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インフォグラフィックでわかる統合医療

海外の情報

ヨウ素
Iodine

写真に掲載している食材の成分表一覧
位置 食品 100gあたりの
含有量(μg)
A 卵類・鶏卵・たまご焼き・厚焼きたまご 540
B 嗜好飲料類・昆布茶 26000
C 卵類・うずら卵・全卵・生 140
D 藻類・ひじき・干しひじき・ステンレス釜・乾 45000
E わかめ・カットわかめ・乾 10000
F 調味料類・なべつゆ・ストレート・しょうゆ味 1500
G 藻類・こんぶ類・刻み昆布 230000
H 菓子類・ポテトチップス 260
I 藻類・てんぐさ・ところてん 240
J ドレッシング類・和風ドレッシング 320

[補足]
本文中の必要摂取量、推奨摂取量、上限値・下限値等はアメリカ人を対象としたデータです。日本人に関するデータについては「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」などをご参照ください。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2020年9月16日

これは医療者向けのファクトシートです。平易なヨウ素の概要については、「一般向け:ヨウ素」をご覧ください。

はじめに

ヨウ素は一部の食物中に天然に含まれる微量元素で、一部の塩に添加されたり、サプリメントとして販売されたりしている。ヨウ素は甲状腺ホルモンであるサイロキシン(thyroid hormones thyroxine:T4)とトリヨードサイロニン(triiodothyronine :T3)の産生に欠かせない物質である。甲状腺ホルモンは、タンパク質合成や酵素活性などの多数の生化学反応を調節しており、代謝活性の決定に非常に重要な役割を果たしている[1,2]。また、胎児および乳児の骨格系および中枢神経系の正常な発達に必要な物質でもある[1]。

甲状腺機能は主に甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone:TSH、サイロトロピンともいう)によって制御されている。TSHは下垂体から分泌され、甲状腺ホルモンの産生や分泌を調節する。この機構によって、甲状腺の機能低下や機能亢進を防いでいる[1]。TSHが分泌されると甲状腺におけるヨウ素の取り込みが増加し、T3とT4の合成および放出が促進される。ヨウ素が不足するとTSH濃度は上昇したままとなり、循環血中のヨウ素を少しでも多く捕捉して甲状腺ホルモンを産生しようと身体が試みるため、甲状腺腫(甲状腺肥大)を発症する。ヨウ素は、この他にも体内において生理学的機能を有する可能性がある。例えば、免疫反応に関与している可能性や、乳腺異形成や乳腺線維嚢胞症に有益な効果がある可能性がある[2]。

土壌中のヨウ素含有量は相違するため、生産される農産物のヨウ素含有量にも影響を与える。世界の一部地域では土壌中のヨウ素が常に欠乏しているため、主にこの地域で生産された食物を摂取している人口集団ではヨウ素欠乏症のリスクが高くなる。ヨウ素添加塩プログラムが多数の国で実施されたため、世界中のヨウ素欠乏症の発症率が激減した[2,3]。

食物中やヨウ素添加塩中のヨウ素は、ナトリウム塩やカリウム塩、無機ヨード(inorganic iodine:I2)、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、還元型ヨウ素などの化学形態で存在している[4]。ヨウ素が元素として存在することは稀で、多くの場合、塩類として存在している。このため、ヨウ素ではなくヨウ化物として扱われる。ヨウ化物は胃および十二指腸から迅速に、かつほぼ完全に吸収される。ヨウ素酸塩は消化管内で還元され、ヨウ化物として吸収される [2,5]。循環血中に移行したヨウ化物は、甲状腺で甲状腺ホルモン合成に適した量に濃縮され、余剰分は大部分が尿中に排泄される [2]。ヨウ素摂取量が適正な健康成人の体内には約15〜20 mgのヨウ素が存在し、このうち70%〜80%は甲状腺に分布している[6]。

尿中ヨウ素濃度中央値は、小児および成人100〜199 µg/L、妊娠中の女性150〜249 µg/L、授乳中の女性100 µg/L超であり、ヨウ素摂取量が十分であることを示している[3]。小児や妊娠していない成人において尿中ヨウ素濃度が100 µg/L未満である場合はヨウ素摂取不足の可能性があるが、尿中ヨウ素濃度が20 µg/L未満となるまでは、重度のヨウ素欠乏症には分類されない。

推奨摂取量

米国科学アカデミー医学研究所の食品栄養委員会(Food and Nutrition Board:FNB)が設定した食事摂取基準(Dietary Reference Intakes:DRI)には、ヨウ素や他の栄養素の推奨摂取量が提示されている[2]。DRIは、健常人の栄養摂取の計画と評価に関する一連の基準値に対する総称である。これらの基準値は年齢や性別ごとに異なり、次のような項目がある。[2]

  • 推奨栄養所要量(Recommended Dietary Allowance:RDA)ほとんどすべての健常人(97~98%)が栄養所要量を満たすのに十分な平均1日摂取量。
  • 適正摂取量(Adequate Intake:AI)RDAを設定するための科学的根拠(エビデンス)が不十分である場合に示され、十分な栄養が確保できると推定される値に設定されている。
  • 推定平均必要量(Estimated Average Requirement:EAR):健常者の50%において所要量を満たすと推定される平均1日摂取量。通常、母集団の栄養摂取量の妥当性を評価し、栄養学的に適切な食事を計画するために使用される。また、個人の栄養摂取量の評価にも利用できる。
  • 許容上限摂取量(Upper Intake Level:UL):健康上の有害作用を引き起こすとは考えにくい最大1日摂取量。

