• 一般の方へ
  • 医療関係者の方へ
  • 統合医療エビデンス
  • 「統合医療」とは?
  • コミュニケーション
  • 冊子・資料
  • 海外の情報
医療関係者の方へ ホーム  >  海外の情報  >  健康のためのリラクゼーション法

海外の情報

健康のためのリラクゼーション法
Relaxation Techniques for Health

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終改訂年月(翻訳時):2017年8月

肝心なことは?

リラクゼーション療法について

リラクゼーション療法については多数の研究がなされています。しかし多岐にわたる健康状態に対するリラクゼーション療法の研究の数や規模は小さく、中には研究の質が低いものもあります。

リラクゼーション療法の効果について

リラクゼーション療法は、病気や治療に関する不安、不眠、陣痛、化学療法による吐気、顎関節症などに有効である場合があります。リラクゼーション療法などの心理療法は小児や青年における慢性頭痛やその他の慢性的な痛みをコントロールするのに有効である場合があります。その他の疾患に対するリラクゼーション療法の研究も行われてきましたが、効果が認められなかったか、研究結果に一貫性がなかったか、あるいはエビデンスがわずかであるような状況でした。

リラクゼーション療法の安全性について

リラクゼーション療法により不安感の増大などを起こすとする報告がわずかながらありますが、一般的にリラクゼーション療法は、健康な人にとっては安全であると考えられています。 重大な身体的または精神的疾患のある人は、かかりつけの医療スタッフにリラクゼーション療法について相談するべきです。

リラクゼーション療法とは?

リラクゼーション療法には、漸進的弛緩法、誘導イメージ療法、バイオフィードバック、自己催眠、深呼吸法などさまざまな療法があります。
それぞれの目標は同じで、ゆっくりとした呼吸、血圧の低下、幸福感の増大を特徴とする身体の自然なリラクゼーション反応を引き起こすことです。

瞑想や、ヨガ太極拳などの動きのある瞑想もリラクゼーションを促進します。NCCIHのウェブサイトでこれらの運動に関する情報を閲覧することができます。

ストレスマネジメントプログラムには一般的にリラクゼーション療法が含まれます。リラクゼーション療法はまた、さまざまな健康障害の管理に有効であるのか研究されてきました。

訓練の重要性
リラクゼーション療法は技能であって、他の技能と同じように訓練が必要です。
よくリラクゼーション療法を行う人は、その効果も得られやすいです。慢性的な健康問題をコントロールするためにリラクゼーション療法を利用するつもりなら、定期的に頻繁に訓練することが特に重要です。
リラクゼーション療法は、短期間利用するより続けることでより効果が出ます。

リラクゼーション療法には以下のものがあります。

自己訓練法
この方法では、身体のさまざまな部位の温かいとか重い、リラックスしているという、身体的な感覚に意識を向けることを学びます。
バイオフィードバックによるリラクゼーション
バイオフィードバック法は身体機能を測定し、その情報を知ることでそれらをコントロールすることを学びます。
バイオフィードバックによるリラクゼーションでは電子機器を使うことで、筋緊張の緩和などのリラクゼーション変化を身体に引き起こすことを学べます。
深呼吸法または呼吸法
この方法では、ゆっくりとした深い落ち着いた呼吸をすることに集中します。
誘導イメージ療法
この方法では、ネガティブな気分やストレスのたまった気分の代わりに楽しいイメージを意識します。
誘導イメージは自分自身によるもの、または施術者や記録されたものによるものです。
漸進的弛緩法
この方法はジェイコブソンリラクゼーションまたは漸進的筋弛緩法とも呼ばれますが、一連の筋肉をそれぞれ引き締めたり弛緩させたりするものです。
漸進的弛緩法はしばしば誘導イメージ療法や呼吸法とともに用いられます。
自己催眠
この方法では、あるフレーズや言葉を使わない合図(「暗示」とも呼ばれます)でリラクゼーション反応を引き起こします。

リラクゼーション療法の効果に対する科学的根拠

リラクゼーション療法の研究は以下のようなさまざまな健康問題に対して行われています。

不安感
研究によりリラクゼーション療法は、心疾患や腸疾患などに罹患している患者または乳房生検術や歯科治療などの医療処置を受けている患者の不安感を軽減する可能性があることがわかっています。
またリラクゼーション療法は、不安感のある高齢者に効果があることもわかっています。

