォグラフィックでわかる統合医療
一般の方へ ホーム  >  海外の情報  >  ビタミンA

海外の情報

ビタミンA
Vitamin A

写真に掲載している食材の成分表一覧
位置 食品 100gあたりの
含有量(μg)
A 魚介類・ぎんだら・生 1500
B 嗜好飲料類・緑茶類・抹茶 2400
C 藻類・あまのり・味付けのり 2700
D 肉類・ぶた・肝臓・生 13000
E 魚介類・あんこう・きも・生 8300
F 魚介類・うなぎ・かば焼き 1500
G 肉類・ぶた・スモークレバー 17000
H 嗜好飲料類・緑茶類・煎茶 1100
I 藻類・あまのり・焼きのり 1900
J 嗜好飲料類・青汁・ケール 860

[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等は米国人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年2月14日

ビタミンAとは?その働きは?

ビタミンAは脂溶性ビタミンで、多くの食品に天然に含まれており、正常視力、免疫システムおよび生殖に欠かせないものです。また心臓、肺、腎臓やその他の臓器が適切に機能するのを助けます。

ビタミンAには、2種類のタイプがあります。食肉、鶏肉、魚や乳製品に含まれる既成ビタミンA (レチノール及びそのエステル)と、果物や野菜、その他の植物由来の製品に含まれるプロビタミンAです。食品およびサプリメントに含まれる最も一般的なプロビタミンAは、β-カロテンです。

ビタミンAの必要摂取量は?

ビタミンAの必要摂取量は、年齢や生殖状態(妊娠の有無など)によって異なります。1日あたりのビタミンA推奨量は14歳以上では700〜900マイクログラム(mcg)レチノール当量(RAE)です。授乳中の女性は1,200〜1,300 RAEです。14歳未満の乳幼児および小児に対しては、より低い値を推奨しています。

しかし、食品およびサプリメントのビタミンA含有量は、mcg RAEではなく国際単位(IU)で製品のラベルに記載されています。IUとmcg RAEの換算は、容易ではありません。たとえばビタミンAを900 mcg RAE含む食事を摂取した場合、ビタミンA摂取量は摂取した食品の種類によって3,000〜36,000 IUとなります。詳細については、「医療者向けファクトシート:ビタミンA」(英語サイト)を参照してください。[eJIMサイト内日本語訳]

成人と4歳以上の小児に対しては、米国食品医薬品局(FDA)が、動・植物由来のさまざまな食品を含む食事から5,000 IUの1日摂取量(DV)を摂取するように定めています。DVは推奨量とは違い、年齢や性別などで異なることはありません。しかし1日摂取量を毎日100%達成するように努力すれば、多くの場合ビタミンAを十分摂取できることになります。1日摂取量についてさらに詳しく知りたい方は、「よくある質問」のページ(英語サイト)をご覧ください。

どのような食品からビタミンAを摂取できますか?

ビタミンAは多くの食品中に天然に含まれますが、牛乳やシリアルなどの食品に添加する場合もあります。以下のようなさまざまな食品を摂取することによって、ビタミンAの推奨量を摂取することができます:

  • 牛レバーやその他の臓器肉(ただしコレステロール含有量が高いので摂取量を制限すること)
  • 鮭などの魚類
  • 青菜の野菜やその他の緑、オレンジ、黄色の野菜(ブロッコリー、ニンジン、カボチャなど)
  • カンタロープメロン、アンズやマンゴーなどの果物
  • 米国人にとって主要ビタミンA源である乳製品
  • 朝食用強化シリアル

どんなビタミンAサプリメントが市販されていますか?

ビタミンAは、サプリメントから摂取することもできます。通常サプリメントには、酢酸レチニルまたはレチニルパルミテート(既成ビタミンA)、β-カロテン(プロビタミンA)または既成ビタミンAとプロビタミンAの両方が含有されています。ほとんどのマルチビタミン・ミネラルサプリメントはビタミンAを含んでいます。ビタミンAだけを含むサプリメントもあります。

充分にビタミンAは摂取できていますか?

米国人の多くは充分にビタミンAを摂取しており、ビタミンA欠乏症はまれです。しかし、特定の集団では他と比べて充分にビタミンAを摂取できていない可能性があります:

  • 早産児(1歳になるまではビタミンAの値が低い場合が多い)
  • 発展途上国の乳幼児、小児、妊婦および授乳中の女性
  • 嚢胞性線維症の患者

充分にビタミンAを摂らなかったらどうなりますか?

