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写真に掲載している食材の成分表一覧
位置 食品 100gあたりの
含有量(mg)
A 調味料及び香辛料・バジル・粉 120
B いも及びでん粉類・赤こんにゃく 78.5
C 調味料及び香辛料類・カレー粉 28.5
D きのこ類・きくらげ・乾燥 35.2
E 魚介類・えび類・加工品・干しえび 15.1
F 魚介類・あさり水煮缶 29.7
G 肉類・ぶた・肝臓・生(豚スモークレバー) 13(19.8)
H 嗜好飲料・抹茶 17
I 魚介類・かたくちいわし・煮干 18
J 嗜好飲料・ピュアココア 14

[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等はアメリカ人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご覧ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年2月28日

このファクトシートは医療関係者向けです。平易な鉄の概要については、「一般向け:鉄」(英語サイト)をご覧ください。

はじめに

鉄は、多くの食物に天然に存在する鉱物で、一部の食物に添加されることがあり、またサプリメントとして市販されている。鉄は、肺から組織へ酸素を輸送する赤血球(red blood cell:RBC)タンパク質であるヘモグロビンの必要不可欠な成分である[1]。酸素を供給するもう一つのタンパク質であるミオグロビンの成分として、鉄は筋肉代謝や健康な結合組織を支えている[2]。鉄は、身体の成長や神経発達、細胞機能および一部のホルモン合成にも必要である[2,3]。

食事由来の鉄には、主にヘム鉄と非ヘム鉄の2種類がある[1]。植物性食物や鉄補強食物には非ヘム鉄のみが含まれているが、肉や魚介類、鶏肉にはヘム鉄と非ヘム鉄のいずれも含まれる[2]。ヘム鉄は、鉄がプロトポルフィリンIXと結合して形成されるが、西洋人では鉄総摂取量の約10~15%を占める。

成人における基本的な鉄3~4 gの大部分はヘモグロビンに存在している[2]。残りの鉄の多くはフェリチンまたはヘモジデリン(フェリチンの分解生成物)の形で肝臓、脾臓および骨髄に貯蔵されているか、筋組織内のミオグロビンに局在する[1,5]。トランスフェリンは主な血中タンパク質で、鉄に結合し体内に鉄を運ぶ。通常、人では尿、便、胃腸管および皮膚から損失する鉄はごくわずかな量である。月経のある女性では、失血による鉄の損失が多い。血中ペプチドホルモンであるヘプシジンは、鉄の吸収や血漿中鉄量をはじめとする体内への分布をつかさどる重要な調節機能を担っている[1,2,6]。

鉄摂取状況の評価には、ほぼ血液学的指標が用いられている[7]。しかし、このような指標は鉄摂取状況に関して完全なスペクトラムを適切に説明するのに感度や特異性を有しておらず、鉄欠乏症の診断を困難にする可能性がある。補完療法としては、食事やサプリメントからの鉄摂取量が、推奨摂取量とどのように比較されるかを検討することである。

鉄欠乏症は、貯蔵鉄の枯渇(軽度鉄欠乏症)から鉄欠乏性赤血球形成(赤血球産生)へと進行し、最終的に鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia:IDA)となる[8,9,]。鉄欠乏性赤血球形成(限界鉄欠乏症も呼ばれる)では、貯蔵鉄が枯渇し、トランスフェリン飽和度が低下するが、ヘモグロビン値は通常正常値範囲内である。IDAは、ヘモグロビン値の低値、ヘマトクリット(血液中の赤血球細胞の体積の割合)および平均血球体積(赤血球の大きさの尺度)の減少を特徴とする[2,10]。

体内の貯蔵鉄の尺度である血清フェリチン濃度は、鉄欠乏症の診断にあたって、現在のところ最も効率的かつ費用対効果の高い検査方法である[11-13]。鉄が枯渇する初期段階では血清フェリチンが減少するため、IDA発現前に鉄の状態が低値であることを確認することができる[7,9,14]。血清フェリチン濃度が30 µg/L未満の場合、鉄欠乏症が示唆され、10 µg/L未満の場合はIDAが示唆される。しかし、血清フェリチンは炎症(例:感染症による炎症など)の影響を受ける。炎症によって、血清フェリチン濃度は上昇する[16]。

ヘモグロビン検査およびヘマトクリット検査は、感度も特異性もないにもかかわらず、鉄欠乏症のスクリーニングを行う際によく用いられる評価法である[5,7,17]。IDAを特定するため、血清フェリチンの測定とヘモグロビン濃度を併用することが多い[7]。10歳未満の小児でヘモグロビン濃度が11 µg/L未満、10歳以上の小児で12 µg/L未満である場合、IDAが示唆される[8]。ヘマトクリットの正常値は、男性で約41~50%、女性で36~44%である[18]。

推奨摂取量

米国科学アカデミー医学研究所の食品栄養委員会(Food and Nutrition Board:FNB)が設定した食事摂取基準(Dietary Reference Intakes:DRI)には、鉄や他の栄養素の推奨摂取量が提示されている[5]。DRIは、健常人の栄養摂取の計画と評価に関する一連の基準値に対する総称である。これらの基準値は年齢や性別ごとに異なり、次のような項目がある。

