• 時差ぼけに対するメラトニンのように、何らかの有益性（ベネフィット）が期待できるダイエタリーサプリメントもあれば、認知症に対するイチョウ葉のように、ほとんどあるいは全く有益性が期待できないダイエタリーサプリメントもあることが、研究により明らかにされています。
• 小売店やオンラインで購入するサプリメントは、研究に使われた製品と重要な点で異なる可能性があります。
• ほとんどの研究で、マルチビタミン剤（eJIMサイト内：医療関係者向け／一般向け）の摂取は、寿命が延びたり、認知機能の低下を緩やかにしたり、がん、心疾患、糖尿病などの疾患に罹る率を下げることにはつながらないことが示されています。

• マルチビタミン剤を摂取しても、健康上のリスクをもたらす可能性は低いと考えられます。
• ただ、もし、あなたが特定の健康問題を抱えている場合、あるいは手術を受ける予定がある場合、ダイエタリーサプリメントは、あなたが服用している薬と相互作用したり、リスクをもたらしたりする可能性があります。
• 多くのダイエタリーサプリメントは、妊娠中の女性、授乳中の母親、あるいは子供での臨床試験が行われていません。
• ダイエタリーサプリメントとしてプロモーション（宣伝・販売促進）されている製品、主に減量や精力増強、筋力強化（ボディビル）をうたっているものは、ダイエタリーサプリメントでは認められていない処方薬が成分に含まれていたり、ラベルに表示していないその他の原材料が含まれていたりする可能性があります。それらの成分は安全でない可能性もあります。

• 口から摂取するもの（錠剤、カプセル、粉末、液体など）
• 食事の補助として作られたもの
• ビタミン、ミネラル（eJIMサイト内：医療関係者向け／一般向け）、ハーブまたは他の植物、アミノ酸、酵素、臓器や腺の組織、またはその抽出物（エキス）などを含む、一つ以上の栄養成分を含むもの
• ダイエタリーサプリメントとしてラベル表示されているもの

• ボタニカルと呼ばれることもあります。
• 植物、藻、菌類、あるいはそれらの組み合わせから作られます。
• お茶、抽出物（エキス）、錠剤、カプセル、粉末、その他の形状で販売されています。

• 米国の国民健康調査のデータは、2011年から2012年まで、あらゆる種類のダイエタリーサプリメントの利用データを収集しました。その結果、52％の成人が少なくとも一つのダイエタリーサプリメントを摂取していました。マルチビタミンやマルチミネラルのサプリメント（10種以上のビタミンやミネラルを含む製品）がもっともよく利用されていて、すべての成人の31％が摂取していました。これは、成人の37％がマルチビタミンまたはマルチミネラルのサプリメントを利用していた1991年から2000年の結果からは減少しています。男性に比べ、女性の方がダイエタリーサプリメントを摂取している傾向がありました。
• 子供を含め、米国におけるダイエタリーサプリメントの利用状況に関するさらなる情報は、米国国立補完統合衛生センター（National Center for Complementary and Integrative Health：NCCIH）のウェブサイト「Statistics on Complementary and Integrative Health Approaches（補完・統合医療についての統計）」（英語サイト）をご覧ください。

• 一般的な健康増進および病気予防（83％）
• 免疫機能の向上（42％）
• エネルギーの向上（31％）
• 心、体、精神面といったホールパーソン（人間全体）に焦点を当てる（27％）
• 記憶力や集中力を高める（22％）

• 連邦政府の規制では、企業が自社のダイエタリーサプリメントの安全性を証明し、製品ラベルに虚偽がなく、誤解を与えないものとする責任を負うこととしています。製造業者は、ダイエタリーサプリメントを高品質で製造し、汚染物質や不純物が含まれていないことを確認し、正確に表示することが求められています。
• しかしながら、ダイエタリーサプリメントの製造・販売に対する規制は、処方薬や市販薬に対する規制ほど厳密ではありません。
  • ダイエタリーサプリメントを規制している米国食品医薬品局（U.S. Food and Drug Administration：FDA）は、1994年以前に米国で販売されていたダイエタリーサプリメントには含まれていなかった新たな成分について、安全データを提出するように製造企業に義務づけています。それ以外の場合、FDAにはダイエタリーサプリメントについて販売前に安全性と有用性を審査する権限が与えられていません。
  • FDAが不純物や不当表示のあるダイエタリーサプリメントに対して行動を起こせるのは、その製品が市場に出てからです。これに対して、処方箋や市販薬に関しては、製造企業は販売前にその製品の安全性と有用性の根拠をFDAに示さなければなりません。
• ダイエタリーサプリメントが市場に出回ると、FDAは消費者やサプリメント製造業者などから報告された副作用を追跡します。ダイエタリーサプリメントについて安全性に懸念がある場合は、「U.S. Health and Human Services Safety Reporting Portal（米国保健福祉省の安全性報告ポータル）」（英語サイト）を通じて報告することが可能です。
• FDAは、製品が安全でないと判断した場合、製造業者や販売業者に対して法的措置を取ることができ、警告を発したり、製品の市場からの撤去を要求したりすることができます。しかし、FDAは、有害な成分が隠されている可能性のあるダイエタリーサプリメントとして販売されている製品すべてを検査することはできないとしています。
• ダイエタリーサプリメントの汚染物質についてのさらなる情報は、FDAのウェブサイト「Dietary Supplement Products & Ingredients（ダイエタリーサプリメント製品と成分）」（英語サイト）をご覧ください。