ビタミンA欠乏症は米国ではまれですが、多くの発展途上国では一般的によくみられます。小児および妊婦における最も一般的なビタミンA欠乏症の症状は、眼球乾燥症と呼ばれる眼の病気です。眼球乾燥症はうす暗いところで物が見えなくなる病気で、放置しておくと失明につながりかねません。

ビタミンAが健康に及ぼす影響にはどのようなものがありますか?

ビタミンAが健康にどのような影響を与えるのかを解明するための研究が行われています。以下は、研究成果の例です。

がん
β-カロテンを含む食品を多く摂取する人は、肺癌や前立腺癌などのある種のがんにかかるリスクは低いかもしれません。しかしこれまでの研究では、ビタミンAまたはβ-カロテンを補充することで、がんを予防したり、がんにより死亡する可能性を低くしたりできるとは証明されていません。実際、高用量のサプリメントを摂取した喫煙者では、肺癌にかかるリスクが高まったことが研究により明らかになっています。
加齢黄班変性症
加齢黄班変性症(AMD)は、高齢者における失明の最も一般的な原因の一つで、加齢により視野の中心が欠ける症状がみられます。AMDの患者において、β-カロテン含有または非含有の抗酸化物質、亜鉛、銅を含むサプリメントが失明率を低下させるのに有望であったことが証明されています。
麻疹
ビタミンA欠乏症(北米ではまれ)の小児が麻疹にかかった場合、重症になる傾向があります。しかし高用量のビタミンAサプリメントを摂取すると、麻疹による発熱や下痢が軽くすむ可能性があります。また、ビタミンA欠乏症の発生率が高い発展途上国の小児が麻疹で死亡するリスクを下げることもできます。

ビタミンAが害を及ぼす可能性はないのですか?

あります。ある種のビタミンAを高用量摂取すると有害になります。

既成ビタミンA(通常サプリメントか薬剤由来)を過剰に摂取すると、めまい、悪心、頭痛、昏睡を生じ、場合によっては死に至ることもあります。また妊婦が既成ビタミンAを過剰摂取すると、出生異常を引き起こす場合があります。妊娠の可能性のある女性は、高用量ビタミンAサプリメントを摂取すべきではありません。

β-カロテンや他の種類のプロビタミンAを高用量摂取すると、皮膚が黄色っぽいオレンジ色に変わる場合がありますが、なんら害はありません。β-カロテンの過剰摂取によって、出生異常や既成ビタミンAの過剰摂取によりおきるその他の重篤な症状がおこることはありません。

ビタミンAの安全な上限値は下表の通りです。この値は、医療上の理由で医師の指導下でビタミンAを服用している人には該当しません。β-カロテンおよびその他のプロビタミンAの安全上限値は設定されていません。

ビタミンAの安全な上限値
年齢 安全な上限値
生後12カ月 2,000 IU
小児1-3歳 2,000 IU
小児4-8歳 3,000 IU
小児9-13歳 5,667 IU
10歳代4-18歳 9,333 IU
成人19歳以上 10,000 IU

知っておくべきビタミンAの相互作用はありますか?

ビタミンAサプリメントは、服用している薬と相互作用が認められたり、またはその働きを阻害したりする可能性があります。その例は以下の通りです:

  • 肥満治療薬のオルリスタット(Alli®, Xenical®)は、人によってはビタミンAの吸収が減少し、血中濃度が低下する場合があります。
  • 数種の合成ビタミンAが処方薬に使われています。乾癬治療薬アシトレチン(Soriatane®)やT細胞リンパ腫の皮膚病変の治療に使われるベキサロテン(Targretin®)などです。これらの薬剤をビタミンAサプリメントと併用すると、血中のビタミンA値が高くなる場合があり危険です。

あなたが服用しているすべてのサプリメントおよび医薬品について、担当の医師、薬剤師、その他の医療スタッフに話してください。利用しているサプリメントが、処方薬または市販薬と相互作用あるいは阻害を起こす可能性はないのか、あるいはそれらの医薬品が、体内での栄養素の吸収、利用、分解の過程において阻害する可能性がないのかについて教えてくれるでしょう。

ビタミンAに関する詳しい情報を得たい時は?

【免責事項】

ダイエタリーサプリメント室が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で言及している個別の商品名は、その製品を推奨しているものではありません。

このページの情報は役に立ちましたか?

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

「統合医療」情報発信サイト
一般の方へ 関連コンテンツ

ページトップ
ページトップ