表1に、最新のヨウ素のRDAを示す[2]。FNBは、アメリカの健康な母乳栄養児の平均ヨウ素摂取量を、生後0〜12カ月齢の乳児におけるヨウ素のAIに設定している。

表1:ヨウ素の推奨栄養所要量(Recommended Dietary Allowance:RDA)[2]
表1:ヨウ素の推奨栄養所要量(Recommended Dietary Allowance:RDA)
年齢 男性 女性 妊婦 授乳婦
生後0~6カ月 110µg 110µg
生後7~12カ月 130µg 130µg
1~3歳 90µg 90µg
4~8歳 90µg 90µg
9~13歳 120µg 120µg
14~18歳 150µg 150µg 220µg 290µg
19歳以上 150µg 150µg 220µg 290µg

*適正摂取量(AI)

世界保健機関(World Health Organization:WHO)、国際連合児童基金(United Nations Children’s Fund:UNICEF)およびヨード欠乏症国際対策機構(International Council for the Control of Iodine Deficiency Disorders:ICCIDD)は、妊娠女性に対してRDAよりわずかに高いヨウ素摂取量(250 µg/日)を推奨している [3,7]。

ヨウ素の摂取源

食物

海藻(ケルプ、のり、昆布およびワカメなど)はヨウ素源として最適な食物のひとつである[5]。その他の優れた供給源には、魚やその他の魚介類、卵などがある(表2を参照)。ヨウ素は人の母乳中 [2,5] や乳児用調整粉乳中にも存在する。

乳製品にはヨウ素が含まれている。ただし、乳製品に含まれるヨウ素の量は、牛がヨウ素飼料サプリメントを摂取したかどうか、および牛と牛乳処理装置の洗浄にヨードフォア消毒剤が使用されたかどうかによって異なる [9]。たとえば、脱脂乳の44のサンプルを分析したところ、1カップあたり38〜159 µgの範囲であった(表2では平均85 µg /カップを使用) [8]。大豆やアーモンド飲料など、代用乳として使用される植物ベースの飲料には、比較的少量のヨウ素が含まれている。

製造業者がヨウ素酸カリウムまたはヨウ素酸カルシウムを生地調整剤として使用していない限り、ほとんどの市販のパンにはヨウ素がほとんど含まれていない [10,11]。製造業者は、製品ラベルの成分としてパン生地調整装置をリストしているが、これらの装置はかなりの量のヨウ素を供給しても、栄養成分表示[12]にヨウ素を含める必要はない。米国農務省(United States Department of Agriculture:USDA)のブランド食物製品データベースの2019年のデータによると、白パン、全粒粉パン、ハンバーガーパン、ホットドッグパンの約20%が成分ラベルにヨウ素が表示されていた [13]。パスタはヨウ素の一部を吸収するため、ヨウ素化した塩を含む水で調理しない限り、ヨウ素の供給源にはならない [11]。

ほとんどの果物や野菜はヨウ素の供給源に乏しく、それらの含有量は土壌のヨウ素含有量、肥料の使用、灌漑方法の影響を受ける [2,10]。この差異が動物の摂取する食餌中のヨウ素含有量に影響するため、肉類や動物性食物中のヨウ素含有量にも影響してくる [14]。海藻のヨウ素含有量も、種類によって大きく異なる。例えば、丸ごとまたは1枚で市販されている海藻類のヨウ素濃度は、16µg/gから2,984 µg/gまでの範囲を有している [15]。これらの理由から、表2に記載されている食物の値はおおよそのものであるが、ヨウ素摂取量を推定するための目安として使用することができる。

表2:ヨウ素を含む食物 [8]
表2:ヨウ素を含む食物
食物(1オンスは約28g、1カップは240ml) 1食あたりの マイクログラム(µg) (1オンスは約28g、1カップは240ml)

%DV*

海藻、海苔、乾燥、10 g 232. 155.
全粒粉パン、ヨウ素酸塩入り生地改良剤、1スライス 198. 132.
白パン、ヨウ素酸塩入り生地改良剤、1スライス 185. 123.
タラ、焼き、3オンス(約85g) 158. 106.
ギリシャヨーグルト、無脂肪、1カップ(240ml) 116. 77.
牡蠣、加熱調理、3オンス(約85g) 93. 62.
牛乳、無脂肪乳、1カップ(240ml)** 85. 57.
ヨウ素添加塩1.5 g (小さじ約1/4杯) 76. 51.
フィッシュスティック、加熱調理、3オンス(約90g) 58. 39.
栄養強化パスタ、ヨウ素酸塩入りの水でゆでる、1カップ(240ml) 36. 24.
卵、固ゆで、Lサイズ1個 26. 17.
アイスクリーム、チョコレート、1/2カップ(120ml) 21. 14.
レバー、牛肉、加熱、3オンス(90g) 14. 9.
チェダーチーズ 1オンス(約57g) 14. 9.
エビ、調理済、3オンス(約85g) 13. 9.
ツナ(マグロ)、水煮缶詰、水切り、3オンス(240g) 7. 5.
豆乳、1カップ(240ml) 7. 5.
量が少な目のシロップのフルーツカクテル缶(刻んだ果物を数種取り合わせ、果汁を主にしたシロップ状のソースを加えたもの) 1/2カップ(120ml) 6. 4.
牛肉、肩肉、焼き、3オンス(約90g) 3. 2.
鶏むね肉、焼き、3オンス(約90g) 2. 1.
アーモンド飲料、1カップ(240ml) 2. 1.
リンゴジュース、1カップ(240ml) 1. 1.
全粒粉パン、ヨウ素酸塩入り生地改良剤なし、1スライス 1. 1.
白パン、栄養強化、ヨウ素酸塩入り生地改良剤なし、1スライス 1. 1.
レーズンブランシリアル、1カップ(240ml) 1. 1.
玄米、調理済み、1/2カップ(120ml) 1. 1.
トウモロコシ、缶入り、1/2カップ(120ml) 1. 1.
海塩、無添加、1.5g(約小さじ1/4) 1未満 1未満
ブロッコリー、茹で、1/2カップ(120ml) 0. 0.
バナナ 中1本 0. 0.
ライ豆、成熟、茹で、1/2 カップ(120ml) 0. 0.
グリーンピース、冷凍、茹で、1/2カップ(120ml) 0. 0.
栄養強化パスタ、ヨウ素酸塩なしの水でゆでる、1カップ(240ml) 0. 0.