一方リラクゼーション療法は、全般性不安障害の患者にとっては最良の治療法とは言えないところがあります。
全般性不安障害は数カ月以上継続する精神障害で、多くの物事に対して頻繁に心配や不安を生じ、その不安感をコントロールするのが困難になります。
全般性不安障害の患者では、認知行動療法と呼ばれる心理療法を受けている患者のほうが、リラクゼーション療法を受けている患者より長期結果が良好であることが研究により示唆されています。
喘息
リラクゼーション療法により成人や小児の喘息患者の症状が緩和できるかどうかについては、十分な研究がありません。
出産
誘導イメージ療法、漸進的筋弛緩法、呼吸法などのリラクゼーション法は、陣痛のコントロールに有効である場合があります。
自己催眠を教わった女性は、陣痛を和らげる薬を必要とする傾向が低いことが研究によりわかっています。バイオフィードバックによる陣痛緩和効果は示されていません。
うつ病
15件の試験の評価から、リラクゼーション療法はうつ病の症状の軽減に関して無治療より良いが、認知行動療法などの心理療法ほどは有益でないことが結論付けられています。
てんかん
リラクゼーション療法がてんかんのコントロールに有効であるという明確なエビデンスはありません。
線維筋痛症
  • 線維筋痛症に対する誘導イメージ療法の研究には一貫した結果がありません。
  • 2013年の筋電図 (EMG)を用いたバイオフィードバックの研究では、患者が筋緊張をコントロールして和らげることを教わることで線維筋痛症の痛みを短時間和らげるのに効果があると報告されています。
    しかし筋電図バイオフィードバックは線維筋痛症の患者の睡眠障害、抑うつ感、倦怠感、健康に関連するQOLには改善が認められず、その長期的効果は今のところ証明されていません。
頭痛
  • バイオフィードバック

    バイオフィードバックは緊張性頭痛や片頭痛に対して研究されてきました。
    質の高い研究を集めた評価では、バイオフィードバックが緊張性頭痛を緩和できるかどうかについては矛盾するエビデンスがある、と結論付けています。

    バイオフィードバックにより片頭痛の頻度が減少することを示す研究もあります。
    しかしバイオフィードバックがプラセボより効果があるかは不明です。

  • その他のリラクゼーション療法

    緊張性頭痛に対する、バイオフィードバック以外のリラクゼーション療法を検討した研究もあります。質の高い研究を集めた評価では、リラクゼーション療法が無治療やプラセボより有効かどうかのエビデンスには矛盾したものがあると報告されています。
    その他のリラクゼーション療法は、バイオフィードバックほど効果がないとする研究もあります。

心臓病
心臓病患者において、リラクゼーション療法はストレスや不安感を緩和し、心拍数などの身体計測結果に有益な影響もある可能性があることが研究によりわかっています。
高血圧
ストレスにより血圧が短期間上昇する場合がありますが、リラクゼーション反応により短期間血圧が降下し降圧薬の必要性を低下させることがわかっています。
しかしリラクゼーション療法が高血圧に長期的に効果があるかは明確ではありません。
不眠症
リラクゼーション療法が慢性的な不眠に有効であるというエビデンスがあります。
良質な睡眠を得るために、リラクゼーション療法は他の方法、すなわち、一貫した睡眠スケジュールの維持;カフェイン、アルコール、胃もたれする食事、就寝直前の激しい運動の回避;静かで涼しく暗い部屋での睡眠など、と併用することが可能です。
過敏性腸症候群
米国消化器病学会(American College of Gastroenterology)による研究結果の評価ではリラクゼーション療法は過敏性腸症候群の症状緩和に有用ではないと、結論付けています。
しかし認知行動療法や催眠療法などのその他の心理療法は、過敏性腸症候群患者の総体的症状の改善に関係があります。
更年期症状
閉経に関連するほてりやその他の症状に対するリラクゼーション療法の研究がされていますが、研究の質が高くないので明確な結論に達するまでには至っていません。
月経痛
リラクゼーション療法が月経痛に有益である可能性があると示唆する研究もありますが、少数例での研究や質の低い研究が含まれるため、明確な結論には達していません。
吐き気
誘導イメージ療法や漸進的筋弛緩法などのある種のリラクゼーション療法は、吐き気止めと併用すると癌化学療法による吐き気を緩和するのに有効であるようだと研究エビデンスの評価で結論付けています。
悪夢
原因不明の悪夢や心的外傷後ストレス障害に関連する悪夢に対してリラクゼーション運動は有効な療法である場合があると、示唆する研究もあります。
しかしリラクゼーション療法は、より広範な治療法(心理療法や瞑想)ほど有効ではないと多くの研究の評価では結論付けています。
痛み
誘導イメージ療法は筋骨格系疼痛(骨格や筋肉などの痛み)やその他の痛みを緩和する可能性があるという有望であるが確証のないエビデンスが認めらています。
入院中のがん患者を対象とした解析では、入院中に誘導イメージ療法やリラクゼーション反応訓練などの統合治療を受けた患者において、痛みと不安の両方が軽減されていました。
小児期や青年期の痛み
2014年の評価では、リラクゼーション療法、ならびに認知行動療法などの他のアプローチを含む心理療法が、小児および青年の慢性頭痛または他の慢性疼痛を軽減しうるというエビデンスが認められています。
本エビデンスは特に頭痛に有効です:頭痛への作用は治療から数カ月間持続する可能性があり、同療法は不安を軽減するのにも役立ちます。
心的外傷後ストレス障害
心的外傷後ストレスのバイオフィードバックおよび他のリラクゼーション療法の研究は、矛盾する結果となりました。
関節リウマチ
バイオフィードバックやその他のリラクゼーション療法が関節リウマチの追加治療の選択肢になりうるとする限られたエビデンスがあります。
耳鳴り
耳鳴りに対し、リラクゼーション療法が有効であるとする研究もわずかながらあります。
これらの研究で得られたエビデンスは限られたものですが、リラクゼーション療法が有効であり、特に症状の煩わしさの軽減に役立つ可能性を示唆しています。
禁煙
  • 限られたエビデンスから、誘導イメージ療法は禁煙に有効である可能性があるとされています。
  • 自発訓練法と認知行動療法の比較研究において、前者は後者よりも禁煙補助としての効果が低いことが判明しました。
    しかしながら、本研究ではアルコールデトックスプログラム患者が含まれているため、同結果は他の人々には適用されない可能性があります。
  • 予備調査では、誘導リラクゼーションの習慣がタバコへの渇望軽減になる可能性が示唆されています。
顎関節症
顎関節(顎を側頭部に接続する関節)の問題により、痛みが引き起こされ、顎の動作が困難になる可能性があります。
リラクゼーション療法を含むプログラムが顎関節症の症状を緩和するのに役立つ可能性を示す研究もあります。

