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高血圧症(高血圧)
Hypertension (High Blood Pressure)

体重を測っている男性の画像「最近体重増えて来たなあ」 高血圧(英語サイト)とも呼ばれる高血圧症は、米国では3人に1人が罹患しています。時間とともに、心臓、血管、腎臓やその他の器官が損傷を受けます。合併症としては、心臓発作、心不全、脳卒中、慢性腎臓病などがあります。高血圧は、健康的な食事、身体活動、健康的な体重の維持、飲酒量の制限、ストレスの管理や対応など、生活スタイルの改善で管理できます。生活スタイルの改善のみでは十分には血圧が低下しない場合、高血圧の治療に薬剤が使用されるかもしれません。

肝心なことは?

血圧低下に役立つ生活スタイル改善プログラムの一貫として、いくつかの補完的健康アプローチに効果が示されています。

安全性

  • 高血圧の場合、医療スタッフが処方する治療計画に従うことが重要です。なぜなら、高血圧の重篤な合併症を回避または遅らせることができるからです。処方された治療薬を、証明されていない製品や療法に変えないでください。高血圧に対して補完療法や統合医療アプローチを検討している場合、医療スタッフに相談してください。
  • 摂取したり検討したりしているすべてのサプリメントについて、医療スタッフに話してください。例えばダイダイ(英語サイト)マオウ(英語サイト)朝鮮人参(英語サイト)甘草(英語サイト)などのハーブを使用したサプリメントには血圧を上昇させる可能性があり、また、高血圧を治療する薬剤に有害な相互作用を有する(英語サイト)サプリメントもあります。
  • 心身療法は、資格のある施術者が適切に実施するか、訓練を十分に積んだインストラクターが適切に教えれば、通常は健康な人にとっては安全です。しかし、疾患のある人にとっては適切ではない療法もあります。例えば、高血圧患者はヨガの一部のポーズを修正または回避する必要があるかもしれません。高血圧の場合、心身療法を検討していることをかかりつけ医や療法施術者およびインストラクターに相談してください。
ニンニク

このファクトシートには、ニンニクに関する基本的情報(一般名、効能と安全性、詳しい情報の入手先)が記載されています。

一般名(英名):garlic

学術名:Allium sativum

背景

  • ニンニクはユリ科の植物で、球根を食用としています。ニンニクは、エジプト人、ギリシア人、ローマ人、中国人、日本人、アメリカ先住民などによって、世界各地で昔から健康のために利用されてきました。
  • 今日では、ニンニクはサプリメントとして、高脂血症や高血圧、風邪のほか、癌やその他の疾患の予防など、さまざまな用途で用いられています。
  • 生のニンニク、ニンニク粉末およびニンニク油が食品の香味料として利用されています。ニンニクサプリメントは錠剤やカプセルが販売されています。ニンニク油を局所へ用いる(皮膚に塗る)こともあります。

これまでに解明されていること

  • ニンニクに関する研究は多数実施されていますが、その大部分は小規模な予備研究または質の低い研究です。

研究で明らかになったこと

  • ニンニクに血中コレステロール値を下げる効果があるかどうかについては、賛否両論の結果が得られています。もしあるとしてもその効果は小さく、低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein :LDL)コレステロール(いわゆる「悪玉」コレステロールで、心臓病リスク上昇と関連)値はまったく低下しない可能性があります。
  • ニンニクは高血圧に効果があるかもしれませんが、科学的根拠(エビデンス)は乏しいです。
  • ニンニクの摂取量が多い特定の集団では、胃癌や結腸癌など、一部の癌の発生率が低いことを示した研究もあります。しかし、ニンニクサプリメントを摂取しても、これらの癌のリスクは低下しませんでした。米国国立がん研究所(National Cancer Institute :NCI)は、ニンニクは抗がん作用を有する野菜の一種であるが、ニンニクサプリメントをがん予防に使用することは推奨されないという見解を示しています。
  • 風邪に対するニンニクの効果については、十分なエビデンスが得られていません。

安全性について

  • 多くの人にとって、ニンニクは食品から摂取する通常の量であれば、安全である可能性が高いです。
  • 副作用には、口臭、体臭、胸焼け、胃のむかつきなどがあります。これらの副作用は、生のニンニクを摂取した場合に多くみられます。人によっては、ニンニクに対するアレルギー反応が認められることもあります。
  • ニンニクを摂取すると出血のリスクが高まる可能性があります。ワルファリン(クマディン)などの抗凝固剤(抗血栓薬)を服用している場合や、手術する予定がある場合は、かかりつけの医療スタッフにニンニクサプリメントを摂取している、または摂取したいと考えていることを伝えてください。
  • ニンニクは、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)治療薬のサキナビルなど、一部の薬剤の効果を弱めることが知られています。

