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海外の情報

筋力強化(ボディビル)およびパフォーマンス向上のためのサプリメント
Bodybuilding and Performance Enhancement Supplements

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

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英語版最終アクセス確認日:2022年11月

なぜ、一部のボディビルダーやアスリートは、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)を摂取するのでしょうか?

ボディビルダーやアスリートの中には、体力、筋肉量、エネルギーの向上を図るためにダイエタリーサプリメント(eJIM内:一般向け医療関係者向け)を利用する人もいます。しかし、これらのタイプの製品の多くは、有害な成分を含んでいます。また、 グルタミン、コリン、メトキシイソフラボン、ケルセチン、亜鉛/アスパラギン酸マグネシウム、一酸化窒素 、 L-アルギニンなど 、一部の物質については、パフォーマンス(運動能力)を向上させるという明確なエビデンス(科学的根拠)はありません。

NCAAが禁止しているダイエタリーサプリメントは何ですか?

全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Association、NCAA)は、禁止物質リストを管理しており、ダイエタリーサプリメントの中には製品ラベルに記載されていない禁止物質が含まれているかもしれないと説明しています。BMPEA(フェネチルアミン)およびDMAA(ジメチルアミルアミン)の二つは、NCAAの禁止薬物の一例です。BMPEAとDMAAの詳細については、以下の通りです。

ダイエタリーサプリメントは必要ですか?

私たちの多くは、食事から必要な栄養をすべて満たすことができます。必要に応じて今かかっている医療機関※からサプリメントを勧められることがあります。例えば、日光をあまり浴びずビタミンD(eJIM内:一般向け医療関係者向け)が不足している人にはビタミンD、食事からビタミンB12(eJIM内:一般向け医療関係者向け)を吸収するのが困難な人(50歳以上の多くの人、悪性貧血や消化器系疾患のある人)や、ビタミンB12を十分に含まないビーガン食やベジタリアン食の人にはビタミンB12など。

クレアチンとは?

クレアチンは体内で生成されるアミノ酸の一種で、人気のあるダイエタリーサプリメントです。筋力、筋肉量、持久力に対する運動の効果を少し高めるかもしれません。しかし、クレアチンには短期的な副作用を起こす可能性があり、長期的な効果については十分に研究されていません。

クレアチンは安全ですか?

クレアチンは肝臓や腎臓の機能を損なうかもしれないとの報告があります。また、クレアチンは、筋肉の区画に圧力がかかり、血流が妨げられるコンパートメント症候群のリスクを高めることと関連があるとされています。腎障害のリスクがある人は、クレアチンを使用する前に今かかっている医療機関※に確認し、使用中は注意深く管理する必要があります。

子供および青年に対するクレアチンの安全性を示すデータはありません。米国小児科学会(The American Academy of Pediatrics)と米国スポーツ医学会(American College of Sports Medicine )は、健康上のリスクがあるため、クレアチンを含む身体能力向上サプリメントを10代の若者は使用しないよう警告しています。

パフォーマンス向上用のダイエタリーサプリメントは効果がありますか?

グルタミン、コリン、メトキシイソフラボン、ケルセチン、亜鉛/アスパラギン酸マグネシウム、一酸化窒素 、 L-アルギニンなど、筋力強化(ボディビル)やパフォーマンス向上に用いられるさまざまなサプリメントが研究対象とされてきました。これらのサプリメントがパフォーマンスを向上させるという明確なエビデンスはありません。

食品やダイエタリーサプリメントに含まれるアミノ酸であるβ-アラニンに関する研究結果はまちまちですが、一般にパフォーマンスを著しく向上させるという結果を示してはいません。

筋力強化(ボディビル)用サプリメントは安全ですか?

  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)は、筋力強化(ボディビル)用にプロモーション(宣伝・販売促進)された製品に隠れた危険な成分が含まれているという問題が増えていると警告を発しています。消費者は、処方薬の成分、規制薬物、その他の成分が混入した製品を知らず知らずのうちに摂取しているかもしれません。
  • 筋力強化(ボディビル)用サプリメントには、筋肉量を増やすために作られた男性ホルモンの変種であるアナボリックステロイドがしばしば混入しています。
  • 近年、筋力強化(ボディビル)用ダイエタリーサプリメントの摂取による肝障害が増加しています。ハーブやダイエタリーサプリメントの使用に関連した肝障害の原因としては、筋力強化(ボディビル)用製品が最も一般的です。
  • 中枢神経刺激薬であるBMPEAやDMAAを含む製品は、重篤な健康問題を引き起こす可能性があります。
    • ハーブのアカシア(Acacia rigidula)を含有しているとラベル表記されているサプリメントは、しばしばBMPEAを含んでいますが、BMPEAはハーブには含まれておらず、また栄養成分でもありません。
    • ダイエタリーサプリメントとして販売されているDMAA含有製品は違法です。2013年、FDAはこれらの製品を市場から排除するための措置を開始しました。しかし、DMAAは、ゼラニウムオイルといった別名で、サプリメントとして販売されている製品に含まれていることがいまだに確認されています。
  • 一部のダイエタリーサプリメントは、薬や他のサプリメントと相互作用するかもしれません。ビタミンやミネラルの中には、高用量摂取することにより有害となるものがあります。筋力強化(ボディビル)や持久力の向上にダイエタリーサプリメントを利用する前に、今かかっている医療機関※に相談しましょう。