  • 推奨栄養所要量(Recommended Dietary Allowance:RDA)ほとんどすべての(97~98%)健常人が栄養所要量を満たすのに十分な平均1日摂取量。
  • 適正摂取量(Adequate Intake:AI)RDAを設定するための科学的根拠(エビデンス)が不十分である場合に示され、十分な栄養が確保できると推定される値に設定されている。
  • 推定平均必要量(Estimated Average Requirement:EAR):健常者の50%において所要量を満たすと推定される平均1日摂取量。通常、母集団の栄養摂取量の妥当性を評価し、栄養学的に適切な食事を計画するために使用される。また、個人の栄養摂取量の評価にも利用できる。
  • 許容上限摂取量(Upper Intake Level:UL):健康上の有害作用を引き起こすとは考えにくい最大1日摂取量。

表1に、最新の鉄のRDAを示す。ベジタリアンのRDAは、食肉を摂取する人の1.8倍である。これは、食肉由来のヘム鉄のバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)が、植物性食物由来の非ヘム鉄よりも高く、肉・鶏肉・魚介類は非ヘム鉄の吸収を高めるからである[5]。

FNBは、健康な母乳栄養児の平均鉄摂取量を、生後0〜6カ月齢の乳児における鉄のAIに設定している。

表1:鉄の推奨栄養所要量(Recommended Dietary Allowance:RDA) [5]
表1:鉄の推奨栄養所要量(Recommended Dietary Allowance:RDA)
年齢 男性 女性 妊婦 授乳婦
生後0〜6カ月 0.27 mg* 0.27 mg*
生後7~12カ月 11 mg 11 mg
1~3歳 7 mg 7 mg
4~8歳 10 mg 10 mg
9~13歳 8 mg 8 mg
14~18歳 11 mg 15 mg 27 mg 10 mg
19~50歳 8 mg 18 mg 27 mg 9 mg
51歳以上 8 mg 8 mg

*適正摂取量(AI)

鉄の摂取源

食物

ヘム鉄が豊富に含まれている食物は、赤身肉と魚介である[19]。食事由来の非ヘム鉄は、ナッツ類やインゲン豆、野菜および鉄強化穀物製品に含まれている。アメリカでは、食事から摂取する鉄の約半分がパンやシリアル、他の穀物製品から摂取されている[2,3,5]。母乳には、バイオアベイラビリティが極めて高い鉄分が含まれているが、その量は月齢4~6カ月以上の乳児の必要量には不十分である[2,20]。

アメリカやカナダ、その他の国の多くでは、小麦粉や他の粉製品に鉄が添加されている[21,22]。乳児用調製粉乳には、12 mg/Lの鉄が添加されている[20]。

ヘム鉄は非ヘム鉄よりもバイオアベイラビリティが高く、ヘム鉄のバイオアベイラビリティは非ヘム鉄と比較して、他の食物由来の栄養素からの影響を受けにくい[3,4]。鉄のバイオアベイラビリティは、相当量の肉類や魚介、ビタミンC(非ヘム鉄のバイオアベイラビリティを亢進させるアスコルビン酸)を含む混合食から摂取する場合は約14~18%であり、採食から摂取する場合は約5~12%である[2,4]。アスコルビン酸に加えて、肉や鶏肉、魚介は非ヘム鉄の吸収を亢進させる可能性がある一方、フィチン酸塩(穀類や豆類に含まれる)や非動物性食物(シリアル類やマメ科植物など)に含まれる特定のポリフェノール類には逆の作用がある[4]。鉄吸収を阻害する他の物質とは異なり、カルシウムは非ヘム鉄およびヘム鉄のいずれのバイオアベイラビリティを低下させる可能性がある。しかし、鉄吸収を促進させる物質や阻害する物質の作用は、一般的な欧米型混合食によって減衰するため、多くの人では鉄摂取状態にほとんど影響はない。

鉄の供給源となる食物を表2に記載している。ほうれん草などの良質な鉄源である一部の植物性食物は、鉄吸収を阻害するポリフェノール類などの物質を含んでいるため、バイオアベイラビリティが低い[23,24]。

表2:鉄源の食物群 [25]
表2:鉄源の食物群
食物(1オンスは約28g、1カップは240ml) 1食分当たりのミリグラム数(mg) %DV*
朝食用シリアル類、鉄の1日摂取量100%添加、1食分 18 100
西洋牡蠣、蒸し、3オンス(約90 g) 8 44
白豆、缶詰、1カップ(240ml) 8 44
チョコレート、ダーク、カカオ固形分が45~69%、3オンス(約90 g) 7 39
牛レバー、焼いたもの、3オンス(90 g) 5 28
レンズ豆、茹でて湯切り、1/2カップ(120ml) 3 17
ホウレンソウ、茹でて湯切り、1/2カップ(120ml) 3 17
木綿豆腐、1/2カップ(120ml) 3 17
赤インゲン豆、缶詰、1/2カップ(120ml) 2 11
イワシ、大西洋産、缶入りオイル漬けのもの、油切りした身と骨、3オンス(約90g) 2 11
ひよこ豆、茹でて湯切り、1/2カップ(120ml) 2 11
トマト、缶詰、煮込み、1/2カップ(120ml) 2 11
牛肉、外モモ肉の蒸し煮、1/8インチに脂肪を切り取ったもの、3オンス(約90g) 2 11
じゃがいも、焼いたもの、皮付きのじゃがいも、中くらいのもの1個 2 11
カシューナッツ、油で炒ったもの、1オンス(18個) 2 11
グリーンピース、茹で、1/2カップ(120ml) 1 6
鶏肉、焼き、身と皮付き、3オンス(約90g) 1 6
白米、長粒種、強化米、湯通し、湯切り、1/2カップ(120ml) 1 6
全粒粉パン1切れ 1 6
精白パン1枚 1 6
種なし干しぶどう、1/4カップ 1 6
スパゲッティ、全粒粉、加熱調理、1カップ(240ml) 1 6
ツナ(マグロ)、水煮缶入り、3オンス(約90g) 1 6
七面鳥、焼き、胸肉と皮、3オンス(約90g) 1 6
ナッツ類、ピスタチオ、ドライロースト、1オンス(49個) 1 6
ブロッコリー、茹でて湯切り、1/2カップ(120ml) 1 6
卵、固ゆで、Lサイズ1個 1 6
玄米、長粒種または中粒種、加熱調理、1カップ(240ml) 1 6
チェダーチーズ 1.5オンス(約57g) 0 0
カンタロープメロン、さいの目切り、1/2カップ(120ml) 0 0
マッシュルーム、白、薄切り、炒めたもの、1/2カップ(120ml) 0 0
カッテージチーズ、乳脂肪2%、1/2カップ(120ml) 0 0
牛乳、1カップ(240ml) 0 0

