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医療関係者の方へ ホーム  >  海外の情報  >  S-アデノシルメチオニン (SAMe)

海外の情報

S-アデノシルメチオニン (SAMe)
S-Adenosyl-L-Methionine

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終改訂年月(翻訳時):2016年9月

肝心なことは?

SAMeについて

SAMeについては複数の研究が進められており、これまでにうつ病や肝疾患について相当数の試験が完了しています。しかし、一部の試験ではSAMeの注射剤を用いており、これはサプリメントとして摂取するSAMeとは効果が同一ではない可能性があります。

SAMeの有効性について

SAMeは、主にうつ病、変形性関節症、肝疾患を対象に研究が続けられてきました。このような疾患にSAMeが有用である可能性が示唆されていますが、科学的根拠(エビデンス)は決定的なものではありません。

SAMeの安全性について

  • 長期的なSAMeの安全性や妊娠中に使用した場合の安全性についてはデータが少ないため、結論は出ていません。
  • SAMeは双極性障害の人では安全ではない可能性があります。
  • SAMeは、一部の医薬品あるいは他のサプリメントと相互作用することがあります。
  • 作用機序から考えるとHIV陽性の人など免疫不全の人では、SAMeの摂取によって、ニューモシスチス感染を助長する可能性があるとされています。

SAMeとは?

S-アデノシル-L-メチオニン(米国ではS-adenosyl methionine、S-adenosylmethionine、SAMeあるいはSAM-e、欧州ではアデメチオミンともいい、SAMやAdoMetと略されることが多い)は、生体内にもともと存在する化学物質です。米国では、SAMeはサプリメントとして販売されています。

SAMeは1950年代に発見されました。SAMeは、食物に含まれるアミノ酸の一種であるメチオニンから体内で生成されます。SAMeは生細胞における重要な機能を調節することが、これまでに分かっています。

肝疾患やうつ病では、体内のSAMeが異常値を示すことが報告されています。このようなことから、研究者はSAMeが肝疾患やうつ病の治療に役立つのではないかと考え、研究を始めました。
SAMeが変形性関節症に効果がある可能性があるとする考えは、うつ病を対象としたSAMeの研究に基づいています。うつ病研究に参加した、変形性関節症を合併する患者の一部で、SAMeを摂取すると関節症状が改善したとの報告がありました。

SAMeの効果に対する科学的根拠

SAMeは、うつ病、変形性関節症、および肝疾患での研究が最も進んでいます。
上記3疾患の全てについて、研究からSAMeの有用性が決定的に示されているわけではありません。

うつ病

全体的に、経口SAMeがうつ病に有用であるというエビデンスは決定的なものではありません。

少なくとも40件の試験がうつ病に対するSAMeを評価しており、その多くが有益な効果のエビデンスを示しています。
しかし、これらの試験のほとんどはわずか数週間で終了し、参加者が少数であり、質の高い試験とはいえませんでした。また、一部の試験では、経口摂取ではなくSAMeを注射によって投与していました。

変形性関節症

変形性関節症のSAMeに関する試験結果は混在しています。

ヒトを対象とした試験では、膝または腰の変形性関節炎の患者に、経口SAMeと非ステロイド性抗炎症薬(NSAID;変形性関節炎の痛みを緩和するために使用される医薬品)またはプラセボ(不活性物質)と比較しています。

  • 一般に、SAMeとNSAIDを比較した試験では、疼痛緩和と関節機能の改善は類似しており、さらにSAMeを服用している患者の副作用が少なかったことが示されました。
  • 数の少なかったSAMeとプラセボを比較した試験では、SAMeが有益であることを一貫して示しませんでした。
肝疾患

体内のSAMeレベルの低下と肝疾患の発症との関連を示すエビデンスがいくつかあり、動物実験ではSAMeが肝疾患に有用であるかもしれないことが示唆されています。しかし、SAMeがヒトの肝疾患に有益であるかどうかは確立されていません。

  • 胆汁うっ滞は、肝臓からの胆汁の流れが減速または遮断される状態です。複数の試験では、妊娠中肝胆汁うっ滞(ICP)と呼ばれる一種の胆汁うっ滞についてSAMeが評価されています。ICPは、通常、妊娠第3期に発生し、特徴的な症状としてかゆみを伴います。この試験では相反する結果があり、現時点のデータはSAMeがICPに役立つかどうかを示すには不十分です。
  • SAMeは、アルコール性肝硬変、C型肝炎、各種胆汁うっ滞、非アルコール性脂肪性肝炎などの他の肝疾患や肝臓がんの予防についても試験されていますが、試験は確定的ではありません。
その他の状況
線維筋痛症、片頭痛、統合失調症、アルツハイマー病および注意欠陥多動性障害を含む他の状態についても研究されていますが、これらの状態での効果についての結論に到達するには十分なエビデンスはありません。禁煙援助としてのSAMeの試験では、禁煙率をあげたり、禁断症状の軽減はなかったことが示されました。