注意事項

  • あなたが行っている補完療法・統合医療アプローチをすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
心血管系疾患

心血管系疾患(心臓や血管の病気)は、米国では死因の1位になっています。最もよくみられる心血管疾患は冠動脈疾患です。冠動脈疾患では、心臓に血液を送る血管が狭くなったり詰まったりします。

コエンザイムQ10

コエンザイムQ10(Coenzyme Q10:CoQ10)は、体内に自然に存在する物質で、心臓、肝臓、腎臓、膵臓に高濃度で認められます。米国ではサプリメントとして販売されています。CoQ10は体内で重要な機能を担っており、何らかの疾患を有する患者ではこの物質の濃度が低下しているため、研究者らはCoQ10サプリメントに健康上の有益性があるかどうかを検討することに関心を持っています。

肝心なことは?

  • CoQ10にはがん(英語サイト)治療における有用性は認められていませんが、がん化学療法薬の1種によって引き起こされる心疾患のリスクを減少させると考えられています。
  • CoQ10が心疾患(英語サイト)予防に役立つかどうかを検証したのは数件の研究のみであり、その結果は暫定的なものです。心疾患におけるCoQ10の効果に関する研究も暫定的なものです。しかし、CoQ10が心臓手術のいくつかの合併症のリスクを軽減することを示す科学的根拠(エビデンス)があります。
  • 各研究の結果はさまざまですが、全般的な科学的エビデンスは、CoQ10が、スタチンとして知られているコレステロール降下薬による筋肉痛を軽減するという考えを支持するものではありません。
  • 現在入手可能な少数のエビデンスは、CoQ10には血圧(英語サイト)に対する意義のある効果は恐らく認められないということを示唆しています。
  • 米国神経学会や米国頭痛学会のガイドラインでは、CoQ10は片頭痛(英語サイト)予防に「有効と考えられる」が、この結論は限定的なエビデンスに基づいていると記されています。
  • 国立衛生研究所が資金提供したある大規模な研究では、通常よりも高用量で投与してもCoQ10は初期のパーキンソン病(英語サイト)患者の症状を改善しないことが示されました。この研究やその他いくつかの小規模な研究に関する2017年の評価では、CoQ10はパーキンソン病に有用ではないという結論に至りました。
  • また、CoQ10は筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)、ダウン症候群、ハンチントン病、男性の不妊症など、その他のさまざまな疾患についても検証されてきましたが、研究は限定的なものであるため、結論を導き出すことはできませんでした。

安全性

  • CoQ10の重篤な副作用は報告されていません。不眠や消化不良などの軽度な副作用が起こる可能性があります。
  • CoQ10は、抗凝固薬(抗血栓薬)ワルファリンや糖尿病薬インスリンと相互作用を起こす可能性があり、いくつかの種類のがん治療薬と適合しない可能性もあります。
ヨヒンベ

このファクトシートには、ヨヒンベに関する基本的情報(一般名、効能と安全性、詳しい情報の入手先)が記載されています。

一般名(英名):yohimbe, johimbe

学術名:Pausinystalia yohimbe

背景

  • ヨヒンベは、西アフリカ原産の高木の常緑樹です。樹皮にはヨヒンビンと呼ばれる化学物質が含有されています。樹皮は、抽出物、タブレット、カプセルに使われます。
  • ヨヒンベの樹皮は昔からアフリカで催淫剤(性欲増進)として用いられてきました。
  • ヨヒンベはサプリメントとして、勃起障害、運動能力、減量、胸の痛み、高血圧、糖尿病性神経障害などに使用されています。
  • 米国では、ヨヒンビンの標準的な化合物であるヨヒンビン塩酸塩を、勃起障害に対する処方箋薬として入手することができます。この薬は、ヨヒンベの樹皮から製造したサプリメントとは別のものです。

これまでに解明されていること

  • ヒトを対象としてヨヒンベサプリメントの効果を調べた研究はほとんどありません。一方で、ヨヒンベサプリメントを摂取した場合のリスクについて、複数の試験で報告されています。