*DV = 1日摂取量。FDAは、消費者が食事全体における食物およびサプリメントの栄養素含有量を比較するのに役立つようDVを設定した。栄養成分表示および表2に記載の鉄に対するDVは成人および4歳以上の小児で18 mgである[4]。FDAは、食品ラベルに鉄含有量を表示するよう義務付けている。DVが20%以上となる食物は高栄養源と考えられるが、DVのパーセンテージが低い食物でも健康的な食事をとることができる。

米国農務省(The U.S. Department of Agriculture:USDA)のFoodData Central(英語サイト)では、多くの食物の栄養素含有量をリストアップし、栄養素含有量(英語サイト)別および食物(英語サイト)別に整理された、鉄を含む食物の総合リストを提供している。

サプリメント

鉄は多くのサプリメントから摂取することができる。鉄を含有するマルチビタミン・ミネラルサプリメント、特に女性向けのサプリメントには、通常鉄18 mg(DVの100%に相当)が含まれている。男性向けまたは高齢者向けのマルチビタミン・ミネラルサプリメントは、鉄の含有量が少ないか、全く含んでいないものが多い。通常、鉄のみのサプリメントは含有量がDVを超えており、65 mg(DVの360%に相当)を含むものが多い。

サプリメントでよく用いられる鉄の形態は、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、クエン酸第二鉄、硫酸第二鉄などの第一鉄塩および第二鉄塩である[3,28]。溶解度が高いため、サプリメント中の第一鉄は第二鉄よりもバイオアベイラビリティが高い[3]。高用量鉄補充(45 mg/日以上)は、悪心や便秘など消化器に副作用をきたす可能性がある[5]。ヘム鉄ポリペプチド、カルボニル鉄、鉄アミノ酸キレート、および多糖類-鉄複合体など、前述した以外の形態をした鉄サプリメントでは、第一鉄や第二鉄と比較して、胃腸の副作用が少ない場合がある[28]。

サプリメント中の異なる形態の鉄が含む元素鉄の量はさまざまである。例えば、フマル酸第一鉄は質量あたり33%が鉄元素であるのに対して、硫酸第一鉄は20%、グルコン酸第一鉄は12%である[28]。幸い、元素鉄の割合はサプリメントファクトパネルに記載されているため、消費者は多様な形態の鉄サプリメントから摂取する鉄の量を計算する必要はない。

アメリカ人の約14~18%が鉄含有サプリメントを使用している[29,30]。鉄含有サプリメントの使用率は年齢および性別によって異なり、12~19歳の青年では6%、授乳中の母親では60%、妊娠中の女性では72%である[29,31]。

カルシウムは鉄の吸収を妨げる可能性があるが、この作用は明確には証明されていない[4,32]。このため、1日の異なる時間にカルシウムと鉄のサプリメントを個別に摂取するよう勧める一部の専門家もいる[33]。

鉄の摂取状況

通常、アメリカ人は食事から十分量の鉄を摂取しているが、乳児や低年齢児、10代の女児、妊娠中の女性および閉経前の女性は、鉄摂取量が不十分なおそれがある[29,34-36]。食物から摂取する鉄の平均1日摂取量は、2~11歳の小児で11.5~13.7 mg/日、12~19歳の青年で15.1 mg/日、20歳以上の男性および女性ではそれぞれ16.3~18.2 mg/日および12.6~13.5 mg/日である[29]。食物およびサプリメントから摂取する鉄の平均1日摂取量は、2~11歳の小児で13.7~15.1 mg/日、12~19歳の青年で16.3 mg/日、20歳以上の男性および女性ではそれぞれ19.3~20.5 mg/日および17.0~18.9 mg/日である。妊娠中の女性では、食事由来の鉄摂取量の中央値は14.7 mg/日である[5]。

鉄欠乏症の発生率は、人種や他の社会人口統計学的要因によってさまざまである。アメリカでは、白人および黒人の1~3歳までの乳幼児の6%が鉄欠乏(トランスフェリン飽和度、遊離赤血球プロトポルフィリンおよび/または血清フェリチンのうち2つ以上の検査値が、年齢および性別に対して異常値を示す場合と定義する)の状態に陥っているのに対して、ヒスパニック系乳幼児では12%である[37]。鉄欠乏症(IDAを含む)は、食糧確保に不安のない世帯よりも食糧不足の世帯の小児や若年者によくみられる[37,38]。妊娠中の女性では、貯蔵鉄の枯渇が原因の欠乏症は、非ヒスパニック系白人女性(13.9%)よりも、メキシコ系アメリカ人女性(23.6%)および非ヒスパニック系黒人女性(29.6%)でよくみられる[39]。

