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海外の情報

健康のためのリラクゼーション法
Relaxation Techniques for Health

最新版(英語版オリジナルページ)はこちら
英語版最終改訂年月(翻訳時):2013年2月

はじめに

リラクゼーション法には、漸進的弛緩法、誘導イメージ療法、バイオフィードバック、自己催眠、深呼吸運動など様々な方法があります。目標はどれもほぼ同じで、ゆっくりとした呼吸、低い血圧、平穏な気分や幸福感を特徴とする、身体の自然なリラクゼーション反応を意識的に引き起こすことです。

リラクゼーション法(リラクゼーション反応法とも呼ばれます)は、緊張を解き、ストレスの悪影響を和らげるために行われることがあります。また、リラクゼーション法は睡眠の誘導、痛みの軽減、落ち着いた気持ちを得るために用いられることもあります。本ファクトシートに、リラクゼーション法の基本的な情報を記載し、有効性および安全性の科学的研究について要約するとともに、追加情報の情報源を紹介しています。

キーポイント

  • リラクゼーション法は不安、抑うつ気分、ある種の痛みの総合的な治療計画に含まれる効果的なアプローチと考えられます。また、一部の研究から、リラクゼーション法は、耳鳴りや過活動膀胱など他の病状にも効果がある可能性が示されています。しかし、高血圧や喘息などの病状を回復させる能力があるかは明らかになっていません。
  • リラクゼーション法は一般的に安全です。
  • リラクゼーション法は、通常医療の代わりとして、または医学的問題について医療機関受診を後回しにする理由として用いてはいけません。
  • あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。

リラクゼーション法について

リラクゼーションは、単に心の状態だけではなく、身体機能にも物理的な変化を及ぼします。体がリラックスすると、呼吸が穏やかになり血圧や酸素消費量が低下し、人によっては幸福感が増します。これは「リラクゼーション反応」と呼ばれています。リラクゼーション法によってリラクゼーション反応を得ることで、うつ病、消化器疾患、頭痛、高血圧、不眠症など様々な健康上の問題を引き起こす/悪化させる長期間にわたるストレスが軽減されることがあります。

リラクゼーション法では、心身を穏やかな状態にするために、しばしば呼吸法と意識集中法が併用されます。大部分のリラクゼーション法で必要とされるのは、手助けなしで実践できるようになる前に、書籍または経験豊富な施術者からの簡単な説明を得ることのみです。これらのリラクゼーション法は、栄養バランスの取れた食事、定期的な運動および強力な社会的支援システムを組み合わせながら定期的に実践すると最も効果があると考えられます。

本ファクトシートに記載されるリラクゼーション反応法は以下の通りです。

  • 自己訓練法:この方法では、自分の呼吸や鼓動の身体的な感覚に注意を向け、自分の体が温かい、重い、あるいは、リラックスしていると想像します。
  • バイオフィードバック:バイオフィードバックによるリラクゼーションでは、意識的にリラクゼーション反応を得る方法を教えるために電子機器を使用します。
  • 深呼吸法または呼吸法:この方法でリラックスするためには、ゆっくりと呼吸し、周期的な深い呼吸に意識を向けます。
  • 誘導イメージ療法:この方法では、ネガティブな気分やストレスのたまった気分の代わりに楽しいイメージに意識を向けてリラックスします。誘導イメージ療法は、心的イメージ(ビジュアライゼーションとも呼ばれます)を思い浮かべるために組み立てられた物語や記述を通してあなたまたは施術者が行います。
  • 漸進的弛緩法(ジェイコブソンの漸進的弛緩法または漸進的筋弛緩法とも呼ばれます):このリラクゼーション方法では、一連の筋肉をそれぞれ引き締めたり弛緩させたりすることに意識を向けます。漸進的弛緩法はしばしば誘導イメージ療法や呼吸法とともに用いられます。
  • 自己催眠:自己催眠では、あるフレーズや言葉を使わない合図(「暗示」と呼ばれます)でリラクゼーション反応を引き起こします。

瞑想やヨガなどの心身鍛錬もリラクゼーション法と言えるでしょう。国立補完統合衛生センター(NCCIH)のファクトシート「瞑想:序文」および「健康のためのヨガ:序文」に、これらの方法について詳細に記述されています。