*DV = 1日摂取量。FDAは、消費者が食事全体における食物およびサプリメントの栄養素含有量を比較するのに役立つようDVを設定した。ヨウ素に対するDVは成人および4歳以上の小児で150 µgである [12]FDAは、ヨウ素が食物に追加されていない限り、ヨウ素含有量を食品ラベルに表記することを要求していない。DVが20%以上となる食物は高栄養源と考えられるが、DVのパーセンテージが低い食物でも健康的な食事をとることができる。

米国農務省(U.S. Department of Agriculture:USDA)、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)、およびODS-NIHの一般食物のヨウ素含有量データベース [8]は、ヨウ素含有のさまざまな食物や飲料を表記している。

ヨウ素添加塩

アメリカ、カナダなど多くの他の国では、ヨウ素添加塩のプログラムがある [3,16,17]。アメリカでは、食塩メーカーは1920年代から食卓塩にヨウ素を添加しているが、これは現在でも自主的に行われている。[18]。FDAはヨウ化カリウムおよびヨウ化銅(I)をヨウ素添加塩に承認しているが[19]、WHOはより良い安定性があるため、特に高温多湿の熱帯気候ではヨウ化カリウムを推奨している [3]。ラベル表示によると、アメリカではヨウ素添加塩には塩1 g(小さじ1/8〜1/4杯)あたり45 µgのヨウ素が含有されている。測定に用いたサンプル塩には塩1gあたり平均47.5~50.7 µgのヨウ素が含有されている [8,18]。しかし、アメリカでは塩分の大部分を加工食品から摂取しており、加工食品製造業者は、ほとんどの場合非ヨウ素添加塩を使用している。加工食物製造業者がヨウ素添加塩を使用した場合は、食品ラベルの原料欄にヨウ素添加塩と記載しなければならない[9]。さらに、海塩、コーシャーソルト、ヒマラヤソルト、フルールドセルなどの特殊塩は、通常、ヨウ素添加されていません。製品ラベルには、塩が「ヨウ素化」されているか、ヨウ化物を供給しているかが示されます。表2が示す通り、実際に非ヨウ素添加塩の海塩にはヨウ素が含まれていない [8]。

サプリメント

サプリメントでは、ヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウムの形でヨウ素を含有していることが多い [20]。サプリメントは、ケルプ(ヨウ素を含有する海藻)を含むものも市販されている。小規模研究では、ヒトではヨウ化カリウムがほぼ完全に(96.4%)吸収されることが示されている[21]。

マルチビタミン・ミネラルサプリメントの多くは、用量150µgのヨウ素を含有していることが多く[20]、すべてではないものの、産前サプリメントにヨウ素を含有しているものもある[22]。ヨウ素のみを含有したサプリメントも市販されており、多くが高用量で、ULを上回るものもある [20]。ヨウ素を含有する多くのサプリメントは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)のサプリメント表示データベース(Dietary Supplement Label Database)に記載されているh [20]。このデータベースは、アメリカ国内で市販されている何万ものサプリメント製品の表示に関する情報も記載されている。

ヨウ素の摂取状況

ヨウ素摂取

FDAが監督するプログラム全食事量調査(Total Diet Study:TDS)では、アメリカ人集団における推定ヨウ素摂取量が算出されたた [23]。TDSプログラムでは、アメリカの平均的な食事に用いられる食物を購入し、ヨウ素など数種類の成分に関する分析を行った。2008~2012年に収集したTDSの食物サンプルの分析結果によれば、食事摂取の推定もあわせると、アメリカにおけるヨウ素の平均1日摂取量は216µg/日で、全人口・性別集団において141~296µg/日であった[24]。この摂取量は、どの人口集団においてもEARを満たしているかまたは超過していた。

TDSのデータには、ヨウ素添加塩を自主的に使用した場合のヨウ素添加塩由来のヨウ素摂取量は含まれていない[25,26]。アメリカでは多くの家庭でヨウ素添加塩が使用されているため、TDSのデータは、大多数のアメリカ人に対し、実際のヨウ素摂取量を過小評価している可能性がある。1999〜2004年に米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)により収集されたデータでは、成人の28〜29%がヨウ素を含有するサプリメントを利用していることが明らかになった [27]。この調査結果からも、アメリカ人集団の総ヨウ素摂取量がさらに増えることになる。