SAMeの安全性と副作用

  • ほとんどの研究では参加者のSAMe摂取期間が短かったことから、SAMeの長期的な安全性に関する情報は限られています。しかし、アルコール関連肝疾患を対象としたある研究では、参加者のSAMe摂取期間は2年に及びました。この試験では、重篤な副作用は報告されませんでした。
  • SAMeは躁症状を悪化させることがあるため、双極性障害の人(うつ状態から躁状態まで気分が変動する特徴がある疾患)は、医療スタッフの管理下にない限り、うつ症状に対してSAMeを摂取すべきではありません。
  • SAMeは妊娠時胆汁鬱滞の治療に用いられてきましたが、妊娠中の使用について安全性は確立していません。
  • SAMeは、パーキンソン病の治療に用いる医薬品のレボドパ(L-dopa)の効果を減弱させるおそれがあります。また、SAMeは、抗うつ薬やL-トリプトファン、セイヨウオトギリソウなどのセロトニン(神経細胞によって生成される化学物質)の血中濃度を上昇させる医薬品やサプリメントと相互作用する可能性もあります。
  • 作用機序を考慮すると、免疫不全の人(HIV陽性など)でのSAMe使用には懸念があります。免疫不全の人はニューモシスチス感染のリスクがありますが、SAMeはこの原因微生物の増殖を助長します。
  • SAMeの副作用はまれで、副作用がみられる場合でも、通常は悪心や消化不良など軽微な副作用にとどまります。

NCCIHによる研究助成

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)では、以下の評価を実施中です。

  • 非アルコール性脂肪肝におけるSAMeの役割
  • 結腸がんの発生に関与するSAMeおよび酵素の潜在的役割

さらに考慮しなければならないこと

  • 病気で医療スタッフを受診するのを先延ばしにするために、SAMeを使用しないでください。
  • SAMeサプリメントの使用については、かかりつけの医療スタッフに相談してください。あなたが妊娠中や授乳中である場合、医薬品や他のサプリメントを摂取する場合、または双極性障害やパーキンソン病、HIV陽性である場合、あるいはお子さんにSAMeを飲ませようと考えている場合は、かかりつけの医療スタッフ(またはお子さんのかかりつけ医など)に相談することが特に重要です。
  • ご自身の健康に責任を持ってください - あなたが使用しているすべての補完的健康アプローチをかかりつけの医療スタッフに伝えてください。そうすることで、医療スタッフと情報を共有しよい意思決定を共有することができるでしょう。

さらなる情報

■ Using Dietary Supplements Wisely

nccih.nih.gov/health/supplements/wiseuse.htm

■ NCCIH 情報センター

国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]の情報センターは、NCCIHに関する情報、ならびに連邦政府が管理運営する科学・医学論文データベースから関連する文献や検索・調査などを含む補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは、医学的なアドバイス、治療の推奨、施術者の紹介はおこなっていません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト: nccih.nih.gov
E-mail:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、科学・医学雑誌に掲載された論文の情報(掲載号、出版年月日など)および(ほとんどの場合)その論文の要約が掲載されています。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed

■ ODS(ダイエタリーサプリメント室)

国立衛生研究所(NIH)[米国]内に設置されたダイエタリーサプリメント室(Office of Dietary Supplements:ODS)は、科学情報の評価、研究支援、研究結果の共有、啓発活動を通して、国民のサプリメントの知識と理解が深まるよう努めています。出版物(例えば「サプリメント:知っておきたいこと」など)、さまざまなサプリメント成分や製品に関する個別のファクトシート(例えば「ビタミンD、マルチビタミン・ミネラルサプリメント」など)、および「PubMed Dietary Supplement Subset(PubMedで検索する際、サプリメントに関する論文を自動的に限定検索可能)」等を提供しています。

PubMed Dietary Supplement Subset(パブメッド・ダイエタリーサプリメント・サブセット)
ウェブサイト: ods.od.nih.gov
E-mail: ods@nih.gov

参考文献

謝辞

NCCIHは、このファクトシート2015年版からの更新におけるレビューに対して次の人に感謝します。
Craig Hopp, Ph.D., and David Shurtleff, Ph.D., NCCIH

NCCIH Pub No.:D284
最終更新日:2016年9月

このページの最新更新日は2017年9月24日です。

【免責事項】

ダイエタリーサプリメント室が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で言及している個別の商品名は、その製品を推奨しているものではありません。

監訳:大野智、安枝明日香(大阪大学) 翻訳公開日:2018年3月22日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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