米国における健康目的のリラクゼーション法の使用の現状

米国では、様々な疾患の症状(ストレス、高血圧、慢性疼痛、不眠症、うつ病、陣痛、頭痛、心血管障害、不安、化学療法の副作用など)を治療、予防または緩和するために包括的な計画の一部としてリラクゼーション法が用いられることがあります。

2007年の国民健康調査(NHIS)でのアメリカ人の補完療法使用状況の一斉調査によれば、12.7%の成人が深呼吸法、2.9%の成人が漸進的弛緩法、2.2%が健康目的で誘導イメージ療法を用いていました。その大部分の人々によると、これらの方法を学ぶのに施術者を訪れるのではなく本を用いたとのことです。

リラクゼーション法の効果

意識的に得られたリラクゼーション反応が健康にどのように影響するのかを理解するためには、あなたの体がリラクゼーションとストレスという相反する状態にどのように反応するのかを理解することが役立ちます。

ストレス状態にあると、「攻撃・逃避反応」を引き起こすホルモンが体から放出されます。心拍数や呼吸数が増え、血管が狭くなります(血流が制限されます)。この反応によって行動を起こす必要のある体の部位(筋肉や心臓など)にエネルギーが送りこまれます。この反応は短期的には役立つとしても、ストレス状態が長時間維持されると精神的または肉体的にダメージを受けることになります。数カ月または数年間にわたる長期間または慢性的なストレスは、病気をよせつけない能力を低下させ、何らかの健康上の問題を引き起こすか、そのような問題を悪化させることがあります。慢性的なストレスは、高血圧、頭痛および胃痛を引き起こすことがあります。ストレスは喘息などの疾患を悪化させることがあります。また、ストレスはうつ病、不安、他の精神疾患に関連しています。

ストレス反応とは対照的に、リラクゼーション反応は心拍数や血圧を下げ、酸素消費量やストレスホルモンのレベルを低下させます。リラクゼーションはストレスの対極にあるため、理論的には、定期的にリラクゼーション法を用いて自発的にリラクゼーション反応を得ることで、ストレスの好ましくない影響を和らげることができるものと考えられます。

リラクゼーション法の研究状況

過去30年において、リラクゼーション反応およびこのような状態を得ることが、健康にどの程度役立つのかということについて大きな関心が寄せられてきました。研究分野では、疾患の原因または疾患を悪化させる要因のどちらかとして、ストレスが関与する疾患または症状に主に注目されてきています。

