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海外の情報

エフェドラ
Ephedra

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英語版最終改訂年月(翻訳時):2004年7月1日

この報告は、減量、または運動能力(力と持久性)の強化に対するマオウおよびエフェドリンアルカロイドの有効性と安全性についてエビデンスに基づいた評価結果を要約している。この報告は米国保健福祉省Agency for Healthcare Research and Quality(医療研究品質庁:AHRQ)との契約の下、RAND-Southern California Evidence-based Practice Centerによって作成された。この研究は、米国保健福祉省管轄下の国立衛生研究所(NIH)のOffice of Dietary Supplements(ダイエタリーサプリメント室:ODS)とNational Center for Complementary and Integrative Health(国立補完統合衛生センター:NCCIH)が助成した。この報告の要約はJAMAにより発表された。ここで示されるデータは文献[1]から引用したものである。

キーポイント

  • 中国原産の植物であるマオウ(麻黄)は、アメリカではサプリメントとして販売されている。マオウはアルカロイドであるエフェドリンおよびプソイドエフェドリンの天然源である。減量や運動能力の強化のために用いられる一部のサプリメントはこれらのアルカロイドを含んでいる。
  • 合成エフェドリンやプソイドエフェドリンは市販のうっ血除去薬と感冒薬中に認められ、喘息の治療に用いられる。エフェドリンはアメリカ国内では減量や運動能力の強化用薬としては承認されていない。
  • エフェドリンやカフェイン配合エフェドリン、またはマオウ含有サプリメントやカフェイン含有植物性サプリメントの利用は、比較的短期間(6カ月以下)の減量効果においては、あまり大きくはないが統計的に有意な増加と関連している。それらの長期間(6カ月以上)の減量効果を評価した研究はない。
  • 運動能力に関するマオウや植物成分を含むサプリメントの効果を評価した研究はない。エフェドリンの作用を評価した少数の研究は、厳選された身体能力が高い母集団の短時間(単回投与の1〜2時間後)の運動能力に関して、カフェイン配合エフェドリンのある程度の効果を裏づけている。
  • 比較対照試験の結果では、プラセボと比べて合成エフェドリン、カフェイン配合エフェドリンやカフェイン含有植物成分配合マオウの使用は、吐き気や嘔吐、不安や気分の変動のような精神症状、自律神経の亢進、動悸に関して2〜3倍のリスクに関連している
  • RANDは症例報告を発表するのと同時に、米国食品医薬品局(FDA)ならびにマオウ含有サプリメント製造業者より提出された有害事象報告を分析した。この分析によりマオウ含有植物性サプリメントの安全性に対する懸念を引き起こすが、これらの症例報告の大部分は、マオウ含有サプリメントやエフェドリンの使用と当該有害事象との関連性について、情報に基づいた判断に裏づけを与えるための十分な実証を行なっていない。
  • RAND報告によると、死亡や心筋梗塞、脳血管障害、てんかん発作ならびに若年成人の重篤な精神疾患の症例数は、マオウあるいはエフェドリンの摂取がこれらの重篤な有害事象を引き起こしうると実証するため(仮説検定症例対照研究のような)対照をおいた方法でこれらの製品の安全性についてさらなる評価を必要とするのに十分である。

エフェドラ(マオウ)とエフェドリンアルカロイドとは?

中国原産の植物であるマオウ(麻黄)は、アメリカではサプリメントとして販売されている。麻黄はEphedra sinica、Ephedra equisentinaとEphedra intermediaの3つの主な種の慣用名である[2]。 植物の茎(重量のおよそ1.32%)の有効成分は、フェニルアラニン由来アルカロイドのエフェドリン、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノラミン(ノルエフェドリン)とカチン(ノルプソイドエフェドリン)である[3,4]。

アルカロイドの含有量と組成は、種と成長状況によって異なる[5-7];アルカロイドの総含有量は、0.5%から2.3%の間で変動することがある。エフェドリンは最も強力なアルカロイドで、アルカロイド総含有量では最大90%の割合を占め、プソイドエフェドリンは最大27%を占める[3,8,9]。マオウの標本の薬理活性は、そのアルカロイド組成に左右される。
例えばモルモン茶として知られるE.nevadensisのような北アメリカ産のマオウ種は、エフェドリンや他のアルカロイドをわずかに含むかあるいは全く含まない[10]。

エフェドリンは、交感神経細胞からノルエピネフリンの放出を増強し、アルファ受容体およびベータ受容体を刺激する混合型の交感神経作用物質である[11]。エフェドリンは心拍を刺激し、それによって心拍出量を増やす[11,12]。それは持続的な血圧上昇を引き起こしうる末梢抵抗の増加をもたらす末梢性収縮の原因となる[13]。気管支の平滑筋を弛緩させ[11,12]、うっ血除去薬として、また喘息によって引き起こされる息切れに対し一時的な緩和目的で使用される。

エフェドリンは、中枢神経系において刺激薬として作用する[11,12]。マオウアルカロイドのうち、エフェドリンは最も強力な発熱性物質である。それは視床下部の満腹中枢に作用することで食欲抑制薬として作用することもある[14]。