一部の集団では、鉄を過剰に摂取する危険性がある。食事から鉄を過剰に吸収する素因をもつ遺伝性ヘモクロマトーシス患者は、鉄過剰リスクが増大します[40]。ある研究では、高齢者は鉄欠乏症になるよりも、慢性的に鉄バランスがプラスの状態にあり体内の総鉄分量が高い傾向があると示唆されている。フラミンガム心疾患研究では、67~96歳の白人高齢者1,106例の13%において鉄貯蔵量が高値(血清フェリチン値が男性では300 µg/L以上、女性では200 µg/L以上)であり、慢性疾患によるものはこのうちの1%のみであった[41]。著者らは、遺伝子型の評価を行っていなかったため、このような結果がヘモクロマトーシスに起因するものか否か判断することはできなかった[41]。

鉄欠乏症

アメリカでは、鉄欠乏症は、特に幼児や妊娠可能年齢にある女性、妊娠中の女性では珍しくない。鉄欠乏症は偏った食事や吸収不良、失血に関連するため、鉄欠乏症の人は通常、他の栄養素も欠乏している[2]。世界保健機構(World Health Organization:WHO)は、世界の貧血症例16.2億人の約半数が鉄欠乏症によるものと推定している[42]。途上国では、鉄欠乏症は消化管内の寄生虫に関連した腸疾患や失血によって生じることが多い[2]。

鉄の枯渇および欠乏は、いくつかのステージを介して進行する[8-10]。

  1. 軽度の欠乏症または貯蔵鉄の枯渇:血清フェリチン濃度および骨髄の鉄含有量が減少する。
  2. 限界鉄欠乏症、軽度の機能不全、または鉄欠乏性赤血球産生(赤血球の産生):貯蔵鉄が枯渇し、赤血球生成細胞への鉄の供給とトランスフェリン飽和度が低下するが、ヘモグロビン濃度は通常、正常値範囲内である。
  3. IDA:貯蔵鉄を使い果たし、ヘマトクリットおよびヘモグロビン値が低下する。その結果として生じる小赤血球性低色素性貧血は、低ヘモグロビンの未熟な赤血球細胞を特徴とする。

WHOは2002年に、全世界に存在する疾患の主な10のリスク因子の一つとしてIDAを位置付けた[43]。鉄欠乏症は貧血の最も一般的な要因であるが、他の微量栄養素(葉酸塩やビタミンB12など)および他の因子(慢性感染症や慢性的な炎症など)もさまざまな形の貧血を引き起こしたり、重症化させたりする可能性がある。

IDAに関連する機能障害には、胃腸障害、脱力、疲労、集中困難、認知機能障害、免疫機能障害、運動能力や職務達成能力の低下、および体温調節機能障害がある[15,44]。乳児および幼児では、IDAによって、未治療の場合には学習困難をきたしうる精神運動性異常や認知異常が生じる可能性がある[2,44]。幼少時における欠乏症の影響が成人期にまで持続することを示すエビデンスも一部に存在する。鉄欠乏症は他栄養素の欠乏を伴うことが多いため、鉄欠乏症の徴候や症状を区別することは困難であることが考えられる[2]。

鉄欠乏のリスク群

鉄摂取量が不足する可能性が高いのは下記のグループである。

妊娠中の女性

妊娠期間中は、母体の赤血球細胞産生が飛躍的に亢進するため、血漿量や赤血球量が増大する[2]。このような増大と胎児および胎盤の必要量を満たすために、妊娠中には女性が必要とする鉄分量が増加する。妊娠中の鉄欠乏症によって、母体および乳児の死亡リスク、早産や低出生体重児出産のリスクが上昇する[45]。

乳児および小児

乳児、特に早期産児や低出生体重児、鉄欠乏症の母親からの出生児は、成長が早いために鉄必要量が多いことから、鉄欠乏症リスクを有している[35,46]。正期産児は通常、十分な貯蔵鉄を有しており、月齢4~6カ月までは外部から摂取する鉄分はほとんど必要ない[2]。しかし、正期産児は、バイオアベイラビリティが高い鉄分が豊富に含まれる固形食物または鉄添加調製粉乳を十分に摂取しなければ、月齢6~9カ月時に鉄欠乏症になるリスクがある。

経血量が多い女性

生殖可能年齢にある女性で、月経過多または経血量が異常に多い人は、鉄欠乏症のリスクが高い。月経がある女性の10%以上に月経過多がみられるとされているが、その割合は用いる診断基準によって大きく異なる[47-49]。月経過多の女性は、正常月経の女性よりも、月経周期ごとに著しく大量の鉄を損失する[50]。限定的なエビデンスではあるが、妊娠可能年齢にある女性のIDA症例数の約33~41%は、月経過多がIDAの原因である可能性が示唆されている[51,52]。

頻回に献血する人

頻回に献血する人は、鉄欠乏症のリスクが高い[5]。アメリカでは、成人は8週間ごとに献血可能であるが、これは鉄貯蔵量が枯渇しうる頻度である。定期的に献血する人の約25~35%が鉄欠乏症を生じる[53]。献血者2,425例を対象に行われた研究では、前年に全血献血を3回以上行った男性および2回以上行った女性は、初回献血者と比較して、貯蔵鉄が枯渇する傾向が5倍を超えていた[54]。鉄補充に関するある臨床試験では、3~8日前に1ユニット分の献血を行った成人215例のうち、鉄サプリメント(グルコン酸第一鉄から鉄分37.5 mg/日)を24週間にわたり摂取する群に無作為に割り付けられた人では、鉄サプリメントを摂取しない人の半分未満の期間で、失われたヘモグロビンおよび鉄が回復した[53]。鉄補充をしなかった場合、献血者の2/3では24週間後でも失われた鉄分が回復していなかった。