• ダイエタリーサプリメントは、いかなる病気についても診断、治療、治癒、緩和、予防できると宣伝することは禁じられています。こうした主張が許されるのは、医薬品だけです。しかしながら、健康に関する強調表示や、その製品が体の構造や機能に与える影響に関する強調表示が、ダイエタリーサプリメントのラベルに表示されることがあります。
  • ヘルスクレーム（健康強調表示）とは、そのサプリメントに含まれる成分と疾患や健康状態のリスク（危険）低減の関係について説明するものです。そのヘルスクレームはエビデンスに基づいていなければなりません。例えば、サプリメントのラベル表示に「カルシウム（eJIMサイト内：医療関係者向け／一般向け）は骨の病気である骨粗鬆症のリスクを下げる可能性があります」と書いてあれば、それはヘルスクレームです。
  • 構造／機能表示は、身体の正常な構造または機能を維持するための成分の効果について説明するものです。例えば、サプリメントのラベル表示に「カルシウムは強い骨をつくります」と書いてあれば、それは構造/機能表示です。ダイエタリーサプリメントのラベル表示における構造/機能表示は、次の免責事項の付記が義務付けられています。「この記述は、米国食品医薬品局（FDA)によって評価されたものではありません。本製品は、いかなる疾病についても診断、治療、緩和、予防をするものではありません。」
  • 広告に関する規制当局である米国の連邦公正取引委員会（Federal Trade Commission：FTC）は、広告は虚偽がなく、誤解をまねかないものであることを義務づけています。

• ダイエタリーサプリメントの中には、健康に良いものもあれば、有効性が証明されていないものもあります。さまざまなダイエタリーサプリメントの有効性についての情報は、NCCIHのウェブサイト「Dietary and Herbal Supplements（サプリメントおよびハーブ）」（英語サイト）をご覧ください。（eJIMサイト内）
• いくつかのサプリメントに関する研究は、それらの主張の裏付けとなっていません。例えば、複数の研究において、エキナセアは風邪の治癒に役立つことはなく、イチョウ葉も認知症に有用ではないという結果が得られています。また、グルコサミンとコンドロイチンが、変形性関節症の症状を緩和するかどうかなど、ダイエタリーサプリメントについて相反する結果を示す研究も数多くあります。

• ラベルに書いてあるものが、製品に含まれているとは限りません。例えばFDAは、ダイエタリーサプリメントとして販売されている製品から、抗凝固剤（ワルファリンなど）、抗けいれん薬（フェニトインなど）などの処方薬を発見しています。そうした製品例については、FDAのウェブサイト「Health Fraud Product Database（健康詐欺製品データベース）」（英語サイト）をご覧ください。
• 2012年に政府が行った、減量や免疫機能向上のために販売された127種類のダイエタリーサプリメントに関する調査では、20%が違法な宣伝を行っていることが判明しました。
• 特定の医学的状態（既往症、併存疾患など）や危険因子のある人、あるいは特定の処方薬や市販薬を服用している人は、ダイエタリーサプリメントが有害となる可能性があります。例えば、ハーブ系サプリメントであるセントジョーンズワート（セイヨウオトギリソウ）は、多くの薬の効果を減弱します。
• 2015年の調査によると、ダイエタリーサプリメントによって、米国では毎年23,000件の救急外来の受診があると推定されています。その患者の多くは、減量やエネルギー補充製品から心疾患を起こした若者と、大きなビタミン剤を飲んで嚥下に問題を起こした高齢者でした。
• まだまれなケースですが、米国内外でダイエタリーサプリメントを摂取している人が急性（予期せず突然の）肝障害を起こした事例も増えつつあります。肝障害は重篤になることがあり、緊急肝臓移植が必要になることもあり、時には死に至ることもあります。
• 多くのダイエタリーサプリメント（およびいくつかの処方薬）は天然物由来ですが、「天然（ナチュラル）」は必ずしも「安全」を意味しません。例えば、カバはコショウ科の植物ですが、カバのサプリメントにより肝疾患を起こす可能性があります。
• 製造業者が使用する「規格化（標準化）」（あるいは「検証済」、「認定済」）といった文言は、製品の品質や安定性を必ずしも保証するものとは限りません。

• 手術を予定している場合は、特定のダイエタリーサプリメントが出血リスクを高めたり、麻酔への反応に影響したりすることに注意してください。手術を受ける際は、できるだけ早く今かかっている医療機関※に相談し、摂取しているすべてのダイエタリーサプリメントを伝えましょう。
• 妊娠中、授乳中、妊娠を希望している、あるいは子供にダイエタリーサプリメントを与えることを検討している場合は、多くのダイエタリーサプリメントは、妊娠中の女性、授乳中の母親、あるいは子供に対する臨床試験が行われていないことを考慮しましょう。
• ダイエタリーサプリメントを摂取している場合は、ラベルに記載されている説明に従いましょう。副作用があった場合は、そのサプリメントの摂取をやめ、今かかっている医療機関※に相談しましょう。そのサプリメントの製造業者に問い合わせることもできます。

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更新日：2023年3月7日

監訳：大野智（島根大学）　翻訳公開日：2021年3月12日