一般的なアメリカ人集団におけるヨウ素の摂取状況

通常、ヨウ素摂取状況の評価には尿中ヨウ素測定法を用いる。食事由来のヨウ素の90%以上が尿中に排泄されるため、尿中ヨウ素濃度は食事由来のヨウ素摂取量を直接反映している[4]。随時尿中ヨウ素測定法は、人口集団におけるヨウ素摂取状況を判定するのに有用な指標である[28,29]。しかし、複数の24時間尿中ヨウ素または複数のスポット尿を測定した方が、個人の場合はより正確である[4,30]。学童や妊娠していない成人の集団でヨウ素摂取量が適正である場合、尿中ヨウ素濃度中央値は100 µg/Lを超えていなければならず、また、50 µg/L未満の人が対象集団の20%以下でなければならない[3]。

NHANESによる尿中ヨウ素測定は、アメリカ人集団におけるヨウ素摂取状況を監視するため、1971年に開始された [31]。NHANES監視プログラムの開始以来、尿中ヨウ素測定法によって、一般的なアメリカ人集団におけるヨウ素摂取量が適正であることが示されている。これには、尿中ヨウ素濃度が50%以上低下した期間(1971〜1974年および1988〜1994年)も含まれている[2,32]。尿中ヨウ素濃度が低下した主な原因は、畜産業界におけるヨウ素含有飼料添加物やヨードフォール殺菌剤の使用減少に伴う牛乳のヨウ素含有量の低下[33]や、製パン業界におけるヨウ素酸塩含有パン生地調整剤の使用量減少である。この期間には、果実風味の朝食シリアルに多用されるヨウ素含有食物着色料であるエリスロシンの使用量も減少している[33]が、エリスロシン由来のヨウ素のバイオアベイラビリティー(生物学的利用能)は低いことが明らかになっているため [34]、エリスロシンの使用量減少が実際に尿中ヨウ素濃度に影響を与えたかどうかは不明である。こうした尿中ヨウ素濃度の急激な低下を受けて、1990年代後半には、この傾向が継続した場合、アメリカ人集団のヨウ素摂取量が不足する危険性が懸念された [32]。

最近のNHANESによる測定結果では、一般的なアメリカ人集団における尿中ヨウ素濃度は安定している。2007年から2008年の間に、6歳以上のNHANES参加者の尿中ヨウ素濃度の中央値は164µg / Lでした。[35]。2007~2014年のNHANES によると、妊娠可能年齢の女性における尿中ヨウ素濃度中央値は119µg/Lであった [36]。これらの数値は過去3年間のNHANES調査では原則的に変動しておらず、一般的なアメリカ人集団における食事由来のヨウ素摂取量は2000年以降、安定していることが示唆される[35]。

アメリカにおける妊娠女性のヨウ素摂取状況

WHOによると、妊娠中のヨウ素摂取量が適正な場合の尿中ヨウ素濃度中央値は150〜249 µg/Lで、150 µg/L未満の場合はヨウ素不足であるとされている[3,7]。2003~2014年のNHANESのデータ分析では、アメリカの多くの妊娠女性が、ヨウ素不足であることが示された。NHANES調査に参加した妊娠女性の尿中ヨウ素濃度の中央値は、2003~2004年では181µg/L、2001~2006年では153µg/L、2005~2008年では125µg/L、2007~2014年では144µg/Lであった [31,35-37]。オーストラリアでも、妊娠中のヨウ素摂取量が適正値より若干低いことが明らかになっている [38]。

乳製品を摂取しない妊娠女性は、特にヨウ素不足のリスクが高いと考えられる。2001〜2006年のNHANESのデータによると、過去24時間に乳製品を摂取した妊娠女性の尿中ヨウ素濃度中央値が163 µg/Lであったのに対し、摂取していない妊娠女性では100 µg/Lと低値であった [37]。また、食事由来の塩分摂取を制限している女性の尿中ヨウ素濃度も低いため、塩分制限をしていない女性よりヨウ素欠乏のリスクが高い可能性がある [39]。

以上から、一般的なアメリカ人集団のヨウ素摂取量は適正であると考えられるが、一部の妊娠女性ではヨウ素欠乏症のリスクがある。ヨウ素欠乏症を最も発症しやすい小人口集団にさらに重点を置いて、アメリカ全体におけるヨウ素摂取状況を継続して監視する必要がある。

ヨウ素欠乏症

ヨウ素欠乏症は、成長や発達に対して複数の有害作用を及ぼすとともに、世界における予防可能な精神遅滞の最も多い原因である [40]。ヨウ素欠乏症は、ヨウ素不足に続発する甲状腺ホルモン産生不足が原因で起こる[5]。妊娠中および乳児期の初期では、ヨウ素欠乏が不可逆的影響を与える可能性がある。

正常な状態であれば、身体はTSHを介して甲状腺ホルモン濃度を正確にコントロールする。一般的に、ヨウ素摂取量が約100 µg/日未満に減少すると、TSH分泌量が増加する[5]。TSHは甲状腺における血中ヨウ素の取り込みや甲状腺ホルモンの産生を促進する。しかし、ヨウ素摂取量が極めて少量の場合は、TSH濃度が上昇しても甲状腺ホルモン産生が抑制される場合がある。