現在、以下の疾患に対するリラクゼーション法について研究が行われています。

  • 不安:研究結果から、リラクゼーションは恐怖症やパニック障害の従来の治療を補助しうるものと考えられています。また、リラクゼーション法はストレスの多い状況下(医学的措置を受けている場合など)にある人々の不安を和らげるためにも用いられています。
  • 喘息:複数の文献レビューから、誘導イメージ療法などのリラクゼーション法が喘息患者における肺機能や生活の質を一時的に改善し、不安を和らげるのに役立つ可能性が示されています。最近行われた喘息のランダム化臨床試験では、リラクゼーション法が免疫機能の向上に役立つ可能性があることが判明しました。
  • うつ病:2008年、うつ病におけるリラクゼーションに関する大規模なエビデンスレビューで、うつ病の治療を何も行わないよりはリラクゼーション法を行ったほうが効果があるが、認知行動療法ほど効果はないことが判明しました。
  • 線維筋痛症:何件かの予備研究から、リラクゼーションまたは誘導イメージ療法によって線維筋痛症の痛みが和らぎ疲労感を軽くなる可能性があると報告されています。
  • 頭痛:バイオフィードバックや他のリラクゼーション法が緊張性頭痛や片頭痛を和らげるのに役立つ可能性を示すエビデンスがいくつかあります。また、人によっては、痛みの頻度、程度および重症度から見て、心身に働きかける手法が医薬品よりも効果がありました。
  • 心臓病と心臓の症状:研究者らは、狭心症および心疾患の予防におけるリラクゼーション法について注目しています。クリニックにおいて心臓リハビリテーションプログラムとリラクゼーション反応のトレーニングを組み合わせて行ったところ、参加者の状態は、プログラムを行う前と比べて、血圧の顕著な低下、脂質レベルの低下および心理学的機能の向上を示しました。いくつかの試験では、リラクゼーション法と他の生活習慣の改善および標準的な医学的治療を組み合わせることで再発性心発作のリスクが低下する可能性があることが証明されています。
  • 高血圧:2008年に行われた高血圧におけるリラクゼーションに関するエビデンスのレビューでは、漸進的筋弛緩法が血圧を少し低下させることを示すエビデンスがいくつか判明しました。しかし、このレビューでは、このような影響が心疾患、発作または高血圧による他の健康上の問題のリスクを下げるのに十分であるというエビデンスは得られませんでした。最近行われたランダム化対照試験では、8週間にわたるリラクゼーション反応/ストレス管理によって、高齢の高血圧患者で収縮期血圧が低下したことが証明され、一部の患者では降圧薬を減量しても血圧が上昇しませんでした。
  • ほてり:ゆっくりとコントロールしながら行う深呼吸などのリラクゼーション訓練は、閉経に伴うほてりを和らげるのに役立つ可能性があります。
  • 不眠症:リラクゼーション法は慢性不眠症の改善に役立つことを示すエビデンスがいくつか得られています。
  • 過敏性腸症候群:何件かの研究では、一部の参加者においてリラクゼーション法によって過敏性腸症候群(IBS)の症状が防止または軽減された可能性があることが判明しました。ある研究レビューでは、自己催眠がIBSに有用である可能性が示唆されました。
  • 吐き気:リラクゼーション法は化学療法による吐き気を和らげることがあります。
  • 悪夢:リラクゼーション訓練は、原因不明の悪夢や心的外傷後ストレス障害に関連する悪夢に効果を示す可能性のあるアプローチです。
  • 過活動膀胱:膀胱の再訓練とリラクゼーションおよび他のエクサーサイズを組み合わせて行うと、尿意逼迫のコントロールに役立つことがあります。
  • 痛み:何件かの研究では、リラクゼーション法によって腹痛や術後の痛みが和らぐ可能性があることが明らかにされています。
  • 耳鳴り:リラクゼーション訓練を行うことで、このような状態に対処するのに役立つことがあります。
  • 禁煙:リラクゼーション訓練を行うと、喫煙したいという欲求を和らげるのに役立つことがあります。
  • 顎関節症(顎関節の痛みと動きの消失):文献レビューでは、リラクゼーション法およびバイオフィードバックは、痛みの軽減と顎の機能向上においてプラセボよりも効果的であったことが判明しました。

研究者らは、心カテーテル検査中にリラクゼーション法を用いてその結果を観察しましたが、明らかな変化は見られませんでした。しかし、患者のストレスは施術前よりも軽減されました。今後行われる研究では、このことが見通しや回復に長期的な影響を及ぼすかについて検討されるものと思われます。

リラクゼーション療法および健康にかかわる研究の多くでは、少人数の患者を数週間または数カ月しか追跡調査していません。大人数の参加者を対象とする長期試験を行えば、リラクゼーション法の定期的な実践による累積的な影響についてより詳細な結果が得られるものと思われます。

NCCIHによる研究助成

NCCIHが助成する最新の研究では以下のことを検討しています。

  • 腰痛軽減のための漸進的弛緩法およびマッサージ療法
  • 高齢の高血圧患者における血圧、ストレスホルモンおよび心理学的な幸福感へのリラクゼーション反応の影響
  • HIV治療薬を服用している患者における胃の症状の緩和を目的とする鍼灸およびリラクゼーション訓練

副作用とリスク

リラクゼーション法は一般的に健康な人が行う場合には安全と考えられています。特定のリラクゼーション法によって、てんかんまたは特定の精神疾患をもつ患者や乱用または心的外傷の既往歴がある人々に症状が現れたり、症状が悪化したりする可能性があるとする報告がまれにあります。心疾患のある方は、漸進的筋弛緩法を行う前に担当の医療従事者に相談してください。

リラクゼーション法は、多くの場合、重篤であるかもしれない医学的疾患への唯一のアプローチとしてではなく、治療計画の一環として用いられます。

教育訓練、免許および資格

大部分のリラクゼーション法について、その実践または教育に必要とされる公式の認定やライセンスはありません。しかし、リラクゼーション法は、ライセンスを供与された専門家(医師、レクリエーション療法士、心理学者など)によって実践または教育されることがあります。