一般向け

医療関係者向け

関連するファクトシート

(※補足:原文では、healthcare provider。米国では主に医療サービス等のヘルスケアを提供している病院/医師を指す。また、健康保険会社や医療プログラムを提供する施設等も含む。)

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完・統合医療に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト: https://nccih.nih.gov/(英語サイト)
E-mail:info@nccih.nih.gov(メール送信用リンク)

■ Know the Science(科学を知ろう):

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)と米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学研究の基礎と用語を理解し、自分の健康について十分な情報を得た上で意思決定できるようにするためのツールを提供しています。「Know the Science(科学を知ろう)(英語サイト)(eJIM内)は、インタラクティブなモジュール、クイズ、ビデオなどのさまざまな教材や、消費者が健康情報を理解できるように設計された連邦政府のリソースから有益なコンテンツへのリンクを提供しています。

Explaining How Research Works(研究のしくみを知る)(英語サイト)(NIH)
Know the Science: How To Make Sense of a Scientific Journal Article(科学を知ろう:科学雑誌の論文を理解する方法)(英語サイト)(eJIM内)
Understanding Clinical Studies(臨床試験を理解する)(英語サイト)(NIH)

■ PubMed®

米国国立医学図書館(National Library of Medicine, PubMed®:NLM)のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。NCCIHによるPubMed使用のガイダンスは、「補完・統合医療に関する情報をPubMed® で検索する方法」をご覧ください。

ウェブサイト:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/(英語サイト)

■ 米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements:ODS)

ODSは、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および啓発活動を通して、国民のダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)に関する知識や理解が深まるよう努めています。情報源として、出版物(「ダイエタリーサプリメント:知っておきたいこと(英語サイト)」など)、さまざまなサプリメント製品や具体的な成分(ビタミンDやマルチビタミン/ミネラルのサプリメントなど)に関するファクトシートなどを提供しています。

ウェブサイト:https://ods.od.nih.gov/(英語サイト)
E-mail:ods@nih.gov(メール送信用リンク)

■ 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)

FDAは食品、医薬品、ダイエタリーサプリメント、医療機器、および化粧品などの数多くの製品の安全性を監督します。ダイエタリーサプリメントについてのウェブページはこちら

米国内の無料通話:1-888-463-6332
ウェブサイト:https://www.fda.gov/(英語サイト)

■ 食品安全・応用栄養センター(Center for Food Safety and Applied Nutrition :CFSAN)

FDAの一部として、CFSANはサプリメント、食品および化粧品の安全性とラベル表示を監督しています。ダイエタリーサプリメントについての情報も提供しています。消費者用のオンライン情報には、次のものが含まれます:サプリメント利用者へのヒント情報を得た上で決定し、情報を評価する。

米国内の無料通話:1-888-723-3366
ウェブサイト:https://www.fda.gov/AboutFDA/CentersOffices/OfficeofFoods/CFSAN/(英語サイト)

■ 米国連邦公正取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)

FTCとは公正な取引を監督・監視する連邦政府の機関です。その主な業務内容は、広告の規制(処方箋医薬品と医療機器を除く)です。

米国内の無料通話:1-877-382-4357
ウェブサイト:https://www.ftc.gov/(英語サイト)

■ MedlinePlus

健康に関する質問に答えるのに役立つリソースを提供するために、MedlinePlus(米国国立医学図書館のサービス)では、国立衛生研究所をはじめ、他の政府機関や健康関連組織からの信頼できる情報をまとめています。

ウェブサイト:https://www.medlineplus.gov/(英語サイト)

■ ダイエタリーサプリメントのラベルデータベース

サプリメント表示データベースは、米国立衛生研究所のプロジェクトであり、米国で販売されている多くのブランドのサプリメントのラベル表示に関するすべての情報を含んでいます。ユーザーはラベルに表示されている栄養価と政府が推奨する栄養価を比較することができます。

ウェブサイト:https://dsld.od.nih.gov/(英語サイト)

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参考文献

その他の参考文献
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  • Cooper R, Naclerio F, Allgrove J, et al. Creatine supplementation with specific view to exercise/sports performance: an update. Journal of the International Society of Sports Medicine. 2012;9(1):33.
  • Dolan SB, Gatch MB. Abuse liability of the dietary supplement dimethylamylamine. Drug and Alcohol Dependence. 2015;146:97-102.
  • Kim HJ, Kim CK, Carpentier A, et al. Studies on the safety of creatine supplementation. Amino Acids. 2011;40(5);1409-1418.
  • Mason BC, Lavallee ME. Emerging supplements in sports. Sports Health. 2012;4(2):142-146.
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  • Office of Dietary Supplements website. Vitamin B12—fact sheet for consumers. Accessed at ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminB12-Consumer/(英語サイト) on November 30, 2020.
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謝辞

NCCIHは、この出版物の更新における貢献に対して次の人に感謝します。
David Shurtleff, Ph.D., NCCIH

このサイトの情報は著作権で保護されておらず公開されています。複製も奨励されています。

米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたが今かかっている医療機関の医療従事者の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについてあらゆる意思決定をする際、今かかっている医療機関に相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2024年5月28日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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