ヨウ素摂取量が約10〜20 µg/日未満に減少した場合は甲状腺機能低下症が認められ[1]、多くの場合、甲状腺腫を併発する。甲状腺腫は、通常最初に認められるヨウ素欠乏症の臨床徴候である[2]。妊娠女性の場合、この重症度のヨウ素欠乏症は胎児に重大な神経発達障害や発育遅延を生じ、流産や死産を引き起こす可能性がある[5]。子宮内(生前)における慢性の重度ヨウ素欠乏症は、クレチン病(精神遅滞が特徴)、ろうあ、骨格筋緊張亢進、発育不全、性成熟遅延、その他の身体的・神経学的異常の原因となる[5]。

乳児および小児では、軽度のヨウ素欠乏症でもIQ測定で平均値よりやや低値を示すといった神経発達障害が起こる[1,41]。また、母体における軽度から中等度のヨウ素欠乏症によっても、小児の注意欠陥・多動性障害のリスクが増大する[43]。成人では、軽度から中等度のヨウ素欠乏症により甲状腺腫が起こるほか、甲状腺機能低下症に続発して精神機能障害や作業生産性の低下がみられる。慢性ヨウ素欠乏症では、濾胞性甲状腺がんのリスクが上昇する可能性がある[44]。

ヨウ素欠乏のリスク群

歴史的には、ヨウ素欠乏症はアメリカおよびメキシコの山岳地帯ならびに「甲状腺腫ベルト」と呼ばれる5大湖周辺の風土病であった [45]。現在では、アメリカ国内の食糧事情の向上やヨウ素添加塩の供給量増加などのさまざまな要因によって、北アメリカでのヨウ素欠乏症の発生は稀である。1990年代初期に開始された国際的な取り組みによってヨウ素欠乏症の発症率は激減したが、一部の人口集団では依然としてヨウ素摂取量が不足しているおそれがある。ヨウ素欠乏症は依然として公衆衛生上の問題であり、その数は25カ国のおよそ6億8300万人に及およぶ [46]。以下は不適切なヨウ素摂取状況の傾向がある集団である。

ヨウ素添加塩を使用していない人

ヨウ素添加塩の使用は、ヨウ素欠乏症の管理に最も広く利用されている戦略である。現在、世界中の約88%の家庭でヨウ素添加塩が用いられているが、東南アジア、サブサハラ・アフリカ、東ヨーロッパの一部の地域では依然としてヨウ素欠乏症が多発している [46,47]。

妊娠中の女性

妊娠中は、ヨウ素のRDAが150から220 µg/日に増加する[2]。調査結果から、アメリカでは、明らかなヨウ素欠乏の症状は呈していないものの、多数の妊娠女性がヨウ素摂取量不足であることが示唆された [35]。現時点では、この状況が胎児の発育になんらかの影響を及ぼすかどうかは不明である。

ビーガンおよび乳製品、魚介類、卵をあまり摂取しないまたは全く摂取しない人

魚介類、卵、牛乳および乳製品はヨウ素摂取に最も適した食材である。 ビーガン、特定の食物アレルギーのある人、乳糖不耐症、上記の食材を全く摂取しないまたは最低限しか摂取しない人は、ヨウ素を十分に摂取していない可能性がある [48,49]。

土壌中のヨウ素が欠乏している地域に居住する人

ヨウ素が欠乏している土壌では、ヨウ素含有量の低い農作物が生産される。ヒマラヤ、アルプス、アンデスなどの山岳地帯や、洪水が発生しやすい河川流域(特に南アジアおよび東南アジア)は、世界中で最もヨウ素が欠乏している地域である [5]。このような地域の住民は、ヨウ素添加塩やヨウ素欠乏地域以外で生産された食物を摂取しなければ、ヨウ素欠乏症を発症する危険性がある。

甲状腺腫誘発物質を含有する食物を摂取しており、ヨウ素摂取状況が良好ではない人

甲状腺腫誘発物質(甲状腺におけるヨウ素の取り込みを阻害する物質)を含有する食物を摂取した場合、ヨウ素欠乏症が悪化するおそれがある [2]。甲状腺腫誘発物質含有量が高い食材は大豆、キャッサバ、アブラナ科の野菜(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなど)である。鉄分やビタミンAの欠乏も甲状腺腫を誘発する[50]。これらは、主にヨウ素欠乏症が発生しやすい地域に居住している人の間で問題となる[6]。多くのアメリカ人をはじめ、ほとんどの人はヨウ素摂取量が適正でさまざまな食物を摂取しており、甲状腺腫誘発物質を含有する食物を適量摂取しても問題はない。

ヨウ素と健康

ヨウ素は胎児や乳児の発達ならびに甲状腺ホルモン産生に重要な役割を果たしているため、どのライフステージにおいてもヨウ素は健康に欠かせない栄養素である。この項では、主に健康および疾病におけるヨウ素の役割を研究している4分野の生物医学的研究(胎児および乳児の発育、小児期の認知機能、乳腺線維嚢胞症および放射線誘発性甲状腺がん)を取り上げている。