研究で明らかになったこと

  • サプリメントに含まれるヨヒンビンの量にはばらつきがあり、ごくわずかな量しか含まれていない製品もあります。
  • サプリメントとして販売されているヨヒンベには、ヨヒンビンを含む処方箋薬のような効果がないかもしれません。

安全性について

  • ヨヒンベは心臓発作や痙攣発作と関連があるといわれています。
  • 2000〜2006年のカリフォルニア州中毒事故管理センターへの報告事例をもとにヨヒンベと他の物質を比較した試験では、ヨヒンベによって胃腸障害、頻脈(心拍数が上昇)、不安感および血圧上昇が起きることがわかりました。多くの場合、ヨヒンベが原因でセンターに連絡した人は、他の原因で連絡した人と比べて治療が必要となる確率が高いことがわかりました。
  • ほとんどのヨヒンベ製品にはヨヒンビンの含有量が記載されていません。米国で市販されている、ヨヒンベまたはヨヒンビンを含有することがラベルに記載されているサプリメント49銘柄に関する最近の分析で、ヨヒンビンの含有量が製品によって大きく異なることが判明しました。ヨヒンビンは、合成化合物の場合と高度に処理された植物抽出物の場合がありました。

注意事項

  • あなたが行っている補完療法・統合医療アプローチをすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
緑茶

このファクトシートには、緑茶に関する基本的情報(一般名、効能と安全性、詳しい情報の入手先)が記載されています。

一般名(英名):green tea

学術名:Camellia sinensis

背景

  • お茶(緑茶、紅茶およびウーロン茶)はすべてカメリアシネンシスという植物から、それぞれ異なった方法で作られます。緑茶は取りたての新鮮な葉を蒸して作られます。
  • お茶は何千年もの間、中国や日本で薬として用いられてきました。
  • 現在、緑茶は飲料またはサプリメントとして摂取されており、覚醒作用の増強、消化器症状および頭痛の軽減、体重減少を促進するなどの作用があります。心疾患および癌に対する潜在的予防効果について、緑茶およびその抽出物、例えば没食子酸エピガロカテキン(epigallocatechin gallate :EGCG)などで研究が進められています。
  • 緑茶は通常、煎じて飲み物として飲まれます。また、流エキス剤、カプセル、錠剤としても販売されており、局所への外用剤(皮膚に塗る薬)として用いられる場合もあります。

これまでに解明されていること

  • 緑茶やその抽出物に関する試験が多数実施されていますが、ほとんどの用途について、緑茶が有効であるかどうか、まだ完全な結論には達していません。

研究で明らかになったこと

  • 緑茶は、カフェインを含んでいることからも分かるように、覚醒作用を強めるというエビデンスがあります。
  • 米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration :FDA)は、陰部疣贅(性器いぼ)の処方箋薬として特定の緑茶抽出物軟膏を承認しています。
  • ヒトにおける緑茶とがんの研究からは、一貫した結果は示されませんでした。米国国立がん研究所(National Cancer Institute :NCI)は、いずれの種類のがんリスクを軽減するためにも、緑茶の使用を推奨する立場も反対する立場もとっていません。
  • 心臓病リスクに対するお茶の影響を調べた長期的な試験はごくわずかです。しかし、現時点で得られている限られたエビデンスから、緑茶と紅茶の両方に、血圧やコレステロールなど心臓病の危険因子に有益な効果があるかもしれないことが示唆されています。
  • 緑茶抽出物によって、過体重または肥満の成人に意味のある体重減少が認められたという報告はありません。また、緑茶抽出物が減量維持に役立つかどうかも不明です。
  • 米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health :NCCIH)は緑茶および緑茶抽出物に関する研究を助成しており、高用量のお茶成分が肝臓に及ぼす影響、緑茶成分が鉄過剰症に有用かどうか、HIV陽性患者における緑茶成分の安全性、などの試験が対象となっています。