がん患者

大腸がん患者の最大60%が診断時に鉄欠乏症を発現しているが、これは慢性的な失血によると考えられる[55]。他の種類のがん患者における鉄欠乏症の発生率は、29~46%である。がん患者における鉄欠乏症の主な原因は、慢性疾患性貧血(以下の「鉄と健康」の項で詳述)や化学療法誘発性の貧血である。しかし、がん患者では、慢性的な失血および他の栄養素の欠乏(例えばがん誘発性の食欲不振に起因する)によって、鉄欠乏症が悪化する可能性もある。

胃腸障害がある人や消化管手術の既往がある人

特定の胃腸障害(セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病など)がある人や消化管に特定の外科的処置(胃切除術や腸管切除術など)を受けたことがある人は、このような疾患や外科手術によって鉄吸収不良をきたす、あるいは胃腸管からの失血が生じること、また食事制限が必要であることから、鉄欠乏症のリスクが高い[56-58]。鉄摂取量が少なく、かつ鉄損失量が多い場合、鉄分バランスがマイナスになる、ヘモグロビン産生が減少する、あるいは小赤血球性低色素性貧血をきたす可能性がある[59]。

心不全の既往がある人

慢性心不全患者の約60%が鉄欠乏症、17%がIDAであり、この疾患の患者集団では死亡リスクが高いことと関連している可能性がある[60,61]。心不全患者における鉄欠乏症の原因として、低栄養、吸収不良、貯蔵鉄の動員異常、心臓悪液質、およびアスピリンや経口抗凝固薬の使用が考えられる。これらは、消化管からの失血を生じる可能性がある[62]。

鉄と健康

本項では、妊婦および乳幼児のIDAにおける鉄の役割ならびに慢性疾患性貧血について詳細に述べる。

妊婦のIDA

妊娠中に鉄摂取量が不十分であると、IDAのリスクが上昇する[63-66]。摂取量が少ない場合、産児が低出生体重児や早産児となるリスク、産児の鉄貯蔵量が低値になるリスク、認知発達障害や行動発達障害のリスクも高くなる。

米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)の1999~2006年のデータ解析から、アメリカでは、妊婦の18%が鉄欠乏症であることが明らかになった[39]。鉄欠乏症の割合は、妊娠第一期では6.9%、第二期では14.3%、第三期では29.7%であった。

ランダム化比較試験から、鉄補充によって妊婦のIDAおよびそれによって生じる乳児への悪影響は予防可能であることが示されている[67,68]。コクランレビューでは、鉄9~90 mgを毎日補充することによって、妊婦の貧血および鉄欠乏症の発現リスクが、出産時点でそれぞれ70%および57%低下したことが示された[65]。同一のレビューでは、鉄サプリメントの連日摂取により、低出生体重児を出産するリスクが8.4%となったのに対し、鉄補充をしない場合は10.2%であった。さらに、出生時平均体重は、妊娠中に鉄サプリメントを毎日摂取していた母親の産児では、摂取していなかった母親の産児よりも31 g重かった。

妊娠中の鉄補充に関する指針は多様であるが、多くはIDA予防のため何らかの形態による鉄補充を推奨している。

  • 米国産科婦人科学会(American College of Obstetricians and Gynecologists:ACOG)は、鉄補充は出産時の母体の貧血発生率を低下させることが、良質で一貫性のあるエビデンスによって示されていると述べている[69]。しかし、妊娠中のIDAは低出生体重、早産、あるいは周産期死亡のリスクを増大させることを示すエビデンスは少なく、かつ相反するエビデンスであると、ACOGは認めている。ACOGは、妊婦の貧血全例スクリーニングおよびIDA例(ヘマトクリット値が妊娠第一期および第三期は33%未満、第二期は32%未満と定義)に対する、周産期のビタミン類補充と併用した鉄サプリメント療法を推奨している[69]。
  • 米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、妊婦はすべて、周産期の初回来院時に低用量(30 mg/日)の経口鉄サプリメントの摂取を開始し、IDA全例スクリーニングを実施するよう推奨している[17]。IDA(ヘモグロビン濃度が9 g/dL未満またはヘマトクリット値が27%未満と定義)の女性は、鉄60~120 mg/日の経口摂取による治療を受けるべきである。
  • これに対して、米国予防医学専門委員会(U.S. Preventive Services Task Force:USPSTF)は、最新のエビデンスは、妊婦のIDAスクリーニングならびに母体の健康と出産転帰への悪影響を予防するための日常的な鉄補充のいずれをも推奨する、あるいは不可とするには不十分であると結論付けている[70]。ただし、USPSTFの推奨は、栄養不良が認められ鉄欠乏性貧血の症状がある妊婦または鉄必要量が増える特殊な血液学的疾患や特別な栄養必要量を有する人には適用されないと指摘している。

IOMは、妊婦が摂取する食事由来の鉄分の中央値はERAよりもかなり低いため、妊婦には鉄補充が必要であると述べている[5]。アメリカ人のための食生活指針(Dietary Guidelines for Americans)では、妊婦は、産科医やその他医療従事者の推奨がある場合は鉄サプリメントを摂取するようアドバイスしている[19]。指針は、不十分な鉄摂取は妊婦にとって公衆衛生上の問題であると付け加えている。