胎児および乳児の発育

胎児が正常に発育するためには、妊娠中に適正量のヨウ素を摂取することが極めて重要である。妊娠初期は胎児の甲状腺が未発達であるため、母胎のT4、つまり、母胎のヨウ素摂取量に完全に依存している [51]。妊娠中はT4の産生が約50%増加するため[52],、これに伴って母体のヨウ素摂取量を増やす必要がある。また、生後も、身体および神経の正常な成長・成熟のためには適正量のヨウ素を摂取することが重要である。

乳児では、軽度のヨウ素欠乏に対してもTSHおよびT4濃度の変化が認められることから、他の年齢層よりもヨウ素欠乏の影響を受けやすいことが研究によって示唆された[53]。アメリカでは重度のヨウ素欠乏症の発生は稀であるが、妊娠中の軽度から中等度のヨウ素欠乏は胎児の発育にわずかに影響を与える可能性がある[4,54,42]。オランダ、スペイン、英国で行われた6,180組の母子を対象とした3件の出生コホート研究のメタ解析では、母の妊娠初期のヨウ素摂取量が少ないと1.5~8歳で言語性知能がより低くなることが明らかにされた。[42]。妊娠中および授乳中にヨウ素要求量が増加することを受けて、ヨウ素のRDAは、妊娠中220 µg/日、授乳中290 µg/日となっている [2]。同様に、妊娠中および授乳中におけるWHOの推奨量は250 µg/日となっている[3]。

胎児の正常な発育にヨウ素が重要であるにも関わらず、特に妊娠中のヨウ素サプリメントの胎児への影響および小児の神経系の発達への影響に関して結論に達していない。2件のランダム化臨床試験は同様の研究デザインであり、妊娠初期から分娩までヨウ素を摂取(ヨウ化カリウム150または200µg/日)し、1.5~2歳の時点で同様の機器を用いて小児の認知機能を評価した [59,60]。ヨウ素補充は、小児の認知機能、言語、運動機能に影響を与えなかったs [61]。この試験のうち1件は、5~6歳の時点においても評価を続け、母のヨウ素摂取が小児の神経系の発達に利益がないことが示された [59]。

母乳中にはヨウ素が含まれているが、その濃度は母体ヨウ素濃度に左右される。完全母乳栄養児が正常に発育するかどうかは、母親のヨウ素摂取量が充足しているかどうかにかかっている。ボストン在住の57人の健康な授乳中の女性を対象とした調査では、母乳中ヨウ素濃度中央値は155 µg/Lであった [62]。乳児における既知のヨウ素要求量や標準的な授乳量をもとに研究者らが算出した結果、47%の女性はヨウ素含有量が不足している母乳を乳児に授乳している可能性があると示された。また、離乳期には、ヨウ素添加塩プログラムを採用している国においても、ヨウ素を含有するサプリメントを摂取していない乳児では、ヨウ素欠乏症のリスクがあることが示された[63]。

複数のアメリカ国内組織や国際組織では、胎児および乳児の正常な発育に必要な量のヨウ素を確実に供給するため、妊娠中、授乳中および幼児期におけるヨウ素サプリメント摂取を推奨している。ヨウ素添加塩の供給率が低いかまたは安定しておらず格差がみられる国に居住する女性について、WHOは妊娠可能年齢のすべての女性にヨウ素補充を行い、ヨウ素の総摂取量が150 µg/日となるよう推奨している。また、該当国の妊娠中および授乳中の女性は、サプリメントと食物の両方からヨウ素を250 µg/日摂取することが推奨されている[3,7]。さらに、WHOはこれらの国に対して、幼児が7〜24カ月齢の間はヨウ素強化サプリメントを併用しながら24カ月齢まで母乳栄養を実施すべきであると推奨している[7]。

米国甲状腺学会(American Thyroid Association)は、妊娠を考えている女性、妊娠中または授乳中の女性に対し、ヨウ化カリウムの形態でヨウ素(150 µg/日)を食事に加え摂取するよう推奨している [65]。同様に米国小児科学会( American Academy of Pediatrics)は、妊娠中の女性、妊娠を考えている女性、授乳中の女性に対し、毎日少なくとも150µgのヨウ素サプリメントを摂取し、ヨウ素添加塩を使用するよう推奨している[66]。

アメリカでの妊娠中および授乳中の女性のヨウ素含有サプリメントの使用は、現在の推奨量と比較しても少ないようである。2016~2017年で最もよく売れた59種類の妊婦用マルチビタミン・サプリメントのうち、ヨウ素を含有していたのは34種類にすぎなかった [22]。ヨウ素含有量の範囲は25~290µgで、中央値は150µg/日であり、34種類のうち25種類がヨウ化カリウムの形態であった。2011~2014年のNHANESデータによると、72.2%の妊娠女性が何らかのサプリメントを摂取していたが、ヨウ素含有のサプリメントを摂取していたのは17.8%にすぎなかった67]。授乳中の女性では、75%がサプリメントを摂取していたが、ヨウ素含有のサプリメントを摂取していたのは19%にすぎなかった。

一方、2010年の調査結果では、ヨウ素摂取量が比較的充足している地域におけるヨウ素サプリメント摂取普及の安全性に関する問題が提起された。スペイン在住の妊娠女性を対象としたこの横断的研究では、ヨウ素摂取量が200 µg/日以上の女性では、ヨウ素摂取量が100 µg/日未満の女性と比較して高TSH血症(TSH濃度が3 µU/mL超)のリスクが有意に増加した[68]。この知見は、妊娠中に高用量のヨウ素を摂取すると甲状腺機能不全症が誘発される可能性を示唆しており、ヨウ素補充が妊娠中の母体の甲状腺機能に与える影響について、より詳しい研究が必要であることが浮き彫りにされた。