安全性について

  • 緑茶は、適量摂取される場合、大抵の成人にとって安全です。
  • 高濃度の緑茶抽出物を摂取している人において、肝障害が報告されています。この障害は、緑茶の浸出液や緑茶飲料とは関係ないとみられています。これらの症例はとても稀で確実な根拠はありませんが、専門家によれば、高濃度の緑茶抽出物は食物と一緒に摂取するべきで、肝疾患を患っている人や腹痛、暗色尿、黄疸などの肝疾患の症状が認められた場合は、使用をやめて医師に相談するよう勧めています。
  • カフェインレス緑茶を除いて、緑茶や緑茶抽出物にはかなりの量のカフェインが含まれています。カフェインの摂取量が多すぎると、いらいら感や震え、眠れない、頭痛などの原因となります。
  • 緑茶は、高血圧および心臓疾患に使用されるβ遮断薬、ナドロールの血中濃度(すなわち有効性)を低下させることが示されています。他の薬剤と相互作用を引き起こす可能性もあります。

注意事項

  • あなたが行っている補完療法・統合医療アプローチをすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
ビタミンC・Eサプリメントは妊娠中の血圧障害のリスクを軽減せず

国立衛生研究所リサーチ・ネットワークの試験によると、妊娠初期にビタミンC・Eサプリメントを摂取開始しても、妊娠中の高血圧障害やその合併症のリスクは軽減しません。

注目すべき点として、同サプリメントは、死に至る可能性のある妊娠高血圧の一種である妊娠高血圧腎症のリスクも軽減しませんでした。この所見は、過去の小規模ないくつかの試験で、ビタミンは妊娠高血圧腎症のリスクを軽減するという示唆に反するものです。これらの試験結果は、以降の大規模試験で確認されませんでした。

現在のところ最も大規模な試験であり、治療を妊娠初期に開始したアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の試験でも、妊娠に伴う高血圧症とその合併症の軽減は認められませんでした。

同試験に資金提供したNIH研究所の1つであるユーニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健発達研究所(National Institute of Child Health and Human Development :NICHD)の所長Alan E. Guttmacher医師は、「本試験の結果からは、妊娠中にみられる高血圧障害を予防する方法としてビタミンC・Eサプリメントを認められない」と述べました。

同試験の主な資金は、国立心肺血液研究所と国立資源研究センターのクリニカル・トランスレーショナル・サイエンス・アワード・プログラムによって提供されました。双方ともNIHに属します。

この所見は、New England Journal of Medicineの4月8日号に掲載されます。

同試験は、NICHDの母体・胎児部門(Maternal–Fetal Medicine Units :MFMU)ネットワーク内の16施設で実施されました。論文の筆頭著者は、ピッツバーグ大学産婦人科のJames M. Roberts医師です。

試験では、妊娠の高血圧障害を発症するリスクが高い初産の女性のみを対象としました。全般的に、対象女性は健康であり、高血圧、尿蛋白(腎臓に対するストレスの指標)、妊娠糖尿病(妊娠中に認められる糖尿病の一種)は認められませんでした。妊娠9週〜16週の女性を10,000名以上組み入れ、出産まで追跡しました。ビタミンC・Eサプリメントまたはプラセボを毎日投与しました。

NICHDの妊娠・周産期部門の主任であり、MFMUネットワークのプログラム科学者である論文共著者のCatherine Y. Spong医師は、「米国では、特にバランスの取れた食事が取れない場合、妊娠向けに調整したマルチビタミンを摂取するよう、産婦人科医は一般的に妊娠女性に推奨しています」と述べました。「私たちの試験では、参加者は、摂取していた妊娠用ビタミンに加え、ビタミンCとEを多く含むサプリメント(通常の出産前のビタミン量の約10倍)を摂取しました。」

研究者らは過去の試験に基づいて、ビタミンCとEによって、フリーラジカル(身体の酸素使用の副産物)として知られる分子からの障害を予防することによって妊娠高血圧腎症の可能性を軽減すると仮説を立てました。この理論では、フリーラジカルが胎盤の適切な発達を防ぎ、母体から胎児への血流を阻害すると考えられています。Spong医師によると、今回の所見は、フリーラジカルの障害が妊娠高血圧腎症を引き起こすという考えを支持も反論もするものではありませんが、ビタミンCとEを用いた治療はこの状況を予防しないということを示しています。

妊娠に伴う高血圧症、けいれん発作、尿蛋白、妊娠高血圧腎症、血液または肝臓の異常、流産、低体重児、早産の合併症発症率について、2群間で統計学的な差は認められませんでした。合併症の併発率は、ビタミン投与群で6.1%、プラセボ投与群で5.7%でした。

また、2群間で妊娠高血圧腎症に統計学的差は認められませんでした:ビタミン投与群で7.2%、プラセボ投与群で6.7%。

Spong医師は、本結果が明確さについて満足のいくものであると述べています。

また、「結果はとても有用です」と述べています。「今回の場合、期待できる治療と元々考えられていたものから、実際には何の臨床的有益性も得られないことがわかりました。」