乳幼児のIDA

アメリカでは、生後6~11カ月の乳児約12%において鉄摂取量が不十分であり、幼児の8%では鉄欠乏症がみられる[37,71]。アメリカにおける、生後12~35カ月の幼児のIDA有病率は、人種・民族および社会経済的状況によって異なり、0.9~4.4%である[20]。通常、正期産児はおおむね生後4~6カ月までは鉄貯蔵量が十分であるが、低出生体重児や早産児は鉄貯蔵量が少ないため、出生時から鉄欠乏症リスクに曝されている。

乳児のIDAは、注意の遅れや引きこもりなどの認知面や心理面に対する悪影響につながる可能性があり、このような影響は不可逆性である場合もある[2,20]。さらに、IDAは血中鉛濃度の高値と関連しており(但し、その原因は明確に解明されていない)、それによって神経毒性のリスクが増大する場合がある[20]。

早産児および低出生体重児2,726例を対象とした研究26件のコクランレビューから、腸溶性鉄の補充(1 mg/kg/日以上)は鉄欠乏症リスクを低下させることが明らかになったが、長期間の鉄補充による神経発達的転帰および成長への影響は不明である[72]。低所得国の2歳未満の小児3,748例を対象とした8試験を検討した、別のコクランレビューでは、フマル酸第一鉄として鉄分12.5~30 mgと他の微量栄養素4~14種類を含有する微量栄養素粉末を自宅で添加した半固形上の食物を2~12カ月間摂取した場合、無介入またはプラセボの場合と比較して貧血の割合が31%、鉄欠乏症の割合が51%減少したが、成長の測定結果には影響がみられなかった[73]。

指針は、食事由来の鉄摂取量や、乳児および低年齢小児における適切な鉄摂取状況を確保しIDAを予防または治療するための補充の可用性によって異なる。

  • CDCは、もっぱら母乳で育てていない生後12カ月未満の乳児には鉄を添加した乳児用調製粉乳を飲ませるよう推奨している[17]。母乳で育てられている早産または低出生体重の乳児には、生後1~12カ月から、鉄2~4 mg/kg/日(最高用量は15 mg/日)をドロップ(滴下)[経口投与]すべきである。母乳で育てられている乳児で、生後6カ月までに栄養補助食物からの鉄補充が不十分(1 mg/kg/日未満)である場合は、鉄1 mg/kg/日をドロップ(滴下)[経口投与]すべきである。CDCは、IDAリスクが高い(例:低所得世帯や移民のこども)乳児および未就学児は、生後9~12カ月の間とその6カ月後、および2~5歳の期間は年1回、スクリーニングを行うことも推奨している。IDAの治療は、まず、3 mg/kg/日の鉄分のドロップ(滴下)[経口投与]を食間に行う。(CDCの助言の詳細は参考文献17を参照のこと)
  • 米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)は、もっぱら母乳で育てられている正期産児に対して、生後4カ月目から鉄強化シリアルなどの鉄含有補助食物を摂取し始めるまで、1 mg/kg/日の鉄補充を毎日行うことを推奨している[20]。鉄10~12 mg/Lを含有する標準的な乳児用調製粉乳により、生後1年間は乳児の鉄必要量を満たすことができる。米国小児科学会は、母乳で育てられている生後1~12カ月の早産児に対して、2 mg/kg/日の鉄補充を推奨している。
  • WHOは、生後6~23カ月の乳幼児に対して、鉄強化食物を含まない食事を摂取している場合や貧血有病率が40%の地域(発展途上国など)に居住している場合は、全例に鉄2 mg/kg/日を補充することを推奨している[45]。
  • USPSTFは2015年に発令された勧告声明において、利用可能なエビデンスは、国内に居住しIDAの症状がみられない生後6~24カ月の乳幼児に対するIDAスクリーニングの定例的実施を推奨する、あるいは推奨せずとするには不十分であると結論付けた[74]。USPSTFは、本勧告は重度栄養不良児や早産児または低出生体重児には適用されないとも追記している。USPSTFは当初、2006年に、症状がみられない平均的なIDAリスクの乳児に対する定期的な鉄補充を推奨するにはエビデンスが不十分であったものの、生後6~12カ月のIDAリスクが高い乳幼児(早産児または低出生体重児)に対する定期的な鉄補充を推奨した[75]。2015年のUSPSTF声明では、アメリカでは鉄強化食物(乳児用調製粉乳やシリアルなど)の摂取が広く普及しているため、医師が処方する鉄補充の効果は限定的である可能性があるとして、最新の勧告はスクリーニングに限定していると述べている[74]。

一部の研究では、マラリアが流行している地域に居住する低年齢小児に対する鉄補充は、マラリアに罹患するリスクを上昇させると示唆されている[76,77]。しかし、小児13,114例を対象とした試験33件のコクランレビューでは、間欠的補充はマラリア罹患リスクを上昇させないようであることが示された [78]。したがって、WHOでは、生後24~59カ月の幼児には25 mg、5~12歳の小児には45 mgの鉄を3カ月間は毎週補充し、その後3カ月間は補充なしとする6カ月間の補充サイクルを推奨している[76]。WHOは、マラリア流行地域ではマラリアの予防・診断および治療と併せて、このような補充の実施を推奨している。