以上の知見を総合すると、妊娠中および授乳中のヨウ素の重要性に対する国民の意識向上が必要であり、妊娠中のヨウ素補充の影響に関する研究が今後も必要であることが示唆される。米国甲状腺学会を含む多くの研究者が、妊娠可能年齢の女性におけるヨウ素摂取状況を継続して監視することが重要であると強調している [1,4,31,37,55,69,70]。

小児期の認知機能

重度のヨウ素欠乏が神経学的発達に及ぼす影響はよく知られています。複数の研究結果によると、例えば、慢性の中等度から重度のヨウ素欠乏症では、特に小児において、約12〜13.5ポイントのIQ低下が認められた[52]。2004年のコクランレビューでは、ヨウ素欠乏地域に居住する小児に対するヨウ素補充は、身体的・精神的発達の両方に有益であり、死亡率を低下させる一方、副作用は軽度でかつ一過性のものであることが明らかになった[71]。

小児期における軽度のヨウ素欠乏症の影響を定量的に評価することは非常に困難である。一部の研究では、軽度のヨウ素欠乏症では軽微な神経発達障害を生じるため、軽度のヨウ素欠乏症を発症した小児にヨウ素を補充すると認知機能が向上する可能性があることが示唆された[51]。

2009年にニュージーランドで実施された無作為化プラセボ対照研究では、10〜13歳の小児184人(尿中ヨウ素濃度中央値63 µg/L)に、ヨウ素サプリメント(150 µg/日)またはプラセボを28週間投与した[72]。ヨウ素補充によってヨウ素摂取状況が改善され(補充後の尿中ヨウ素濃度中央値145 µg/L)、プラセボ投与群と比較して知覚推理および認知機能の総合得点が有意に改善した。この結果は、小児では軽度のヨウ素欠乏を補正することで特定の認知機能が向上することを示唆している。軽度のヨウ素欠乏症およびヨウ素補充が認知機能に与える影響を完全に解明するためには、今後も研究が必要である。

乳腺線維嚢胞症

乳腺線維嚢胞症は、乳房に痛みを伴う凹凸病変や触診可能な線維症が認められる良性疾患である。通常は妊娠可能年齢の女性に発症するが、閉経後にも、特にエストロゲンを服用している場合は発症する可能性がある[73]。乳腺組織中のヨウ素濃度は高く、特に妊娠中および授乳中では顕著である[4,74]。一部の研究では、ヨウ素補充が乳腺線維嚢胞症に有用である可能性が示唆されたが、作用機序は不明であり [75]、データ数も限られている。

二重盲検研究では、乳腺線維嚢胞症に罹患した56例の女性をヨウ素補充群(70〜90 µg I2/kg体重)またはプラセボ投与群に無作為に割り付け、6カ月間の連日投与を行った[76]。治療終了時に乳房痛の低減を報告した女性は、プラセボ群では33%であったのに対し、ヨウ素補充群では65%であった。この研究より後に実施されたランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験でも、同様の結果が得られている。この研究では、乳房痛の既往歴を有する乳腺線維症の女性111人(18〜50歳)を各群に無作為に割り付け、0 µg、1,500 µg、3,000 µg、または6,000 µgのヨウ素を含有する錠剤を連日投与し[75]。投与5カ月後に、ヨウ素投与量が3,000 µgまたは6,000 µgの群では、プラセボまたはヨウ素投与量が1,500 µgの群と比較して、乳房痛、圧痛および結節形成の有意な減少が認められた。また、自己評価による乳房痛の低減には用量依存性が認められた。いずれの群でも、ヨウ素投与に関連する重大な有害事象や甲状腺機能検査結果の変化は認められなかった。

これらの研究結果は有望ではあるが、乳腺線維嚢胞症におけるヨウ素の役割を明らかにするためには、今後も研究が必要である。また、これらの研究で用いた用量(1日あたり約1,500〜6,000 µg)は、成人のヨウ素のUL(1,100 µg)より数倍高く設定されている。このような高用量での摂取は、医師の指導下でのみ行われるべきである [2]。

放射線誘発性甲状腺がん

原子力事故では、放射性ヨウ素が環境中に放出される可能性があり、暴露を受けた人、特に小児における甲状腺がんのリスクが上昇する [77,78]。ヨウ素欠乏症の人では、ヨウ素摂取量が十分な人よりも多くの放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれる。このため、ヨウ素欠乏症の人が放射性ヨウ素に暴露されると、放射線誘発性甲状腺がんを発症するリスクが非常に高くなる。

FDAは、放射性ヨウ素の放出を伴う放射線緊急事態における甲状腺がんのリスクを軽減するための甲状腺遮断剤として、ヨウ化カリウムを承認している[77]。FDAは、暴露を受けた人に対し、薬理量のヨウ素(ヨウ化カリウム16〜130 mg/日を年齢に応じて)を著しい放射線暴露の危険性が終息するまで毎日摂取するよう推奨している[77,78]。ヨウ化カリウムは、1986年に発生したチェルノブイリ事故後にポーランドで多用されており、事故発生後数年間にわたり、小児における甲状腺がん発症率の急増は認められなかった[79]。ベラルーシやウクライナなど、ヨウ化物予防薬を使用しなかった地域では、多数の小児が軽度のヨウ素欠乏状態であったため、小児および青年における甲状腺がんの発症率が急激に上昇した[77]。