リラクゼーション法の利用をお考えの方に

  • リラクゼーション法は、通常医療の代わりとして、または医学的問題について医療機関受診を後回しにする理由として用いてはいけません。
  • 何らかの補完的な健康管理法について検討している場合、施術者またはインストラクターのトレーニングと実績について尋ねてください。
  • リラクゼーション効果に関する研究論文の中から興味のある健康状態についてのものを探してみてください。リラクゼーション療法の宣伝文句の一部が入手可能な科学的エビデンスからかけ離れていることがある点に注意してください。
  • あなたが行っている補完療法をすべてのかかりつけの医療スタッフに伝えてください。健康管理のためにあなたがどんなことをしているのか、すべて話しましょう。それによって連携のとれた安全な治療が受けられるでしょう。
    医療スタッフに補完療法について話す際のポイントについては、NCCIH’s Time to Talk campaignをご覧ください。

【補足】

NCCIH’s Time to Talk campaignの翻訳サイトは以下を参照してください

さらなる情報

■ NCCIH 情報センター

NCCIH情報センターは、NCCIHに関する情報、および科学論文・医学論文の連邦データベースの公開や検索などの補完療法に関する情報を提供しています。情報センターでは医学的なアドバイス、治療の推奨や施術者の紹介は行いません。

米国内の無料通話:1-888-644-6226
テレタイプライター(TTY、聴覚障害者や難聴の方用):1-866-464-3615
ウェブサイト: nccih.nih.gov
E-mail:info@nccih.nih.gov

■ PubMed®

国立医学図書館(NLM)[米国]のサービスであるPubMed®には、公表文献の情報および(ほとんどの場合)科学・医学雑誌の論文からの短い要約が掲載されています。

ウェブサイト:www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed

■ NIH Clinical Research Trials and You(NIHクリニカル・リサーチ・トライアル・アンド・ユー)

国立衛生研究所(NIH)[米国]が開設したウェブサイトです。一般の人々に、臨床試験の重要性や、どうすれば臨床試験に参加できるのかを知ってもらうために開設されました。サイトには、臨床試験に関する質問と回答、臨床試験の情報を探す方法(ClinicalTrials.govなどの情報検索サイトやその他の情報源)、臨床試験に参加した人の体験談などが掲載されています。臨床試験は、病気を予防、診断、治療するうえで、よりよい方法を見つけ出すために必要な試験です。

ウェブサイト:www.nih.gov/health/clinicaltrials/

■ The Cochrane Database of Systematic Reviews(コクラン・レビューのデータベース)

コクラン・レビューのデータベースは、国際的な非営利組織であるコクラン・ライブラリによって、科学的根拠に基づいたレビューが集積されています。レビューは、治療行為に関する臨床試験の結果がまとめられています。サマリーは無料で閲覧することができます。レビュー全文を閲覧したい場合は、契約が必要です。

ウェブサイト:www.thecochranelibrary.com

■ Research Portfolio Online Reporting Tools Expenditures & Results (RePORTER)

RePORTERは、研究機関において、政府が助成し現在実施されている科学・医学研究プロジェクトに関する情報のデータベースです。

Web site: projectreporter.nih.gov/reporter.cfm

主な参考文献

国立補完統合衛生センター(NCCIH)[米国]は、個人の参考情報として、この資料を提供しています。この資料は、あなたのプライマリーヘルスケア提供者(かかりつけ医等)の医学専門知識やアドバイスに代わるものではありません。NCCIHは、治療やケアについて意思決定をする場合は、必ずかかりつけの医療スタッフと相談することをお勧めします。この資料に記載されている特定の製品、サービス、治療法のいずれも、NCCIHが推奨するものではありません。

監訳:伊藤壽記(大阪大学)、大野智(帝京大学) 翻訳公開日:2014年3月28日

ご注意:この日本語訳は、専門家などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、当ホームページの「ご意見・ご感想」でご連絡ください。なお、国立衛生研究所[米国]、国立補完統合衛生センター[米国]、国立がん研究所[米国]のオリジナルサイトでは、不定期に改訂がおこなわれています。
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