慢性疾患性貧血

特定の炎症性疾患や感染性疾患、および腫瘍性疾患(関節リウマチ、炎症性大腸炎、血液学的悪性腫瘍など)は、炎症性貧血の呼称で知られる慢性疾患性貧血の原因となりうる[2,79]。慢性疾患性貧血は、IDA後の貧血の類型として2番目に多い[80]。慢性疾患性貧血の人では、炎症性サイトカインによってヘプシジンと呼ばれるホルモンの発現が亢進する。その結果、鉄の恒常性が乱れ、鉄は血中から貯蔵部位へと移動するため、赤血球新生に使用できる鉄の量が少なくなる。

通常、慢性疾患性貧血は軽度~中等度(ヘモグロビン値が8~9.5 g/dL)で、赤血球数の低値と赤血球新生の減少に関連している[79]。この疾患は、血清フェリチン濃度によって鉄欠乏症が示唆されるものの、感染症や炎症がみられる患者ではこれらの値が高い傾向があることから、診断が困難である可能性がある[81]。

慢性疾患を持つ人における鉄欠乏症の臨床的影響は明らかにされていない。高齢者では、軽度の慢性疾患性貧血でさえ入院リスクや死亡リスクの上昇と関連している[82]。2つの前向き観察研究から、客観的測定により心不全が認められる人では鉄欠乏症が心臓移植や死亡のリスクの上昇と関連し、この関連性は貧血など転帰不良を示す既存の他の予後因子に依存しないことが明らかにされた[83,84]。しかし、自己申告による心不全が認められる成人574例に関するNHANESのデータ分析では、鉄欠乏症と全死亡または心血管系疾患による死亡に関連性がみられなかった[61]。

慢性疾患性貧血の主な治療法は、基礎疾患の治療である[80]。しかし、そのような治療が不可能な場合は、鉄補充および/または赤血球造血刺激因子製剤  (erythropoiesis-stimulating agent:ESA)が用いられることもある。この状況での鉄補充は、経口、静脈内あるいは非経口を問わず、感染および心血管系イベントのリスクを増大させ、組織損傷を生じる可能性があるため、議論の余地がある[80]。

慢性疾患性貧血を治療するための経口鉄補充単独またはESAとの併用の有益性(ベネフィット)は、一部の小規模な研究でのみ評価されている。例えば、貧血および腎不全を有し透析およびESAを受けていない患者132例を対象とした前向き観察研究では、経口サプリメント(硫酸第一鉄として鉄分130 mg/日を1日2回)を1年間摂取した結果、ヘモグロビンはプラセボ群で0.46 g/dLの低下だったのに対して、わずか0.13 g/dL低下しただけであった[77, 85]。がん関連貧血の患者100例を対象に鉄サプリメント(鉄の形態は指定せず鉄分200 mg/日相当)をESAと併用して週1回摂取するランダム化試験では、経口サプリメント単独と比較して、24週後のヘモグロビンは平均2.4g/dL上昇した[86]。慢性疾患性貧血患者において、非経口の鉄投与は、経口鉄補充と比較してヘモグロビン値を大幅に上昇させ、副作用もほとんどみられない[87]。

鉄過剰摂取による健康上のリスク

腸管機能が正常な成人は、食事由来の鉄源による鉄過剰摂取のリスクはほとんどない[2]。しかし、サプリメントや医薬品から20 mg/kgの鉄を急性摂取すると、特に食物と同時に摂取しない場合は、胃部不快感や便秘、悪心、腹痛、嘔吐および失神を起こす可能性がある[2,5]。また、鉄分25 mg以上を含有するサプリメントの摂取は、亜鉛の吸収を減弱させ、血漿中亜鉛濃度を低下させる可能性がある[3,88,89]。重度の場合(例:1回摂取量が60 mg/kg)、鉄過剰投与は多臓器機能不全、昏睡、痙攣をきたすことがあり、死につながる場合さえある[28,90]。

アメリカでは、1983~2000年に43人以上の小児が高用量の鉄(体重kgあたり鉄36~443 mg)を含有するサプリメントの摂取によって死亡した[28]。1983~1991年でみると、偶発的な鉄サプリメント摂取が原因の死亡は、アメリカで報告された小児の中毒死の約1/3を占める。

FDAは、1997年に、1回用量として鉄分30 mg以上を含有する経口サプリメントは、1回分として包装し厳重警告を示すラベルを貼付したうえで販売するよう義務付けた。同時に、多くの製造業者が鉄錠の糖コーティングをフィルムコーティングに自主的に置き換えた。1998~2002年には、鉄含有錠剤の摂取による小児死亡数は1件のみであった[28]。判決を受けて、FDAは2003年に鉄サプリメント1回分の包装の義務付けを撤回した[91]。FDAは現在、固形(例:錠剤またはカプセル剤、粉末は該当しない)の鉄含有サプリメントには以下の表示を義務付けている。「警告:鉄含有製品の偶発的な過量投与は、6歳未満の小児における中毒死の主な原因です。本製品はこどもの手の届かない場所に保管してください。偶発的な過量投与が生じた場合には、ただちに医師または中毒事故管理センターへ連絡してください[92]。また、消費者製品安全委員会は1978年以降に、偶発的中毒の予防のため、製造業者に対して、1箱あたり鉄分250 mg以上を含有するサプリメントはチャイルド・レジスタントボトル(小児用安全ボトルまたはチャイルド・レジスタントパッケージ(小児用安全包装)を使用することを義務付けている[93,94]。