ヨウ素過剰摂取による健康上のリスク

ヨウ素を過剰摂取すると、影響を受けやすい人では過剰なヨウ素が甲状腺ホルモン合成を阻害し、TSHによる刺激が増加するため、甲状腺が肥大する可能性があり、ヨウ素欠乏症と同様の症状(甲状腺腫、TSH濃度上昇および甲状腺機能低下症など)を引き起こす場合がある [2,80]。また、ヨウ素誘発性甲状腺機能亢進症の原因もヨウ素の過剰摂取であるが、その多くは、ヨウ素欠乏症の治療目的でヨウ素を投与した際に発症する。この他、ヨウ素の過剰摂取は甲状腺炎や甲状腺乳頭がんを引き起こすという研究結果も示されている[2,80]。急性ヨウ素中毒の発生は稀であるが、通常グラム単位の摂取で発生する。急性中毒の症状は、口・喉・胃の灼熱感、発熱、腹痛、悪心、嘔吐、下痢、脈拍微弱ならびに昏睡である [2]。

ヨウ素の過剰摂取に対する反応性や、副作用が認められるヨウ素摂取量はさまざまである[81]。自己免疫性甲状腺疾患やヨウ素欠乏症に罹患している一部の人では、一般集団では安全と考えられるヨウ素摂取量でも副作用を生じる可能性がある [2,5]。

FNBは、食物およびサプリメントの摂取に由来するヨウ素のULを設定している(表3)。ほとんどの人では、食物やサプリメントからヨウ素を摂取してもULを超えることはない[2]。ULより高用量のヨウ素を長期間摂取した場合は、健康上の有害な作用を生じるリスクが高くなる。ULは、治療のためにヨウ素剤を摂取している人には適用されないが、このような人は医師の監督下でヨウ素を摂取するべきである[2]。

表3:ヨウ素の許容上限摂取量(Tolerable Upper Intake Level:UL)[2]
表3:ヨウ素の許容上限摂取量(Tolerable Upper Intake Level:UL)
年齢 男性 女性 妊婦 授乳婦
生後0〜6カ月 設定不可* 設定不可*
生後7~12カ月 設定不可* 設定不可*
1〜3歳 200 µg 200 µg
4〜8歳 300 µg 300 µg
9〜13歳  600 µg 600 µg
14〜18歳 900 µg 900 µg 900 µg 900 µg
19歳以上 1,100 µg 1,100 µg 1,100 µg 1,100 µg

*乳児のヨウ素源は調製粉乳および食物に限る。

医薬品との相互作用

ヨウ素のサプリメントは種々の医薬品との相互作用を引き起こす。以下に例を記載する。定期的にこれらの医薬品を服用している人は、ヨウ素摂取について医療スタッフと話し合う必要がある。

抗甲状腺薬

メチマゾール(Tapazole®)などの抗甲状腺薬は、甲状腺機能亢進症の治療に用いられる。抗甲状腺薬と高用量のヨウ素を併用すると相加効果を生じるため[81]、甲状腺機能低下症を引き起こすおそれがある。

アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬

ベナゼプリル(Lotensin®)、リシノプリル(Prinivil®およびZestril®)、フォシノプリル(Monopril®)などのアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は、主に高血圧症の治療に用いられる。ヨウ化カリウムをACE阻害薬と併用すると、高カリウム血症(血中カリウム濃度が上昇)のリスクが増大する[81]。

カリウム保持性利尿薬

ヨウ化カリウムとスピロノラクトン(Aldactone®)やアミロライド(Midamor®)などのカリウム保持性利尿薬を併用すると、高カリウム血症のリスクが増大する [81]。

ヨウ素と健康的な食事

米連邦政府が公表している「アメリカ人のための食生活の指針2015-2020」では、「栄養は主として食事から摂取すべきである。(中略)栄養分を豊富に含む食物には、必須ビタミン・ミネラル、食物繊維、健康に良いと考えられるその他の天然成分が含まれている。栄養分を豊富に含む食物(多くは未加工品)には、サプリメントに含まれることの多い必須ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維や体によい天然成分も含有している。場合によっては、強化食物やサプリメントは、補充しなければ推奨量を下回る可能性のある1つ以上の栄養素の摂取に有用と考えられる」と指摘している。

健康的な食事に関する詳細はDietary Guidelines for Americans(アメリカ人のための食生活指針)(英語サイト)と米国農務省の食事の指針システム、MyPlate(私の食事)(英語サイト)を確認すること。

「アメリカ人のための食生活指針」では健康的な食事を次のように述べている。

  • さまざまな種類の野菜、果物、全粒穀物、無脂肪もしくは低脂肪ミルクと乳製品、油を重視している
    牛乳と乳製品はヨウ素を含んでいる。
  • 魚介類、赤身の肉、鶏肉、卵、豆類、マメ科植物(インゲン豆、エンドウ豆)、ナッツ類、種子、大豆食物などさまざまなタンパク質食物を含んでいる
    魚の種類によってはヨウ素含有量が高いものもある。卵もヨウ素源として優れている。
  • 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、添加糖質、塩分および(ナトリウム)を少なくする。
  • 1日に必要なカロリー摂取量を超えない。
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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

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