減量あるいは運動能力を高めることを目的とした製品について

エフェドリンまたはエフェドリンとカフェインの配合薬は、アメリカでは減量のための薬として承認されていない。減量のための植物性サプリメントは、マオウ(エフェドリンの天然源)や、カフェインおよびサリチル酸の天然源である他の植物性成分を含むことがある。マオウの代わりに、製造業者はカントリーマローやビターオレンジのような交感神経作用性アミンを含有する植物性成分を時には代用する。利尿作用や瀉下作用を有する植物性成分が含まれていることもある。

エフェドリンはアメリカでは運動能力強化薬としては承認されていないが、運動選手は、運動能力を高めるためにエフェドリンや関連アルカロイドを含有する一般薬の興奮薬を使ってきた。マオウ単独またはビタミン、ミネラルや他の植物成分含有のマオウ製品は、エネルギーを増大し運動能力を高める目的で販売されている。

エフェドラ(マオウ)およびエフェドリンアルカロイドのエビデンスに基づいたRANDレビューの概要

減量のために用いられたマオウもしくは合成エフェドリンアルカロイドを含有する製品の臨床的有効性と安全性を評価するために、あるいは運動能力を高めるために、ODSとNCCIHはRAND研究所によるエビデンスに基づいたレビューに資金提供を行なった。医療研究品質庁(AHRQ) Evidence-based Practice Programに参加した12施設のうちの1施設であるRAND研究所が、2003年3月に公表されたAHRQへの報告書を作り上げた。幅広い専門知識をもった基礎研究の研究者と臨床医を含めた専門家委員会によってこの報告書についてのデータが提供された。

RAND研究所はヒトの減量と運動能力のために用いられたマオウおよびエフェドリンの比較対照試験について、発表されたものと未発表のものの情報源の包括的調査を行なった。レビューのために検討された個々の試験は、あらかじめ設けられた基準によって評価された。RAND研究所はヒトにおける減量と運動能力のために用いられた合成エフェドリンあるいは植物性のマオウに関する52の比較対照試験を確認した。少なくとも8週間の追跡調査データによる減量試験をメタ解析への組入れのために再調査した。運動能力に関する試験では、幅広くさまざまな治療が用いられたが、メタ解析による統合は行なわなかった。

有害事象が特定の曝露によって引き起こされたということを立証するための最も強力なエビデンスはプラセボ対照ランダム化試験の結果である。マオウあるいはマオウ含有サプリメントの使用に関連した有害事象のデータは、文献検索において確認された52のランダム化比較対照試験から収集された。事象および被験者の数(その試験が事象を報告する方法によって決まる)は各治療群およびプラセボ群について要約された。精神症状、自律神経機能亢進、嘔気/嘔吐、心悸亢進、高血圧、および頻脈などの有害事象の患者に対して50の試験から得られたデータに関して、メタ解析を実施した。臨床試験では重篤な有害事象(死亡、心筋梗塞、脳血管障害/脳卒中、てんかん発作、または重篤な精神障害)は報告されなかった。しかしながら、臨床試験の参加者が、特定の基礎となる健康上のリスクがない等適格基準に合致していなければならないため、その参加者が一般集団とは一致しないことがある。

症例報告がこのレビューの中では評価された。なぜなら臨床試験における参加者の総数がまれな転帰の可能性を適切に評価するのに十分ではなかったためである。このような有害事象報告書は因果関係の確証的なエビデンスではないが、有害事象報告書がこのような因果関係の可能性を示していることもありうる。

症例は、文献検索の中で特定された公表済み症例報告から得られた;2001年9月30日までのFDAから得られた症例報告;およびマオウ含有サプリメントの製造業者から得られた症例報告。報告は有害事象の種類によってコード化された;重篤な有害事象はさらに解析した。解析の目的は病因が特発性(すなわち原因不明)として医学的に分類される症例を識別することであった。このような症例についてマオウもしくはエフェドリン含有製品の使用の記録がある場合、マオウまたはエフェドリンがその事象を引き起こす可能性について検討した。

1)選択基準に合致した有害事象が起こったという記録が存在する場合、2)有害事象を有する患者が、事象(死亡、心筋梗塞、脳卒中、あるいはてんかん発作の症例について)の前24時間以内にマオウ含有サプリメントを摂取した場合、そして3)他の解釈が検討され合理的な確実性により除外された場合、症例は検出事象sentinel eventsとして分類した。それ自体で有害事象を引き起こしえたその他の病態が、マオウあるいはエフェドリンによって誘発されたかもしれない場合、検出事象可能例として分類した。

結果

■ 減量に用いられたマオウおよびエフェドリンアルカロイドの有効性

RANDは減量のために他の薬物と併用されたマオウおよびエフェドリンアルカロイドを評価した44の比較対照試験を確認した[1];これらの試験のうち20の試験はメタ解析の選択基準に合致した。エフェドリン、エフェドリン+カフェインおよびマオウ+カフェイン含有ハーブの効果を評価するためにメタ回帰分析を用いた。5組のペアの治療法を比較した。