Spong医師との対談を求める方は、301-496-5133に電話をかけ、Robert Bock氏またはMarianne Glass Miller氏にお問い合わせください。

NHLBIの専門家との対談を求める方は、301 496-4236またはNHLBI_news@nhlbi.nih.gov(英語サイト)(リンク先からメールを送れます)でNHLBI Communications Officeにお問い合わせください。

国立衛生研究所の一部である、国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute :NHLBI)は、心臓、血管、肺、血液の疾患および睡眠障害の原因、予防、診断、治療に関連する研究を計画、実施、支援します。NHLBIはまた、女性、心疾患、小児の健康な体重、その他のトピックに関する全国的な健康教育キャンペーンを実施しています。NHLBIのプレスリリースやその他の公表は、www.nhlbi.nih.gov(英語サイト)からオンラインで閲覧できます。

NICHDのスポンサーは、出産前後の発達、母親・子ども・家族の健康、生殖発生学、人口問題、医学的リハビリテーションに関して研究しています。詳細は、研究所のウェブサイトhttp://www.nichd.nih.gov/(英語サイト)をご覧ください。

国立衛生研究所(National Institutes of Health :NIH)について
国の医療研究機関であるNIHには、27箇所の研究機関および施設があり、米国保険社会福祉省の一部です。NIHは、基礎、臨床、トランスレーショナル医学研究を実施および支援する主要な政府機関であり、一般的および稀な疾患の原因、管理、治療を検証しています。NIHおよびそのプログラムについての詳細は、www.nih.gov(英語サイト)をご覧ください。

β遮断薬服用中の高血圧患者の睡眠障害にメラトニンは効果があるかもしれません

最新のランダム化比較試験によれば、メラトニンサプリメントはβ遮断薬を服用している高血圧患者の睡眠改善を助ける可能性があるということです。β遮断薬は多くの健康問題に対する治療薬として処方されていますが、高血圧に対しては最も一般的な処方薬です。しかし頻繁に起こる副作用として睡眠障害や昼間の倦怠感があります。これらは睡眠を促進するホルモンであるメラトニンを抑制することにより引き起こされると考えられています。本研究の目的は、β遮断薬による治療を慢性的に受けている高血圧患者の睡眠が3週間のメラトニンサプリメントの摂取により改善するかどうかを調査することでした。NCCIH(旧NCCAM)共同出資による本臨床試験の結果は、雑誌「睡眠(’Sleep’)」に掲載されました。

合併症がなくその他は健康であると診断された本態性高血圧の成人患者(45~64歳)16名を本研究に組み入れました。β遮断薬を6ヶ月以上服用しており、その他の降圧剤を併用している者もいました。睡眠障害のあるなしには関わりませんでした。被験者は無作為に、約3週間(研究所及びスケジュールにより20~28日)就寝1時間前に2.5 mgカプセルのメラトニンか同量のプラセボかを経口摂取する群に振り分けられました。患者は試験期間の始めと終わりに4日間研究所の個室に入室し、睡眠時と昼間の活動の変化をモニターしました。研究所では日中16時間の覚醒、夜間は8時間の睡眠というスケジュールが決められており、これは研究所入室前も同様のスケジュールとされていました。研究所に入室していないときは睡眠及び活動のパターンを腕につけたセンサーなどの器具で測定しました。

その結果、プラセボと比較してメラトニンサプリメントを摂取した場合、睡眠時間がトータルで36分有意に増加、睡眠効率は約8%上昇、stage2(軽睡眠期)の睡眠開始までの時間が短縮(14分)、stage2(軽睡眠期)の睡眠時間が41分延長(他の睡眠stageでは不明)したことが分かりました。さらに従来の処方された睡眠補助剤で起きていた多くの弊害がメラトニンでは起こりませんでした。耐性(従来の処方薬の効果の低下)や睡眠障害のリバウンド(睡眠補助剤を中止した後に睡眠障害がまた出ること)はなく、徐波及び/又はREM睡眠の低下は見られませんでした。β遮断薬は通常生涯服用し続けなければならず、これらの利益は著しい進歩となるでしょう。