ヘモクロマトーシス(HFE)遺伝子変異によって生じる疾患であるヘモクロマトーシスは、体内の鉄過剰蓄積に関連している[3,40,95]。最もよくみられるHFE遺伝子変異(C282Y)は白人10人の約1人に認められるが、ホモ接合型の変異かつヘモクロマトーシスが生じるのは白人1,000人に4.4人のみである[96]。この疾患は他の人種集団ではそれほど多く認められない。周期的なキレート化または瀉血による治療を行わない場合、遺伝性ヘモクロマトーシス患者は、通常30歳代までに鉄毒性の徴候を生じる[3]。このような結果として、肝硬変、肝細胞がん、心疾患および膵機能障害がある。米国肝臓病学会は、ヘモクロマトーシスの治療では鉄およびビタミンCのサプリメントを摂取しないよう推奨している[40]。

FNBは、鉄塩の補充摂取後の消化管への影響に関連する鉄量に基づき、食物やサプリメントから摂取する鉄の許容上限摂取量(UL)を設定した(表3参照のこと)。ULの適用対象は、健康な乳児、小児および成人である。医師は、IDA患者が鉄貯蔵量を回復させるために高用量の鉄を要する場合など、ULを超える鉄摂取量を処方するときがある。

表3:鉄の許許容上限摂取量(Tolerable Upper Intake Level:UL)
表3:鉄の許許容上限摂取量(Tolerable Upper Intake Level:UL)
年齢 男性 女性 妊婦 授乳婦
生後0〜6カ月 40 mg 40 mg
生後7~12カ月 40 mg 40 mg
1~3歳 40 mg 40 mg
4~8歳 40 mg 40 mg
9~13歳 40 mg 40 mg
14~18歳 45 mg 45 mg 45 mg 45 mg
19歳以上 45 mg 45 mg 45 mg 45 mg

医薬品との相互作用

鉄はある種の医薬品との相互作用が認められ、医薬品によっては鉄濃度に有害な作用を及ぼす場合がある。以下に例を記載する。該当する薬や他の薬を定期的に服用している人は、鉄の状態について担当の医療スタッフと話し合うべきである。

レボドバ

一部のエビデンスは、健康成人では、パーキンソン病およびレストレスレッグ症候群の治療に用いられるレボドバ(シネメット®およびスタレボ®で確認された)の吸収がサプリメントによって減弱することを示している。これは、キレート化を介した作用と考えられる[97-99]。アメリカでは、レボドバの添付文書に、鉄含有サプリメントはレボドバのバイオアベイラビリティを低下させる可能性があり、その結果レボドバの臨床的有効性が減弱する可能性を指摘する警告が記載されている[100,101]。

レボチロキシン

レボチロキシン(Levothroid®、Levoxyl®、Synthroid®、Tirosint®およびUnithroid®)は、甲状腺機能不全、甲状腺腫および甲状腺がんの治療に用いられる。鉄とレボチロキシンの同時摂取は、一部の患者では、臨床的に重大なレボチロキシンの有効性低下につながりかねない[102]。このような医薬品の一部に添付される添付文書[103,104]は、鉄サプリメントはレボチロキシン錠の吸収を低下させるおそれがあると警告し、鉄サプリメント摂取後4時間以内のレボチロキシン投与を行わないよう勧めている。

プロトンポンプ阻害剤

胃酸は、食事由来の非ヘム鉄の吸収に重要な役割を担っている。ランソプラゾール(プレバシッド®)やオメプラゾール(プリロセック®)などのプロトンポンプ阻害剤は、胃内容物の酸性度を低下させるため、鉄吸収を減弱させる可能性がある[]。鉄貯蔵量が正常な人では、最長10年間のプロトンポンプ阻害剤による治療は、鉄枯渇または貧血に関連していない[105]。しかし、プロトンポンプ阻害剤を服用している鉄欠乏症患者では、鉄補充に対する反応は最適加減となるおそれがある[106]。

鉄と健康的な食事

米連邦政府が公表している「アメリカ人のための食生活の指針2015-2020」では、「栄養は主として食事から摂取すべきである。(中略)栄養分を豊富に含む食物には、必須ビタミン・ミネラル、食物繊維、健康に良いと考えられるその他の天然成分が含まれている。栄養分を豊富に含む食物(多くは未加工品)には、サプリメントに含まれることの多い必須ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維や体によい天然成分も含有している。場合によっては、強化食物やサプリメントは、補充しなければ推奨量を下回る可能性のある1つ以上の栄養素の摂取に有用と考えられる」と指摘している。

健康的な食事に関する詳細はDietary Guidelines for Americans(アメリカ人のための食生活指針)(英語サイト)と米国農務省の食事の指針システム、MyPlate(私の食事)(英語サイト)を確認すること。

「アメリカ人のための食生活指針」では健康的な食事を次のように述べている。

  • さまざまな種類の野菜、果物、全粒穀物、無脂肪もしくは低脂肪ミルクと乳製品、油を重視している
  • インスタント朝食シリアルには鉄が強化されたものがあり、一部の果物や野菜も鉄を含むものがある。
  • 魚介類、赤身の肉、鶏肉、卵、マメ科植物(インゲン豆、エンドウ豆)、ナッツ類、種子、大豆食物などのタンパク質食物に含む。
  • 牡蠣および牛レバーには多くの鉄が含まれている。牛肉、カシューナッツ、ひよこ豆、イワシは鉄摂取源として良い食物である。鶏肉、マグロ、卵には鉄が含まれている。
  • 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、添加糖質、塩分および(ナトリウム)を少なくする。
  • 1日に必要なカロリー摂取量を超えない。
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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

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