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健康関連詐欺にだまされないで
Don’t Be Fooled By Health Fraud Scams

本項目の説明・解説は、米国の医療制度に準じて記載されているため、日本に当てはまらない内容が含まれている場合があることをご承知ください。

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版改訂年月(翻訳時):2011年11月9日

詐欺がよく使う要注意な文言

  • すべて治癒する!関連性のない疾病に対して
  • 即効で治る!数日以内に
  • 古代の治療法!または、秘伝の処方
  • 革新的!あるいは、新たな科学
  • 驚くべき結果!確認が困難
  • 私の腫瘍が小さくなった!効果が証明されていない利用者の声
  • すぐに行動を!数に限りあり
  • やせる!ダイエットや運動は不要

今の米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の前身が、「インチキ製品のセールスマン」や、病人やだまされやすい人を食い物にするうさん臭い存在から消費者を守ろうと取り組み始めた19世紀と20世紀初頭、当時の公衆衛生科学はまだ黎明期でした。

当時は、化学部門として知られ、のちに化学局になりました。係官は、強壮剤や、蛇からとった「奇跡の油」で何でも治せるという万能薬を売りつけ各地を渡り歩く詐欺師を追跡していました。ラベルには成分表示はなく、何も知らず買った人は、よくても効果がない、悪ければ致命的な製品であることを経験で知るしかありませんでした。

1世紀を過ぎた後も、FDAは今もその問題に取り組んでいるのです。

FDAは消費者が、こうしたインチキ健康製品の21世紀版を見極め、自分自身を詐欺から守ることができるよう、インターネットのリソースを作りました。

FDAの健康詐欺対策ウエブサイト(英語サイト)は、詐欺の手口にひっかからない方法に関するビデオや記事を掲載し、リコールや摘発された製品、またFDAから警告の対象となった製品について情報提供しています。

このウエブサイトでは、医薬品、サプリメント、タバコ製品、代替医療、医療機器、化粧品などFDAの規制を受ける製品について、健康詐欺関連の公的リソースへのリンクを掲載しています。

FDAの健康詐欺対策コーディネーターで認定薬剤師のGary Cody氏は、このウエブサイトについて、健康詐欺手口を知り、ひっかからないための「ワンストップ・ショッピング(すべてここで用が足りる)」と言います。その製品、会社に対して、FDAがなんらかの措置をとったかどうか、誰でもこのウエブサイトで調べることができます。しかしながら、製品がここにリストされていないからといって、合法に販売されているとか、安全に使用できるとは限りません。

詐欺がよく使う要注意な文言

誰もが公平にだまされる可能性がある

消費者は「価値がないものか、害を及ぼす」製品に多額の金をつぎ込んでいると、Coody氏は言います。「消費者はインターネットや店舗で、深刻な被害や死につながりかねない非常に危険な製品を買う可能性もあるのです」

お金を無駄にするのも良くありませんが、こうした実証されていない治療を使うことで、命を救う可能性のある診断や効果のある薬を使うのが遅れてしまうことがある」とCoody氏は言います。

手口にはいろいろな形態がある。「いくつかの製品は『オールナチュラル(全て天然素材)』をうたっていますが、実際には表示ラベルに書かれていない処方薬やその他の化学成分が入っていて、非常に危険です」と、Coody氏。このような汚染製品で最も一般的な部類には、減量、性的能力向上、ボディービルディングが含まれます。

他にもがん、関節炎、糖尿病アルツハイマー病、および多発性硬化症といった深刻な慢性病をすべて治せると宣伝します。こうした詐欺に特にだまされやすいのは高齢者ですが、消費者は年齢にかかわらず詐欺的な製品をつかまされていますと、Coody氏は言います。「誰もが被害者予備軍です」

新たな健康脅威の一つ一つに対し、一夜にしてインチキ製品があらわれるのです」と、Coody氏は述べています。例えば、2011年3月に日本の原子力災害が起きた後、有害な放射能から守るという虚偽の宣伝をする製品が市場にあふれたとCoodyさんは話します。

「蛇の油のようなインチキ製品を売るセールスマンは今も生きています」と、Coody氏は言います。

FDAのルーツに戻る

健康詐欺のまん延が、1906年の食品医薬品法制定の大きな理由だったと、FDA史学者のJohn P. Swann博士は話します。「とんでもない宣伝文句で成分表示もなく、害を与えることが多い、いわゆる『特許』薬が、19世紀(とそれ以前)を通して、アメリカの医療界でも主流とされてきました」と、同氏。

「がんや結核、梅毒のように深刻な病気をすぐに治せるというものから、中毒を治す薬なのに中毒を起こす元となる成分が表示されることなく含まれているというような、有害で危険な成分の治療薬まで、数えきれないほどの例がある」と、Swann氏は言います。「また歯が生えかけでむずかる幼児向けに、アルコールやアヘン剤が入った鎮静シロップもありました」

1906年の法で、粗悪な医薬品や虚偽表示の薬の販売は禁止され、アルコールやアヘン、モルヒネ、ヘロインおよびコカインなどいくつかの成分について表示が義務づけられました。

30年以上たち、1938年の連邦食品医薬品および化粧品法で、FDA(1931年に食品医薬品局の名称になった)には医療機器を規制する権限も与えられました。それにより、『消費者の目を通常の治療法からそらそうとする数えきれないほどの器具』について対策をとった」と、Swann氏は言います。

現在との違い

現在、健康詐欺はさらにまん延しています。「インターネットにより人々は自分のパソコンから世界市場につながった」からですと、Coody氏は述べます。あなたがもし、実証されていない、またはほとんど知られていない治療を購入したい場合、特にそれがインターネットで売られているなら、まずはかかりつけの医師や医療スタッフに相談してほしいと、Coody氏は助言しています。

しかし怪しい製品はTVの宣伝番組やラジオ、ダイレクトメール、口コミマーケティング、新聞や雑誌広告にと広がっています。

「消費者は多くの場面でそういうメッセージに晒されます」。こうした広告には適度に疑いの目を向けるべきですと、Coody氏は話しています。

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監訳:大野智(島根大学) 翻訳公開日:2021年3月12日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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