しかしこの試験は、特に小規模試験であることや試験前評価が不可能であること(β遮断薬治療以前)という限界も指摘されています。しかしβ遮断薬を服用している2千万以上の人々のみならず他の健康問題や睡眠障害に関連するリスクのある人たちの睡眠を改善する多大な潜在的利益がメラトニンにはあると研究者たちは示唆しています。

高齢者を対象とした大規模試験で高血圧に対するイチョウの効果はみられず

高齢の男性と女性で構成される大集団において、ハーブサプリメントGinkgo bilobaは血圧を下げる効果や高血圧の発生率を減らす効果がないという研究報告が、American Journal of Hypertension誌に最近掲載されました。動物やヒトを対象とした予備試験では、イチョウが抗高血圧作用を有する可能性が示唆されていましたが、大規模長期プラセボ対照試験によってイチョウの効果を検討したのは、今回の研究が初となります。

この研究はアメリカ国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH、旧NCCAM)が助成するイチョウの記憶への影響評価研究(Ginkgo Evaluation of Memory: GEM)試験の一環として実施されました。GEM試験の参加者3,069例は、イチョウ120 mgまたは見た目がそっくりなプラセボのいずれかを、1日2回摂取しました。次に、認知機能低下や認知症に注目すると同時に、血圧や老化現象に関しても、さまざまな健康状態の指標を観察しました。参加者の年齢の中央値は79歳、追跡期間の中央値は6.1年でした。

その結果、イチョウとプラセボの間で血圧に関する相違点はありませんでした。試験期間中、いずれの群でも収縮期血圧、拡張期血圧および脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)に同程度の変化が認められました。降圧剤を併用した場合でも、また、試験開始時の血圧の状態(高血圧、前高血圧または正常)とは無関係に、両群間で同様の結果が得られました。さらに、イチョウが高血圧の発生率を低下させるというエビデンスも得られませんでした。

研究者らは、この研究で降圧作用が認められなかったからといって、イチョウが心血管疾患の新たな予防薬となる可能性が絶たれたわけではないことを指摘しています。また、今後の研究で、今回よりもやや年齢の低い集団を対象として、血管の健康に関する他の指標も評価することを提案しています。

高血圧症の人に対するココアの効能をアメリカ国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH(旧NCCAM))の研究者が調査

解明されていない遺伝的及び環境的因子により起こる一般的な高血圧である本態性高血圧は、内皮機能不全(動脈内皮による血管弛緩が起こらない)およびインスリン抵抗性(インスリンの血糖利用促進能力の障害)が特徴です。フラバノールが豊富であるココアが高血圧症の人の血管を弛緩し、血圧低下を導く効果がある可能性があることが、基礎研究及び小規模臨床試験からわかりました。しかし、これらの先行試験には一般的にプラセボが含まれていません。

そこで近年、NCCIH組織内研究プログラムの糖尿病部会の研究者により厳密なランダム化プラセボ比較二重盲検クロスオーバー試験が実施され、ココアの血圧低下、内皮機能不全の改善、および/またはインスリン抵抗性の軽減効果について調が行われました。本試験では、本態性高血圧の参加者20名がフラバノール含量の多いココア(フラバノール450 mg)またはプラセボ(フラバノール14 mg)を1日2回2週間摂取し、その後群を入れ替えてさらに2週間摂取しました。第一治療期間の初日と最終日に評価し、その後第二治療期間終了後に再評価しました。

プラセボと比較してココアには、インスリンによる血管拡張効果(動脈壁がインスリンに反応して弛緩する能力)がわずかながら統計学的に有意にあるということがわかりました。しかし、ココアが著しく血圧を低下し、インスリン抵抗性を改善、または高血圧に関連するその他の生化学的指標(炎症性バイオマーカーなど)に影響を及ぼすことはありませんでした。その結果、本態性高血圧の患者がフラバノールの多いココアを毎日2週間続けて飲んでも、効果的に血圧が低下、あるいはインスリン抵抗性が改善することはないと結論づけられました。しかしながら、より長期間、またはより重症な高血圧患者がココアを飲んだ場合、ココアの有効性の可能性を全く否定するものではありません。 ココアが健康に良いかを確定するには、さらなる研究が必要です。

加齢性疾患に植物が有用である可能性

更年期前の女性は、男性と比べて高血圧や心血管疾患の発症率が有意に低いです。しかし、更年期以降の女性では、これらの疾患の発症率が急劇に上昇し、男性の発症率とほぼ同じになります。この変化の主な原因は、更年期におけるエストロゲンの減少であると考えられています。