  • エフェドリン対プラセボ:5試験。エフェドリンの服用は、最大4カ月のプラセボ服用に比較して、統計的に有意な1.3ポンド(0.59kg)/月の減量と関連していた。
  • エフェドリン+カフェイン対プラセボ:12試験。最大4カ月のプラセボの服用に比較して、エフェドリン+カフェインの服用は、統計的に有意な2.2ポンド(1.0kg)/月の減量と関連していた。
  • エフェドリン+カフェイン対エフェドリン:3試験。 エフェドリン単独服用に比較して、エフェドリン+カフェインの服用は統計的に有意な0.8ポンド(0.36kg)/月の減量関連していた。
  • エフェドリン対他の有効な減量用製品:2試験。これらの試験のそれぞれにおいて被験者数が少ないため結論を引き出すことができなかった。
  • マオウ+カフェイン含有ハーブ対プラセボ:4試験。マオウ+カフェイン含有ハーブは最大4カ月のプラセボ服用に比較して、2.1ポンド(0.95kg)/月の統計的に有意な減量と関連していた。

マオウ、マオウ+カフェイン、あるいはマオウ+カフェイン含有ハーブを含むサプリメントは、比較的短時間にわたって統計的に有意な減量増加と関連していた。マオウ+カフェインとマオウ+カフェイン含有ハーブは共に減量の促進においてはエフェドリン単独に比較して、いくらかより有効であった。

マオウ+他のハーブ(カフェインなし)をプラセボと比較した唯一の試験。マオウ含有製品は最大3カ月の使用期間中、プラセボの服用に比較して1.8ポンド(0.82kg)/月の減量を示した。

全体的に見て、合成エフェドリン+カフェインとマオウ+カフェイン含有ハーブの減量に対する効果は同等であった:最大4~6カ月のプラセボ服用に比較して、およそ2ポンド(0.9kg)/月の減量と関連していた。減量に対する長期の効果を評価した試験はない;最も長期間公表された追跡調査は6カ月であった。

■ 運動能力強化のために用いられたマオウとマオウアルカロイドの有効性

運動能力に関してカフェイン含有ハーブの有無にかかわらずマオウを含むサプリメントの効果を評価した試験はない。運動能力に対するエフェドリンの作用は十分検証されていない;RAND研究所は運動能力に対する合成エフェドリンの効果についての8つの公表された比較対照試験を確認したが、1つを除いて他はカフェインを含有していた。これらの試験は幅広いさまざまな治療を用いたためプール解析には不適であった。

少数の試験で短時間に(単回投与の1~2時間後)少数の被験者で運動能力に対するエフェドリンの効果を評価したところ、厳選された理学的に適合した母集団の運動能力において非常に短時間でエフェドリン+カフェインのある程度の効果が示された。この使用法は一般集団の使用法を反映していない。運動能力に関するエフェドリンの持続的な使用を評価した試験はない。

■ 安全性評価

RAND研究所は、52の公表済みランダム化比較対照試験で報告された有害事象について検討した。臨床試験では重篤な有害事象(死亡、心筋梗塞、脳血管事象/脳卒中、てんかん発作、もしくは重篤な精神的事象)は報告されなかった。しかしながら、エフェドリン、エフェドリン+カフェイン、あるいはマオウ+カフェインの服用が、嘔気、嘔吐、不安と気分の変動のような精神症状、自律神経系の機能亢進、および心悸亢進のリスクを2~3倍にするという結論を裏づけるのに、臨床試験から得られたエビデンスは十分であった。これらの症状に対するカフェインの影響は確認できていない。

RAND研究所は発表された医学文献に報告された71症例、FDAによって提供された1820例の症例報告、およびマオウを含有するサプリメントの製造業者に報告された18,000をこえる消費者の苦情についても検討した。大部分の症例は十分実証されていないため、マオウ含有サプリメントあるいはエフェドリンの使用と有害事象が潜在的に関連しているかどうかについて結論はでていない。発表された文献から合計65の症例、FDAから得られた241症例、およびマオウ含有サプリメントの製造業者からの43症例が有害事象解析に含められた。

事前のマオウ摂取による検出事象には、2例の死亡、3例の心筋梗塞、9例の脳血管障害、3例のてんかん発作、および5例の精神障害などがある。事前のエフェドリン摂取による検出事象には、3例の死亡、2例の心筋梗塞、2例の脳血管障害、1例のてんかん発作、および3例の精神障害などがある。検出事象の約半数は30歳以下の被験者で起こった。他の43例は事前のマオウ摂取により可能な検出事象として確認され、他の7例は事前のエフェドリン摂取により可能な検出事象として確認された。

参考文献

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【免責事項】

ダイエタリーサプリメント室が作成したこのファクトシートは、情報を提供するものであり、医師のアドバイスの代わりになるものではありません。サプリメントに関する興味・関心、疑問、利用法、何があなたの健康全般のために最善かについて尋ねたい場合は、医療スタッフ(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談することをお勧めします。この文書内で言及している個別の商品名は、その製品を推奨しているものではありません。

監訳:伊藤壽記(大阪大学)、大野智(帝京大学) 翻訳公開日:2014年3月28日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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