もう一歩進んだ「情報の見極め方」
2. 人に対する研究の種類を知ろう
世の中には、体験談や専門家(?)の意見といったような、研究結果に基づかない情報があふれています。そのような情報は、はじめから「疑ってかかる」という姿勢が大切です。
研究結果による情報でも、動物実験と人に対する研究とでは情報の信頼性が異なります。では、人に対する研究だったら、すべて信用してよいのでしょうか?
人に対する研究のチェックポイント
人に対する研究にも色々な方法があり、その種類によって、得られる情報の信頼性が異なります。ここでは、情報を見分けるために必要な知識として、人に対する研究の種類をご紹介します。
<観察研究>
「観察研究」は、患者さんを観察した結果を分析する研究方法です。観察研究は、時間との関係によって大きく3つに分類されます。
- 横断研究:ある時点での患者さんの状態を調査する研究方法です。
- ケース・コントロール研究:病気など、ある事象の有無について、時間をさかのぼってその原因(と疑われるもの)の有無を調査し、患者さんのグループを比較する研究方法です。事象(病気)をもつ患者さんのグループを「ケース」、もたない患者さんのグループを「コントロール」といいます。患者さんのなかには、「治療法が効いていない」と思って病院に来るのをやめてしまった人もいるのですが、そのような患者さんに医師が質問することはできませんでした。
- コホート研究:ある要因をもつグループともたないグループについて、時間がたつとともに予想する結果が起きるか、起きないかを調査し、2つのグループを比較する研究方法です。調査するグループのことを「コホート」といいます。
<介入研究>
「介入研究」は、治療や予防などの方法を試験として患者さんに行って、その結果を評価する研究方法です。一般的に、適切に実施された介入研究からは、観察研究よりも信頼性の高い情報が得られます。(介入研究は「臨床試験」とも呼ばれます。)
- 介入研究では、効果などがまだ十分に確認されていない方法を試験することもあり、高い倫理性と科学性が求められる研究方法です。
- 試験に参加する患者さんは、「試験する治療」として治療Aか治療Bのいずれかを受けます。その後、治療Aと治療Bのグループで効果や安全性を比べて、どちらの治療がよいかを評価します。
- 「ランダム化比較試験」は、介入研究の中で特に信頼性の高い方法です。試験へ参加した場合に、治療Aと治療Bのどちらをうけるかは、くじびきのような方法で確率によってランダム(無作為)に決まります。この方法を「ランダム化」といいます。
<システマティック・レビュー>
- 「システマティック・レビュー」は、特定のテーマについて、世界中から研究結果をくまなく集めて分析する研究方法です。一般的に、適切に実施されたシステマティック・レビューからは、個々の研究の結果よりも信頼性の高い情報が得られます。
- 質の高いシステマティック・レビューの情報を提供する世界的な活動として、「コクラン」があります。
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公開日:2015年3月28日