閉経後ホルモン補充療法(hormone therapy :HT)は女性に人気の高い治療法でしたが、重篤な有害作用を生じる可能性が研究で明らかにされました。植物性サプリメントは、HTの代替としてホットフラッシュなどの更年期症状を軽減、また、加齢に伴うことが多い症状を予防するのではないかと、注目されています。

高血圧、心血管疾患、認知機能低下、インスリン抵抗性、高脂血症などの症状に対する植物の有効性を評価するため、アメリカ国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH、旧NCCAM)の助成を受けたアラバマ大学バーミンガム校の研究者らが、文献のレビューと自身の所属研究室で実施した試験の検証をおこないました。食用大豆、大豆イソフラボン(ダイゼインおよびゲニステイン)、ポリフェノール含有量が高いグレープシード抽出物およびプエラリン(葛に含まれるイソフラボン)の効果を調べました。(一部のイソフラボンはエストロゲンに似た機能を有する可能性があります。植物由来のイソフラボンは植物性エストロゲンと呼ばれます。)

文献レビューの結果、大豆は男性および閉経後の女性に対し、血圧を下げる効果や心血管系疾患(心臓病やアテローム性動脈硬化症など)から保護する作用があり、糖尿病患者に有益である可能性が明らかになりました。研究者が自ら実施した動物実験では、雄ラットおよび卵巣を摘出した(Ovariectomized :OVX)雌ラットにおいて、大豆イソフラボンに食塩感受性高血圧に対する保護作用があることがわかりました。また、グレープシード抽出物はOVXラットにおいて、血圧降下作用および認知機能改善作用が認められました。さらに、雄ラットでは、プエラレリンに血糖コントロールを改善する効果が認められました。(ヒトや動物を対象とした大豆イソフラボン試験を考えるとき、結果に影響する複数の因子が存在することを知っておくことが重要です。例えば、大豆イソフラボンは広く普及しているため、摂取量のコントロールが難しいです。)

結論として、レビューを行った植物性化合物は、動物疾患モデルに対し、有益な効果があると考えられます(大豆もヒトでの有益性が示されました)。また、これらの化合物は更年期障害よりも心血管疾患、代謝疾患および認知機能に関連する効果が高い可能性があります。これらの化合物の安全性および作用機序に関しては、植物性化合物を使用する人の病気の状態を考慮して、慎重に確かめるべきであると、研究者らは推奨しています。

高血圧に対する補完的健康アプローチ

2018年2月

補完的健康アプローチの中には、生活様式の変化に取り入れることで血圧を下げる効果が期待できるものがあります。瞑想やリラクセーション法などの心身療法は高血圧の人の血圧低下を助ける可能性があると示す研究結果があります。2013年に米国心臓協会が、従来の瞑想に加えてバイオフィードバックや超越瞑想(Transcendental Meditation:TM)が血圧低下効果があることを示唆しました。

科学的根拠
高血圧に対する補完的健康アプローチ(英語サイト)

最新のエビデンスの要約

リラクゼーション法
リラクゼーション法(英語サイト)

リラクゼーション法により血圧低下が軽度、短期間得られることが示されているが、これらの試験の多くは質が低いものでした。

瞑想
瞑想(英語サイト)

2013年、米国心臓協会は、血圧を下げる代替アプローチに対するレビューおよび科学的声明を発表し、高血圧に対する瞑想の効果について以下のように述べました。「総体的なエビデンスにより、超越瞑想は血圧を多少下げると支持されている。」しかし、レビューは詳細に比較した試験がほとんどないことから超越瞑想が他の瞑想より血圧低下に関して本当に優れているかどうかは不明であると示しています。

ヨガ
ヨガ(英語サイト)

ヨガは高血圧に対しては付加的に行うことで有益ある可能性がある、という質の低いエビデンスがあります。

ニンニク
ニンニク(英語サイト)

ニンニク製剤は高血圧の患者の血圧を下げる可能性があるというエビデンスがありますが、多くの研究は小規模で予備的であるかまたは質の低いものです。

オメガ3脂肪酸(魚油)
オメガ3脂肪酸(魚油)(英語サイト)

ランダム化比較試験の結果には一貫性がありませんが、データ上は、総じて魚油のオメガ3脂肪酸には血圧を下げる効果があることを示唆しています。

国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

翻訳公開日:2019年3月29日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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