リラクゼーション療法の安全性と副作用の科学的根拠

  • リラクゼーション療法は一般的に健康な人が行う場合には安全と考えられています。
    しかしながら、時には、不安増大、侵入的思考、自制心を失う恐れなどネガティブな経験が報告される場合もあります。
  • 特定のリラクゼーション療法によって、てんかんまたは特定の精神疾患をもつ患者や乱用または心的外傷の既往歴がある人々に症状が現れたり、症状が悪化したりする可能性があるとする報告がまれにあります。
    心疾患のある方は、漸進的筋弛緩法を行う前にかかりつけ医療スタッフに相談してください。

NCCIHによる研究助成

NCCIHは、リラクゼーション療法に関するさまざまな研究を助成しています。現在研究中のトピックには以下の例が含まれています。

  • リアルワールドにおける、リラクゼーション療法およびその他の補完的治療法の腰痛への活用
  • 入院患者の疼痛管理のための誘導イメージ療法およびリラクゼーション反応トレーニング

教育訓練、免許および資格

大部分のリラクゼーション法について、その実践または教育に必要とされる公式の認定やライセンスはありません。しかし、リラクゼーション法は、ライセンスを供与された専門家(医師、レクリエーション療法士、心理学者など)によって実践または教育されることがあります。

リラクゼーション法の利用をお考えの方に

  • リラクゼーション法は、通常医療の代わりとして、または医学的問題について医療機関受診を後回しにする理由として用いてはいけません。
  • 何らかの補完的な健康管理法について検討している場合、施術者またはインストラクターのトレーニングと実績について尋ねてください。
  • リラクゼーション効果に関する研究論文の中から興味のある健康状態についてのものを探してみてください。リラクゼーション療法の宣伝文句の一部が入手可能な科学的エビデンスからかけ離れていることがある点に注意してください。
  • あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
    医療スタッフに補完療法について話す際のポイントについては、NCCIH’s Time to Talk campaignをご覧ください。

【補足】

NCCIH’s Time to Talk campaignの翻訳サイトは以下を参照してください

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト: nccih.nih.gov
E-mail:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

国立衛生研究所(NIH)[米国]が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

ウェブサイト:www.nih.gov/health/clinicaltrials/

■ The Cochrane Database of Systematic Reviews(コクラン・レビューのデータベース)

コクラン・レビューのデータベースは、国際的な非営利組織であるコクラン・ライブラリによって、科学的根拠に基づいたレビューが集積されています。レビューは、治療行為に関する臨床試験の結果がまとめられています。サマリーは無料で閲覧することができます。レビュー全文を閲覧したい場合は、契約が必要です。

ウェブサイト:www.thecochranelibrary.com

■ Research Portfolio Online Reporting Tools Expenditures & Results (RePORTER)

RePORTERは、研究機関において、政府が助成し現在実施されている科学・医学研究プロジェクトに関する情報のデータベースです。

Web site: projectreporter.nih.gov/reporter.cfm

主な参考文献

国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

更新日:2018年3月22日

監訳:伊藤壽記(大阪大学)、大野智(帝京大学) 翻訳公開日:2014年3月28日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
当該事業では、最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
ページトップ
ページトップ